September 28, 2011

サイクリストが立ち寄るお店

ロードサイドに立地する店はいろいろあります。


交通量の多い道路、都市近郊の道路などであれば、だいたい何かの店があります。自転車で通っても、少し走れば、コンビニやファミレスなどを目にすることになります。近年は、大型スーパーとかホームセンターなどの郊外型の商業施設も増えています。

ロードサイドに出店する業種も増えており、ドラッグストアやレンタルショップなど、さまざま種類の店が集まって出店しているような場所も見かけます。そうしたところには、だいたい何かの飲食店もあって、ツーリングなど自転車で通った時、休憩や飲食に利用できたりします。

This image is in the public domain.もちろん、峠道とか山奥の道、人里はなれた道など、沿道に店どころか何も無いようなところもあります。商圏の人口によって仕方がないのでしょうが、集落があっても店が一軒も無いような場所も当然あります。かろうじてあるとすれば、郵便局とガソリンスタンドでしょうか。

沿道に店がない場所でも、最寄の国道などの幹線に出て、しばらく走ればガソリンスタンドは見つけられると思います。最近は経営が厳しくなって、地域の重要なインフラでもあるガソリンスタンドが撤退し、空白地域となる事例もあるようですが、それでも広く立地する業種なのは間違いありません。

減ってきているとは言え、ガソリンスタンドは全国に5万店以上あり、これはチェーンのコンビニの総数より多い数です。大きな道路沿いだったら、ある程度走れば、まず見つかります。言ってみればロードサイドに立地する店の元祖のような存在でもあります。

最近はコンビニが併設されていたり、ファーストフード店と併営だったりする店もあるようですが、普通は言うまでもなく、ガソリンを売るのが商売です。場合によっては、道を聞いたり、トイレを借りたりするかも知れませんが、基本的に自転車とは、あまり関係のない店と言えます。

一方、ガソリンスタンドの経営者やスタンドをチェーン展開する業者、あるいは石油元売会社にとって、お客はクルマのドライバーであり、自転車に乗る人ではありません。特に石油や天然ガスを掘削したり、精製したりするようなエネルギー企業にとって、自転車なんて全く関係ない存在でしょう。

Statoil, www.statoil.comThis image is in the public domain.

そんなエネルギー企業の一つ、“Statoil”、(スタトイル、又はスタトイルハイドロ)という会社、日本ではあまり馴染みがありませんが、世界でも最大級の石油や天然ガスを採掘・供給する多国籍企業です。ノルウェーに本社を置く、北欧諸国最大の企業でもあります。

世界中で多くの油田やガス田を操業しており、国境を越えるような大規模なパイプラインも運営しています。そして北欧だけでなく、中欧や東欧、ロシアまで含む広い地域で、いくつかのブランドでガソリンスタンドを経営し、石油・ガス製品を販売している巨大企業です。

その“Statoil”は、デンマークにもたくさんのガソリンスタンドを持っていますが、最近コペンハーゲンのスタンドに登場させたのは、驚くことに自転車に乗る人向けのサービスです。“Bicycle Care Station”として、自転車のメンテナンスなどをするための場所を提供しています。

Bicycle Care Station, www.copenhagenize.comBicycle Care Station, www.copenhagenize.com

クルマの点検や修理を行うガレージを持つスタンドはたくさんありますが、自転車用の作業ステーションがあるスタンドなんて、聞いたことがありません。自転車のチューンナップやメンテナンス、または修理のために、無料で使える作業スペースを提供しているのです。

さすがに修理を頼めるわけではありませんが、作業台や工具などは無料で貸し出しています。もちろん空気入れもありますし、洗車まですることが可能です。無料ですし、ガソリンスタンドにとっては、およそメリットがないと思われる、自転車用のサービスを提供しているのです。

デンマークの人でも、まさかガソリンスタンド内にこんなスペースがあるとは思いませんから、大きな自転車のマークがついています。自転車マークの中央には、自転車を吊り下げられる作業用のラックもついています。そして、自転車利用者に向けた看板が出ています。


サイクリストの皆さんへ。

ここで自転車の手入れが出来ます。空気を入れたり、洗車することも出来ます。
店内に置いてある工具や油、自転車修理キット、タイヤレバーにアーレンキーなども自由に使えます。
全て無料です。どうぞお使いください。

スタトイル


ペーパータオルや、手を汚さないためのビニールの手袋まで置いてあります。給油をするクルマに邪魔になる場所ではありません。大きなスペースではありませんが、今まで特に使われていなかったスペースを、うまく有効活用する形になっています。

