May 29, 2013

年齢に関係なくサイクリング

自転車には何歳くらいまで乗れるでしょうか。


もちろん、人それぞれだとは思います。100歳とか104歳の現役サイクリストを取り上げたこともあります。高齢でも元気に自転車に乗っている人は少なくないとは思いますが、多くは周囲から止められるなど、何かのきっかけで、乗るのをやめることになるのでしょう。

経験していないのでわかりませんが、自転車に乗るのをやめた後、自転車に乗っていた頃を懐かしく思い出したりするのでしょうか。もう乗るのは無理だけれど、風を感じて走る感覚は、また味わってみたいと思うことがあったりするのでしょうか。

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そう考えたのかどうかわかりませんが、デンマークの、Ole Kassow さんは、昨年いいアイディアを思いつきました。ケアホームなどに入居しているお年寄りに、サイクリングをプレゼントしようというアイディアです。街を自転車でサイクリングして、また風を感じてもらおうというのです。

前に乗せるタイプのペディキャブ、人が乗せられるカーゴバイクを使い、お年寄りを乗せて、Ole Kassow さんほか自転車が大好きなコペンハーゲンのサイクリストグループがボランティアで自転車をこぐのです。これなら自分でペダルをこげなくても、サイクリングが出来ます。

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ケアホームなどに入居するお年寄りの中には、足元が覚束なくて外出もままならない人もいます。ホームの職員が車椅子などで散歩に連れて行ったりするかも知れませんが、なかなか人手も少なく、手が回らないこともあるでしょう。入所者たちは、一日中室内で過ごすケースも多いかも知れません。

そんなお年よりにとって、外出するだけでも気分転換になります。楽しいサイクリングの時間を味わってもらえば、きっと喜んでもらえるはずです。これは素晴らしいアイディアです。言われてみれば、全くその通りですが、なかなかそのことに思いが至る人はいないのではないでしょうか。

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往年はサイクリング好きだった人もいるでしょう。そうでなくても風が気持ちいいはずです。施設のクルマで、どこかへ連れて行ってもらうこともあると思いますが、自転車で直に風を感じたり、日差しを感じたり、草木の匂いを感じたりするのは、また格別の気分に違いありません。

自転車だと、ちょうどいい視線の高さで間近に街を眺め、街の空気を感じられます。クルマの窓越しに見るのとは違います。道行く人々から声をかけられたり、話したりも出来ます。屋外に出て、新鮮な空気を吸うだけでも違います。施設に閉じこもっているのに比べ、お年寄りたちの生活の質の向上にも貢献するはずです。

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「いくつになってもサイクリング」、素晴らしいアイディアだと思います。自転車は、乗る人を健康にし、より長生きさせ、幸福にします。それだけでなく、ほかの人に幸せを届けることも出来るのです。ただ自転車をこぐたげで、素敵な気分をプレゼントできます。

このボランティア活動、ロンドンにも飛び火しました。もっとほかの都市にも広がっていく可能性もあります。カーゴバイクが普及していない国や都市もありますが、車両があるならば、喜んで漕ぎ手になりたいというサイクリストは世界中にいるに違いありません。

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漕ぎ手と乗り手の世代を超えたつながり、交流も深まるかも知れません。ふだんは、なかなか接点もないでしょうから、これはお年寄りにとっても励みや楽しみになり、一方のサイクリストにとっても、楽しく社会貢献が出来る上に、お年寄りとの交流は嬉しいものになるでしょう。

写真の中にあふれる、お年寄りたちの笑顔が印象的です。ペディキャブの座席に座っていられさえすれば、誰でも出かけられます。ふだん、なかなか外出できないとしたら、どこか特別な場所へ行くわけではなくても、自分たちが過ごす街をサイクリングするだけで、とっても楽しいことでしょう。

