August 08, 2012

背景にある自転車文化も違う

ロンドンオリンピックの熱戦が続いています。


日本と現地では時差が大きく、リアルタイムの観戦は寝不足になるのがつらいところですが、どの競技も選手たちの真剣勝負に引き込まれるように見てしまいます。背後にあるオリンピックへの厳しい道のりといったドラマともあいまって、選手の頑張る姿に感動してしまうのはオリンピックならではの醍醐味でしょう。

自転車男子個人ロードレース文字通り世界最高レベルの勝負です。日頃、あまり観戦することのない競技も多いですが、心情的に日本選手を応援したくなることもあって、思わず力が入ってしまう人も多いに違いありません。ただ、個人的に少し残念なのは、自転車競技の露出度が低いところです。

日本では、どうしても自転車競技の馴染みが薄いので、日本人選手が大活躍でもしない限り、なかなかテレビ中継のメインにならないのも仕方がないところでしょう。ただこれは日本の傾向というだけであって、世界的に見れば、自転車競技はとても人気のあるスポーツです。

今回のロンドンオリンピックは30回目の夏季大会ですが、1896年の最初の近代オリンピックから途切れることなく続いている競技は、陸上、競泳、体操、フェンシングに自転車の5つしかありません。それくらい古くから広く親しまれているスポーツ競技の一つです。

ただ、自転車競技と言っても、ロードレース、トラックレース、マウンテンバイク、BMXに分かれており、どれも違う車種の自転車を使う、それぞれ違ったスタイルの競技です。まだオリンピックの種目になっていない競技も含め、種目の幅の広いところが他のスポーツと少し違う部分でしょうか。

男子ケイリン競技によって、世界選手権とオリンピックが最高峰の大会という場合も多いですが、自転車の場合は、いろいろなスタイルの種目があります。スポーツとして自転車を楽しむ人は世界中にいますが、自転車の中でも、それぞれの種目に興味が分散するという面はあるのかも知れません。

もちろん、自転車にはスポーツ以外の側面もあります。生活に密着した道具でもありますし、趣味であったり、旅であったり、文化や伝統であったり、アートであったり、お祭りであったりします。当然ながらオリンピック以外にも、世界中でさなざまな自転車イベントが行われています。

近年、日本でもいろいろな自転車イベントが行われるようになってきました。各種の大会やライドイベントなども全国各地で開催されています。しかし、世界には、まだ日本では見ないようなイベントもあります。今回は、そんなイベントの一部を、いくつか取り上げてみたいと思います。

レトロスタイル自転車パレードレトロスタイル自転車パレード

ロシア・モスクワのソコリニキ公園では、今月5日、レトロスタイルの自転車パレードが行われました。それも女性だけが参加を認められるイベントで、モスクワ市民には、まだまだ活用されているとはいえない自転車の普及を狙ったものだと言います。

レトロスタイル自転車パレードレトロスタイル自転車パレード

参加条件はレトロなドレスで、50年代の流行をイメージしたファッションやレトロなアイテムで飾った服装を身にまとって自転車に乗ることです。ドレスで自転車というのも大変だろうと思いますが、華やかな雰囲気になるのは間違いありません。

イベントでは、フォトセッションが行なわれたり、古い写真や自転車の展覧会なども催されました。主催者は、これからは毎年この自転車パレードを行なうことにしており、来年は同じようなオールドファッションで男性だけが参加するパレードにする予定だと言います。

レトロスタイル自転車パレードレトロスタイル自転車パレード

オールドファッションで自転車に乗るというイベント、ほかにイギリスなどヨーロッパの国でも聞いた事がありますが、いかにも自転車文化を感じさせるイベントです。残念ながら、日本では、ちょっと聞いた事がありません。もし日本でやるならば、着物に袴ということになるのでしょうか。

Glowing Angler Fish Bicycles, Fashion TrendyGlowing Angler Fish Bicycles, Fashion Trendy

こちらはオーストラリア・シドニーで行われた“Vivid Sydney Light Festival”に向けて製作された自転車です。魚のアンコウをイメージしています。おそらく、ベロタクシーなどに使われる3輪のトライクをベースに、布地を使ってライティングを施したのでしょう。

Glowing Angler Fish Bicycles, Fashion TrendyGlowing Angler Fish Bicycles, Fashion Trendy

Glowing Angler Fish Bicycles, Fashion Trendy
Glowing Angler Fish Bicycles, Fashion Trendy

