February 25, 2013

自転車環境に対する問題意識

相変わらず寒い日が続いています。


北日本では強力な寒波が襲来し、記録的な大雪に見舞われています。もう週末には3月になるというのに、多くの地域で厳しい寒さが続いています。春の訪れが待ち遠しいところですが、今回は最近目についた、自転車関連のニュースを取り上げてみたいと思います。


悪質自転車に講習義務 道交法改正試案 拒否には罰金も

警察庁は十四日、悪質な違反を繰り返した自転車運転者への安全講習義務付けを盛り込んだ道交法改正試案を公表した。自転車の交通ルールを徹底し、事故を抑止するのが狙い。受講しない場合の罰金刑も検討する。だが免許制度のない自転車に罰則付きの義務を課すことには疑問の声があり、議論を呼びそうだ。 

自転車レーン十五日からメールや郵送で意見を募集し、今国会での法案成立を目指す。警察庁によると、信号無視や酒酔いといった危険な行為で二回以上摘発された運転者に、事故で家族を失った遺族の手記を朗読させるなどの講習を義務付ける。刑法の規定で十四歳未満の少年は刑事責任を問われないため、対象にはならない。

自転車は道交法上の「軽車両」で、自動車と同じような規制がある。年齢を問わず幅広く普及しているが、体系的な教育の機会がなく、運転に関する知識や技能を確認する仕組みもない。警察庁によると、交通事故件数に占める自転車の割合は増加傾向が続いており、自転車と歩行者の事故は二〇〇一年の千八百十七件から一一年には二千八百六件にまで増えた。

警察庁が昨年設置した有識者懇談会は講習の在り方を議論し、義務化を提言に記載することは見送っていた。同庁の担当者は「悪質な運転者の矯正教育の場がなく、確実に受講してもらうためには義務化が必要と判断した」と話している。罰則の内容など検討中の課題は多く、専門家からは「取り締まりをさらに徹底することが必要ではないか」との声もある。(後略 2013年2月14日 東京新聞)


悪質な自転車利用者のルール無視について、対策の強化の必要性は各方面から指摘されてきたところです。今回、警察庁は道路交通法の改正試案で、それに応えた形になっています。このニュースは、多くのメディアで取り上げられ、社説などで意見を表明する新聞も少なくありません。一部を例示します。


悪質自転車の厳罰化 将来は免許制度も視野に

銀輪の死角:道交法改正試案 悪質自転車に講習義務

社説:自転車事故対策 安全教育を広めたい

[自転車悪質運転] やむを得ない罰則強化

悪質自転車厳罰 社会全体で危険性認識を

自転車に罰則 レーン整備も並行して


各紙の論調を見てもそうですが、悪質な利用者に対する何らかの対策が必要という点については、多くの人に異論のないところでしょう。同じ自転車利用者としても、逆走や、ケータイやスマホを操作しながらの走行など、危険で迷惑と感じている人も多いはずです。

一時停止どころか徐行しての安全確認もせずに飛び出してきたり、後方を確認せず進路変更したり、歩道を猛スピードで走行するなど、確かに自転車のルールや安全のための知識が不足していると思われる人も存在します。一時停止せずに交差点に進入し、クルマと衝突するような信じられない事例もあると聞きます。

自転車走行帯標示そうした人にとって、安全のための講習を受講することは必要であり、効果が見込める部分でもあるでしょう。それは否定しません。しかし、信号無視などの悪質な法令違反を繰り返すような人は、交通ルールを知らないからだとは思えません。明らかに確信犯です。

確信犯として、法令をわかって破っているわけで、安全講習の効果は薄いと思われます。悪質な違反者に対しては、安全講習より罰則の強化が必要なのではないでしょうか。言ってみれば、安全講習の受講することで罪は問わないという姿勢では、なかなか悪質な違反は減らない気がします。

もちろん、安全講習を受講することで、ある程度、時間や手間をとられることになりますから、罰則としての効果もゼロとは言いません。しかし本来、罰金刑などが定められている違反に対し、安全講習の受講で免除というのでは、むしろ罰則を緩めることになり、違反の抑止効果が下がる可能性すらあるのではないでしょうか。

そして、免許証もない以上、身元の確認は困難です。無理ではないにせよ、確認に手間がかかります。無数の違反者に対し、講習の義務付けが担保されるかという点でも疑問と言わざるを得ません。いきなり赤切符というのも無理があるとは思いますが、制度としては、その実効性を保つ仕組みに問題があると思われます。


遮断踏切立ち入り容疑、自転車男性に赤切符を交付/川崎

自転車とバイク衝突、自転車の少年を起訴 重過失致死罪


自転車社会在り方探る上記の記事にあるように、事故も起きています。特に危険で悪質な事例については、赤切符の交付も当然必要でしょう。でも、その次に来るのが安全講習の受講では、少々生ぬるい感が否めません。もう少し厳しく、かつ実効性のある対策が求められます。

