July 18, 2011

自転車に進化をうながすもの

将来の自転車は、どのように変わっていくのでしょうか。


それを考えるポイントはいろいろあると思いますが、近年の情報通信技術の進歩もその一つでしょう。情報通信技術の革新によって、現代人の生活、人々のライフスタイルは変化しています。当然、自転車にもその影響は波及します。既に身近になりつつあるのは、ケータイやスマートホンを自転車に乗りながら使うスタイルでしょうか。

もちろん、手に持って走行中に使うのは道路交通法違反ですが、自転車に固定して使うための器具も売られています。走行中に見たり、操作したりする場合の危険性という問題は、依然として残りますが、自転車に乗っている時でも情報を取得したいというニーズは確実に顕在化していくものと思われます。

例えば、ナビです。単なる知らない場所を通る時の地図としてだけでなく、現在地や道案内、予想時刻や周辺の情報だけでなく、道路の勾配や走りやすさといった自転車向きの情報まで表示させることが出来るようになりつつあります。こうした情報が自転車での走行を便利にすることは間違いありません。

インターネットウォッチの記事から引用します。


iPhoneアプリ「自転車NAVITIME」公開、「坂道少なめ」ルート案内も

自転車NAVITIME - GPSサイクリングナビゲーション - NAVITIME JAPAN CO.,LTD.株式会社ナビタイムジャパンは14日、自転車用のルート検索や音声でのルート案内が可能なiPhone向けアプリ「自転車NAVITIME」を公開した。価格は350円。App Storeからダウンロードできる。

ルート検索では「距離が短い」「坂道が少ない」「坂道が多い」「大通り優先」「裏通り優先」という5種類のルートを検索できる。それぞれのルートの高低差もグラフで確認することが可能だ。

なお、現時点では荒川沿いや多摩川沿いなどのサイクリングロードのルートは収録していない。ナビタイムジャパンによれば、時期は未定ではあるが将来的にサイクリングロードの情報も反映させるという。

スポット検索は全国700万カ所が対象。「5kmから10kmの間」のように距離を指定すると、その範囲にあるスポットを検索できる「ドーナツサーチ」機能も搭載する。同機能は「今日は5km以上は走りたい」という時の目的地探しに便利だとしている。

自転車NAVITIME - GPSサイクリングナビゲーション - NAVITIME JAPAN CO.,LTD.

また、ナビゲーションサイト「NAVITIME」でよく検索されるスポットのランキングを元にした「おすすめスポット」も閲覧可能。スポット名とおすすめ度、現在地からの距離と方角が表示される。

走行中は右折・左折・直進を指示するナビ情報に加えて、GPSの移動距離から算出したスピードメーターを表示する。一方、停車中はナビ情報、目的地までの距離、到着予定時刻だけを表示するなど、状況に応じて表示される画面が異なる。

自転車NAVITIME - GPSサイクリングナビゲーション - NAVITIME JAPAN CO.,LTD.また、iPhoneの近接センサーを利用した省電力機能として、ポケットにiPhoneを入れると画面が自動でオフになる「ポケットモード」も搭載する。画面がオフになっても、音声案内は継続される。

なお、携帯電話やスマートフォン向けに提供されているナビゲーションサービス「NAVITME」は月額もしくは日ごとの課金となっているが、「自転車NAVITIME」は買い切りのアプリだ。

このため、今後サイクリングロードのルートを反映する際には、アプリ購入者は無料でアップデートできる。ただし、「将来的に大規模なバージョンアップを行う際などには、追加料金が発生する可能性もある」(ナビタイムジャパン)としている。 ナビタイムジャパンでは、Android向けアプリも近日公開する予定だ。(2011/7/14 インターネットウォッチ)

自転車NAVITIME - GPSサイクリングナビゲーション - NAVITIME JAPAN CO.,LTD.


情報端末を携行し、必要な時に使うのは当たり前になっていくとしても、自転車に取り付け、常時表示させておくスタイルが一般的になっていくかどうかはわかりません。ただ、道案内させたり、常時表示させておくのが便利な情報が増えれば、自転車にもナビという時代になっていくのかも知れません。

ナビには欠かせないGPSですが、オランダではこんな使われ方もしています。少し前のものですがAFPの記事から引用します。


自転車盗難に悩むオランダでGPS使った「おとり作戦」

自転車大国のオランダは、自転車の盗難大国でもある。多くの市民が相次ぐ自転車の盗難に閉口させられているなか、中部アーメルスフォールト(Amersfoort)で、衛星利用測位システム(GPS)を仕込んだ自転車を用いて自転車泥棒を追跡する試みが導入されている。

