May 05, 2013

子供に何が不足しているのか

今日はこどもの日です。


ゴールデンウィークのうちの一日というだけになっている家庭も多いと思いますが、古くは端午の節句として親しまれ、1948年からは、こどもの日として、こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかり、こどもの健全な発達を願う日とされています。ちなみに5月5日は自転車の日でもあります。

子供の幸せは親の共通の願いです。でも、そのためにどのような育て方をするか、教育をしていくかは各家庭によっても考え方が違うと思います。早くから塾や習い事をさせたり、俳優・タレントやプロサッカー選手、プロゴルフ選手などに育てるべく、英才教育を施す人もあります。

塾や習い事に忙しいためか、子供が屋外で遊ぶ姿を見ることが減っています。あるいはゲーム機などの普及のせいもあるのかも知れません。友達同士で屋外で遊んでいるのに、スポーツや体を動かす遊びではなく、ひたすらゲーム機をのぞきこんでいる光景を目にすることもあります。

Ciclovías, www.cicloviasrecreativas.orgCiclovías, www.cicloviasrecreativas.org

子供の教育方針について、どうこう言うつもりはありませんが、とかく勉強や習い事、テレビやゲームなどに夢中になり、身体を動かす機会が減っていることにも親は留意すべきでしょう。昔の子供と比べ、今の子供は体力的、身体能力的に大きく劣っているのは、よく報じられているところです。

スケジュールがタイトなのか、親がクルマで塾などに送り迎えをする光景は珍しくありませんが、子供が歩いたり、自転車に乗って通うシーンを見ることは少なくなってきた気がします。もちろん治安の問題もありますし、交通事故のリスクもあって、仕方のない面はあるでしょう。

子供が自転車に乗ることについても、各家庭でいろいろな考えがあると思います。いつから乗せるか、どの範囲まで乗せるかについても、周辺の道路事情などもあって一概には言えないと思います。今回は、その判断の参考として、記事とサイトを紹介したいと思います。


徒歩や自転車で通学すると集中力が高まる、デンマーク研究

集中力が高まるデンマークのコペンハーゲン大学(University of Copenhagen)とオーフス大学(Aarhus University)の合同研究チームは23日、子どもたちが徒歩や自転車で通学すると授業での集中力が高まることを示した論文を発表した。

研究チームは、5〜19歳の児童・生徒1万9527人を対象に運動の習慣を尋ねた後、集中力を測る基礎テストを行った。その結果、学校まで車で送ってもらったり公共交通機関で通学していた生徒たちよりも、徒歩や自転車で通学していた生徒たちのほうが、テストの結果が良かったという。

論文の共著者、ニルス・エーイェルンド(Niels Egelund)氏は「通学時の運動が、およそ4時間経過した時点での集中力に反映されていた」と説明した。

この結果は研究チームを驚かせた。研究は元々、生徒たちの朝食や昼食の有無が集中力に影響するという仮説を証明するために行ったものだったからだ。

エーイェルンド氏によれば、朝食や昼食の有無も集中力に影響を与えていたが、通学時の運動の有無による影響のほうが大きかった。「小学3年生の場合、徒歩や自転車で通学すると、教育を受けた期間が6か月長い児童に相当する程度にまで集中力が増す」という。

「運動した後にリフレッシュした気分になることは良く知られている。だが、その効果がこれほど長く続くことは私たちにとっても驚きだった」とエーイェルンド氏は語った。(2012年11月26日 AFP)


教育熱心で、子供の成績を上げるためにいろいろ手を尽くす親も多いと思いますが、通学時に徒歩や自転車を使うだけで学習効果を高めることには注目していいでしょう。朝食の有無はよく聞きますが、それよりも影響が大きかったというのは意外に感じた人も多いかも知れません。

自転車だと疲れてしまって、勉強に身が入らないというのは正しくないわけです。体力をつけ、最近低年齢でも増えている肥満の対策としても有効です。徒歩や自転車で通わせるだけで集中力がアップし、成績が上がるならば、一考の余地がありそうです。

Safe Routes to School, saferoutespartnership.orgSafe Routes to School, saferoutespartnership.org

以前も取り上げましたが、イギリスでは、子供を集団で自転車通学させ、大人が見守るプログラムなどもあります。学校へ自転車で通学できる安全なルート、自転車道を整備しようという運動も全英に広がっています。イギリスならではの事情もありますが、子供たちの運動の大事さが広く認識されているのです。