悪質な違反者たちの行動は、同じ自転車利用者にも危険が及びますし、自転車利用者に対するイメージを著しく悪化させる、甚だ迷惑な存在です。ただ、中には、悪気がなく、周囲もやっているからと安易に考えている人も多いのではないでしょうか。

そういう人たちにまで、違反をさせなくする為にも、抑止力としての現実的で有効な罰則が必要だと思います。強制的に講習に参加させるのも一つの候補ではあると思いますが、それを確実に義務付けることの出来る仕組みが求められるでしょう。


「3人乗り自転車」潜む危険…年311人が負傷

3人乗り自転車川崎市で母子3人が乗った自転車が転倒し、5歳の女児がトラックにひかれて死亡した事故を機に、自転車の「3人乗り」の安全性に改めて関心が高まっている。

安全基準に適合した自転車に限り、6歳未満の幼児2人まで乗せることができるが、適合自転車は高価なこともあって一般の自転車に乗せる親も多く、人身事故も後を絶たない。幼子から目を離せない親にとって、3人乗りは危険と隣り合わせだ。

◆転倒

川崎市の事故は、今月4日朝に起きた。5歳と1歳の娘2人を乗せた30歳代の母親運転の自転車が、踏切手前で転倒。後部座席の長女が、止まっていたトラックの前輪と後輪の間に投げ出され、発進したトラックの後輪にひかれた。

母親は次女を保育園に送る途中。自転車は3人乗り用の安全基準を満たしていたが、長女はシートベルトを着けていなかったらしく、母親は「前から来た自転車をよけようとして転倒した」と話したという。

◆高いニーズ

自転車の3人乗りが認められたのは2009年7月。都道府県の公安委員会規則で禁止されていたが、買い物や幼稚園の送迎などに必要な子育て世代の要望に応えた。一般社団法人「自転車協会」(東京)と「製品安全協会」(同)が、十分な強度があり、走行時や駐輪時の安定性に優れるなどの基準を満たす自転車を認証。6歳未満を2人まで乗せることができる。

バランス注意各地の自治体が行う3人乗り自転車の貸し出しには、申し込みが相次ぐ。兵庫県川西市が昨年、30台分を募集したところ、約110人から申し込みがあった。奈良県生駒市も年間60台を貸し出すが毎回、抽選になる人気ぶり。販売価格が5万円前後から十数万円と高いこともあり、市の担当者は「3人乗りが必要な期間は限られており、貸し出しのニーズは高い」と話す。

一方で、事故も多発している。警察庁によると、3人乗り中の事故で負傷した同乗者は、一昨年で311人。うち約8割が5歳以下で、死者も2人出ている。また大阪、京都両府警の調べでは、けが人を伴う事故は昨年、大阪で62件、京都で5件が起きている。(2013年2月11日 読売新聞)

3人乗り自転車転倒…女児車道へ トラック発進はねられ死亡 ベルト未着用

バランス注意…自転車3人乗り

自転車が悪いのか


今月はじめ、3人乗りの自転車に乗せられていた小さな子供が、転倒の弾みでトラックの下に投げ出され、そのままクルマにひかれて亡くなるという、何とも痛ましい事故が起きました。運転手も、気づかずに発進してしまったようで、いずれにしても不幸な事故と言わざるを得ません。

細かい状況まではわかりませんが、母親がバランスを崩して転倒したのが直接の原因のようです。結果として我が子をトラックの下へ放り出すような形になってしまった母親の気持ちを考えると、いたたまれないものがあります。まことに気の毒な話です。

自転車道に目立つ駐停車転倒してしまった要因として、狭い歩道上を、自転車が両方向に交錯するような現在の道路状況が災いしたと見ることは出来るでしょう。もし、道幅が狭いながらも、車道の左側通行するのが当然の状態なら、自転車同士が交錯することは無かったはずです。

3人乗りの自転車の形態にも問題があります。基準を満たしたものでも、ママチャリの前後に子供を乗せるのは、不安定で危険が伴うのは否定できません。もし、オランダやデンマークなどで使われている子供を乗せる3輪のカーゴバイクであれば、少なくとも転倒することはなかったでしょう。

今さら、仮定の話をしても仕方ありませんが、今後もこうした事故が起こる可能性があります。3輪のカーゴバイクで歩道を走行することは法令上出来ません。一方で、40年以上に渡って歩道走行を推進してきたため、歩道が広くとられ、車道に自転車の通る余地が少ないのも確かです。

