March 27, 2013

自然と守らせるよう仕向ける

自転車に乗る人のルール無視が問題となっています。


警察庁は、信号無視などを繰り返す悪質な交通違反に対しては厳しい態度で臨み、摘発や罰金刑の適用も辞さない方針を打ち出しています。違反者に対しては、まず安全講習の受講を義務付け、受講しない場合に罰金刑を課すような道交法の改正試案も公表しています。

ナビライン法令を遵守しているサイクリストにとっても迷惑ですし、取締りの強化の必要性は多くの人が認めるところだと思います。しかし、信号無視などの悪質な違反以外にも、比較的軽微な違反について、日常的にルールを無視する利用者が後を絶ちません。一時不停止や逆走などの違反は日常的に見受けられます。

比較的軽微とは言え、それらの違反が事故につながる例は少なくありません。クルマとの事故、自転車同士の事故、歩行者との事故も含め、事故には何らかの交通違反が関係しているケースも多いことが知られています。悪質とされている違反以外でも、事故を防ぐために守るべきルールがあります。

しかし、一時不停止や逆走などは、違反者があまりにも多いのが問題です。とても警察が取り締まりきれるような数ではないしょう。日本では、歩道走行という悪弊が認められてきたため、自転車に乗るにも歩行者感覚になってしまい、こうしたルール違反に無頓着な人が多すぎるのも問題の背景にあります。

自転車を歩道走行させるような道路行政を改め、自転車は車両の一種であり、免許はなくても、クルマやオートバイと同じように道交法に基づいて走行しなければならないという意識を浸透させていく必要がありますが、問題は、その方法です。地道に広報活動するしか道はないのでしょうか。

Smart Speed BumpsSmart Speed Bumps

こちらは、クルマ用ですが、メキシコで開発された速度に応じて突起が変わるハンプです。法定速度を超えて接近するクルマには、突起が出て障害となってクルマに速度を落とさせます。安全な速度であれば、大きな突起は出てこないので、ほとんどショックもなく通過することが出来ます。

自転車用にも、このようなハンプをもう少し小型化したような装置を設置するというのはどうでしょう。一時停止が義務付けられている交差点に設置し、スピードを落とさずに通過しようとすれば、大きな障害物となり、充分に減速した場合には、なにごともなく通過できるようにするわけです。



当然ながら事故を誘発するような障害物は問題です。減速しても乗り越えると不快なショックを与える障害物では支持されないでしょう。しかし、不快なショックを感じたくないため、自転車に乗る人が誰でも減速するような装置を開発すれば、一時不停止による事故は相当に減らせるのではないでしょうか。

もちろん、予算的な制約もあるでしょうから、一時不停止によって事故が多発する交差点、見通しが悪いなど、ある程度危険が予見される場所に重点的に設置することになると思います。完全に一時停止させることは出来ないにしても、相当程度減速させれば、一時不停止の危険は大幅に減らせるはずです。

逆走防止装置逆走防止装置

こちらは、高速道路の流出路などに最近整備されているクルマの逆走防止用の警告サインです。逆走してくるクルマを検知すると音や光とともに、警告を発出するようになっています。近年、認知症の高齢者などが誤って逆走して進入する事態が増加しており、その対応として設置が始まっているようです。

逆走の方向を向いていますから、普通の人が普段見ることはありません。逆送しない限り、目に入らないようになっています。ふだん目にしないだけに、目にした時には、そのぶんインパクトが高まるという効果も見込めるのかも知れません。

逆走防止装置逆走防止啓発ポスター

このような警告看板を自転車の逆走防止にも使えないでしょうか。必ずしも検知して光ったりするものでなくても構いません。逆走であることを知らせる看板を、自転車が逆走する方向に向けて、道路の端などに設置するのです。自転車の逆走を防ぐ一定の効果が見込めるのではないでしょうか。

信号無視などは、確信犯だと思いますが、自転車の逆走については、無頓着だったり、自転車まで逆送禁止とは思わなかったなど、法令を知らないケースも考えられます。道路の端に自転車レーンを設けたり、青色などにペイントしたり、走行方向の矢印などを描くのと同時に整備してはどうでしょうか。