もちろん、日本では自転車通学させる環境としては難しい面もあるでしょう。子供を狙う犯罪もありますし、通学路での事故なども報じられています。あまり低年齢からの自転車通学は難しいと思います。ただ、19歳までの間であれば、あるいはチャンスがあるかも知れません。

Designed to Move, www.designedtomove.orgDesigned to Move, www.designedtomove.org

あの有名スポーツメーカー、ナイキが展開するサイト“Designed to Move”のレポートには、ちょっとショックな言葉が並んでいます。このままでは、今の子供は、その親よりも5歳早く死亡するという警告です。平均寿命が5年も短かくなるだろうという予測です。

レポートでは、広範囲にわたる運動不足の傾向を指摘しています。アメリカでは1960年代に比べて32%も運動する量が減っており、英国でも25%、中国では急速な工業化によって、1990年代と比べても、なんと45%も減っていると言います。



肥満の子供が急増し、国民医療費の増大も招いています。生活習慣病などに悩む人口も増え、親の世代よりも早死にするというのです。しかし、解決策は明確だと述べられています。運動をさせることです。親は子供が10歳になるまでに、運動習慣をつけさせることが重要だと言います。

その中の一つ、効果的な有酸素運動として自転車も推奨しています。自転車に乗る習慣が人々をより活発にし、鍵となる役割を果たす可能性にも言及しています。もちろん運動は自転車に限りませんが、何かわざわざ運動するのではなく、日常生活の中に身体活動が習慣となることが有効だと指摘しています。

Safe Routes to School, saferoutespartnership.orgCiclovías, www.cicloviasrecreativas.org

単なる移動の時間も有効な身体活動に充てることが出来る点で、自転車は素晴らしい効果が見込めるからです。もちろん自転車は、有効な運動の中のほんの一つに過ぎません。サイトでは、さまざまな有益なプログラムなどを紹介しています。すべて英語のサイトですが、興味のある方は一読をお勧めします。

子供にとって大事なことは、勉強や運動だけでなく、たくさんあると思います。ただ、統計的に見ても子供の運動不足が顕著なのは明らかであり、体力の低下や肥満などの不健康につながっているのも間違いありません。ややもすると、見過ごされがちな子供の運動不足、親がいっかり意識しておく必要がありそうです。





こどもの日ということは、連休も終盤です。帰りは渋滞を覚悟という方もあると思いますが、どうぞ安全運転で。

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この記事へのコメント
日本では、長きにわたって自動車優遇優先という極めて歪んだ文化を引きずってきた。これは、今となっては言うまでもありません。

『よい子は道で遊ばない』

こんな標語を、皆さん何度となく見かけたこと、耳にしたことがあると思います。そして、意識のなかに刷り込まされている。
つまり、あの標語はこう言いたいのです。

『自動車の邪魔になるから、子供は道で遊ぶな』

私は、これについて、本当に、残酷な標語であると感じています。

たとえば、道で遊んでいた子供が自動車加害により死傷するニュース記事が出たとします。
その記事を見て、自動車運転手を批難しないどころか同情すらするという歪んだ考えのもと、子供やその家族が、全国の自動車運転手らにネットで誹謗中傷されている。
これが、日本の自動車運転手らの現在のモラルであります。

先進国諸国においては、子供を守るために自動車を徹底的に抑制する施策をやっているというのにも関わらず、日本は子供らの権利よりも、自動車のわがままを通してしまっている。
Posted by 佐藤 at May 07, 2013 23:20
標語をもうひとつ紹介したいと思います。こちらも、誰しもが一度以上見聞きしたことがあるでしょう。

『クルマは急にとまれない』

この標語をもって、自動車への規制取り締まりを強化もろくにせず、自動車運転手への教育を徹底するでもなく
歩行者や自転車に対して「だから君等が気をつけろ!」というのが日本の異様な暗黒的な文化のひとつと言えます。

通学路が自動車により危険になっていて、子供らが危ない目に遭っていても
『クルマ脳』であるがゆえに子供らの人命、安全よりもクルマを優先し、野放しにしてしまう。
道が自動車により極めて危険になっている、子供の安全がおびやかされている。自転車の安全もおびやかされている。

