July 24, 2011

むしろ遠ざかってしまう心配

自転車にも一方通行規制が課されることになりそうです。


毎日新聞から引用します。


標識標示令:自転車に一方通行規制へ 対面事故を防止

警察庁は21日、歩道や自転車道を走る自転車に、標識で左側一方通行を指示できるようにする方針を決めた。対面通行に伴う事故を減らすとともに、道路を有効活用して自転車専用の走行空間整備を促すのが狙い。年内の実施を予定している。

道路交通法などで、自転車は車道や車道の端を白線で区切って専用通行帯とする自転車レーンでは左側通行が義務づけられている。これに対し歩道や、縁石、柵で車道、歩道と分けた自転車道は左右どちらも通行可能だ。

標識標示令警察庁によると、標識標示令を改正し、歩道や自転車道で矢印方向に自転車を一方通行させる標識を新設。都道府県公安委員会などが区間を定めて反対方向への通行を禁止し、左側の歩道や自転車道を通行させるようにする。違反の罰則は3月以下の懲役か5万円以下の罰金。22日から8月20日まで改正案に対する意見を募集する。

歩道や自転車道の限られた空間で自転車が対面通行すれば、正面衝突や出合い頭事故の危険性が高まる。歩行者は前後から来る自転車に注意しなければならない。昨年起きた自転車と歩行者の事故は2760件で10年前の1.5倍、自転車同士の事故は3796件で同1.6倍。自転車事故全体の5割余を自転車や車、バイクとの出合い頭事故が占め、専門家から対面通行が原因との指摘があった。

一方、警察庁は国土交通省とともに08年、全国98カ所のモデル地区を指定し、自転車道設置や歩道上に自転車通行部分を示すなど自転車用通路の整備を進めている。しかし、これらは対面通行できる幅を確保する必要があるため、物理的に困難な地域が多く整備が進まなかったという。

警察庁の担当者は「モデル地区では事故減少効果が出ている。標識で一方通行にすれば自転車道などが造りやすくなる」と話す。ただ、一方通行は自転車利用者に不便を強いる面もあり、実際の規制には反発もありそうだ。(毎日新聞 2011年7月21日 )






これは、歩道や自転車道内での一方通行を指定するもので、クルマの一方通行のように、ある道路を全て一方向にしか進行出来なくするような規制ではありません。それなら、そもそも自転車は左側通行が原則であり、標識でわざわざ規制しなくてもいいのではないかという疑問がわきます。

実は、自転車の左側通行は車道だけです。実際、歩道上では現在でも両方向に走っていますが、歩道や自転車道内では、両方向への走行が可能です。ちなみに自転車だけでなく、クルマもオートバイも車道でのみ左側通行ですが、クルマやオートバイは歩道を通れないので問題にならないわけです。

自転車は車両であるにもかかわらず、日本では歩道の走行を認められてしまっているため、歩道を両方向に走行し、道路全体から見れば右側走行となっても違反ではないという状態になっています。そこで、これを規制し、一方通行とすることで、事故を減らそうというのが狙いです。

ちなみに、路側帯でも両方向の走行が可能です。詳しくは、以前にまとめた記事をご覧いただくとして、歩道のない道路を右側走行、つまり逆走してくる自転車があっても、その道路の路側帯に入っている限り、危険なのに違法ではないという事態が起こりうるのです。

自転車に一方通行規制記事にもあるように、実際に想定されるのは、自転車道や歩道上に設置された自転車レーンでの走行です。これまで、自転車道は両方向に走行出来るようにしなければならず、それなりの幅がなければ設置出来ませんでした。これを一方向への走行でも可としたことで、自転車道の設置を促す効果が期待されています。

歩道上を色分けして自転車レーンにしている場所もありますが、こうした場所でも標識で規制することにより、一方通行に規制出来ることになります。狭い歩道上の自転車通行帯で双方向の自転車が行き交うことがなくなり、理屈の上では事故の減少が期待されます。

基本的に、考え方としては間違っていません。狭い自転車道の中を対面通行にするのは、そもそも無理がありますし、自転車道を道路の両側に作り、それぞれ双方向通行にするより、左側の一方通行にしたほうがスムーズです。なぜ今までやらなかったのかという話です。

これで車道であろうと、歩道であろうと、自転車道であろうと、左側部分だけの一方通行が当たり前となり、習慣になるならば文句はありません。現在のように、歩道を逆走してきた自転車が、ヒョイと車道に出てきて、車道の左側走行を遵守している人と交錯する危険性が無くなるなら、ありがたいことです。

しかし、実際の効果は疑問と言わざるを得ないでしょう。今さら標識を立てたくらいで、利用者がそれを守るようになるとは思えません。今までの常識を覆すような規制が、標識だけで定着するとは考えづらいものがあります。今でも標識は意識されていません。自転車はここを通れという案内板くらいにしか思われないでしょう。