子供を乗せる3人乗り自転車として、安定した3輪のカーゴバイクが使えず、ママチャリの前後に乗せるタイプしか現実的でないのも、日本の道路行政、歩道走行の弊害の一つと言えるでしょう。カーゴバイクが利用できるような環境が広く整備されることが期待されます。


愛媛県、自転車道1270キロ整備 5年かけ26コース

愛媛マルゴト自転車道愛媛県は18日、県下の20市町と連携し、総延長約1270キロの自転車道を整備する「愛媛マルゴト自転車道」の計画を公表した。長距離を走る中・上級者向け11コースと短距離のファミリー向け15コースから成る。今後5年かけて、コースを示すブルーラインや駐輪施設の整備、サイクリングマップの作製などを進める。

同日の県・市町連携推進本部会議で明らかにした。県は2014年に予定している広島県との共同イベント「瀬戸内しま博覧会」(仮称)の中心行事として国際的サイクリング大会の開催を計画している。これに合わせて県下全域で自転車道を整備し、「サイクリングの聖地」として内外のサイクリストを呼び込む。

市町から提案のあった60コースから走りやすさや眺望、地域活性化の可能性などを考慮して絞った。まず、13年度中に、中上級者向けで松山市と今治市を結ぶ「松山・今治サイクリングコース」(62キロ)と、伊予市から佐田岬半島の先端の伊方町三崎港まで通じる「メロディーライン・夕やけこやけラインコース」(78キロ)を整備する。

ファミリー向けでは「砥部焼の里めぐりコース」(砥部町)、「水めぐりサイクリングコース」(西条市)など4〜26キロの短いコースを設定、順次整備を進める。(2013/2/19 日本経済新聞)

愛媛マルゴト自転車道計画を策定、サイクリストの聖地に向けて


しまなみ海道しまなみ海道の一方の基点である愛媛県が、「愛媛マルゴト自転車道」計画を公表しています。最近は、自転車都市を目指すところが増えていますが、県全体で自転車道を増強しようという構想です。しまなみ海道という世界にも誇れる自転車道があるわけですから、これを生かすことにもなるでしょう。

隣の香川県が「うどん県」をアピールして話題になりました。その香川県を手本にして「おんせん県」を打ち出したのは、豊後水道の向こう側の隣、大分県です。その間にある愛媛県は、「自転車県」を標榜してもいいかも知れません。しまなみ海道から、さらに県内へ観光客を引き込むことで、観光振興も期待できるでしょう。


◇ ◇ ◇

自転車利用者にルールを遵守させる方法、道路の構造的な問題、子供を乗せる自転車の安全の確保、自転車道などのインフラ整備推進、いずれも一朝一夕には進まないと思います。しかし、広く問題意識が共有されることで、改善へのステップとなっていくことを期待したいところです。





ジャンプの高梨沙羅選手、すごいですね。不利とされる低身長を物ともしない圧倒的な強さ、ソチが楽しみです。

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この記事へのコメント
川崎市幸区の事故現場に立ち寄った。片側1車線の比較的交通量の多い道路で、歩道は幅
1mほどしかなくかさ上げされて縁石部分で約30cmほどの段差。そして電柱が歩道の真ん中
に突き刺ささるように立っている。都内の道路はかさ上げ歩道とガードレールがセットに
なっていることが多いが、現場はそうなっていないし、ひき逃げがクローズアップされた
川崎市多摩区生田の同様の自転車事故現場も県道なのにガードレールのないかさ上げ歩道
だったりする。歩道をかさ上げしておかないで路側帯としておくと路上駐車を誘発する絶
妙な幅員のため、かさ上げが必要なのだろうが、そんなバイク免許の一本橋テストのよう
な歩道を車道側にバランスを崩したら足付きは困難で転倒必至。疋田御大は右側通行だっ
たから、とメルマガで書いているが、車輪の前に投げ出されれば順走逆走関係なく轢過は
免れまい。川崎の2件の死亡事故は自転車の劣悪な走行環境が大きいと思われ。
Posted by buunyann at March 01, 2013 23:51
buunyannさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
事故現場に行かれましたか。1メートルの歩道の上ですれ違うというのは危険な状況ですね。当然ながら、スピードを緩めなくてはならないでしょうし、そうなるとフラついたり、バランスを崩すことは当然ありうるでしょう。
私は現場を見ていないのでわかりませんが、車道にも走行余地は少ない場所なのでしょう。
走行環境が厳しいのは間違いないと思いますが、むしろ車道走行(もちろん左側通行)してしまったほうが、少なくとも転倒の危険が少なかった可能性があったのではないかと思います。
いずれにせよ、自転車を歩道走行させるという間違った道路行政によって、多くの人が自転車での左側通行を意識しなくなり、狭い歩道上で交錯するような状況を招いたわけで、それも悲劇の背景にあるような気がします。
Posted by cycleroad at March 02, 2013 23:47
 
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