ならば元凶である自動車を徹底制限、徹底取り締まりしてでも、子供や市民、弱者を守る。
人としての良心に沿えば、それが当たり前のことと言えます。その活動に、なんらも遠慮も必要ありません。
人命は、自動車のわがままよりもはるかに重く、かけがえのない存在なのですから。
Posted by 佐藤 at May 07, 2013 23:21
そして今や、日本において道で遊ぶ子供は、本当に少なくなってしまった。そう思いませんか。
警察や行政も『クルマ脳』ゆえに、子供に対して道で遊ばぬよう注意してしまっているのでしょう。
そして自動車運転手も、上記の標語とそれに沿った行政の活動もあり増長してしまい
なんらの遠慮もなくクラクションや異常接近で歩行者自転車を威嚇し、また、実際に自動車加害により大勢の死傷者を出しています。自転車の比にすらならないほどに。

また、自動車という自転車より遥かに巨大で幅をとり、重量もある危ない車両を操作し、歩道のない通学路や生活道路を平気な顔で抜け道利用(通過交通)し、
制限速度以内ですら走らない暴走する自動車による地域の危険化は、全国的に深刻な問題としてあるほどです。

そして、そうした地域ほど少子化、過疎化に苦しんでいる。
そのような劣悪で危険な地域にわざわざ移住したい、住み続けたいと思う子育て家族が、どこにおりましょうか。
居ない、極端に少ない。ゆえに、人口減少、過疎化が進んでいる。
Posted by 佐藤 at May 07, 2013 23:22
増長した自動車運転手らが、道を危険にしていきました。
自動車企業から支援を受けているテレビや新聞などのマスコミも、自動車の非を強調せず、歩行者や自転車の非をことさら強調するものです。
そして、自動車運転手は増長し「自分は悪くない、歩行者や自転車が悪い。子供が勝手にぶつかってきた、子供や子供をしつけなかったその家族が悪い!」
という極めて破綻した人格のなか、自動車という、一瞬にして大勢の人命を奪える、爆弾や銃と同等の危険な凶器を運転してしまっている。
そして、地域の交通治安の劣悪化は、深刻さを深めていった。

そして日本では歩行者がもっとも自動車加害により命を奪われやすい惨状にまで、追い詰められていった。(状態別死者数 警察庁)
歩道で自転車がたくさん走っている国なのに、歩道でさえ自転車より遥かに自動車による甚大な死傷事故が多いという歪んだ状況に、日本は追い込まれていった。
日本の道路行政と自動車運転手らのモラルの劣悪さが、統計に示され、世界中の人々の目に映っています。
日本は、自動車のためなら歩行者と自転車を平気で蔑ろにする、自動車原理主義的な国なのだと。
それは、通学路の自動車通過交通の多さ、速度超過暴走自動車の多さ、無信号横断歩道における自動車の横断歩行者等妨害率の異常な高さにも、よくあらわれています。
Posted by 佐藤 at May 07, 2013 23:30
結果、子供は自動車に怯えてしまい道で遊ばなくなり、家でテレビゲーム等により時間を消費するようになりました。
外を歩きや自転車で元気に走り回る子供の姿は、活気のある地域のステイタスであると、私は考えています。
子供がクルマに怯えずのびのびと道で遊べる地域こそ、健全で、そして人の良心に沿った社会であると思います。

外を歩きや自転車で元気に走り回る子供の姿、そういった子供らの姿を、本当に見かけなくなってしまった。
自動車を優先し、歩行者自転車をないがしろにすればするほどに、地域は危険になり、そして、活気が失われていった。
実際、個人所有自動車前提の地域ほど、少子化が激しいと聞きます。そして、高齢化も。
病院や食料品店、役所等生活拠点が遠という自動車前提構造のなか高齢化が進み、皆が自家用車依存を強めたがゆえに公共交通も衰退。
されど体力の衰えゆえに自動車運転をやめる高齢者が増え、交通難民が急増。
自動車に依存しないコンパクトシティを目指さなかったつけが、今になって、次々と表面化、社会問題化しております。

自動車依存 そして自滅する地方
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/archive?word=*%5B%BC%AB%CC%C7%A4%B9%A4%EB%C3%CF%CA%FD%5D
コンパクトシティは限界集落を見捨てない
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20080930/1222765022
Posted by 佐藤 at May 07, 2013 23:32
道が危ないなら公園で遊びなさい、という大人の声もあるでしょう。

ですが、子供が公園に行くにしても「公園までの道」が自動車の危険な通行を許してしまっているがゆえに危険であり、結局、家にこもるようになります。
そして、サイクルロード氏のおっしゃるとおり、子供らの肥満、そして大人たちの肥満にもつながっていった。
クルマ優先という過ちが、子供をがんじがらめにしてしまっている。
『クルマ脳』からの脱却により、それは根本から見なおして当然であると、私は思うところでもあります。

