August 11, 2011

国会議員は何をやってるのか

東日本大震災から5ヶ月が経ちました。


いまだ多くの人が避難生活を余儀なくされている中、政府の対応の遅れが各方面で指摘されています。特に原発事故が一向に収束しない福島県では、避難先から帰宅する目途もつかず、苦しい非避難生活を続けざるを得ない人々が大勢いる状態です。

そんな中、ご存知の方も多いと思いますが、ネット上で、ある動画が話題となっています。それは、衆議院の厚生労働委員会の様子を録画したものです。ふだん、巷で話題になることは少ないだろうと思われる国会の委員会ですが、そこでの参考人の発言が話題となっているのです。

発言の主は、東京大学アイソトープ総合センター長、児玉龍彦教授です。委員会の参考人陳述で、「7万人が自宅を離れてさまよっている時に、国会は一体何をやっているのですか!」と満身の怒りを表明、国の放射線対策を厳しく批判した発言が大きな反響を呼んでいます。




福島第1原発事故 放射線、測定・除染を急げ 児玉龍彦氏に聞く

高圧洗浄で測定値10分の1に 南相馬で除染体験

教授の試算によれば、広島の原爆の20個分ないしはそれ以上の放射性物質が放出されたと言います。原爆の場合、放射性物質の残留量は1年後に千分の一になるものの、原発事故の場合は十分の一程度にしかならないという指摘もされています。

まさに、大量の放射性物質が撒き散らされた状態が、5ヶ月も経つのに、ほぼそのままになっているわけです。一部、自治体や学校関係者などが、限られた場所の除染を行っていますが、到底足りるものではありません。撒き散らされた放射性物質は、当然ながら今も放射線を出し続けています。

瓦礫と違って、目に見えないというのが厄介ですが、各地のモニタリングで高い線量が出ているのは周知の事実です。国民が被曝し続けているという大災害が今も進行中であるにもかかわらず、政府や国会議員は何をしているのかと教授が怒るのも当然です。

福島第一原発の中の状況についてばかりが憂慮されていますが、その外に放出された放射性物質の影響も甚大です。チェルノブイリの事故で、立ち入り禁止になった地区より高い線量が検出されている地域で、人々が生活している状況もあると言います。

児玉龍彦氏自らも南相馬市で除染活動をされている児玉教授は、子供たちの内部被曝についても心配されています。とにかく一刻も早く、危険な場所の緊急な除染を行い、次に広い範囲の除染を行って、汚染された国土を元に戻さなければならないのです。方法も薬剤や植物を使うなど、いろいろあるようです。

このことは、当然ながら福島県だけの問題ではありません。放射性物質の拡散は広い範囲に渡っていますし、ホットスポットと呼ばれる地域も点在しています。このような状況を放置していては、牛肉から放射性セシウムが検出されたように、いろいろな被害が広っていくのは明らかです。

雨で川を通って沿岸に蓄積するのか、地下に浸透して地下水が汚染されるのか、強い風で拡散してより広い範囲に広がるのか、素人にはよくわかりません。しかし、自然界にないものを大量に撒き散らしてしまった以上、少しでも多く回収しなければ、人々が被曝し続けることになるのは間違いありません。

すでに稲わらなどを通して、広い範囲に運ばれ、各地の牛肉からセシウムが検出されています。米の収穫を控え、主食の汚染も心配されています。農畜産物や漁業だけでなく、観光などにも被害が広がります。風評から輸出に影響したり、訪日客が減少するなど、経済的なダメージは各方面で広がってくるでしょう。

放射性物質の拡散が、同心円ではないことは既に常識となっています。除染のためにも、まず詳細な放射線量の分布図を作る必要があるでしょう。原発から近い地域でも、低い線量のところがあると言います。正確な汚染状況がわかれば、避難の参考にもなりますし、なるべく当面の被曝を避ける助けになります。

それには、膨大な手間と費用がかかるのかと思いきや、空中から測定して、マッピングするような技術が既にあるそうです。いちいち手作業で線量を測る必要はなく、大きな費用もかかりません。なぜ、そんなこともやっていないのかという話です。政府や国会の怠慢以外の何ものでもないでしょう。

除染作業何ミリシーベルトだったら危険なのか、といった議論ばかり行われており、専門家でも意見が分かれています。結局過去のデータがなくて、本当のところはわからないというのが実際のところなのでしょう。安全か、避難すべきかでもめていますが、まず実態を明らかにするのが先でしょう。