人口約14万5000人のアーメルスフォールトでは2010年、自転車900台が盗難にあっている。これは同市で発生した犯罪の10%に相当する。市警察のコーネリー・ホーヘフェーン(Cornelie Hogeveen)報道官はAFPに対し、「自転車泥棒は犯罪であるにも関わらず、見逃されてしまっている」との懸念を語った。

こうした状況を打開するため、同市警察は前年12月10日から、「自転車おとり作戦」を半年間の予定で試験的に導入した。

「自転車おとり作戦」では、GPSの発信装置を仕込んだ自転車を市内各所に放置する。これらの自転車は、見た目は通常の自転車と変わりはない。施錠した自転車もあれば、鍵をかけずに置かれたものもある。

自転車おとり作戦■過去に盗まれた自転車が見つかることも

これらの自転車が、何者かによって動かされるとGPSが作動し、警察が自転車の追跡を始めるという仕組みだ。

警察官が到着したときには、すでに自転車泥棒が逃げ去った後ということもあるが、盗難にあった自転車数台を発見できることもあるという。

ホーヘフェーン報道官は、「自転車を盗むことは、れっきとした犯罪。多くのオランダ人が迷惑している」と言明。自転車盗難の問題は、自分の自転車が盗まれるだけでなく、知らずに盗難自転車を買ってしまう危険もあると、指摘する。

人口約1650万人のオランダには、推定1800万台の自転車があるが、車両盗難の統計機関によると、2009年に51万5000台の自転車盗難が報告されている。(2011年01月26日 AFP 発信地:ハーグ/オランダ)


日本でこのような使い方がされるかどうかは別として、ハイテク技術を犯罪防止のために役立てる事も、今後充分考えられます。GPS以外に、ICタグや無線通信技術などを使うことも選択肢です。例えば、逆走や信号無視、迷惑駐輪などを検知したりすることも可能と思われます。

技術的には、全ての自転車を識別したり、追跡、あるいは監視したりすることも可能でしょう。日本でも、自転車のルール無視が原因の事故の増加が問題となっています。やろうと思えば、全所有者を登録させた上で、全ての自転車を監視したり、自動的に反則金を賦課するようなことも不可能ではないでしょう。

ただ、実際に自転車の流通や道路システムの中に組み込んで使うには、社会的なコンセンサスが必要ですし、相応の費用も発生します。個人の権利と社会的利益のバランス等難しい問題もあります。自転車を全て管理するのは現実的ではありません。

やはり、盗難防止などの犯罪抑止に役立てるのが現実的なところでしょうか。おとり捜査は別ですが、オランダでの試みの今後の進展が興味深いところです。そのほか、工夫次第では、見通しが悪く危険な場所とか事故が多発している場所などを、接近した自転車利用者に知らせるといった使い方も考えられそうです。

Toyota Prius Project Concept Bike, www.toyotapriusprojects.com

クルマメーカーのトヨタも未来の自転車の研究に資金を出しています。同社のハイブリッドカー、プリウスの名前を冠したプロジェクトの一つです。なんと、シフトチェンジを脳波によって行う自転車の研究をしています。つまり、考えただけでギヤがチェンジされるというわけです。

マン・マシンインターフェイスの面でも、昨今の技術革新はめざましいものがあります。無線や赤外線による遠隔操作だけでなく、脳波を使う研究は各方面で行われています。ここでは、それを自転車のディレイラーのコントロールに使おうというわけです。

考えただけでシフトチェンジしてくれる自転車なんて、少し前ならSFに出てくるようなものが、現実のものとなりつつあるわけです。未来の自転車は、どこを探してもシフトレバーなど見つからず、全て『思って』操作するようになるのかも知れません。

ただ、これについては、個人的に疑問な面がないではありません。技術的には高度で、素晴らしいものだとは思います。例えば、意思の疎通が困難な難病の患者と会話したり、身体の不自由な人が機械を操作する手段などとしても期待される技術です。しかし、自転車のシフトに搭載すべきものでしょうか。

Toyota Prius Project Concept Bike, www.toyotapriusprojects.comコンマ何秒を争うロードレースなどの場においても、頭で考えるより、身体が先に動く世界だと思います。つまり、いちいち考えるより、無意識に動く手のほうが、よっぽど速いでしょう。装置の信頼性や、少ないとは言え重量の増加などを考えるとメリットは小さい気がします。

頭で考えるとシフトチェンジしてくれるディレイラーより、むしろ何も考えなくてもシフトチェンジしてくれるほうが、より実用的です。クルマのオートマと一緒で、面倒なシフトチェンジが自動になれば便利と考える人も多いと思います。企業が商品として考えるならば、当然こちらの方向になるはずです。