子供がまた、道で元気にのびのびと遊べる社会へ。
クルマは、それを侵害したり邪魔しては決してならないと思います。
クルマを徹底的に抑制、制限してでも、ヒトのための道をつくる。
そうしてこそ、元気で健やかで、活気とにぎわいがある、清らかな地域づくり実現が、はじめて為せるのですから。
Posted by 佐藤 at May 07, 2013 23:34
最後に、こちらの記事の紹介で、しめくくりたいとおもいます。

道はだれのもの?札幌21 http://blog.goo.ne.jp/sapporo21net/4
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/59/85e8d657fc6608505346e2e7ad71e774.jpg

昔の広告「道ばたの三輪車は…」
2012年07月13日 | 切抜き・転載
昔の新聞の広告に興味深いものを見つけました。

[1973年11月18日読売新聞に掲載された広告]

昔の人は子供の特性をよく理解していたのだとわかります。
自動車産業も昔は良い広告を出したものです。
(出さざるを得なかったのかもしれませんが)

最近はそれを忘れて、子供にだけ交通安全教育に熱心で、
責任を子供側に移そうとしているようにも感じられます。
広告にあるように、予測運転、弱者を優先させることが重要なのです。

マスコミの報道がクルマを擁護し、交通弱者に厳しい目を
向けている原因も、間接的には自動車産業の広告費ですから、
(誇張してます。あくまで影響の一部と思います)
クルマ優先に慣れてしまって、自動車産業自体の意識も
変化してしまったのかもしれません。(T.F生)
Posted by 佐藤 at May 07, 2013 23:38
歩き疲れて公園のベンチで休息しながら思った。クルマは動くベンチだと。道路は「どこでもベンチ」の巣窟かもね、仕事中毒と消費中毒と運動不足が乗客(上客)の。

最近のご時勢を問うた本です。
移行期的乱世の思考(平川克美)
祖国よ、安心と幸せの国となれ(リヒテルズ直子)
経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか(ダグラス・ラミス)
Posted by Share The Road at May 08, 2013 20:01
佐藤さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
子供がゲーム機などの遊びに惹かれている部分も否定できませんが、クルマが危険なので親は子供を外で遊ばせたくないということもあるでしょうね。
おっしゃるように、モータリゼーションの歪みが子供たちの遊び方や健康、身体能力に影響し、しわ寄せが来ていると見ることも出来ると思います。
都市化が進み、子供を安全な環境で十分に遊ばせることが出来ないということもあるでしょう。
子供の生育環境と道路交通だけを取り上げて議論するわけにはいかないと思いますが、クルマ優先の世の中になってしまったおかげで、子供が交通事故の犠牲になっているというのは一面の真理だと私も思います。
現代の経済活動の中において、クルマの機動力は不可欠ですが、ドライバーがもっと子供や高齢者ばかりでなく、歩行者や自転車全般に対し、優先し保護する意識で運転するのが当たり前の国もあります。
日本では、そのあたりが不足しすぎているのも確かだと思います。
(続く)
Posted by cycleroad at May 08, 2013 23:43
(続き)
ご紹介いただいた広告、

「道ばたの三輪車は徐行標識と同じです。」

というのは、今はなかなか見ないタイプの広告ですね。出すとしたら公共広告機構あたりで、クルマメーカーが出していたというのは、今では考えられない感じもします。
子供が外で遊ばなくなり、道ばたの三輪車じたいを見かけなくなったということもあるかも知れません。
クルマメーカーも含め、特に居住地域では歩行者優先を徹底させるため、それを守らせるような道路政策やマナーの啓発などを進め、クルマ優先の文化を変えていく必要があることを多くの人に考えて欲しいものです。
いろいろ興味深いリンクをお教えいただき、ありがとうございました。
Posted by cycleroad at May 08, 2013 23:44
Share The Roadさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに座ったままで移動できるのは便利ですしラクですから、どうしてもクルマの利用に向かうのは、ある意味自然な流れなのでしょう。
クルマばかり使っている親が、子供に歩け、自転車で行け、運動しろと言っても説得力がないというのはあるでしょうね。
本の紹介を見てみましたが、どれも知的好奇心をくすぐる、非常に面白そうな本ですね。ご紹介ありがとうございます。
Posted by cycleroad at May 08, 2013 23:50
 
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