May 20, 2013

進化すると別の乗り物になる

自転車はさまざまに進化を続けています。


昔と比べれば、部品の改良や素材技術の向上などにより格段に性能がアップしていることを感じている方もあるでしょう。ただ、相変わらず人力の乗り物ですし、タイヤ・ペダル・チェーン・フレームなど、自転車の基本的な構造は変わっていないのが面白いと思います。

誕生以来、人力で移動する乗り物ですが、人力だけでは機動力に欠けると、原動機をつけた自転車が生まれ、原付バイクやオートバイへも進化しました。でも、相変わらず人力の自転車も、そのまま使われています。これが例えば馬車だと、クルマに進化したら衰退し、ほとんど使われなくなります。

近年日本で誕生した電動アシスト自転車も、一つのカテゴリーとなっていますが、いくらラクで便利でも、普通の自転車を席巻して電動アシストばかりにはなりません。他にも多くのカテゴリー、種類が誕生し、さまざまな進化をしていますが、相変わらずオーソドックスな自転車が廃れることはありません。

洗濯機になったら洗濯板は使われなくなりますし、掃除機があれば箒と塵取りは使わないでしょう。電気炊飯器があるのに、かまどで炊くのは不便ですし、電気冷蔵庫が出来たら、氷で冷やす冷蔵箱は姿を消しました。こうした道具と違い、オートバイが出来ても自転車はそのままです。

誕生当初こそ、足で蹴って進むものでしたが、ペダルやチェーンなど今の形が確立されてからは、基本的な構造は変わっていません。なんでも進化して新しい形へと変わっていく中で、自転車は、相変わらずでありながら古びないというのも、面白い気がします。

基本的に自転車は、枯れた技術、熟成した商品と言えるのでしょう。しかし、それでもなお、相変わらず新機軸を打ち出したり、新しい自転車の形を模索する試み、革新的な自転車を生み出そうとする人が絶えないのも面白いところと言えるのではないでしょうか。

これまでにも、変り種自転車から実用的な工夫まで、実にさまざまな改良や新発想を取り上げてきました。考えようによっては、改良の余地は少なく思えるのに、新しい自転車を生み出そうとする人は世界中にたくさんいます。ここにも、そんな新しい自転車を模索するアイディアがあります。

Loopwheels, www.kickstarter.comLoopwheels, www.kickstarter.com

こちらは、“Loopwheels”と名づけられた自転車のホイールの新しい工夫です。スポークの代わりに、板バネのようなスプリングを3本使っています。このスポークによって、一部の自転車に革新がもたらされる可能性があると言います。

ちなみに、ホイールにスポークを使う形も昔から変わっていません。バトンホイールやディスクホイールなど別の方式も一部にはありますが、ワイヤースポークが圧倒的多数でしょう。軽さや横風の影響軽減など、さまざまな利点があるため、クルマやオートバイとは違って、このスポークが使われ続けています。

ワイヤースポークは圧縮する力や曲げる力にとても弱く、引っ張り加重には強いという性質があります。そのためスポークは、例えば大八車の木の車輪のように、ハブとリムを結ぶ棒状の部分が下からハブを支えているわけではありません。その瞬間に、ハブから上へ伸びているスポークがハブをぶら下げる形で支えています。

Loopwheels, www.kickstarter.comLoopwheels, www.kickstarter.com

一般的に32本や36本のスポークが、ハブとリムの間を結んで配置され、ワイヤースポークには引っ張る形のテンションがかかっています。この引っ張る力でフレームとしての剛性を形成しているわけです。スポークのハブとの接続部分の形をよく観察すると、そのことがわかります。

スポークの角度や組み方などにも意味があり、ホイールの強度や荷重を決め、ハブからタイヤに回転力が伝わる際に、スポークに曲げようとする力が加わるのを避けるなど、実はとてもよく考えられた構造になっています。単にデザイン的に、見た目の美しさでスポークが組まれているわけではないのです。

スポークについて、ふだんあまり考えることはないと思いますが、そこには優れた仕組みや技術があります。あんな細い金属の棒で乗り手の体重が支えられるのには理由があるのです。その優れた特性があるからこそ、いまだに自転車の多くで使われているわけです。



そのスポークを板バネ状にするという大胆な挑戦です。今までにないホイールの形状です。板バネ状の部材でリムとハブを結ぶだけでなく、これによって路面のショックを吸収し、サスペンションのような働きも持たせることが出来ます。下からだけでなく、前方向からのショックを軽減出来るのも特徴です。

これを使えば、フォールディングバイクなど持ち運びの関係上、軽くしたい車種にもサスペンションを付けることが出来ます。スプリングには高強度で軽量なカーボン系の素材が使われているので、見た目ほど重くないようです。ただし、ブレーキはディスクブレーキにする必要があります。



折りたたみ自転が、乗り心地を良くするためのサスペンションを搭載する余地は多くありません。そこで、この
“Loopwheel”を使う意味が出てきます。タイヤの幅を小さくし、路面からの突き上げが大きくなってもスプリングがそのぶんを吸収します。つまり、走行性能を上げるため細いタイヤにも出来ることになります。

