November 12, 2012

ヘルメットの新たなメリット

ヘルメットはサイクリストの頭部を保護します。


このことに異論を唱える人はいないでしょう。しかし、日本では自転車に乗るとき、ヘルメットをかぶらない人が大多数です。スポーツバイクに乗る人が増加したぶん、ヘルメットをかぶる人が増えている面もあると思いますが、全体で見れば圧倒的多数がヘルメットをかぶっていません。

だからと言って、個人的にはヘルメットをかぶりましょう、などと言うつもりはありません。法令で義務付けられているわけではない以上、着用するか否かは自分で決めればいいことです。自転車に乗っていて、かぶったほうが良いと感じれば、自ずとかぶるようになるだろうと思います。

日本で、これだけかぶる人が少ないのは、結局、必要と感じていないということなのだろうと思います。歩道で歩行者に混ざって走行している分には、必要と感じられないのも道理でしょう。似合わない、暑苦しい、髪形が崩れる、邪魔などという理由で敬遠する人も少なくありません。

ヘルメットが頭部の保護に役立つことは、理屈ではわかっていますが、あまり実感がわかないということもあるのでしょう。ヘルメットのおかげで頭部が保護されて助かるなどという経験をする確率が稀だと考えるならば、わざわざヘルメットをかぶる気にならない人も多いに違いありません。

ICEdot Crash Sensor
ICEdot Crash Sensor

では、ヘルメットが頭部を保護する以外にも役に立つとしたらどうでしょう。ヘルメットに頭部を保護するだけではなく、もっと違った機能を持たせられるのではないかと考える人たちがいます。ヘルメットに付加価値を加えようとする試みがあります。

こちら“ICEdot Crash Sensor”は、ヘルメットに取り付けるセンサーです。ヘルメットに大きな衝撃が加わったこと、すなわち何らかの事故が発生し、頭を道路などに激しく打ち付けたことが感知されると、自動的に装着者のスマートフォンのアプリが起動し、救急通報を発信するというユニットです。

ヘルメットに衝撃が加わったということは、頭部に大きなダメージが加わり、意識を失っている可能性が高いと考えられます。相手がある事故であれば相手が、または目撃した第三者などが緊急通報をしてくれることも期待できますが、事故の状況によっては、通報されるとは限りません。

ICEdot Crash Sensor
ICEdot Crash Sensor

轢き逃げされ、目撃者がいなかった場合、郊外の交通量の少ない場所での単独事故で道路外に投げ出され、運悪く物陰だった場合など、誰からも通報されず、救援が遅れ、手遅れになって、最悪命を落としかねません。事故でなくても走行中、病気などによって急に意識を失って側溝などに転落といったケースも考えられます。

実際にそうした事故も起きています。このユニットはヘルメットに装着者の生命を救う機能を付加するというわけです。通報時には、救命に役立つ装着者の情報やGPSによる場所の情報も発信されます。一刻を争うようなケースでは、気が動転した当事者の通報より役に立つ場合も考えられるでしょう。

アプリが起動してから通報が発信されるまでの間は、一定の秒数、カウントダウンがあります。事故ではなく、例えばヘルメットを落として衝撃が加わった場合などは、所有者がキャンセルできます。キャンセルされないこと、装着者が通報できないことを確認して、通報の発信が始まるようになっています。



この“ICEdot Crash Sensor”、自転車用のヘルメットだけではなく、オートバイ用のものにも装着できます。さらに、他のスポーツでも使えます。スキーや登山、マウンテンバイクも含め、大自然の中で行うスポーツでも効果を発揮します。人里離れた場所の場合、道路上よりニーズは高いと言えるかも知れません。

現在、この“ICEdot Crash Sensor”は、オンライン資金調達プラットフォームの“Indiegogo”で製品化に向けた資金調達を目指しています。開発チームは、ヘルメットが、単に頭部の保護だけでなく、もっと洗練されたスマートなものになるべきだと考えているのです。

こちらは、“MindRider”、まだ研究段階ですが、装着者の脳波を読み取って、その状態をヘルメットの周囲に取り付けられたLEDライトによる信号に変換するという装置です。周囲の人は、このヘルメットを装着した人の脳の状態を、外から見て判断できることになります。