影響についての専門的な情報も必要ですが、子供を持つ母親と、年配の男性とでは危険に感じる数値も違ってくるはずです。首都圏などでも、自分でガイガーカウンターなどを購入して、自宅の周りなどを測定する人が増えています。直ちに健康に影響がない、などというコメントより、まず実際の数字を知らせるべきです。

除染の前の線量の測定という、すぐにでも取りかかるべき対策すら不十分です。各種の能力を持つ、今ある機関も、従来の法律に縛られて身動きがとれない状況です。民間の持っている技術や能力を活用したり、結集する体制も出来ていません。これらの対策を進めるには、まず法律の制定が不可欠と教授は指摘しています。

外部被曝だけでなく、食品などによる内部被曝、そして食品ごとの加算も問題になってきます。食の安全に対する消費者の不安は広がっていますが、各地の検査機関は手一杯で、これ以上測定は出来ないということが言われています。しかし、食材の汚染を画像で、ひと目でわかるような装置が十分開発可能なのだそうです。

こうした装置、技術的には短い期間で製品化できるのですが、今の状況では、各方面にいろいろな思惑もあって、民間だけで製品化するのは難しい部分があります。政府がこうした装置を早急に配備するよう手配して、国民の不安を取り除くのが、本来あるべき姿ではないでしょうか。

除染実験個人的には、政府が何県の何は安全とか、何は出荷自粛などと発表するやり方も風評を招くと思います。安全かの判断ではなく、具体的な数値を明らかにすべきです。そもそも政府の決めた暫定基準値自体、信用されていません。3月17日以降に慌てて決めた、何の根拠も示されていない数値を信頼しろというほうが無理です。

例えば、一時期、水道水の放射線量が問題になりましたが、暫定基準値は大人で300ベクレル、子供が100ベクレルというものでした。それまでの基準はと言えば、ありませんでした。強いて言えば、国際的な指標から、1ベクレル以内というのが基準だったわけです。

実際には0ベクレル、検出されていなかったのですから、それでも問題ありませんでした。それがいきなり、300とか100とか言われても、本当に飲んでいいのか心配になるのが普通でしょう。特に小さい子供を抱えた母親たちにとっては、到底受け入れられず、ミネラルウォーターを買いに走らせることになりました。

食品については、政府が安全と言っても国民は信用せず、風評被害も収まりません。直ちに健康に影響はないというフレーズも聞き飽きました。それより、この産地のこの食品は何ベクレルと表示して、消費者の判断に委ねたほうがいいのではないでしょうか。それで売れなければ東電の賠償の対象にするしかありません。

事故当初、SPEEDIによる放射性物質の拡散予測があるのに、国民に知らせなかった政府です。国民に信用されなくなるのは当然でしょう。折りしも、ニューヨークタイムスに、そのことが報道されています。こんなことだと、日本は世界から信用されなくなってしまいます。


「フクシマの情報公開怠り住民被曝」 NYタイムズ報道

東京電力福島第一原発の事故をめぐり、米ニューヨーク・タイムズ紙は9日付紙面で、日本政府が緊急時迅速放射能影響予測(SPEEDI)のデータを事故直後に公表することを怠ったために、福島県浪江町など原発周辺自治体の住民らが被曝(ひばく)している可能性が高いと伝えた。

長文の記事は、菅政権との対立で4月に内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘・東大大学院教授が、事故直後にSPEEDIのデータ公表を政府に進言したが、避難コストがかさむことを恐れた政府が公表を避けたと指摘。「原発事故の規模や健康被害のリスクを過小評価しようとする政府に対し、社会の怒りが増大している」と論評した。

そのほか、原子炉のメルトダウンを裏付けるデータ公表の遅れや、校庭での放射性物質の基準値をめぐるぶれなども問題視した。(2011年8月10日 朝日新聞)


原子力災害対策本部緊急にやるべきことが山積しているのに、国会議員は何をしているのでしょう。菅下ろしとか、政局、政争に明け暮れています。野党も、赤字国債法案などを人質にとって、ここぞとばかり、民主党の政策を撤回させることばかりに躍起となっています。

子ども手当てが大事でないとは言いませんが、火事で家が燃えているのにカネ勘定しているようなものでしょう。まず火を消すのは当たり前、すなわち国民の被曝を少しでも防ぐことのほうが喫緊の課題です。線量を測定し、一刻も早く除染に取り組むべきではないでしょうか。