もしかしたら、ここを使ったサイクリストが、飲み物などで小銭を使ってくれるかも知れません。金額は少ないですが、店の売り上げに貢献する可能性はあります。しかし、それでも直接ガソリンを給油してくれるドライバーではなく、サイクリスト向けのサービスとは、不思議な気がします。

Bicycle Care Station, www.copenhagenize.comスタトイルが何を狙っているのかはわかりません。しかしデンマーク、特にコペンハーゲンと言えば、自転車の街として世界的に有名です。クルマより自転車に乗る市民のほうが多く、同時に環境に対する見識も高いので、化石燃料を燃やすクルマに対して、必ずしも肯定的とは限りません。

そうした市民に取り入ろうとしているとは言いませんが、市民も作業場を無償で提供されて悪い気はしないでしょう。好感度を上げるイメージ戦略、宣伝広告の一環と見ることも出来ます。あまり直接の収入にはならなくても、サイクリストがいつもサイクリストだとは限りません。

中にはクルマにも乗る人がいるはずです。この自転車ステーションを使った人の中には、スタトイルに親しみがわき、今度給油する時に、数あるスタンドの中から選んでくれるかも知れません。少なくとも、周辺住民へのサービスにはなりますし、地元コミュニティと融和する上でもマイナスではないはずです。

デッドスペースを使うだけで、たいしてコストもかかりません。目先の利益は見込めませんが、むしろ賢いやり方と言えるのではないでしょうか。もちろん自転車先進国デンマークならではとも言えますが、今後の世界のトレンドを先取りしている可能性もあります。

Bike Fixtation, www.bikefixtation.com他のヨーロッパ諸国でも、似たような傾向は見られます。すなわち、環境のことを考えている企業でなければ選んでもらえなくなるという、消費者の選別です。巨大石油企業でさえ、少しでも環境負荷を減らす努力をアピールしたり、自転車にもフレンドリーと思ってもらうことを重視しているのかも知れません。

自転車に対するイメージなど、ヨーロッパとは状況が違いますが、日本でもこうしたアイディアを取り入れるところが出てこないものかと思います。出先で自転車に何かトラブルがあった時、このような作業スペースや工具の貸し出しは、ありがたいサービスとなる可能性があります。

トラブルの種類によっては、携行する工具では足りないこともあるでしょう。安定した作業台や、雨風がしのげる場所がありがたいこともあります。不案内な土地で自転車ショップを探すのも大変ですし、ロードサイドにあるスタンドならば、すぐアクセス出来て便利です。

ガソリンスタンド、石油会社でなくても構いません。例えばコンビニです。ロードサイドに立地するコンビニならば、クルマの客だけでなく、自転車で通る人も、飲み物や食料を買ってくれる直接のお客になるはずです。店の軒下か、駐車場のデッドスペースにでも、こうした場所を設置する手はあるでしょう。

自治体によっては、自転車による観光客を呼び寄せる一環として、地元のコンビニに周遊マップや空気入れを置いてもらう取り組みをするところもありますが、まだごく限られています。自転車ブームで乗る人は増えていますし、特に多くのチェーンのコンビニが乱立するような場所では、集客にも役立つのではないでしょうか。

Bike Fixtation, www.bikefixtation.comBike Fixtation, www.bikefixtation.com

自転車のマークとラックを設置し、工具を置くくらいなら、大して経費もかかりませんし、イメージアップも期待できます。個々の店では、自主的に工具を置いているような店もあるのかも知れませんが、あのコンビニに行けばと周知されてこそ意味がありますし、使うほうも、探しやすくなります。

作業台や工具類とセットで消耗品などの自動販売機の設置を提案しているのがアメリカの“Bike Fixtation”です。工具や作業台を無料で貸し、自転車メンテナンス用の消耗品や、ツーリング用の携帯食品などを販売するわけです。これが各スポットに設置されるようになったら、サイクリストには便利です。

Bike Fixtation, www.bikefixtation.comBike Fixtation, www.bikefixtation.com

例えば、有名な峠道とかサイクリングコースなどがあり、各地から輪行してくる人が多い鉄道の駅などにあれば助かります。走り出す前に調整したり、消耗品を補充できます。逆に、そうした立地の駅前の店などは、検討の余地があるでしょう。朝早く店を開けずとも、飲料などの販売機ともに併設しておけぱいいだけです。

