March 20, 2012

デザインの多様性が示すもの

自転車は、自由な乗り物と言われます。


いろいろな意味で自由だと思いますが、デザインについても自由な乗り物と言えるでしょう。公道で乗るための保安上の要件を満たし、普通に量販されている製品だけでも、そのデザインはバラエティに富んでおり、ほかの乗り物と比べてデザインの自由度は高いと思います。

TAIPEI CYCLE, www.taipeicycle.com.tw自転車には乗る場所や用途などに応じて、たくさんの種類があります。例えば、その中で舗装道路を走る自転車だけに限っても、ロードバイクからリカンベント、ベロモービルに至るまで、さまざまな形、デザインがあります。その選択肢は多様性に富んでいます。

新しいカテゴリーが生まれれば、新たなデザインが出てきます。何か新しいアイディアが盛り込まれれば、それに伴った新しいスタイルがデザインされます。既にいろいろなデザインの自転車が存在しますが、今後もさまざまなデザインの自転車が生まれてくることでしょう。

前回、アジア最大の自転車見本市“TAIPEI CYCLE”と同時に開催される、国際自転車デザインコンテストの過去の作品の中から個人的に面白いと思うものを取り上げました。今回は、同じコンテストの作品を、新しいデザインという観点から、もう少しピックアップしてみたいと思います。


ARIA by Marco Mainardi, www.taipeicycle.com.tw


近年、工業製品の素材やその加工技術が大きく進歩しています。自転車のフレームも従来のように金属製のパイプから加工するだけでなく、一体成型などの製造方法が可能になってきました。製造面からもデザインの自由度が増しています。今後、これまでにないような奇抜なデザインも登場してくることでしょう。


Tribune by Florian Vecsey/Lukas Thuring, www.taipeicycle.com.tw


カーボンファイバーなど、軽くて強い素材が比較的簡単に手に入るようになってきたことで、フードやカウリングを備えた自転車が登場してきても不思議ではありません。アジアの湿潤な気候に合わせた、雨でもぬれない自転車などの開発も期待できるのではないでしょうか。


Change by Wan-Chin Chen/Erica Chu, www.taipeicycle.com.tw


こちらは、フレームをいくつかのパーツに分け、自由に組み合わせることが出来るという自転車です。自分で選んだパーツを買ってきて、好きな形の自転車を自作するようなことも考えられます。これまで、強度や安全面で実現が難しかった、接合部があるようなデザインも視野に入ってきそうです。


Velo Assemblé by Jon Godston/Michiel Knoppert/Marc Walliser/Giles McWilliam, www.taipeicycle.com.tw


こちらはフレームをカスタマイズすることで、普通の自転車にもなれば、フォールディング、折りたたみ自転車にすることも可能なのがユニークです。シャフトドライブを採用しているので、交換も容易です。一台で、普通のフレームとフォールディングのフレームを使い分けるのも面白いかも知れません。


pedal squared by Chu-Wei Yang/Jade Chang, www.taipeicycle.com.tw

横並びの2人乗り自転車という思い切ったデザインです。当然、幅が広くなるのが難点ではありますが、従来の2人乗り自転車のように、ホイールベースが長いことで、小回りが利かない、取り回しがしにくいといった欠点は取り除かれることになります。これも一つの考え方かも知れません。


U.L.E.V. by Ryan Aubrey/Terrence Cong Li/Michael Vranas/Payam Shalchian, www.taipeicycle.com.tw

ポリスバイク、警察専用の自転車です。警棒や警察官が使う盾をはじめ、サイレンや内蔵PDAなど、さまざまな専用装備が組み込まれています。日本では、自転車を盾にして銃撃戦をしたり、暴徒に対処したりという場面は想定されないでしょうが、警察専用に特化したデザインというのがあってもいいと思います。


Solar Night by Yu-Shu Lin, www.taipeicycle.com.tw


こちらは、ありがちなアイディアですが、太陽光パネルを組み込んだ電動アシストのフォールディングバイクです。駐輪時にパネルを広げて充電します。自転車は駐輪していることも多いわけですが、その駐輪している時間も有効活用するデザインと言えるでしょう。