自転車レーン違反者には罰則が設けられますが、いまでも自転車の違反の罰則はたくさんあります。それが法律違反の抑止になっているとは、とても言えない状況です。実際問題として、検挙される例はごく限られ、違法状態が野放しとなっています。この規制にしても、遵守は到底期待出来ないと考えるのが自然です。

もちろん、遵守されれば理想ですが、利用者がいちいち、ここの歩道は一通かどうかを確認して走行するとは思えません。ただでさえ、歩道で色分けされた自転車レーンなどは無視されています。反対方向に行きたい場合、一通の標識を意識して、それに従って自転車を押して歩く人は限りなく少ないに違いありません。

自転車道の整備促進効果についてはどうでしょう。場所によっては歩道部分が狭いなど、片側にしか整備出来ない場所もあって、一方通行に出来るとは限らないと思われます。多少緩和されたからと言って、整備の進展は、必ずしも期待できない可能性があります。

効果が期待出来ないだけならまだしも、悪影響の懸念もあります。すなわち、自転車の歩道走行の固定化を助長する恐れです。これを機に、歩道を色分けするだけで、誰も従わないような無意味な自転車レーンばかり増加していくことにもなりかねません。

標識でいちいち規制するくらいだったら、全ての歩道も左側通行、つまり左側方向の歩道しか走行出来ないようにしてしまう手もあると思います。しかし、それも歩道走行を正当化し、既成事実化に貢献するだけで、かえって根本的な解決から遠のかせることになりかねません。

自転車の左側一方通行を徹底し、これまでの大多数の人の常識を一変させる大変革を本気で実現したいのであれば、自転車の走行自体をドラスティックに変更するくらいの思い切った策が必要だと思います。すなわち、歩道走行を全面禁止し、車道の左側か、自転車レーンを左側一方通行することに全面的に変更するのです。

自転車専用道本来は、それが当たり前であり、世界的にも常識ですが、日本では無理だという議論になります。確かに現状で難しいのは認めます。しかし、今回のような方法は、考え方は悪くないとしても、所詮、弥縫策に過ぎません。一時しのぎ、取り繕いであって根本的な解決にはならず、左側通行の実効性すら疑問です。

この標識を作って、現状の『使えない』自転車レーンを追認するのではなく、あくまで自転車の車道走行を実現する方向に向かうべきではないでしょうか。長年の歩道走行に慣れた利用者に車道走行を強いるのは現実的でないとするならば、車道走行出来るような環境を整備していけばいいのです。

今まで行政が歩道走行させようと、車道部分以外は、なるべく歩道にしてしまい、とにかく歩道を広げてきた経緯があります。人がほとんど通らないのに、無駄に広い歩道がある一方で、車道はクルマしか通る余地がなくて、自転車が走行しにくくなっていたりします。

車道の一番左端の路側帯を自転車レーンにするくらいなら、今すぐにでもかなりの道路で可能と言います。それが難しい場所では、無駄に広い歩道を削るなどして、自転車の走行空間を確保していくべきです。そして、本来の姿、自転車の車道走行に戻すことを目指すべきでしょう。

車道の左側部分に、自転車レーンや自転車走行空間が確保され、徹底されるならば、いま歩道走行している人たちも、そこを通ったほうが安全になります。歩行者との事故が大幅に減るだけでなく、交差点での出会い頭や左折巻き込みなど、クルマとの事故も減って安全になることが報告されています。

一方通行長年、歩道走行してきた結果、車道走行が怖く思えるだけで、走行空間が確保されれば、車道走行のほうがよっぽど安全で快適ということが理解できるようになるでしょう。慣れてしまえば怖い事も無くなるはずです。海外では、高齢者も子供も当たり前に車道走行しています。

それでも危ないような年齢の子供は、道路を走行するのはまだ早いということです。公園などで練習すべき年齢ということになります。高齢者が、そうした状態になっても車道走行が危険ならば、それは自転車に乗ること自体を考え直すべきかも知れません。歩行者を守る為にも、原則歩道走行は禁止にすべきです。

歩道走行は、事故の危険を高め、自転車本来の能力も発揮できず、本当は何もメリットはありません。自転車に乗っていても歩行者のようなつもりで走行してしまう人を増やし、ルールが無視される原因となっています。自転車のマナーの悪さは、歩道走行が諸悪の根源となっている観さえあります。

誰でも自転車で車道走行可能な空間が出来るまでは仕方ないでしょうが、歩道走行のままでは、本当の秩序の実現、問題解決は出来ないと思います。この規制で、今より多少マシになるかも知れない可能性よりも、本来目指すべき方向から外れてしまう危険性、デメリットのほうが多いように思えるのは私だけでしょうか。





それにしても、セミが鳴き出しませんね。遅れているだけで、もうそろそろなのだろうとは思いつつ、私の回りでは、この時期だというのに、いまだ静かです。皆さんのお近くではいかがですか。