夜のシドニーを彩る鮮やかな色彩のアートです。日本では、自転車へのライティングというのは、あまり見たことがありませんが、最近は節電で街が暗くなっていたりしますので、そのぶん夜の街に映えて、人々の目を楽しませるに違いありません。夕涼みがてら、こうした夜のイベントというのも面白いかも知れません。



イタリアはトスカーナ州キャンティで毎年開催されているレース、“L'Eroica”です。英雄という意味ですが、1987年以前に製造されたレーシングバイクでなければ出場出来ません。出場者はレトロなジャージを着て、往年のスタイルで参加します。

L'Eroica, Photo by ertzui°film,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.L'Eroica, Photo by ertzui°film,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.

毎年、世界中から3千5百人以上の参加者が集まる人気のレースです。距離は38キロから205キロの4部門、多くの部分が、昔ながらの未舗装の道路を走ります。補給ポイントでも昔ながらのスタイル、スポーツドリンクではなく、赤ワインとサラミです。サラミは塩分補給用でしょうか。

L'Eroica, Photo by ertzui°film,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.L'Eroica, Photo by ertzui°film,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.

ファンには堪らないイベントだろうと思います。何から何まで、わざわざ昔のままを再現してレースをするところが、歴史や自転車文化の深さを感じさせます。日本でも、古い自転車のマニアはいると思いますが、こうしたレースはあまり聞いた事がありません。



日本で自転車と言うと、多くの人がママチャリを思い浮かべます。駅まで行くためのゲタ代わりか子供の乗り物、安いけどすぐ錆びる日用品くらいにしか思っていない人が大半です。自転車自体は身近ですが、せいぜいレジャーとしてのサイクリングくらいの認識しかありません。

L'Eroica, Photo by ertzui°film,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.L'Eroica, Photo by ertzui°film,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.

ヨーロッパの多くの国々では、自転車競技、特にロードレースはサッカーと二分するくらいの人気があります。そして自転車に対する認識にも日本とは大きく違う部分があります。こうしたイベントなどを見ても、その一端が伺えます。ただ、日本人の多くは、なかなかそういう機会も少ないと思います。

オリンピックはなじみの薄い競技に触れたり、その背景にある文化を知る絶好のチャンスでもあります。特に本場ヨーロッパの自転車競技の熱狂やステイタス、自転車に対する認識の違いを知る機会でもあります。その意味でも、日本でオリンピックの自転車競技に、あまりスポットが当たらないのが残念なところです。





オリンピックに隠れがちですが、火星探査でどんな発見があるかも楽しみです。

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この記事へのコメント
オリンピックの自転車競技、ロードレースとタイムトライアルをNHKのネット中継で見ていました。迫力はもちろんのこと、数百キロ以上のコースを常時時速40km以上で漕ぎ続ける体力には非常に感心しました。途中峠みたいな上り坂とか、ラストスパートでダッシュをかけないといけないのに、そんなスピードを維持できるなんて本当にスゴイです。

ヨーロッパなんかではメジャーなスポーツなのに日本では一部のマニア層の趣味としか捉えられていないのが残念です。日本人選手が他国の選手に比べて弱いのも、自転車がスポーツの一つとして認知されていない事が大きいと思います。それをどんどん問い詰めていくと、日本のママチャリ文化にたどり着くような気がします。

これから自転車の環境が良くなって、スポーツ自転車が認知されるようになっていけば、自転車競技人口も増えるんでしょうかねぇ...
Posted by さすらいのクラ吹き at August 11, 2012 13:15
さすらいのクラ吹きさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
今回はテレビで中継しない競技もネットで配信していましたね。ただ、日本ではマイナーな競技ですので、果たして、どのくらいの人が見たのかはわかりませんが..。
自転車競技を見て、その迫力や選手の驚異的な体力、脚力などに驚く人は多いと思います。さらにロードレースの戦略性を知れば、駆け引きなど、競技の奥深さも楽しめるでしょう。
日本でもマラソンなどは人気がありますから、見るスポーツとして自転車ロードレースの人気が出てもおかしくないと思います。
おっしゃるとおり、競技の魅力が知られ、広く認知されるようにならないと競技人口は増えないでしょう。
選手層が厚くなって、日本人選手がもっと活躍するようにもならないと思います。
そのために、自転車の走行環境が良くなることも必要でしょうね。
Posted by cycleroad at August 13, 2012 23:12
 
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