March 30, 2013

自転車の常識を覆すフレーム

自転車の特徴はフレームで決まります。


もちろん、他の要素もありますが、同じカテゴリーの自転車だったら、その乗り心地や個性を決める要素の多くをフレームが占めると言っても過言ではないでしょう。他のパーツに大きな違いがない場合が多いということもありますが、やはりフレームの形状や素材などが変わると、その特徴は大きく変わります。

形状もそうですが、材質も、ママチャリなどに使われるハイテン鋼から、クロモリにアルミ、カーボンやチタン、マグネシウムなど、さまざまな素材が使われています。過去に取り上げましたが、中には、木や竹、ダンボールで出来た自転車まであります。今回はフレームに注目してみたいと思います。

50th anniversary limited-edition bicycle

こちらは、レースなどでもお馴染みのスイスの自転車メーカー、BMCの“Impec”をベースにして製作された、イタリアのスーパーカーメーカー、ランボルギーニの50周年の記念エディションです。カーボンファイバー製のフレームですが、なんと値段は2万5千ユーロ、約300万円です。

50th anniversary limited-edition bicycle50th anniversary limited-edition bicycle

50th anniversary limited-edition bicycle50th anniversary limited-edition bicycle

一部のサイクリストには垂涎の的のBMCの“Impec”ですが、さすがに300万というのは、そうそう売れる値段ではないでしょう。世界で50台の限定販売です。どんな乗り味なのか、買わないにしても、一度乗ってみたいと思う人は多いのではないでしょうか。

Clarity Bike, studioblog.designaffairs.com

フレームには、金属やカーボン以外にも、いろいろな素材が使われますが、これはその中でも異色の透明なフレームです。シースルーで、向こう側が見えてしまうというのは、なかなか斬新な絵です。ガラスで出来ているのかと思えばそうではなく、実は特殊な透明のポリマーが使われています。

Clarity Bike, studioblog.designaffairs.com

Clarity Bike”と名づけられたこの自転車のフレーム、“Trivex”と呼ばれる素材で出来ています。見た目にはポッキリ折れそうな気がしてしまいますが、実はヘリコプターのフロントの窓の部分やジェット戦闘機のコックピットを覆う天蓋部分に使うために開発されており、非常に強度の高い素材なのです。

Clarity Bike, studioblog.designaffairs.com

強靭な上に軽量で、しかも金型に高圧で流し込んで成形することも出来ると言います。これを使えばかなり自由度の高いフレームがデザインできることになります。内部から光らせるなど、いろいろな工夫が考えられますので、今までに見たことのない不思議なフレームがつくれそうです。

全部が透明な自転車とはいきませんが、フレームが透明だと、道端にとめられていても、あまり目障りにならないかも知れません。家の中、壁などに掛けて保管しておいても、あまり圧迫感を与えないなどのメリットも考えられます。普及したら、ちょっと面白いかもしれません。

The Carma Project, projectocarma.com

The Carma Project, projectocarma.comThe Carma Project, projectocarma.com

こちら、独特の形をしたフレームですが、実は廃車になったクルマからリサイクルしています。少し前に、同じように廃車から作り上げる自転車を取り上げましたが、それとは全く別のプロジェクトです。クルマより自転車というトレンドを象徴するものとして、似たようなことを考える人が増えているのかも知れません。

The Carma Project, projectocarma.comThe Carma Project, projectocarma.com



The Carma Project”は広告会社の後援によるプロジェクトですが、廃車になったクルマのパーツを使い、伝統的な自転車のフレーム形状にこだわらずに製作されています。クルマには多くの素材が使われていますので、工夫次第では、いろいろな部分が自転車のパーツとして再利用できるようです。

Flyknit covered bicycle

ガラリと変わって、こちらもあまり見ない自転車です。さすがにニット素材のフレームというわけにはいかないので、普通のフレームにニットのカバーを被せてあるだけですが、普通の自転車とは違う、柔らかな素材感が出ていて、何かオシャレな雰囲気を醸し出しています。

これはナイキ・ジャパンが東京の原宿で行われたイベントに出展された自転車です。常識的に考えれば、わざわざ重量を増やしたり、風の抵抗を増やすこともないということでしょうけれど、街をポタリングするのに使う自転車ならばアリかも知れません。服とコーディネートしたりするのも新鮮な感覚でしょう。

prodUSER, www.tristankopp.com

prodUSER”と名づけられた、こちらの自転車、写真ではフレームが木の枝になっています。実は、この自転車、フレームを自分で自由に選んだり、取り替えたり出来るというコンセプトです。フレームに使う素材は、必要な強度を満たせば、なんでも構いません。

prodUSER, www.tristankopp.comprodUSER, www.tristankopp.com

森で拾ってきた木の枝でもいいですし、ヨットで使うデッキブラシの柄でも構いません。工場の配管に使うようなパイプでもいいですし、花壇の柵に使うパイプを流用することも出来ます。もちろん、サイズだって自分の好みに合わせて自由にカットして調整できます。

prodUSER, www.tristankopp.comprodUSER, www.tristankopp.com

言われてみれば、何の変哲もないことですが、チューブ部分は何を使っても自由というフレームは、今までにないアイディアと言えるでしょう。自分のセンスや個性を反映したオリジナルの自転車が、ジョイント部分を使って手軽に組み立てることが出来ます。

prodUSER, www.tristankopp.comprodUSER, www.tristankopp.com

竹でも木でも、気に入った素材を自分で削ったり、乾燥させたり、塗装したり、自由に使うことが出来ます。乗っていてヒビが入ったりしても、自分で簡単に交換出来るわけです。自分でフレームを修理するなんて思いもよらなかった人にとっては、目からウロコのアイディアかも知れません。

prodUSER, www.tristankopp.comprodUSER, www.tristankopp.com

既製のフレームを使っている人から見ると、安全面など大丈夫かと思ってしまいますが、廃材などを利用してフレームから手作りで自転車をくみ上げてしまうような人も世界にはたくさんいます。そうした人から見れば、便利なキットなのかも知れません。考えようによっては、とても自由な発想です。