このエントリーをはてなブックマークに追加




Amazonの自転車関連グッズ
Amazonで自転車関連のグッズを見たり注文することが出来ます。

にほんブログ村自転車ブログへ
 自転車・サイクリングの人気ブログが見られます。













この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/cycleroad/51811184
この記事へのコメント
厚木ですが、まだセミの声は聞こえてきませんね。

最近新しくできている道路を見ると、歩道を広くとり、自転車走行可としている歩道が多いですね。
このやり方から見ても、車道を色分けして自転車レーンをつけて行くというやり方は少ないようです。
相変わらず自転車は歩道を走らせようとしています。

僕もこのやり方では事故は減らないと思っています。
いきなり全面的に歩道走行不可とすることができないならば、13歳未満の子供・70歳以上の老人だけ歩道走行可にすれば良いと思います。

そして子ども・老人が歩道を走る時は、左側にある歩道だけを前に進むことができると言うことを徹底すれば、歩道を通れなくて車道にはみ出ても逆走にはなりません。
Posted by トンサン at July 25, 2011 20:38
トンサンさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
厚木でも鳴いてませんか。どうしたんでしょうね。
違法駐車をさせないという意図もあるのでしょうが、歩道を広くとるぶん、車道には余裕が少なく、車線の幅や路側帯などの幅はギリギリだったりします。
警察庁と国土交通省は、自転車の車道走行の原則を改めて表明してはいますが、車道の余裕を削って歩道のスペースにするという道路整備が、いまだに進行しているということなのでしょう。
段階的に車道走行させるのは手だと思いますが、今のままでは、車道が危険だとして、子供や高齢者以外の層でも抵抗感のある人は多いと思います。
確かに、歩道でも左側部分だけを走行するならば、逆走にならなくていいとは思います。
しかし、そのために一通の標識を建てたり、歩道に色を塗るくらいなら、車道走行が普通に出来るように整備を進め、本来の姿に戻すほうに力を入れるべきなんじゃないかと思いますね。
Posted by cycleroad at July 25, 2011 23:49
 私も自転車は車道左側通行を原則としなければならないと考えています。今すぐ全面的に実施することは不可能にしても、すべての自転車政策はこの方向に収斂させるべきだと思います。そういう意味で「してはいけないこと」は自転車の歩道走行を助長する施策であり、「しなければならないこと」は、自転車を車道走行させるいろいろな施策です。
 表題の自転車の一方通行ですが、金沢では自転車の本当の一方通行を考えています。中心市街地の細街路で時間を区切って自転車を一方通行規制する社会実験を計画しています。金沢には狭い道がたくさん残っており、通勤時間帯には自転車が集中し小学生やお年寄りとの摩擦が深刻になっております。自転車を車道の左側をスムーズに通すにはこれも一つのアイデアかなと思います。自動車と同方向の一方通行とすることで、自転車にも「車両の一部」という意識を持ってもらえないかという期待も持っています。実施されたらまた報告しますね。
Posted by テスタッチ48 at July 26, 2011 12:29
テスタッチ48さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
自転車が本当に一方通行の道路ですか。確かに、風情はあるものの、細くて狭い道が多いですよね。なるほど、そうした道で自転車も一通に規制するわけですね。
初めて聞きました。全国的にも、あまり例がないのではないでしょうか。でも、いい方法かも知れませんね。自転車の人も、そのほうが通行しやすいでしょうし..。
よそから来た人は戸惑うでしょうが、地元の人なら、慣れれば一通を守って走るのは難しくないものと推測します。どれだけ徹底され、どれだけ遵守されるかというのは、また別かも知れませんが..。
興味深い実験です。実施されたら、状況をぜひ教えてください。
Posted by cycleroad at July 27, 2011 00:11
こんばんは。

なるほど・・・。歩道と自転車道に適用する。標識も四輪車用の一通に自転車を表示している。免許を持っている人間なら一通の標識と言うのは分かるが、免許を持ってない人たちから見ると、はたしてこの標識で一通と言うのが伝わるのかどうか疑問だ。歩道と自転車道に限らず、路側帯(白い実線が1本)も一通にして欲しい。
Posted by passerby Ω at July 28, 2011 22:17
passerby Ωさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
わかるかどうか以前に、標識なんて気にしていないですからね。「あれ、そんなのあったの。」てなもんでしょう。
路面に大きく矢印が書かれているのが目に入っても、守る気のない人は多いですし、実効性ははなはだ疑問と言わざるを得ませんね。
路側帯の一通は、私もそう思います。路側帯が狭い場所も多いのに、そもそも無理があります。
Posted by cycleroad at July 29, 2011 23:19
 
※全角800字を越える場合は2回以上に分けて下さい。(書込ボタンを押す前に念のためコピーを)