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コペンハーゲンは、世界でも有数の自転車先進都市です。そこに住むお年寄りたちは、自転車に乗って育ち、自転車で出かけ、自転車を楽しんできた人が多いのは間違いありません。自転車に乗れなくなって寂しい思いをしていた人にとっても、大きなプレゼントではないでしょうか。

すでに自転車に乗る人の多いコペンハーゲンですが、Ole Kassow さんたちのグループは、さらに多くの人に毎日自転車に乗って欲しいと考えています。それが、より良い都市、より良いデンマークをつくることになると考えているのです。この活動もその一つの形であり、多くの人に加わって欲しいと希望しています。



日本でも自転車に乗って楽しんでいるサイクリストは多いと思います。乗って楽しいだけでなく、自転車のおかげで健康でいられ、病気を遠ざけて長生きをし、知らないうちに幸せをもらっている人も多いに違いありません。出来るならば、他の人にも幸せを届けられる人になりたいものです。





関東も梅雨入りのようです。自転車乗りには嫌な季節ですが、今年は早いですね。

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この記事へのコメント
素晴らしい事
とっても素敵な事ですね

我日本でも実現できればいいのですが
その前に、いくつもの会議と承認印が必要になるのでしょうね。
Posted by tettyan at May 30, 2013 06:38
心温まる素敵な光景です。

自転車が生活に密着している国ならではの発想ではないでしょうか?

これが日本だと…車道だと通常の自転車より幅をきかせますから、益々車のドライバーから邪険にされるでしょう。
では歩道は?同じく道幅は狭いですし、歩行者からも邪魔者扱いされるでしょう。
我が国民のなかには自転車は邪魔者と言う意識が強い(ルールを無視、暴走、原因は自転車乗り、そして自転車問題に真剣に取り組まない行政だと思いますが)なかなか実現には多くの壁がありそうです。

でもそんな困難を乗り越えて、みんなが優しくなれる、そんな国になって欲しいですね。
Posted by まえちゃん at May 30, 2013 08:43
日曜日に富田林市の自宅から滋賀の彦根市まで走行した。早朝6時半に出発。石川のサイクリング道路で 柏原市まで、東高野街道を四条畷まで、第二京阪沿いの国道を伏見まで、六地蔵を経て昼ごろに大津。近江八幡を経て彦根市に着いたのは午後3時過ぎ。走行距離150キロ。一時間ごとに休憩すればどこまでも行けそう。

ミッションインポシブル? JUST DO IT!
http://www.youtube.com/watch?v=N513bf9UVYA
http://www.youtube.com/watch?v=bQcdmMncG48
http://www.youtube.com/watch?v=NyXw-I00NiE
Posted by sharetheroad at May 30, 2013 10:15
三輪車はふらつかないから安全なのよ。
御堂筋サイクルピクニックに参加。
http://www.youtube.com/watch?v=RdQWTKrN5ww
Posted by sharetheroad at May 30, 2013 20:04
東京サイクリング協会あたりがタンデムを普及させようとしてるが、
ママチャリの安全化は前乗せペディキャブの方がいいかも。
主に子供を乗せるので幅は狭めで。
ママチャリが転倒して車に轢かれることなくなるわけで。

問題は、
普通自転車より幅があるので歩道走行は難しいし
さりとて日本の車道はお粗末だし。
Posted by buunyann at May 30, 2013 23:45
東京都知事も頓珍漢なアピール止めて
都内(山手線内)を「カーゴバイク、トレイラーフェスティバル」とか実施したら面白いかも。

