May 08, 2013

我々の生活の根本にあるもの

ゴールデンウィークが終わりました。


後半の初日、5月3日は憲法記念日だったわけですが、ふだんは憲法についてあまり意識していない人も多いのではないでしょうか。この時期は行楽地からのニュースに隠れ、メディアであらためて語られることも多くありません。ただ、今年は例年になく憲法について取り上げられることが多かったようです。

96条改正言うまでもなく、安倍政権が憲法改正を目指す発言を繰り返し、7月の参院選の争点に掲げる構えを見せているからです。自民党は結党時から憲法改正を党の政綱に掲げてきた政党ですし、安倍首相はそれを強く意識していることも知られています。その意味からすれば驚くことではありません。

個人的には憲法改正に必ずしも反対ではありません。世論調査などでも改憲容認という立場の人が多いとされています。新聞などの社説にも憲法改正すべきだとするものが多く見られ、自民党以外にも、日本維新の会やみんなの党などが基本的に憲法改正を目指す立場を表明しています。

しかし、まず憲法改正の手続きを、両院の3分の2以上から過半数に改める、憲法96条の改正から手をつけるというやり方について異論を唱えている人が少なくありません。私も、憲法改正の手続きを改正して改憲しやすくすることは大いに問題だと考えています。

「日本国憲法が出来て一度も改正されていないのはおかしい。」「占領時代にアメリカから与えられた憲法をいつまでもそのままにしておくべきではない。」「時代に沿って憲法改正をしていない先進国は日本くらいだ。」「憲法改正の要件が厳しすぎる。」といったところが96条改正を煽る声でしょうか。

憲法改正論議安倍首相も、「国会議員の3分の1を少し超える人が反対したら、指一本触れられないというのはおかしい。」と発言しています。日本のための憲法を日本人自身で変えていく必要は多くの人が認めているのだから、厳しい手続きを緩和しようとの主張は、一見正しく見えます。

安全保障上の懸案が山積する中、必要な措置をとるためにも憲法を改正するのが喫緊の課題のようにも思えます。一方、高い内閣支持率を背景に、今のうちに憲法改正への道を整えておこうという思惑も見え隠れします。果たして憲法改正のハードルを低くしていいものなのでしょうか。

確かに諸外国では当たり前のように憲法改正がなされています。アメリカは戦後だけでも6回、フランスは27回、イタリア15回、ドイツ58回、中国9回などとなっており、日本の0回というのは突出した数字で異様な感じさえするのは確かです。

護憲派、募る危機感しかし、回数が多いからといって手続きが簡単なわけではありません。アメリカでは上下両院の3分の2以上の賛成だけでなく、全州の4分の3以上の州議会の賛成が必要で、日本よりハードルは高くなっています。ドイツも両議会の3分の2以上の賛成が必要です。

ドイツの連邦参議院は州の代表者で構成されていて、州の賛成も必要になることから、やはり高いハードルです。フランスは発議こそ両院の過半数で可能ですが、国民投票では有効投票数の5分の3以上が必要など、やはり高いハードルを課しています。決して日本が改正しにくい条件になっているとは言えないのです。

専門家は、むしろ圧倒的多数の国が、日本より厳格な手続きを定めていると指摘しています。 改正できていないから厳しいように見えますが、そうではありません。自民党が「世界的に見ても、改正しにくい憲法」というのは、手続きに関して言えば正しくないことになります。

橋下共同代表そもそも諸外国とは憲法の体裁や政治の仕組みなどが違い、細かく憲法で決める国もあるので、単純に改正の回数を比較するのは意味がありません。憲法の改正をしたかどうかでなく、どういう理念を憲法に取り入れるかが重要なのであって、まず改正がされていないことを問題にするのは間違いです。

日本維新の会の橋下共同代表は憲法改正に前向きですが、「そもそも憲法は、特定の価値を国民に押し付けるものではなく、国家権力を縛って、その乱用を防ぐためのものだ。」とも発言しています。学校でも習いますが、これはまさに憲法の本質を言い表している言葉です。

権力者は常に堕落する危険があり、国として暴走することがあります。そのことを、特に日本人はよく知っています。そのため憲法で国家権力を制限し、人権を保障するために憲法があるのです。国民が守るべきルールである法律とは違い、国家権力を縛るものという点で全く違う方向を向いたものなのです。

ですから、憲法が簡単に改正できないようになっているのは当然です。法律と同じように、議会の過半数をとって政権を握った政党が、その意思で簡単に変えられるようなものでは意味をなしません。ですから、96条の改悪は憲法そのものの危機です。このことは多くの人が指摘していることでもあります。

憲法改正専門家によれば、3分の2以上で国会が発議し、国民投票にかけるのは、世界でも標準的な改正基準であり、少なくとも先進国で、憲法改正をしやすくする改正をしたところは無いと言います。いくら憲法改正が出来てこなかったからと言え、手続きを緩和するのは的外れなばかりか、言語道断の暴挙と言ってもいいでしょう。

そもそも一度も日本国憲法が改正されなかったのは、改憲を党是と言いながら、自民党が憲法改正に踏み込まず、憲法を都合よく解釈する、いわゆる解釈改憲を続け、ごまかしてきたからにほかなりません。勝手な解釈で改憲を必要なくしてきた自民党のせいで憲法改正が0回なのだと言ってもいいくらいです。

自民党は独自の憲法草案も出していますが、中身についての議論は慎重に避けています。中身では意見が割れることは明らかだが、手続きの改正だけであれば3分の2が集まると見て、まず96条の改正だけを遡上に載せているのはミエミエであり、姑息な手段と非難されてしかるべきです。



安倍首相は改憲のハードルが下がったら、集団的自衛権行使の容認に向かうのは必至でしょう。9条の改正も時間の問題です。安全保障上の危機感を持ち、必要な措置と考えているのだろうとは思いますが、それならば、姑息な手段をとるのではなく、9条改正に真っ向から挑戦するのが筋ではないでしょうか。

維新の会の橋下氏は、道州制の導入や首相公選制を導入したくて憲法改正に前向きのようです。しかし、憲法は権力を縛るものと理解していながら、その根本を揺るがすような改正をしてでも、自らの構想を実現しようとするのなら、やはり問題と言わざるを得ません。堂々と国民に訴えて中身を変えるべきです。



メジャーな新聞も憲法改正に賛成の論調が目立ちます。憲法に問題があるとの認識を持つ人は多いと思います。世論調査でも憲法を改正すべきとの意見が多くなっており、憲法改正を目指すことが悪いとは思いません。しかし、改正すべきは憲法の中身であり、改正しやすさではないはずです。

9条の是非とか、国防軍の定義、国旗国歌の明示、愛国主義の明文化、家族は互いに助け合わなければならないといった理念を入れるなど、自民党憲法草案の条文のいちいちについて、ここで議論するつもりはありません。しかし、これら内容について議論をするべきであり、96条改正論議にごまかされてはなりません。

憲法改正へここに書いたようなことは先刻ご承知の方も多いと思います。しかし、あまり憲法改正の論議に興味が無いとか、深く考えず96条改正もいいだろうと考えていた人もあるのではないでしょうか。そんな間隙を縫って、憲法という国民を守る大事なものを奪おうとする勢力を許すべきではありません。

ふだん自転車との関連から道路交通法とか、都道府県条例や施行細則のようなレベルのことを話題にしています。もちろん、身近で関心の高い分野です。しかし、それらも憲法があってこその話であり、憲法の重要性や、私たちが憲法によって権力から守られていることを忘れてはならないと思います。





連休が終わって、ドッと疲れが出るころかも知れません。寒暖の差も激しいですし..。

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