July 07, 2013

自転車の未来を変えていく力

関東などでは平年より2週間以上早く梅雨明けしました。


同時に気温も上がり、各地で猛暑となっています。自転車乗りにとって梅雨明けは嬉しいですが、炎天下の走行も厳しいものがあります。熱中症にも気をつけなければなりません。今回は、そんな中で各地から届く自転車関連のニュースを取り上げてみたいと思います。


立山ヒルクライム 富山の絶景 堪能

参加費5万円に苦言も

立山ヒルクライム「最高のコースだった」。二十三日に富山県立山町の立山黒部アルペンルートで初めて開かれた「立山アルペンヒルクライム」。全国から集まった自転車愛好者は富山の誇る絶景を堪能。多くが「また出たい」と満足そうな表情を浮かべた。ただ、参加費の高さなどに苦言もあった。

美女平発の長いコースは午前五時半、弥陀ケ原発の短いコースは午前六時四十五分にスタート。参加者は、雪の残る北アルプスの高峰や弥陀ケ原の湿地、大谷付近の雪の壁といった名所を満喫。天候に恵まれ、ゴールの室堂では雄山もくっきりと姿を見せた。

長いコースは標高差、勾配とも国内屈指の厳しさ。それでも参加者は楽しげにレースを振り返った。金沢市の綿里美さん(38)は「山形や長野など全国の大会に参加したが、景色は今回がナンバーワン」。招待選手でバンクーバー五輪スピードスケートの銀メダリスト田畑真紀さん(38)も「イタリアやフランスのアルプスを走っているような雰囲気を感じた」と絶賛した。

一方、参加費の高さやレース上の制限には注文も。参加費は一泊の宿代込みで五万〜五万五千円。綿さんは「三万円台ならもっといろんな人が来られる。もったいない」。富山県黒部市の杉沢祥和さん(51)は「試走できないのが残念。五時半開始というのもむちゃだ。普通は七時くらいから」と指摘した。

立山でヒルクライム初開催東京から参加した坂本純さん(45)は「関東では味わえない景色だ」と評価しつつ「例えばアルペンルート開通の前日に開けば時間に余裕ができ、参加人数も増やせるのでは」と提案。短いコースを走った宇都宮市の望月健太さん(29)は「競走ではなく自然を楽しむのが目的なのに、コース上の写真撮影禁止はもったいない」と改善を求めた。

実行委の島雅啓事務局長(58)は初めての大会を「ベリーグッド」と総括。来年に向け「道路管理者や警察と協議して、規模を大きくしていけたら」と話していた。 (2013年6月24日 中日新聞)


まさに天空を駆け抜ける絶景のコースだったようです。初開催ということで問題もあったようですが、知名度の高い立山黒部アルペンルートでヒルクライムというのはインパクトもありますし、雪の残る山並み、国内最高の標高、距離や標高差、走り応えなど、どれをとっても名物大会、人気の大会となる要素は十分です。


チャレンジヒルクライム岩木山2013全国の500人急勾配に挑む/岩木山自転車ヒルクライム

「ツール・ド・東北」東京で発表イベント 受け付け開始

第2回ジャパンサイクルレース フィナンシャル・エージェンシーカップ2013


この時期にも、さまざまな大会が開催されていますが、日本ではロードレースをはじめとする自転車競技はまだまだマイナーと言わざるを得ません。しかし、ここのところ、各種の自転車競技の大会を開催しようという自治体が増えていると言います。地元の観光振興に自転車人気を利用しようというわけです。

ツール・ド・東北地域振興や観光振興だけでなく、レースに出ようというサイクリストにとっては、出場する大会の選択肢が増えて好ましいわけですが、それだけではありません。日本で自転車競技の開催が増えることで、一般的な認知度が高まってくれば、自転車に対するイメージも自ずと変わっていくはずです。

