June 25, 2013

少しずつでも改良していく策

残念ながら、日本の道路は自転車に厳しい部分があります。


自転車は車道を走行するのが、世界の常識であり当たり前のことです。しかし、日本では高度経済成長期に、緊急避難的に行われた自転車の歩道走行が、その後40年以上にわたって続けられた結果、自転車は歩道を走行するものと思っている人、ドライバーも大勢いる状況です。

車道を自転車とクルマがシェアする、相対的に交通弱者である自転車を保護する、優先するという意識が求められ、欧米ではこれも当然のことですが、残念ながら日本では、それが徹底されていません。自転車は邪魔だ、歩道を走行しろと主張するような人までいます。

ドライバーの意識の点でも問題がありますが、道路自体も自転車には厳しい状況があります。高度経済成長期からそのままに、道路は効率・経済性優先の観点からクルマを優先するのが当然と言う意識があります。そのため、道路の構造もクルマ向きにつくられています。

Photo by Ans_jpn,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.This image is in the public domain.

自転車の走行が想定されていないと思わざるを得ないような場所もたくさんあると思います。自転車を歩道走行させるという間違った行政が行われてきた結果、道路の整備もその方向で来てしまいました。人通りのまばらな歩道が広々しているのに、車道は自転車が走行しやすく出来ていない状況もあります。

昨年の警察庁の方針転換もあり、自転車の車道走行の原則が確認されたわけですが、徹底されているとは言えない状況です。道路の整備についても、まだまだ改善される様子は見えてきていきません。もちろん、一度整備された道路を改造するには多額の費用がかかることも、大きな理由でしょう。

大きな改造を伴わなくても、自転車レーンの設置が可能な道路は、かなりの割合に上ると言う調査もありますが、いきなり自転車レーンを全面的に整備するのも財政的に難しいとは思います。また、特に都市部では、限られた土地で道路幅も狭く、なかなか難しいこともあるでしょう。

都市型側溝/省スペースタイプしかし、出来ることもあると思います。例えばこちらは、「都市型側溝/省スペースタイプ」の側溝です。普通のものと比べれば、その差は歴然です。このタイプの側溝を使えば、自転車の走行するスペースが広がり、走行しやすくなるでしょう。

本来は、左側の車線の中の左側部分を走行すればいいわけで、その場合は側溝の形状は直接関係ないわけですが、実際には、特に都市部では車線の幅が狭いこともあって、車道外側線の外側、路肩部分の走行を余儀なくされている、走行しているという例も多いに違いありません。

路肩部分にしても、特に都市部では非常に狭いところが少なくありません。その上、コンクリートの境界ブロックと、アスファルトの干舗装の間に亀裂や陥没や段差があったりします。さらに、写真のような金属製の集水マスやマンホールが滑りやすかったり、ゴミがたまっていたりします。

都市型側溝/省スペースタイプ都市型側溝/省スペースタイプ

せめて、側溝のエプロン部分が狭くなれば、そのぶん道路がわずかながらでも広く使えるわけです。そのスペースを車道に組み入れ、自転車とシェアするか、自転車レーンを設置するか、路肩を広げることで自転車の通行をしやすくするか、場所にもよりますが、いずれにせよ、自転車が通りやすくするために使えるでしょう。

すぐに交換しろとは言いませんが、老朽化による更新の際、あるいは他の工事で掘り返すような際(場所によっては頻繁に行われているように見える)を狙って、このタイプに置き換えていくことは出来ないでしょうか。今の道路構造を、少しずつでも自転車の通行にも配慮して変えていく必要があると思います。

自転車を歩道走行させてきたため、通行量のわりに広すぎる歩道を削る手もあると思います。クルマ用の車線に余裕がある部分を改めたり、幅の広い中央分離帯を狭めたり、削除できる中央の安全地帯を減らすなど、もっと自転車の走行に配慮した構造に改造することも可能だと思います。

幅のある中央分離帯が設けられている例。 Photo by Oos, under the GNU Free License.センターラインに安全地帯が設けられている例。 Photo by SKD ,under the GNU Free License.

