February 19, 2013

プレゼントとして贈る自転車

13021901思いがけず、自転車を手に入れることがあります。


子供ならば、親や親戚などからプレゼントされることもあるでしょう。商店街の福引とか、雑誌などの懸賞、お年玉付き年賀ハガキの賞品として当たることもあるかも知れません。キャンペーンで何かの成約記念のプレゼントなどとして自転車が用意されていることもあります。

ただ、そうした例を別とすれば、大人になると、自分で買わない限り、自転車が手に入るというケースはなかなかないと思います。子供の頃は当たり前のように乗っていた人でも、大人になってからは、自転車に乗ろうと思わなければ、自ら買うこともしないでしょう。

特に日常の足としてクルマを使っていたり、原付バイクやオートバイに乗っている人は、あらためて自転車に乗ろうと思わない人も多いと思います。駅までのアシとして便利だとか、何か自転車が必要となる理由がない限り、自転車に乗ろうとは考えない人も多いに違いありません。

Biker Bud is 86-year-old paperboy, www.kare11.com

アメリカ・ミネソタ州に住む、Bud Shaefer さんも、自分が自転車に乗るようになるなんて夢にも思っていませんでした。ふだんの移動はクルマだったので必要なかったこともありますが、何より彼の年齢は86歳です。80を超えて、わざわざ自転車に乗ろうなんて、まさに考えたこともありませんでした。

当然ながらバドさんは、子供たちからのクリスマスプレゼントとして82歳の時に贈られた新品の自転車を見た時、驚きと困惑と共に、子供たちのお金は全くの無駄になったと思いました。欲しがっていたわけでもありませんし、82歳から自転車に乗る気は、全くなかったからです。

しかし、それにトライしてみようと考えるのに長い時間はかかりませんでした。そして、趣味として自転車に乗り始めただけでなく、自転車を使った楽しいアルバイトまで始めてしまうことになります。彼の小さな居住区をまわって新聞を配達する仕事です。

Biker Bud is 86-year-old paperboy, www.kare11.comBiker Bud is 86-year-old paperboy, www.kare11.com

その賃金は安いですし、生計をたてるために仕事をするわけではありません。自転車に乗るのが楽しくて仕方なくなってしまったのです。この歳でするアルバイト、新聞の配達も楽しいと話します。少なくともこの地域では、ダントツに一番年をとった“paperboy”(新聞配達)です。

普通だったら日がな一日、自転車ではなくロッキングチェアに揺られながら新聞を読んだり、通りを眺めていてもおかしくない年齢です。そんな年齢にもかかわらず、いきいきと自転車に乗り、目的を持って走行しているのが楽しくて仕方がないようです。明らかに、自転車が若さを保つ秘訣となっています。



バドさんの子供たちの慧眼か、作戦勝ちか、嬉しい誤算かわかりませんが、老けるどころか、どんどん若返って、体力も増しているバドさんを見るのは喜びであるに違いありません。地域のバドさんより年下の多くのリタイヤした人たちにとっても、ますます元気なバドさんの存在は大きな励みとなっています。

バドさんのことは、地元のローカルテレビ局に取り上げられ、ちょっとした話題となっています。自転車が健康を増進し、老化防止にもさまざまな効果があることは知られていますが、バドさんが自転車を贈られたことで、楽しくて喜びを感じられる趣味と出会えたことが、このことをもたらしたと言えるでしょう。

Biker Bud is 86-year-old paperboy, www.kare11.com

乗ろうと思っていなかった人が偶然、自転車に乗り始めたことで変わったという一つの例です。年齢を別とすれば、ニュースにはならないものの、同様のことは世界中で起きているに違いありません。こうした自転車による効果を利用できないかと考えた人たちがいます。

南米はウルグアイの政府です。同国の最近の殺人事件の増加を受けて、ウルグアイの内務省は、銃の規制強化に取り組んでいます。ウルグアイ国内に存在する未登録の銃を減らすため、法律を改正し、未登録の銃器を所有するだけで犯罪とすることにしました。

NYDailyNews

正規に登録された銃は合法ですが、未登録の銃を持っている市民は、半年の猶予の間に銃を手放すか、正規に登録しなければなりません。もし、どちらかをせずに、猶予期間の後に未登録の銃の不法所持が判明すれば、最高12年の禁固刑を科される可能性があります。