ハブの部分が振動するように動いてしまうわけで、回転力が効率よく伝わるのか、ペダルの力をロスする形にならないのかなど、疑問点がないわけではありませんが、新しい発想、今までにない挑戦であることは確かでしょう。今後、商品化されて普及するのか注目されます。

4 Strike Bike, 4strikebike.com4 Strike Bike, 4strikebike.com

こちらは、腕でもこぐ自転車“4StrikeBike”です。アイディアとしては以前からありますが、なかなか洗練されたデザインです。足に加えて腕も使うことで、パワーが増すだけでなく、足のペダルの力が加わらない点、上死点・下死点をなくすことが出来るといった利点もあります。

常に手でこぐ必要はなく、独自のフリーホイール構造になっており、空転させることが出来ます。こがずにハンドル操作に専念することも可能です。例えば上り坂などで、もっとパワー、トルクが欲しいという場所だけ腕でもこぐという使い方が可能なわけです。

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ふだん足でしか漕いでいない私たちの感覚から想像すると、違和感があります。しかし、考えてみれば、普通に走るのでも、二足歩行の人間より、四つ足の動物のほうが圧倒的に速いスピードが出ます。腕と足の両方を使って走るというのは、動物的には自然なことと言えます。

もちろん、人間が普通に走るのに、わざわざ這いつくばって手足を使って走るのは現実的ではありません。しかし、自転車ならば、手足の力を効果的に推進力に変えられるかも知れません。自転車に乗る姿勢で腕を使うのであれば、足に比べて短い腕もうまく使えます。

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4 Strike Bike, 4strikebike.com普通の自転車でも上半身を使わないわけではありませんが、やはり下半身の運動量が多くなります。これをバランスが悪いと感じる人ならば、腕も使うことで、より全身運動に近くなるでしょう。そう考えると、腕も使ってこぐのも、ある意味自然に感じられてきます。

例えば水泳を考えたとき、どんな泳法でも基本的には腕も足も使います。足だけというのは不自然です。陸上では二足歩行に進化してしまった人類が、手足を推進力に使うのは体形的に難しいわけですが、自転車を使えば、それを実現できるかも知れません。

全身を使うのが運動的、あるいは効率的にリーズナブルだったとしても、さすがに、普通の自転車がみな手足を使うようになるとは思えませんが、思ったより面白いコンセプトです。手でこぐなんて意味があるのかと思ってしまいますが、なかなか意味のある形と言えるのかも知れません。

こちら“ONDA Cycle”は、自転車の後輪がとれたか、壊れた自転車に見えなくもない、斬新な形をしています。前輪は自転車のものですが、後輪はキャスターです。キャスターを操作してブレーキにも使うことが出来ます。このおかげで何ともトリッキーな動きが可能になっています。

ONDA Cycle, www.kickstarter.comONDA Cycle, www.kickstarter.com

車体が低く、視線も地面に近いため、乗っていてもスピード感があるでしょう。BMXなどと同じでスピンをしたり、トリックを決めたりするタイプの自転車の新しい形と言えるでしょうか。形は斬新で、下手をすると子供用の三輪車に見えなくもありませんが、乗ればなかなか面白そうです。

ONDA Cycle, www.kickstarter.comONDA Cycle, www.kickstarter.com

自転車とキックボードやスケートボードなどを合わせた乗り物を考える人は少なくありません。これも、その要素があると思いますが、リカンベントのように前輪の前にペダルがついていることで、寝そべる形なのが新しいスタイルと言えるでしょう。後輪をハンドルするというのも工夫です。

スタンダードな自転車の形からくる固定観念を捨て、自転車だけでなく他の遊具を組合わせたりして、新しい乗り物を作ろうという試みはいろいろあります。その中でも、意表をつくスタイルですが、まだまだ、こうした手法にも、新しい可能性が埋まっているのかも知れません。



三者三様の発想で、自転車の新しい形を模索する例を取り上げました。相変わらずスタンダードな自転車の地位は揺らがないとは思いますが、一方で自転車の新しいカテゴリーや、自転車から生まれる新しい乗り物というのは、これからも増えていきそうです。





飯島内閣官房参与の北朝鮮訪問、なんとか拉致問題の膠着状態打破につながってほしいですね。

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この記事へのコメント
>ただし、ブレーキはディスクブレーキにする必要があります。

Loopwheelsはディスクブレーキでなく、Sturmey Archer のドラムブレーキハブみたいですね。
http://www.bikeradar.com/gallery/article/loopwheels-spokeless-suspension-wheel-on-show-37032

後輪へのワイヤーが2本出てるところから、後輪は内装変速付き?
Posted by buunyann at May 21, 2013 00:57
buunyannさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かにそのようですね。失礼しました。どこかで読み間違えたようですが、必ずしもディスクブレーキである必要はないみたいです。
内装変速機も使えそうです。
ご指摘、ありがとうございました。
Posted by cycleroad at May 21, 2013 23:35
 
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