June 07, 2013

自転車に乗るだけで得をする

ブラジルの注目度が高まっています。


来年には、サッカーW杯・ブラジル大会が開催されます。日本も、初めてホームの試合で出場権を獲得、世界一番乗りの出場が決まり、おおいに盛り上がっています。大会は来年ですが、早くも観戦ツアーの話題が上るなど、楽しみにしている人も多いことでしょう。

ワールドカップだけでなく、ブラジルはその2年後の2016年にリオデジャネイロ五輪も控えています。南米大陸で夏季オリンピックが開催されるのは、史上初めてのことです。ビッグイベントが重なるブラジルには、その経済にも世界から注目が集まっています。

Photo by Artyominc,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.

いわゆる“BRICs”の一角として、ロシア、インド、中国、南アフリカなどと共に、経済発展の著しい国であり、一人あたりではまだ低いものの、人口も多いので、そのGDPは世界第6位です。安価な労働力と豊富な天然資源などを背景に、今後も高い経済成長が見込まれています。

ビックイベントを控え、競技施設やインフラ整備も進んでいるわけですが、ブラジル最大の都市サンパウロなどでは、市内中心部の交通渋滞が深刻で、その対策が問題となっています。その渋滞の酷さは世界有数と言われ、渋滞を避けるための自家用ヘリコプターの保有率が世界一となるほどです。

Photo by Tatiana Sapateiro,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.また、クルマの排気ガス規制が相対的に甘いこともあって、都市部を中心に排気ガスによる大気汚染が深刻化しています。このため、クルマの利用を抑制する走行規制から、新たな鉄道網の整備に至るまで、さまざまな対策がとられています。

いろいろな対策がある中で、前大会のロンドンと同じように自転車の活用を図ることで渋滞を少しでも減らす取り組みも進められています。昨年のうちに、それ以前の自転車レーンを2倍にすることをはじめ、リオでは自転車レーンの延長を300キロにすることを目指しています。

都市部の再開発を進めると同時に自転車レーンのネットワーク化を進め、新しい自転車シェアリングのシステムの導入なども計画されています。渋滞や大気汚染対策としてだけでなく、歴史上初めての環境インパクトゼロのオリンピックを開催しようという構想の一部でもあるからです。

ただ、インフラが充実していったとしても、肝心の市民が自転車に乗り、活用しなければ意味がありません。現状では自転車の移動に危険が多いなど、なかなか市民が自転車を選択する環境でないこともあって、まだまだクルマなどでの移動が大部分を占めるというのが実情のようです。

環境のことや、渋滞対策から言えば、自転車での移動を増やしたほうがいいのは明らかです。しかし、ブラジルではクルマ購入の補助はあっても、自転車への乗り換えを促す具体策はないのが実態です。日本でエコカー減税だとか、エコカー補助金はあっても、自転車補助金や自転車減税がないのと同じです。

Ciclomidia, www.ciclomidia.com.br自転車レーンが整備されても、肝心の自転車に乗る人が少なく、せっかくの自転車レーンが駐車場と化すのでは意味がありません。インフラ整備以外にも利用を促す必要があります。政府や自治体による有効な手立てが乏しい中、市民の意識は高まりつつあり、自転車の利用を拡大しようというサービスが登場しています。

自転車用に駐輪場用の機器などを扱う“Ciclomidia”が展開する、“Bike Points”というサービスです。自転車の利用拡大を見越して、自転車の駐輪ラックなどの設備を導入した飲食店を中心に、ショップ、その他サービスを提供する店が、“Bike Points”の看板を掲げます。

この看板のある店では、自転車で来店したお客様に、料金の割引や各種特典の付与などの優遇サービスがあるのです。“Bike Points”の店は、ウェブから検索できるようになっており、自転車優遇サービスのある店として探してもらえるようになっています。

加盟店にとっては、店の宣伝になります。“Bike Points”を目当てに来る新規のお客が見込めるわけです。もちろん、ウェブから検索して来店する客だけでなく、実際に自転車で通る人に向けたアピールになり、立ち寄ってもらう可能性が増えます。