ウルグアイは人口330万の小国ですが、100万丁の銃が民間に所有され、半数程度が未登録と見られています。アメリカのように億単位の銃が所持されている国に比べれば少なく見えますが、国民一人当たりの銃器の数で言うと、世界のトップ10に入るくらいの多さです。

市民に未登録の銃を手放すことを促すため、ウルグアイ内務省が始めたキャンペーンは、銃と引き換えに新品の自転車を提供しようというものです。正確に言うと、自転車または、ローエンドのラップトップのコンピュータと引き換えることが出来ます。

teleSURどちらも選べますが、すでにコンピュータを持っている人、もらっても使いこなせない人、使う環境にない、あるいは使い道がない人、ローエンドでは不満な人などを含め、自転車を選択する人も少なくないと思われます。アメリカなどでも一部に似たようなプログラムがありますが、自転車というのは聞いた事がありません。

もちろん、現金で買い取るわけにはいきません。闇で死蔵されている銃器にまで価値を与えてしまうようなものです。アメリカなどでも、スーパーのチケットと銃を交換するようなイベントがあるようですが、こちらも買取りではなく、あくまでも銃を手放すことを奨励するプログラムの一環です。

不法所持の厳罰化とセットで、ちょうどアメとムチのような方策ですが、同国内務省は、人を殺すための銃を生きる為の武器と交換するプログラムだとしています。新しい試みですが、この新品の自転車の提供によって、市民の銃の供出が増えることを期待しています。

食品などと交換出来るスーパーのチケットでもいいような気がしますが、内務省は「生きる為の武器」を手にすることで、銃を不法に所持しているような人たちの生き方が変わることも期待しているということのようです。そのきっかけとなることを期待して自転車とコンピュータを選んだわけです。

El Observador

バドさんとウルグアイ、二つの例を挙げましたが、別に私は、自転車が魔法のような力を持っているなどと言うつもりはありません。しかし、何かのきっかけで自転車に乗り始めた人、趣味としての自転車を始めた人で、それまでとは考え方が変わった、ライフスタイルが変わったという話を聞くことは少なくありません。

全く身体を動かすことをしなかったような人が、いきなり何キロもジョギングする、またそれを日課にするというのは苦しいですが、サイクリングなら、何十年ぶりに乗っても、気持ちよく何十キロも走れてしまったりします。楽しいので続く人も多いと思います。身近にも一人や二人くらい、そんな人がいるのではないでしょうか。

おそらく、ウルグアイでも、思いがけず自転車を手に入れたことで、ライフスタイルが変わる人も出てくることでしょう。もちろん、自転車でなくコンピュータやそのほかの製品であったとしても、思いがけないきっかけによって、それまでと何かが変わることはあると思います。自転車に限ったことではありません。

ただ、子供の間は別として、大人になってから自転車を贈る、あるいは贈られるという機会は少ないと思います。自転車は必要であれば買うもので、あまり贈り物にすることはしないでしょう。でも、何かのきっかけになる可能性を考えたら、もっと自転車を贈ることを考えてもいいのかも知れません。





世界の状況からすれば、日本は銃規制の厳しい特異な国です。そんな国に住む幸運は感謝すべきでしょうね。

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この記事へのコメント
私は恥ずかしながらお金がなくて自転車で通勤したのが今の自転車生活のきっかけ。自転車生活は身体を変えます。ガソリンを使わぬのでお金を違うことに使える。身の回りの変化は意識を変えます。化石燃料が有限であること、これを何も考えないで使うことは未来の世代を思わないこと。共有しようぜ、と思う。だから、銃を自転車とパソコンに替える試みは注目。米もこれやろう!
Posted by タニグチ at February 21, 2013 07:10
タニグチさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
財布に優しいのは自転車の大きなメリットだと思います。健康も増進することで、さらに医療費の軽減につながるわけで、その効果は小さくないと思います。
確かにアメリカも銃と自転車の交換プログラムは、積極的に取り入れてもいいでしょうね。
Posted by cycleroad at February 22, 2013 23:43
 
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