日本では主婦の買い物用か最寄り駅までのアシくらいにしか見られておらず、自転車に対するイメージが欧米と比べて良くありません。利用者のマナーの悪さや歩道走行、放置自転車の問題もあって、白い眼で見られることも少なくありません。

スポーツとしての自転車が認知されるようになれば、自転車本来のポテンシャルも理解されるようになり、自転車に対する見方が変わってくるはずです。駅までのアシでなく、都市交通として活かせるとの認識が広がれば、自転車走行空間の整備が進んだり、駅前に放置自転車が集中することも減るでしょう。


自転車パフォーマー集う 7月14日、佐賀で競技会

自転車パフォーマー自転車を使ったパフォーマンスを競う「BMXフリースタイルコンテスト 佐賀のRUN2013」が7月14日午前10時から、佐賀市呉服元町の656広場で開かれる。県内外から集まった自転車愛好家たちが自慢の技を披露する。

佐賀、福岡、長崎各県の愛好家でつくる「九州BMX協会」が主催。佐賀市中心部に若者を招く目的で始まり、今年で3回目。昨年は小学生から50代までの約90人が参加し、盛り上がった。

参加者は、レベルや内容ごとに分かれて競い合う。バランスをとったり、その場で回転したりする初級向けから、ジャンプや空中でのパフォーマンスを競う上級クラスまである。

参加料は500円で、見学・観覧は無料。自転車はレンタルもできる。雨天決行。問い合わせは大会実行委の馬渡康隆代表(0952・44・3210)へ。 (2013年6月27日 朝日新聞)



ペダルを漕がない自転車レース『RED BULL PUMP JAM』が日本初開催


ただ、どこも似た大会ばかりでは、参加者集めの競争になって共倒れにならないとも限りません。まだまだ参会者のパイは大きくありません。ロードレースだけでなく、独自の大会やイベントを企画するところも増えているようです。これも自転車の多様性の認知度向上に貢献するでしょう。


自転車無料へ地元負担 しまなみ海道関係県市検討

しまなみ海道瀬戸内しまなみ海道の自転車料金無料化に向け、愛媛県は28日、橋を管理する本州四国連絡高速道路(神戸市)の減収分を、今治市や広島県など関係県市と共同で負担する方向で検討していると明らかにした。国の要請に応えた形で、無料化が現実味を帯びてきた。国や関係県市との協議を本格化させ、2014年度の実現を目指す。

県議会建設委員会で松尾和久氏(自民)の質問に答えた。加藤嘉朗高速道路推進監は、太田昭宏国土交通相が21日の衆院委員会で「自治体から費用負担の提案があれば、国交省として検討したい」と答弁したとし「地元負担もやむを得ない」と説明。「島民の利便性向上や観光振興に無料化は不可欠」と強調した。(2013年06月29日 愛媛新聞)


人気のしまなみ海道では無料化を検討していると報道されています。多少の通行料は支払っても、わざわざ走りに来る人も多いと思いますが、無料となれば、もっと気軽に本州と四国を自転車で行き来する人が増えることが予想されます。観光地が誘致に力を入れることが、サイクリストに恩恵をもたらす形です。


自転車で旧狩勝線疾走、新レジャー開業 トンネル前から高原園地までの未舗装路

新得町は1日、旧国鉄狩勝線跡の未舗装路をオフロード用の自転車マウンテンバイクで下り降りる「旧狩勝線ダウンヒル」の営業を始めた。狩勝峠近くの狩勝トンネル前から狩勝高原園地まで約8キロの林間を下るコースで、市街地のJR新得駅まで計約20キロを走ることも可能。自然や鉄道歴史を満喫する新たなレジャーとして注目を集めそうだ。

新レジャー開業園地に開設した活動拠点「狩勝COYA(こや)」に自転車8台を用意し、町スタッフが常駐して、利用客と自転車を車でトンネルまで運ぶ。料金は運搬費などで高校生以上800円、中学生以下400円。自転車利用だけなら無料で、自力で線路跡を上り、下ることもできる。