菅総理は、再生エネルギー買取法案にこだわっています。未曾有の原子力災害に直面し、自然エネルギーへシフトするきっかけを作った首相として後世に名を残したいと思っているのかも知れません。もちろんエネルギー政策は重要ですが、まずは原発災害の被害を食い止めなくてどうするのでしょう。

除染など、緊急を要する対策をほったらかしにして、自らの政権の延命のための法案に力を入れた首相、原発の収束には取り組みましたが、国民が被曝しているのに手をこまねいていたため、大きな禍根を残した無能な首相として後世に記憶されるのではないでしょうか。

もう一回、原発災害が起きたらと考えれば、危険な地域にある原発を止め、少しでも早く原発への依存度を下げていくことも重要なことだとは思います。しかし、これだけ放射性物質がばら撒かれた以上、それを除染して、少しでも被曝を減らすことが、まず求められることではないでしょうか。

児玉龍彦教授首相だけの責任ではありません。この状況にあって、子ども手当てをめぐる攻防に終始し、政府与党の政策を引っ込めさせることで、来るべき選挙で優位に立とうとするだけだった野党にも責任はあります。児玉教授でなくても、いったい国会議員は何をやっているのだと頭に来ている国民は多いことでしょう。

日本では、政権や政党に対する支持率は調査されますが、議会に対する支持率は調べられていません。もし調査があったら、国会議員に対する支持率は相当低いものとなっているに違いありません。与野党の議員は、いま自分たちが何をすべきなのか、思いを至らすべきです。

国民の多くは菅首相に期待していませんが、菅下ろしなんて、正直どうでもいいことです。5ヶ月も経ったのに、未曾有の原子力災害が進行しているのに、国民が被曝しているのに、国会議員は菅下ろしを進めれば、国民の支持が得られると思っているのでしょうか。

児玉教授は放射性物質について、人が生み出したものを人が除染できないわけがない、ともおっしゃっています。細野原発事故担当相も、その必要性を認めています。ならば、必要な法案を通し、必要な体制を整え、一刻も早く除染を進めるべきではないでしょうか。

↓参考:USTREAMでの津田大介氏との対談












自転車とは関係ないのですが、取り上げました。もう5ヶ月も経ったんですね。

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この記事へのコメント
貴重な映像のアップを有難うございます。

ここまでの現実を僕達は知らなかった。

僕達自身で解決策を模索するしかないのでしょうか?

子供達の被爆を考えただけでも恐ろしいです・・・。
Posted by 二浪独河 at August 13, 2011 09:35
二浪独河さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
チェルノブイリでは、いまだに除染作業が続けられているくらいですから、簡単なことではないでしょう。
しかし、既にさまざまの方法が検討されていますし、効果的な技術も開発されるに違いありません。
教授が言うように、除染が巨大な利権の巣窟とならずに、実効があがるようにしていかなければならないのでしょうね。
Posted by cycleroad at August 13, 2011 22:48
管首相は、理工系の方ですから、この辺の事情は熟知して、対応しているんでしょうが、現状は最低の対応と言わざるを得ません。
彼がやってダメなら、国に任せていては、ダメと言う事ですね?
Posted by ヨッシー at August 15, 2011 16:48
ヨッシーさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、相当の自信があるようです。でも、原発本体の状況が深刻なので、そちらにばかり関心が行ってしまい、必ずしも、他のやるべき対策に目が向いていないのかも知れません。
再生可能エネルギーには熱心ですが、除染には力を入れず、順序が違うだろうという話です。
なまじ知識があるぶん、見方が偏ってしまっている可能性もあります。意見を求める学者も偏っているのかも知れません。
総理大臣が理工系に強いのは悪いことではありませんが、詳しいからと言って、優れた政治をするとは限らないということでしょうね。
Posted by cycleroad at August 16, 2011 23:33
こんにちは。

国民が倒れれば国家も倒れるのだが、国会議員はそれを理解しているのか非常に疑問だ。小を切り捨て大を取るのか?生物が生きて行く上で食料品は不可欠品だが国の対応がスローペースになり別の方向に向いてきているのは不思議だ。食料品の輸入量を増やすのか?自国の為に金銭を費やさず諸外国に費やすのか?
Posted by passerby Ω at August 25, 2011 13:05
passerby Ωさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
今回の政府の一連の対応について、大いに疑問がありますし、大いに不満があるという人は多いでしょう。
国会議員にしても、震災対応よりも政争に明け暮れ、その資質が問われました。レベルの低さがあらためて露呈したと言っても過言ではないでしょうね。
Posted by cycleroad at August 26, 2011 23:26
 
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