道路中央に安全地帯が設けられている例。 Photo by Kansai explorer,under the GNU Free License.

なかなか予算的にも難しい部分はあるでしょうが、定期的なメンテナンスや修繕など、何かの機会をとらえて、道路の白線を引きなおしたり、部分的に修正する、あるいは側溝などを交換するという取り組みを進めていって欲しいと思います。

道路の走行空間だけではなく、駐輪場についても同じことが言えると思います。全国各地で放置自転車が問題となっています。もちろん利用者のマナーも問題ですが、そもそも駐輪場が少ないということも問題の背景にあります。市民が必要としている施設なのですから、行政はそれに応える必要があります。

もちろん、予算的な問題があります。地価の高い都市部では特に駐輪場の設置は容易ではないでしょう。いきおい、放置自転車の撤去・移送に力を入れることになり、放置と撤去のいたちごっこになっているような状況も見受けられます。それより、根本的に解決策として駐輪場の整備を進めるべきでしょう。


三井のリパーク、時間貸自転車駐輪場の運営管理台数が3万台を突破

三井のリパーク 時間貸自転車駐輪場三井不動産リアルティは5月23日、同社の総合駐車場事業「三井のリパーク」が運営する時間貸自転車駐輪場の運営管理台数が、2013年3月末時点で3万台を突破したと発表した。

同社は土地活用メニューのひとつとして2003年から時間貸自転車駐輪場事業を開始。狭小地や変形地でも柔軟なレイアウト対応が可能で、車輌通行禁止や一方通行の影響も受けづらいという強みを持つ駐輪場事業は、駅前・商業集積地を中心に順調に運営管理台数を伸ばし、2013年3月末に13都道府県191事業地、3万859台まで拡大した。

同社は今後も、社会問題として深刻化する放置自転車の減少を目指し、時間貸自転車駐輪場事業を通じて安全で快適な街づくりをサポートするとしている。(2013/05/24 マイナビニュース)


少し前のニュースですが、民間の時間貸し駐輪場が順調に増えているようです。それだけ需要があるということなのでしょう。民間ですから、採算が合わなければ、これほど順調に展開できないはずです。すなわち、料金を支払って駐輪する人の需要が少なくないことがわかります。

自治体は本来、市民のニーズに応えていくべきです。これを見ればニーズは明らかですし、もっと駐輪場の整備を進めるべきです。当然自治体によっては、予算や地価の関係から難しいところもあるわけですが、民間に委託することも考えられます。

大阪など、自治体が歩道上などの公的スペースを賃貸し、民間に駐輪場運営を委託するような事例もあります。自治体が多額の予算をとって、公営の駐輪場を設置しなくても、駐輪ニーズを満たす方法はあります。法改正で、要件に合う歩道を駐輪場として使うことも、かなり前から可能になっています。

また、自治体が公営で駐輪場を設置すると、駐輪場の係員や誘導員の人件費をはじめとする経費が高くなり、そのぶん駐輪料金が高くなって利用が進まないというケースも見かけます。自治体自ら公営のものを設置するという考え方や前例に縛られず、民間委託も考えてみるべきではないでしょうか。

まとまった土地が無いので、どちらにせよ設置不能と考える自治体もあるようですが、収容台数が少ない小さなスペースを分散して設置するようなことも民間なら出来るでしょう。もっと駐輪インフラを増強していけば、放置自転車が減少し、撤去対策の予算の減少にも寄与するに違いありません。

ここで例を挙げた、自転車走行空間や駐輪場以外にも、道路インフラにはもっと工夫の余地が隠れている気がします。これまでの考え方、固定観念、前例を廃し、少しずつであっても改良し、市民のニーズに応え、その安全のために努力してほしいものです。





都市型側溝は読者のsharetheroadさんに教えていただきました。情報をお寄せいただき、ありがとうございます。

このエントリーをはてなブックマークに追加

 


Amazonの自転車関連グッズ
Amazonで自転車関連のグッズを見たり注文することが出来ます。

にほんブログ村自転車ブログへ
 自転車・サイクリングの人気ブログが見られます。


 