STACLE by Noh Woong Sub/Paek Seung Hwan/Lee Seung Me, www.taipeicycle.com.tw

空港などにある手押しカートと自転車を融合したデザインです。海外の空港の中には、日本とは比べ物にならないくらい広い空港がありますから、その中での移動を考えれば、これは便利かも知れません。屋内で使うという点でも珍しい自転車と言えるでしょう。

Reusable Public Bike by Yujin Kim, www.taipeicycle.com.tw

自転車のフレームを、駐輪機としてリユースすることを想定したデザインです。自転車のフレームを再利用することまで考えたデザイン、しかも駐輪機にするという発想は、なかなか出てこないと思います。地味なデザインですが、アイディアとしてはユニークだと思います。


Tango by Mathieu ZASTAWNY, www.taipeicycle.com.tw

タンゴと名づけられたこちらの自転車、なんとフレームがスイングします。どんな挙動をするのか、どんな乗り心地なのか、未知の自転車です。自転車のフレームの形状が可変、ねじれるというのは今までに無い奇抜な発想であり、独創的なデザインと言えるでしょう。

こうして見て来ると、自転車のデザインの自由度は、たしかに高いものがあると思います。今後もいろいろなデザインの自転車が出てくる可能性を感じさせます。自転車のデザインの多様さは、それだけさまざまな場面で自転車が活用されたり、楽しまれていることを意味しています。

日本は、欧米と比べ自転車文化が未成熟なこともあって、世界の中でも自転車のデザインの多様性に乏しい国だと思います。しかし、近年はブームと言われ、さまざまなタイプの自転車に乗る人が増えつつあります。日本でも、もっといろいろな自転車が登場してくることを期待したいものです。