もちろん、サイクリングコースの途中にある食料品店とか、湖畔の周回道路沿いの店などにも設置を検討する余地がありそうです。都市部でも、最近増えている、自転車通勤をする人が多く通る道路沿いの店なら、雨カッパや着替えなども加えて、店先に自動販売機を出しておくだけでも重宝される可能性があります。

24-Hour Bike Shop, cityroom.blogs.nytimes.com24-Hour Bike Shop, cityroom.blogs.nytimes.com

自動販売機が屋外に置いてあれば、壊して現金をとってくれと言うのに等しいといわれるアメリカでさえ、それもニューヨークのブルックリンに、自転車用品の自動販売機が登場しています。自動販売機のあふれる日本だって、場所によっては、飲料の販売機の中の一台くらい変えてもいいかも知れません。

最近は、自転車ブームに呼応する形で、直接自転車とは関係ない企業が、自転車向きの商品やサービスを展開する例が出てきています。今後、こうしたサイクリストに利便性を提供するサービスも増えてくることが期待されます。ロードサイドに展開するお店や企業の方は、ぜひ検討していただきたいものです。





周囲に、コンビニや石油会社などに勤める友人がいらっしゃる方、「欧米ではこんなのがあるぞ!」とぜひ教えてあげてください。

このエントリーをはてなブックマークに追加




Amazonの自転車関連グッズ
Amazonで自転車関連のグッズを見たり注文することが出来ます。

にほんブログ村自転車ブログへ
 自転車・サイクリングの人気ブログが見られます。













この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/cycleroad/51830896
この記事へのコメント
ビル新築現場に住民向けサービスとして、電動の自転車空気入れおいてある所が有ります。

ガソリンスタンドでも空気入れを無料貸し出してくれると助かります。パンク修理も自転車屋さんと同じ価格位でやってくれると助かります。多分、田舎のガソリンスタンドで馴染みになると、自転車パンク修理してくれる所ありそうですね。
Posted by 世田谷花子 at September 29, 2011 23:33
世田谷花子さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
さすがに、ガソリンスタンドでパンク修理は難しいと思います。ある程度熟練が必要ですし、手間がかかるわりには、高い料金がとれません。
自転車屋さんでさえ、パンク修理は割りに合わないと言いますので、ガソリンスタンドに修理まで対応させるのは酷でしょう。
個人的に修理してくれる店員さんはいるかも知れませんが..。
Posted by cycleroad at September 30, 2011 23:44
こんにちは。

非常ーーーに素晴らしい。日本のGSにもデッドスペースは存在するハズ。今すぐにでも見習うべきだ。(言い過ぎか、笑)

自転車に乗る人の中でパンクの修理が出来ない人の割合と言うのは、そんなに高いのだろうか?
Posted by passerby Ω at October 02, 2011 14:52
passerby Ωさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
日本でスタトイルが展開していないのが残念ですが、他の系列でも取り入れるところが出て欲しいですね。
パンク修理に挑戦しようとすらしない人は多いでしょう。空気圧に無頓着な人も多いですし、自転車があまりに格安なので、使い捨て感覚の人も多いと思われます。
Posted by cycleroad at October 02, 2011 23:18
こんにちは、はじめまして、
非常にいい記事ですね。本当に。
でも、GAS STANDには、いろいろ私はお世話なっております。タイヤの空気をいれたり、もうすでに使っています。
なんていいたいところですが、恐る恐るが現状です。
でも意外と親切に使わせてくれます。
フォレンチバルブなので、アダプターをもっているから、空気圧を調整するときにつかっています。

ただ、海外の明らかなサービスはほしいですね。地下鉄などにあるあきらかな飲食自販機も一つの方法ですよね。
Posted by kaol_supple at October 05, 2011 06:36
kaol_suppleさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
困った時、頼めばポンプくらい、貸してくれるところは多いでしょうね。
ガソリンスタンド以外にも、交番とか、郵便局、新聞販売店など、自転車を使っていそうなところであれば、空気入れくらいはあるでしょうし..。
ただ、おっしゃるように、日本の場合はフレンチバルブ用のインフレーターは、まずないでしょう。
アダプターは、小さいですし、イザという時のために、持っていて損はないかも知れません。
自転車に乗る人に、ガソリンスタンドは敷居が高い感じがありますから、サービスを明示するのは、悪くないアイディアだと思いますね。
お褒めいただき、ありがとうございます。
Posted by cycleroad at October 06, 2011 23:25
 
※全角800字を越える場合は2回以上に分けて下さい。(書込ボタンを押す前に念のためコピーを)