この記事へのトラックバックURL

この記事へのコメント
側溝のふた(グレーチング)は
毎日通るため
事故の恐怖を毎日味わっています。

悪意(殺意?)があるとしか思えない
縦方向の溝
ロードバイクのタイヤが溝に挟まってしまい
転倒しかけた事がありました。

自転車の通行レーンを早急に確保して頂きたいです
毎日走っていると
無意味としか思えない幅の歩道があるのに
自転車の通行するスペースが全くない

あるいは突然自転車レーンが現れてあっと言う間に消える…
交差点で自転車レーンが消える?
どこを走れと?
交差点で自動車の為に左折、直進、右折レーン確保のため自転車レーンが消える…


道路は線で繋がっているので
点で存在しても意味が無い(無いよりはまし?)

それでも少しずつ変化の兆しはありますね

このサイトを道路行政に関わる全ての人が見てくれるのを期待します。
Posted by ロードバイク初心者 at June 26, 2013 02:55
排水溝の形状は工事を伴うので難しいでしょうが、
はめてある金属製の蓋の全体の寸法を替えないでも、
蓋の桁を進行方向とは横になる桁を増やして、
今の縦長の溝を横長の溝にしてくれるだけでも
(文字だけだと説明がむずかしい、、)
ロードのタイヤがハマる危険性が減るんですが。

あと、道路外側線or路側帯のペイントにイボイボを仕込んであるやつは
凶悪ですね。
Posted by buunyann at June 26, 2013 22:12
入れ替えるだけならこんなノもあります(HNへリンク貼りました)、車椅子のキャスターが全く引っ掛かりません。
Posted by alaris540 at June 27, 2013 13:48
「都市型側溝/省スペースタイプ」の側溝、いいものがあるんですね。
alaris540氏の紹介してくださった「ユニバーサルデザイングレーチング」もよさそうです。
これらがあれば、自転車のための走行環境整備実現に大きな助けとなることは、間違いないでしょう。
自転車利用者は、地元の役所の担当部署に「こういったものがある」として、都市型側溝/省スペースタイプやユニバーサルデザイングレーチングを紹介して、誰しもが安心安全に通行できる弱者保護優先社会、低炭素健康社会のため、ぜひ導入を進めてほしいと要請してよいとおもいます。

また、従来の側溝でタイヤがとられ、自転車が損傷したり、乗り手がケガをした場合、道路管理者(都道府県、市町村)は、道路の安全な状態の維持整備を怠ったとして賠償義務を負いますので、遠慮なくその請求をしましょう。これは、側溝以外の危険箇所でも適用されます。
また、事故を未然に防ぐため、そういった危険箇所の報告、改善要請を積極的に役所のほうに要請することも大切です。
Posted by 佐藤 at June 27, 2013 21:09
ロードバイク初心者さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに、溝の幅によっては危険ですよね。多くの人が、それは感じているでしょう。
もちろん、通勤する経路にもよるでしょうが、前方や周囲の交通に注意するだけでなく、路面にも注意が必要なので、走行に気を使っているという人は多いと思います。
無意味としか思えない歩道の幅というのも同感です。歩行者が少なく、通行量が少ない場所でも、立派な歩道が整備されている場合もあります。
規格で決まっているのでしょうが、使われないのなら、無駄な整備と言わざるを得ません。
良い兆しが、確実かつ早急な整備につながってほしいものです。
私も道路行政に関わる人に見て欲しいとは思いますが、そういう人に限って、自転車ブログなど、なかなか見てくれなさそうな気がします。
Posted by cycleroad at June 27, 2013 23:12
buunyannさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
よくわかります。タイヤがはまる可能性のあるようなフタはやめて欲しいですよね。
メーカーの人も、少し考えればわかりそうな気もしますが、自転車のことなど、思いもよらないのでしょう。
あるいはママチャリのタイヤの幅なら問題ないと思ったのか、そもそも自転車は車道を通らないと考えているのか..。
道路インフラはクルマ中心の思想で、自転車のことなど眼中にないというのが実際なのでしょう。
Posted by cycleroad at June 27, 2013 23:32
alaris540さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
こういう優れた製品もあるんですね。結局は、こうした製品を採用しない規制当局に問題があるということなのかも知れません。
慣例に縛られ、自分で考えることをしない、事なかれ主義で、天下りなどを考えて利権の構造を変えたくない、お役人の問題ということなのでしょう。
情報をありがとうございます。
Posted by cycleroad at June 27, 2013 23:38
佐藤さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
自転車利用者が、地元の役所の担当部署に「こういったものがある」と紹介し、導入を要請するのはいいのですが、なかなか、それが結果に結びつくとは思えません。
市民の推薦で、柔軟かつ機動的に変更するような役所があるとは思えませんし、製品の認可や指定などには、いろいろ力関係が作用し、われわれの見えないところで決まっているように思えます。
仮に、そうした意図がなくても、いろいろ複雑な仕組みがあって、結局は規制が邪魔したり、入札に参加できなかったりするのでしょう。
道路管理者への責任を巡る訴訟では、管理者の敗訴判決が、少し前にありましたね。ただ、費用もかかりますし、なかなか行政相手だと勝ち目も少なく、多くの人が泣き寝入りという場合が多いようですが..。
Posted by cycleroad at June 27, 2013 23:46
1年前に
路肩にアスファルトとコンクリートの段差(コンクリートブロックを設置する為)
が3〜4cmあり
夜間ロードバイクで走行中に前輪を取られ転倒してしまい
歩道と車道の境界のコンクリートブロックに腰を強打、 フレーム破損、前照灯破損しました。
翌日
神奈川県A市の道路行政部門「道路管理課」に電話した所
「規格に基づいて工事されているため
道路に問題は無い、事故保証は一切出来ない」との連絡を受けました。