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他店との差別化をはかり、店のイメージアップにも貢献します。徒歩圏内より遠くからの客を呼び込み、商圏が広がる効果も見込めます。クルマ客向けに駐車場を確保しにくい店、駐車場設置の費用をかけたくない店にとっても、貴重な集客手段になるでしょう。

店を利用する客向けに、近隣の駐車場と契約して駐車料金を無料にするようなサービスをしている店もあると思います。お客がクルマで来なければ、この料金負担が減るわけで、自転車向けに料金割引をしても、十分ペイできるという店もあるに違いありません。

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お客にとっては自転車にするだけでメリットがあるのですから、クルマをやめて自転車にする人が増えるかも知れません。いつも食事している店が“Bike Points”の店で、毎回例えば15%違うならばと、クルマでの通勤をやめて、自転車に乗り換える人が出てきても不思議ではありません。

自転車に乗ってくるだけで割引や特典が得られるというサービス、サイクリストには大歓迎でしょう。店にも、客にも、この会社にもメリットがある上手いアイディアです。おまけに都市の渋滞緩和や環境改善にも貢献します。自転車優遇というのは、ありそうで、なかなか無い仕組みと言えるかも知れません。

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これがとのくらい自転車利用者を増やすかは未知数ですが、自転車利用のインセンティブとして働くことは間違いありません。今のところサンパウロ中心のサービスですが、本来ならサンパウロ市が補助するなどして推進してもいいくらいです。五輪を控えるリオデジャネイロで導入してもいいのではないでしょうか。

日本ではどうでしょう。日本の自転車走行空間は貧弱であり、整備が進んでいるとは言えません。しかし、都市部で自転車を利用する人口は多く、わざわざ自転車を利用してもらうために優遇策を導入する必要性は乏しいということになるでしょう。

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しかし、考えようによっては日本でも意味があるかも知れません。日本での自転車利用者の多くは、自宅から最寄り駅や近隣の商業施設、子供の送り迎えといった狭い範囲での利用が大多数だと思います。自転車で遠くまで行くことは全く想定していない人が大部分でしょう。

最近でこそ、職場まで直接行く自転車通勤が脚光を浴びていますが、実際に自転車通勤している人は、電車通勤・クルマ通勤に比べたら、ごく僅かに過ぎません。たびたび指摘しているように、欧米と違って自転車を都市交通の手段として見ている人は、かなり限られています。

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もし、こうした優遇策が普及したとします。特典があるなら最寄り駅まででなく、直接当該の店まで、自転車で行ってみようという人が増える可能性があります。今まで、最寄り駅より先まで行こうと思ったこともなかったが、案外行けるではないかと気づき、自転車での行動範囲が広がる人も増えそうです。

そうなると、自転車で最寄り駅まででなく、目的地まで行く使い方が増えるでしょう。つまり、駅前に駐輪が集中する状態は緩和するはずです。駐輪需要が分散するので、放置自転車が減る可能性があるわけです。社会的なメリットも期待できます。

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お店にとってのメリット、客としての市民のメリットは同じです。自転車を都市交通として使うような形が定着し、日本でも自転車の有効活用が進むきっかけになることも考えられます。都市部の渋滞対策にもなりますし、都市部の駐車場不足、違法駐車の減少につながるかも知れません。

そのためには、自転車レーンなどのインフラの充実が必要との議論もありますが、ニワトリと卵のようなところがあって、なかなかインフラだけが急速に充実するというのは期待できません。自転車の都市交通としての利用拡大がインフラ整備を促す面もあるでしょう。

この自転車の優遇サービス、商業施設の駐輪場、駐輪ラックなどの充実を促し、街中や駅前の放置自転車を減らし、商業振興策にもなる可能性があります。日本で導入しても、なかなか面白いかも知れません。いろいろ注目されるブラジルですが、今後、自転車の利用拡大が進んでいくかにも注目したいと思います。





梅雨入りは早かったですが、空梅雨気味ですね。自転車に乗るにはいいですが..。

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