こんなフレンドリーな自転車で都会をゆったり流せば
気分も良さそうです。

しかも都内は大した坂が無いからこの手のバイクが走るにはうってつけ
何なら最近性能が向上した電動バイクならトルクフルで楽しいです。
カーゴバイク、トレイラーに乗せるお年寄りは嫌らしいかも知れませんが
実力者、政治家、有識者、引退した警察官
こうすれば発想が変わり強力な支持が得られ
世の中の仕組みを替える近道かもしれません
 (墓場までは大金持って行けませんし)
Posted by ロードバイク at May 31, 2013 02:59
tettyanさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ベロタクシーが走行できるような自治体であれば、必ずしも会議や承認は必要でないと思います。
ただし、カーゴバイクが普及していないこと、場所によっては道が狭く、その走行が困難なことは、障害となりそうですね。
Posted by cycleroad at May 31, 2013 23:31
まえちゃんさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに、自転車先進国デンマークならではの光景と言えると思います。自転車に対する人々の意識も違います。
写真のようなカーゴバイクで歩道走行することは、道路交通法違反になります。
かと言って道幅が狭く交通量が多い車道を通るのは、事実上困難でしょう。うまく裏通りなどを通れれば別だと思いますが..。
人々の意識も含め、壁が多いのは確かだと思いますが、おっしゃるように、みんなが優しくなれる国になるといいですね。
Posted by cycleroad at May 31, 2013 23:37
sharetheroadさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
リカンベント・タンデム、いいですね。最後のも含めて、タンデムや複数で乗れる自転車が、もっと自由に走行できるといいなと思います。
道路状況等から幅広く認めるのは難しいのも確かでしょう。事故などの問題も起きると思われます。
ただ、規制によって、いろいろな機会、貴重なものが失われているのも確かでしょうね。
Posted by cycleroad at May 31, 2013 23:45
sharetheroadさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
この動画を見ると、3輪のカーゴバイクにのってらっしゃる方もいますね。
日本ではあまり見ませんが、子供を乗せても安定しますし、もっと普及してもいいと思います。
Posted by cycleroad at May 31, 2013 23:49
buunyannさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
子供を乗せるには、3輪で前に乗せるタイプのカーゴバイクのほうが安全性が高いと私も思います。
普通自転車より幅があると、歩道走行は困難というより違法になります。
お粗末な部分はあるものの、やはり原則車道走行にし、なるべく車道に自転車走行空間を確保していくしかないでしょうね。
必ずしも道幅の広くないヨーロッパでもそうしているわけですし..。
Posted by cycleroad at May 31, 2013 23:54
ロードバイクさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
東京もオリンピック招致を目指すなら、ロンドンでも次のリオでも当たり前のように行われている自転車の活用を取り入れるべきだと思います。
都心も休日ならば、意外に余裕がありますから、十分走行はできると思います。
まず、クルマ優先という発想を変えて、人間を優先するような都市にしていってほしいと思いますね。
Posted by cycleroad at May 31, 2013 23:59
はじめまして。2005年頃でしたか、trioBikeを紹介されていた記事のころから楽しく読ませていただいております。
あの記事を読んで、日本に代理店がついたら欲しいと思いつつ数年が過ぎ、3年ほど前にようやく代理店がついたのをきっかけに購入しました。乗ってみた感想は実に楽しく、勢い余って2台購入してしまったほどです。
都内ですと最低片側2車線が普通ですので、走っていてそんなに不便は感じません。ただ車からすれば、邪魔に感じるであろうことは否めません。また、子供を乗せ自転車といっても、おおかた数年の期間のためにわざわざ購入するのはどうも、と敬遠されがちなのもわかります。しかしながら、その数年の間だけであっても、家族で楽しく移動できる思い出は大切なものとなっています。それだけでも3輪カーゴバイクは価値のあるものと個人的に思っています。
ペットをtrioBikeに乗せている方もいらっしゃいます。また、いつか自分の足腰が弱くなったとき、自分が前に乗り、子供にこいでもらうのもいいかなと思っています。
今回の記事を拝見し、このような高齢者の方に乗っていただくという使い方はとてもステキだなと思いました。
3輪カーゴバイクの記事がどこかで書かれるたびに、日本では道路事情が…と否定的なコメントが多く寄せられるのはとても残念です。デンマークやオランダとは道路事情、国土の標高と行った点が異なりますが、少なくとも都内で乗る分にはデメリットを思いめぐらすより、まずは実際に乗ってみて欲しいと切に願っています。実際に誰かが走ることで、ドライバーの自転車に関する考え方や行政の道路に関する視点も変化していって欲しいと願ってやみません。
なにより3輪カーゴバイクは楽しいです。もっと多くの方に乗っていただきたいと心より思っています。
Posted by 泉の湧き出る森を彷徨う吟遊詩人 at June 02, 2013 16:07
泉の湧き出る森を彷徨う吟遊詩人さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
2005年頃からとは、長いことありがとうございます。
trioBikeに乗ってらっしゃるんですか。日本では相当珍しいと思いますので、走行していて注目されるのではないでしょうか。
子供が大きくなっても、運べるものはたくさんあると思いますし、カーゴバイクの価値は、家族での移動の思い出だけにとどまらないと思います。
おっしゃるように、こんな素敵な使い方もあることを知ると、カーゴバイクの普及が進まないせいで、いろいろ貴重なもの、機会が損なわれている、失われている気がします。
歩道走行という特殊な環境が大きなネックになっていると思いますが、日本ではカーゴバイクの活用が広がらないのが私も残念だと思います。
自転車で移動はするけど、自転車でものを運ぶという発想がされてこなかったというのもあるのかも知れませんね。
Posted by cycleroad at June 03, 2013 23:17
記事を開いて、目に入った画像。高齢者と自転車、漕ぐ人。画像を見て、心を打たれました。
これぞ、まさにあるべき姿でしょう。
排ガスも騒音も出さず、道路も傷めない、環境にもっともやさしい移動手段である自転車を活用した、健康的で思いやりのある社会・・・・・・。
これほどまでに、理想的なものはありません。