市場に流通しているような自転車だけでも、種類やフレームなどの違いによって、たくさんの個性的な自転車がある気がしていましたが、こうして見てくると、それも常識の狭い範囲内だったと感じさせます。自転車のフレームだけをとっても、まだまだ進化の余地は大きいと言えるのかも知れません。





富士五湖の一つ、河口湖の水位が低下しているそうですが、なんか不気味な感じですね。

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この記事へのコメント
cycleroadさん こんばんは。

BMCのBike! 乗ってみたいですよね。
でも脚力のない私が乗っても、通常のBikeと
何ら変わりはないでしょうが。

せっかくのお話に水を差すようで恐縮ですが、
素敵なデザインのBikeのほとんどに、
「ブレーキが装備されていない」のが残念です。
それも含めてデザインとしてもらえないものでしょうか...。
安全性や利用者のモラルが問われる昨今ですので。
Posted by Fischer at March 31, 2013 20:39
日本における自転車は、現在、自動車販売不振の種と捉えられ、公共交通からも客を取り去っている存在あるポジションであり、その割にロビー活動は弱い。
自転車は、現代日本において、排ガスも騒音も出さない最もクリーンで健康的で経済的な乗り物であり、実際、消費者に選ばれている。自転車には、人々から選ばれるだけの魅力がありますから。されども政治力的にはまだ成長途上です。

そして今、自動車の速度超過や違法駐車、横断歩行者妨害等のモラルハザードはなぜか主要メディア、テレビ、新聞等に取り上げられず、車体重量や占有面積、速度的に弱者である自転車のモラルばかりがアンフェアなまでに取り上げられる。
自転車レーン上の違法駐車や、自転車レーン上の歩行者をマスコミが熱意を持って取り上げないのも不思議なところです。
また、歩道上で人をもっとも死傷させているのは、自転車でもなんでもなく、自動車(自動車の歩道飛び出し等)だという事実さえろくに伝えずに、歩道上の自転車だけを目の敵にする始末。
日本におけるマスコミは昨今の自転車問題において、取り上げやすいところから徹底的に取り上げバッシングするという、一種のメディア・スクラムの異様な状態にあります。
制動部品に関してもおおらかな諸外国の文化に対して、日本の現在のマスコミの異様な「サイクルバッシングキャンペーン」のなかの価値観でモノを見るというのは、やや一点的であると私は思います。
Posted by 佐藤 at April 02, 2013 07:30
わたしは、サイクルロード氏が紹介されたどのBikeも、素敵だと思いますよ。いずれにおいても趣向があり、哲学があり、趣がある。もっともっと、世界の自転車を知りたいという欲求が強まるばかりです。
サイクルロード様、いつもありがとうございます。あなたのお書きになっている記事は、自転車における私のすべてをポジティブにしてくださっています。これからも、自転車にまつわる魅力的な記事を執筆し続けてくださいませ。
Posted by 佐藤 at April 02, 2013 07:32
Fischerさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
もちろん、私が乗っても脚力不足で話しにならないと思います。乗るべき人が乗らないと、宝の持ち腐れになるレベルなのは間違いないでしょうね。

確かに、フィックスギヤになっているものが多いですね。ただ、あくまでコンセプトモデル、あるいはイベント展示用モデルということだと思います。
市販されていないものもありますし、“prodUSER”なども最後のカットにはブレーキが装着されています。Carma Projectなんかも、実際にお客に渡す場合は、ブレーキをつけるでしょう。その国の法規や、お客の要望にもよるとは思いますが..。

Posted by cycleroad at April 02, 2013 23:40
佐藤さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに、クルマをやめて自転車にする人もありますが、それは元々都心部で公共交通が発達しているなど、クルマが必ずしも必要でない人たちでしょう。
自転車ですべての移動や運搬が代替できる人ばかりとは限りません。自転車とクルマが競合しない部分も多いと思います。
中には、自転車がきっかけでクルマを手放す人もあるでしょうが、自転車がクルマ販売の不振の種とまでは言えないのではないでしょうか。あまりそのような論調も見かけない気がしますが..。
もっと他の理由がたくさんありそうな気がします。
産業的にも波及効果が小さく、クルマ産業とは比べものになりません。影響力や政治力が小さいのはその通りでしょう。
マスコミも自転車メーカーなどに対し、スポンサーとして気を使う必要がないのかも知れませんが、わざわざ目の敵にする理由も乏しい気がします。
(続く)
Posted by cycleroad at April 02, 2013 23:55
(続き)
欧米では、歩道に自転車は走っていないですし、自転車環境や自転車行政の歴史的な経緯なども全く違います。自転車文化が全く違うという面もあります。
ノーブレーキピストが槍玉に上がっているのは日本の事情ということもありますし、海外とは、法規や人々の見る目も違うでしょう。
ただ、実際にブレーキが必要ないわけではなく、大多数の人は、普通にブレーキのついた自転車に乗っています。
ここでの例は、コンセプトモデルや展示用というふうに考えたほうがいいと思います。
いつもお褒めいただき、また応援していただき、ありがとうございます。
Posted by cycleroad at April 02, 2013 23:57
 
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