転倒したのは個人の勝手、自己責任で片付けられ市には一切の責任は無いと…


路肩は「大型車の影響によるアスファルトのうねり」「アスファルト割れ」「段差」「グレーチング」「キャッツアイ」「ペイント」「鉄板」「マンホール」「交差点付近の中洲にたまったガラス片、小石、金属片」
「吹き溜まりのボルト、ガラス片」
等々トラップが多すぎ。

少しでもバランスを崩せば「死」が待ってます

Posted by ロードバイク初心者 at June 28, 2013 02:18
ロードバイク初心者さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうでしたか。やはり、明らかな不備とか、問題が無いと賠償を求めるのは難しいのでしょうね。
あったとしても、それを証明したり、裁判で勝つのは、素人には容易なことではないでしょう。または多額の費用がかかることになるのかも知れません。

確かに、障害となるものは数多くありますね。その部分を自転車が通行しなければならないこと、その危険さに行政は無頓着というのが実態だと思います。
自転車走行空間の劣悪さや整備の必要性が、まだまだ理解されていないというのが、問題の根本にありそうです。
Posted by cycleroad at June 29, 2013 22:42
いつも楽しく拝見しています。

路肩の話題が出たので少しだけ。

路肩は「道路の主要構造部を保護・側方余裕を確保」するための空間なので、
もともと自転車のための通行空間ではありません。
「道路構造令第二条 十二及び十三」
ttp://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45SE320.html

通行しても罰則は無いのですが、
原則は頭に入れておいた方が良いと思います。
Posted by Bosswo at July 08, 2013 14:22
Bosswoさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
おっしゃる通りで、本文にも書いたように、

『本来は、左側の車線の中の左側部分を走行すればいいわけで、...』

路肩は自転車のための走行空間ではありません。きちんと車道を走行すればいいわけで、路肩を通る必要はありません。

『その場合は側溝の形状は直接関係ないわけで...』

側溝の形状が自転車走行空間を増やすわけではありません。そう断ったつもりでした。ただ、実際に走行している人も多いということで取り上げました。
原則は頭に入れているつもりですが、表現がわかりにくかったかも知れませんね。
Posted by cycleroad at July 09, 2013 23:55
 
※全角800字を越える場合は2回以上に分けて下さい。(書込ボタンを押す前に念のためコピーを)