おそらく、本気で自転車のシフトチェンジとして実用化するつもりはなく、クルマへ搭載する技術か何かの研究なのでしょう。いきなり速度の出るクルマを、脳波を使って動かすのはリスクが大きいですし、自転車の、しかもシフトレバーくらいが実験にちょうどいいということなのではないかと思います。

そもそも、クルマメーカーであるトヨタが本気で自転車を開発するとは思えません。販売のキャンペーンに使ったりすることは考えられますが、自転車を製造販売しようと思ってはいないはずです。たまたま対象が自転車というだけで、技術力や時代の先端をいく印象を与えるのが目的なのかも知れません。

クルマメーカーが、最近のエコ志向を意識して、小道具として自転車を使ったりするのは、まま見られます。このプリウスの名を冠したプロジェクト自体、プリウスのイメージ戦略の一環であり、たまたま素材として使われたものの、未来の自転車の研究とは特に関係ないというのが実際のところなのかも知れません。

脳波でシフトチェンジもいいですが、例えば自転車とクルマの意思疎通、クルマの室内では聞こえない自転車のベルの代わりに、自転車の警告音をクルマに届かせる方法なんてどうでしょう。脳波でクルマのドライバーに自転車の存在を気づかせたり、危険を知らせたり出来たら実用的な気がします。

もちろん、世界的な大メーカーであるトヨタですから、外からは見えないだけで、そうした研究もしているのだと思います。プリウスのプロジェクトは別の目的であり、もっと他の技術を云々と言うのは失礼なのでしょう。ただ、道路上でのクルマと他の交通との安全の為の技術研究も、もっとアピールしてもいい気がします。

Toyota Prius Project Concept Bike, www.toyotapriusprojects.com

幾つかの例を挙げましたが、将来、自転車にもいろいろ新しい技術が搭載されていく可能性があります。もちろん、自転車は人力で動かす以上、なるべく軽いほうがいいのは間違いありません。それこそクルマのように、いろいろ載せて重くするより、今のままで、余計なものはいらないという意見も多いでしょう。

でも、より便利になったり、より安全になったりなど、メリットが明らかであれば、人々はそれを選択していくでしょうし、それがスタンダードになっていくのも確かだと思われます。サイクルコンピュータなども、もっと進化していくかも知れません。

一般に、自転車は成熟した商品と言われます。これからも素材は革新されていくと思いますが、基本的な構造の部分は、そう急激に変わることはないでしょう。乗り物、あるいはスポーツの道具としての自転車の機能も、大きく変化することは考えにくいと思います。

ただ、生活の道具としての自転車は、時代を反映して、いろいろなニーズを満たすことが求められていく可能性があります。情報化社会の進展、犯罪の抑止、社会問題の解決、安全の向上、さまざまなニーズから自転車に新しい技術が搭載され、未来の自転車へ進化していくのかも知れません。





やりました、なでしこジャパン。終始押されていた日本ですが、PK戦でGK海堀選手の足で止めた1本目で、アメリカは焦りましたね。あれは大きかったと思います。

このエントリーをはてなブックマークに追加




Amazonの自転車関連グッズ
Amazonで自転車関連のグッズを見たり注文することが出来ます。

にほんブログ村自転車ブログへ
 自転車・サイクリングの人気ブログが見られます。













この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/cycleroad/51808876
この記事へのコメント
こんばんは。

管理人さんも言われているように、何も考えなくてもギアチェンジするほうが確かに都合が良い。走行している速度に応じて勝手に変速してくれるほうが何かと便利。
AIを搭載した自転車があれば楽しいかもしれない。一昔前の呼べば勝手に走って来てくれて、話し相手になってくれる車の自転車バージョン。信号無視をしようとしても自転車が強制的に止まるとか。夜間は無灯火だと走らないとか。SFの世界の話になってしまうが、事故は減少すると思う。
Posted by passerby Ω at July 28, 2011 01:10
passerby Ωさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
自転車のシフトチェンジをオートマ化するパーツについては、すでにシマノが製品化していますね。私も試乗したことがありますが、シティサイクルなら、これで十分で、自分でシフトする必要がなくて便利かも知れないと感じました。
人工知能を搭載したロボット自転車、あったら楽しいでしょうね。呼べば来るのであれば、乗らない間は、駐輪場で待機させておくこともできるでしょうし、放置自転車の問題も解決するでしょう。
ただ、制御にも自走にも、やはり動力が必要となるので、動力が人力の自転車とは違う乗り物になりそうです。
Posted by cycleroad at July 28, 2011 23:50
 
※全角800字を越える場合は2回以上に分けて下さい。(書込ボタンを押す前に念のためコピーを)