MindRider, by Arlene DucaoMindRider, by Arlene Ducao

例えば、緑色に光っている状態では、装着者は集中していて、周囲に気を配っており、活発な精神状態であることがわかります。周囲の人にとっても問題はありません。このLEDが赤になると、不安が増していたり、注意力の低下、ウトウト居眠り状態など、集中していない状態であることがわかるわけです。

居眠りはしないまでも、疲労などで意識が低下し、注意力が散漫になって、信号などを見落とすような状態になることは考えられます。周囲としても、事故に巻き込まれるなどのリスクがある状態なわけで、もし赤ランプだったら警戒を要すると判別できることになります。

さらに、赤が点滅しはじめたら、パニック状態に陥っており、とても危険な状態であることがわかるなど、段階的に表示させることが可能です。最近は、脳波を使ったマン・マシンインターフェイス、つまりマウスやリモコンなどのようなコンピュータの入力装置として使う研究が進んでいます。

MindRider, by Arlene Ducaoヘルメットの内側に、邪魔にならない程度の大きさで、電極や小さなバッテリー、LEDなど共に脳波信号の検知と変換を行う半導体装置を取り付けることは充分可能になってきています。費用などの点でも現実的なレベルになってきつつあるようです。

この装置で脳波の状態を表示することは、自転車とあまり関係無さそうにも見えますが、そんなことはありません。例えば、安全性を可視化したり、クルマのドライバーとサイクリストの関係を表示することも出来ます。ヘルメットが赤く光れば、ドライバーの運転がストレスを与えているサインかも知れません。

まだ研究の基礎段階であり、必ずしも具体的ではありませんが、この“MindRider”は、周囲にサイクリストの状態を知らせることで、その安全性を高めることに貢献できる可能性があるわけです。ここからは、私の勝手な想像ですが、これは、いろいろな形に応用することが考えられるでしょう。

例えば、自転車のベルによる警告音は、窓を締め切って音楽を聴いているクルマの中のドライバーには、到底聞こえません。危険を瞬時に光で伝えるような役割も実現できるかも知れません。もちろん、脳波によるハンズフリーで、また別の装置を制御するようなことも考えられます。

MindRider, by Arlene DucaoMindRider, by Arlene Ducao

あるいは、通行するサイクリストの脳波の状態を観察することで、道路におけるストレスの状態、走行環境の良し悪しを客観的に判断するようなことも考えられます。街の中で、サイクリストのストレスを高める場所を見つけ、あらかじめ改善するために使うようなことも考えられるでしょう。

逆にサイクリストがストレスを受けず、快適に走行出来ていると、無意識にレベルが下がって注意が散漫になるとか、かえって危険を招くといった新たな知見が得られる可能性もあります。緊張している時、不安を感じている時、安心してストレスがない状態の時、それぞれの事故との相関関係がわかるかも知れません。

もし、装着者の脳波の状態が外部からわかる装置が実現するならば、サイクリスト以外に広げて欲しいと思うのは、私だけではないはずです。高速バスの運転手の帽子が居眠りして赤になったら、乗客は大声を上げて注意を促し、休憩をとるよう迫ることになるはずです。

MindRider, by Arlene DucaoMindRider, by Arlene Ducao

クルマのドライバーも、この装置を装着し、車外からも確認できるようになれば、赤く光っているクルマに注意することで、居眠りや飲酒、過労、薬物使用といった原因による悲惨な事故を回避出来るかも知れません。あるいは、周囲が警告して注意を促したれ、通報するなどして、未然に防げる可能性が出てきます。

実際には、周囲のクルマやオートバイ、自転車などが、みな青や赤のサインを出して走行していたら、かえって注意する対象が増えて危険ということもあるかも知れません。現実に、どのような応用が可能かは、今後の研究開発と広範な実験が必要になりそうですが、なかなかユニークで興味深いアイディアだと思います。

“ICEdot Crash Sensor”と“MindRider”、どちらもヘルメットに新しい機能を加えるという考え方です。将来のヘルメットは、頭部の保護以外の機能を獲得していく可能性がありそうです。ヘルメットをかぶるメリットが増えることで、日本でも装着する人が増えていくことになるかも知れません。