地下鉄サリン事件から、もう17年も経ちましたか。いまだに教団が存続し、逃げている犯人がいるわけですが..。

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この記事へのコメント
いつも楽しく拝見しています。最近は伝統的なホリゾンタルフレームの美しさが最認識され若い世代もクロモリフレームをチョイスすることも多いと思います 一方スローピングフレームは欧米人に比べ手足の短い日本人にもシートピラーを長く出すスタイルを可能としてくれてありがたいものです。ロードバイクに関してはUCIの規定もあり大幅なデザイン変更はしばらく無いでしょう。競技に関係のないコミューター的バイクはその用途に応じてデザインの変化の余地は大いに残っておりその点でファッショナブル且つ実用性の高いものが生み出せれば現状の低価格のみうたい低品質のママチャリがメインの日本の自転車事情に風穴を開けられるのではと期待しています。リカンベントなどあまり知られていない高機能自転車もありますが現在の日本の交通事情では使いづらいかもしれません。記事の中にポリス用の自転車が紹介されていましたが日本でもブリジストンなどで警察用自転車を制作して自転車警ら隊を編成して車道走行の手本を示してほしいと切に思います。その際自転車はマウンテンバイクベースの専用車 服装は自転車警ら隊専用専用ユニホーム 勿論ヘルメット着用(自転車用の物で警官専用品)これが実現できれば自転車利用者にも車利用者にも一気にアピールが出来交通ルールの指導もきめ細かく出来るのではないかと思います。
タンゴは非常に気になるバイクですね フレームのスイングは想像つきませんが戦闘的かつ優美なデザインは一度乗ってみたいと思わせます ただノロノロ走っていたらカッコ悪いかも・・・
Posted by kuma406 at March 22, 2012 20:56
お初に寄らせていただきました。
小中学の頃は自転車が好きでよく乗っていましたが、免許をとって以降、会社勤めの時期もずっとクルマ通勤で家に自転車もありませんでした。再来月、車が車検ですが、もうかなり長いこと乗っていてガタもきてるし、ガソリンも高騰していることもあって、約40年ぶりに自転車を買おうかと考えています。仕事は今、自営業ですが、近隣のお客さんばかりなので移動は自転車で十分できそうですし、ただ買うのはそんなに高いのはムリなので一般的なシティサイクルになりそうです。しかし坂の多い地域なので6段変速ぐらいのものを考えています。
あと心配なのは、10年前に脚のケガをし、左の膝を割っています。もちろん今は治癒しましたが、前記の坂の多いこととも相まって、自転車こぎは屈伸の連続になるため「保つかなあ」というのが少しあります。乗って走る場合の荷物はノートパソコンと若干の付属品や書類程度で、これはリュックに入れて背中に背負うことにしたいと思っています。雨が降った時はカッパを着て走ればいいかな・・・と。
このサイトはお気に入りに入れて、今後とも時々のぞきにこさせていただきます。何かアドバイスなどあれば教えてください。
Posted by spika at March 22, 2012 22:24
kuma406さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ロードバイクやマウンテンバイクなど、個々のカテゴリーの自転車のデザインについては、そう大きくは変わらないでしょうね。
それだけ、デザイン的にも淘汰され、一番リーズナブルな形へと収束していくので、なかなか大きな差は無くなる傾向にあると思います。
ただ、どこかのメーカーが冒険的、野心的なモデルを出し、それがデザインに大きな影響を与えることは、あるえると思います。
今後、素材などの革新で変化が促されることも、あるかもしれませんね。
日本に限って言えば、おっしゃる通り、環境の制約が大きいので、なかなか多様な自転車の登場は期待できなさそうです。
日本では白チャリのお巡りさんスタイルのイメージが強く、官僚的な発想からは、なかなかすていりっしゅな専用のポリスバイクの導入は難しいかもしれませんね。
Posted by cycleroad at March 23, 2012 22:58
spikaさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
40年ぶりでしたら、今の自転車が大きく進歩していることに驚かれることでしょう。
いわゆるママチャリはともかくとして、スポーツバイクは相当よくなっていると思います。
シティサイクルでもいいと思いますが、最初から限定せずに、スポーツバイクショップを是非のぞいてみたほうがいいと思います。
坂が多い場合は、軽いクロスバイクでもいいでしょうし、電動アシスト自転車という選択肢もあります。
お乗りになる場所や乗り方、その他いろいろな要素で、おススメの自転車は変わってきます。とてもこのスペースではお伝えできません。
今は、自転車選びのための本がたくさん出ています。まず情報収集のために、そうした本などを参考になさることをおススメします。
その後、大きめの品揃えの充実したスポーツバイクショップで実物を見、詳しい店員さんに相談されるといいと思います。
Posted by cycleroad at March 23, 2012 23:08
今年ヒュンダイ、キーアに乗りましたが
走行感覚は日本車を越えてもはやヨーロッパ車に近くなっています
ボディ剛性あり、まっすぐ走り静粛性も高い
ドアの開閉音もドイツ車のようです
デザインは欧州メーカーの模倣が多いですがこれも近いうちに
力を付けて来るでしょう(かつての日本車がそうであったように)

自転車も一気に日本を越えてヨーロッパ並みになる可能性があります
インフラ整備も含めて
大胆なデザインの自転車がソウル市内を普通に走っているかもしれません
 

Posted by ロードバイク初心者 at May 24, 2013 02:50
ロードバイク初心者さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
すでに液晶テレビやスマートフォンなどの分野で、日本を量がするシェアを獲得している分野がありますが、ほかの分野でも、日本企業を追い越すような成長を遂げる可能性はあるでしょうね。
工業製品としての自転車となると、どうかわかりませんが、確かに一部では、インフラが急速に整備されたりということはあるようです。
欧米ばかり見ていたら、すぐ隣が大きく変わっていたということもあるかも知れませんね。
Posted by cycleroad at May 25, 2013 23:44
tango とても気になります。
日本で購入することはできるのでしょうか?
Posted by 渡邊 at January 26, 2015 22:37
渡邊さん、こんにちは。
私はメーカーや販売元とは一切関係がないのでわかりません。写真をクリックしたリンク先へお問い合わせになったらいかがでしょうか。
Posted by cycleroad at January 26, 2015 23:27
ありがとうございます。

問い合わせてみます。
それにしても、美しいフォルムです。
Posted by 渡邊 at February 08, 2015 15:46
渡邊さん、こんにちは。
フォルムも美しいですが、フレームがスイングするというのも斬新ですね。
Posted by cycleroad at February 08, 2015 23:21
 
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