現状、自動車が自転車レーンでさえ違法駐車を繰り返し、歩道のない生活道路や通学路、国道でさえ自動車は速度超過の暴走行為や煽り運転、違法なクラクション使用、危険なスレスレ追い抜き等で道交法通り走っている自転車に対しても威圧的な危険運転、交通犯罪行為を繰り返すものですから、歩道へと追いやられてしまっている。そして歩行者との軋轢が生まれている。元凶は自動車なのですから、自動車への規制取り締まり強化、啓発、教育の徹底もしていくべきでしょう。
交通の鉄則は弱者保護、弱者優先なのですから、自動車は本来、もっとも遠慮して走って当然であり、自転車は堂々と保護優先されながら走ってよいものなのですしね。
根本的に、自動車が弱者である自転車や歩行者を最大限に保護優先することを徹底すれば、状況は大きく好転するものだと思います。
横断歩道でさえ自動車が我が物顔で横断歩行者等妨害等違反で歩行者や自転車の通行権を侵害、破壊していますし、その辺りの徹底取り締まりもやってほしいところです。もちろん、道路上の路上駐車、違法駐車も自転車の秩序ある安全走行を著しく妨害するものでありますし、取り締まり徹底、厳罰化もしてほしいと思うものです。

こちらの記事、画像を目の当たりにして、目指すべきビジョンが、より明確になりました。
サイクルロード様、いつも本当にありがとうございます。
いづれの記事も、大切に読ませていただいております。
Posted by 佐藤 at June 05, 2013 01:17
佐藤さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
本当に素敵な活動だと思います。誰もが素直にそう思うのではないでしょうか。
このような活動をしている場面に出会えば、クルマのドライバーも道を譲り、自然と優先する気持ちになると思います。
そう考えれば、高齢者が一人で乗っているのを見ても、自転車を優先し、保護する気持ちが起きても不思議ではありません。
高齢者をいたわり、やさしくする気持ちというのを、日本の社会は忘れている部分があるのかも知れませんね。
いつもお読みいただき、応援していただき、ありがとうございます。
Posted by cycleroad at June 06, 2013 23:28
 
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