太陽の党っていうセンスも...。古いのでよく知りませんが、60年前の小説からでしょうか。岡本太郎かってツッコミもありそうですが..。

このエントリーをはてなブックマークに追加




Amazonの自転車関連グッズ
Amazonで自転車関連のグッズを見たり注文することが出来ます。

にほんブログ村自転車ブログへ
 自転車・サイクリングの人気ブログが見られます。













この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/cycleroad/51918756
この記事へのコメント
cycleroadさん こんばんは。

もうご存知かと思いますが、
Road ID という名のリストバンドが有ります。
http://www.roadid.com/Common/Default.aspx
もしもの為の連絡先を確保するものだと思っています。
発注先が海外ということ、リストバンドは汗をかいたら不快かな?...
等々の理由で購入していません。

可能な限り身軽に走りたいと思っていたので、
気がついてみると、何かあった時に自分を証明!?出来るものを
何も持たずに走っていました。

出来るだけドライバーに認識してもらい易い出で立ちで走っていますが、
ここに紹介されたような装置でサイクリストの状態を知らせたり、
無意識のうちに親しい人に連絡されるようなシステムは
必要不可欠になって行くかもしれませんね。
Posted by Fischer at November 13, 2012 20:39
追記です。

「太陽の党」
えっ!? ですよね。

そんな風に売り込みたいんですか?
この時代に?


余談ですが...

次の選挙は また自民党でしょうが、
単一与党とはならないような気がします。

天下りを作り上げ、それを廃止してこなかった責任の多くは
自民党だと思います。
今後も天下りでおいしい思いをする役人が絶えることは無いでしょう。
一票の格差よりもこの不公平感の方が大きいと思うのは
私だけではないと思います。
Posted by Fischer at November 13, 2012 20:48
ちょうどヘルメットの更新を検討中、、、
赤だと安いのですが、他者からの視認性を考えると白をえらぶべきか。

緊急通報装置はiPhoneもandroidも対応してほしいですね。
ヘルメットをかぶるもなら何でも使えそうですね。
Cateyeさんあたりが頑張ってくれるといいかも。
Posted by anonymous at November 14, 2012 22:51
Fischerさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
リストバンドに限らず、こうした用途のグッズは、いくつかあるようですね。軍隊の認識票のようなものを使う人もいます。
血液型や連絡先などが書かれたものを身に着けておくことは、万一怪我をして意識がないか、質問に答えられない状況にある時の備えとしては有効だと思います。
ただ、この“ICEdot Crash Sensor”の場合は、救護者に必要な情報を伝えるだけでなく、装置自体が緊急通報をしてくれるという点で、こうしたグッズの類としては画期的と言えるでしょう。
ヘルメット自体もそうですが、事故や怪我のリスク、万一の場合の備えについて、どう考えるかということでしょうね。
Posted by cycleroad at November 14, 2012 23:10
Fischerさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
太陽と言われても政治とどう関係するのかピンときませんし、いきなり太陽というのも...。
どういう意味をこめてつけたのか、よくわかりませんが、やはり自身の小説からなのでしょう。政党名に太陽の季節を使うとは、古すぎて、ちょっと意表を突かれた気がします。

民主党がひどすぎましたからね、反動で自民党にという人も多いのでしょうが、自民党政治も末期的でしたし、おっしゃるように、政治不信から官僚の腐敗、原発政策に至るまで、今の状況をつくった責任の多くは自民党にあると思います。
二大政党とは言え、また自民党に戻すのも、どうかという感じがします。でも、第三極もどうなるかわかりませんし..。
解散が決まりましたし、今後の動きに注目したいと思います。
Posted by cycleroad at November 14, 2012 23:21
anonymousさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ヘルメットにも視認性という視点は重要ですね。目立つにこしたことはないと思います。

加速度センサーとブルートゥースに対応アプリを使えば、容易に実現できそうですから、当然、出てきていいのではないかと思いますね。
Posted by cycleroad at November 14, 2012 23:35
すてきなブログ
Posted by santa at March 27, 2013 18:37
santaさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

Posted by cycleroad at March 28, 2013 23:43
 
※全角800字を越える場合は2回以上に分けて下さい。(書込ボタンを押す前に念のためコピーを)