メロディーロードを示す標識 Photo by shidax,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.場所が限られていますが、メロディーロードというのがあります。これもクルマ用ですが、通過すると走行音、ロードノイズがメロディーのように聞こえる舗装が施された道路です。高速道路などでも、帯状の舗装で一定のリズムで音が鳴るようになっていて、減速を促すような場所があります。

単に音が鳴るだけでなく、メロディーまで奏でるとは、なかなかスゴイ技術だと思います。こうした技術を使って、自転車に対しても、舗装によって注意を促すような方法は考えられないでしょうか。これを、自転車レーンのカラー舗装をする際などに取り入れてはどうでしょうか。

例えば、逆走するとイヤな音がしたり、走行しにくかったり、細かく不快な振動を起こすといった舗装は出来ないでしょうか。クルマ用ですが下の写真のような段差などを使い、一定方向に滑らかで、逆方向だと抵抗が大きくなるような舗装、あるいは接着するシートのようなものも考えられると思います。

強力な抑止効果はなかったとしても、わざわざ不快な思いをすることもないと、少しずつでも違反者が減り、改善する効果が見込めるのではないでしょうか。ルールを周知する効果も相まって、だんだんと逆走が減り、正しい方向に走行する人が増えれば、余計に逆走がしにくくなるでしょう。

逆走防止用ハンプ

逆走防止用ハンプ例えば徒歩の場合、鉄道の駅やコンコース、エスカレーターなどで、特に明文化されていなくても、自然と人の流れが出来ています。エスカレーターで片側に寄って急ぐ人のスペースをとったり、前の人に従って歩いたり、列を守って並んでいたりします。

規則に従いたくない、自分の好きにしたいと考える人でも、わざわざ列を乱したり、周りの人と違う動きをするのは骨が折れます。あえて列を乱すより、流れに従ったほうがラクですから、無意識に周囲に従うようになるものです。自然と秩序が出来ていくわけです。

自転車については、現状かなりの無秩序状態にあり、そのことがルール無視を助長している面があると思います。信号無視のような確信的な違反でなくても、逆走や一時不停止などは危険な違反であり、守るべき秩序を乱す行為であり、周囲への迷惑だと認識していないような人も多いはずです。

交通違反の取締りや罰則の強化も必要だと思います。その抑止効果も否定するわけではありません。しかし、どうせ捕まらない、軽微な違反だから注意で済む、周囲もみな守っていない、などと考えている人が多いのも確かです。だからこそ、状況が改善に向かわないということもあると思います。

広報活動や教育などの重要性も否定するわけではありません。しかし、知っていても周囲が守っていないからと守らないような人も多いはずです。即効性は期待できないかも知れませんが、ここで例示したような設備的な工夫をすることで、少しずつ、自然と秩序が確立していくのを促すような方策も必要ではないでしょうか。


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ヨルダン戦は、なんとも鬱憤がたまる感じの試合でした。次はホームですし、大丈夫だと思いたいですが..。

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この記事へのコメント
車道を交通法規を守って自転車で走っていると本当にこの国には自転車は信号無視してもよろしい
という法規が存在するんじゃないかと思ったりします「え?俺だけが知らないの?」みたいな。

交通安全運動中の交通指導員の目の前を信号無視の自転車が行き交って誰一人として注意もしないのも見たことが有ります。
自転車の交通切符制度や厳罰化の前に学校や一般への自転車交通ルールの啓蒙や警官による注意(注意しない警官結構多いです)をきちんとして欲しいですね。
「自転車は歩行者」という感覚がもっと悪化して「自転車は少々ルールを無視してもいい乗り物」になってきているように思います。
Posted by れき at March 29, 2013 17:31
れきさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
みんなで渡れば怖くないではありませんが、みな無視して行くのに、一人停止していると馬鹿らしく思えてしまったりすることがあるのは事実ですね。
警察官も、注意しても無駄だと感じているのでしょう。もちろん職務怠慢ということになりますが、注意してもその場だけ神妙にして、誰も真に受けないということもあるのでしょう。
クルマの青キップと比べて、いきなり刑事罰というのも酷ですし、その下には実効性のある罰則がないというのは、法律の不備であり、警官が無力感を感じるのも、わからないではありません。彼らも人間ですし..。
法治国家なのに、法律を守らなくてもいい状態になっているというのは、考えようによっては深刻な話で、広く国民の順法意識が希薄になっていきかねないと思います。
Posted by cycleroad at March 30, 2013 23:54
 
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