6月の土、日曜に試験営業したところ約60人が利用し「景色がいい」「木陰が気持ちよい」など好評だった。 ハンモックなどのレジャー用品も無料で貸し出し、周辺の草地でくつろぎながら、隣接の足こぎトロッコ施設「エコトロッコ鉄道」も利用できる。

営業は、9月末までの午前10時〜午後4時(用品貸し出しは午後3時まで)。自転車で新得駅に下り、園地まで運搬する場合は追加料金200円。

狩勝高原園地は日高山脈北端の標高300〜400メートルの山麓に広がる。1980年代から町が梅園やスポーツ施設を整備したが、現在は大半が使えず、利用は停滞。町は昨年度から、外部コンサルタントや町民意見をふまえ、園地活性化の取り組みを進めている。

同町産業課は「気軽に遊びにきてほしい。イベントや鉄道模型組み立てのメニューも検討中」と呼びかけている。問い合わせは狩勝COYA(電)0156・64・3434。 (07/02 北海道新聞)


しまなみ海道のような人気の観光スポットだけではありません。各地で自転車による観光資源の開発が試みられています。独自の立地や環境を使ったオリジナルの自転車スポットが出来れば、ツーリングに出かけるのも楽しみになります。これも歓迎される傾向です。

細かいことを言えば、下りだけの片道利用が出来るレンタサイクル、あるいはクルマでの送迎や輸送といったサービスを組み合わせれば、まだまだ自転車を使った観光スポットを開発できる余地は、全国に存在すると思われます。利用できる廃線跡なども全国に眠っているはずです。


自転車レンタル、土産コーナー増床 東名阪・亀山PA改装

PAで自転車貸し出し亀山市布気町の東名阪道亀山パーキングエリア(PA)は29日、上下線の両方で改装を終え、新しい物販コーナーがオープンする。下り線(伊勢・東紀州方面)PAで自転車を貸し出し、旅先で乗った後に帰りの上り線(四日市・名古屋方面)PAで返却してもらう新サービスも始める。

亀山PAが上下線ともに大規模改装するのは約十年ぶり。自転車の貸し出しは一日一台五百円。折り畳み式の五台を用意した。十月に式年遷宮を迎える伊勢神宮や、来年七月に世界遺産登録十周年を迎える熊野古道への観光客に利用してもらう狙い。中日本高速道路エリアのPAで、自転車を貸し出すのは初めてという。(後略 2013年6月29日 中日新聞)


地味なニュースですが、高速道路の下り線のPAで自転車を貸し出し、旅先で乗って帰りの上り線のPAで返却するレンタサイクルというのも面白いサービスです。自転車で観光地での渋滞を避けようにも、レンタサイクルの店まで行くのが混んでいたりします。これは場合によっては便利かもしれません。


自転車販売のプロ養成 金沢に来春専門校

健康志向で自転車市場が拡大する中、学校法人国際ビジネス学院(金沢市)とイオング ループが連携し、全国初となる自転車の総合専門学校を来年4月に金沢で開校することに なった。専門知識を持った販売のプロを育て、専門店「イオンバイク」で社員として採用 する産学連携の学校となる。約2年後の北陸新幹線開業で「全国から学生を集められる」 として金沢での開校が実現した。

自転車専門学校国際ビジネス学院とイオンが開校するのは「国際サイクル専門学校」。金沢市北安江1 丁目のビルを改修し、2年制の「イオンバイク社員養成学科」を設ける。定員40人で販 売や接客の知識、整備技術のほか、ツアーやイベントの企画法などを指導し、自転車安全 整備士、自転車技士など資格取得に向けた学習も行う。

自転車関連の専門学校は、静岡県に競輪選手養成学校、東京都に自転車作り職人養成学 校があるが、自転車愛好家の需要に幅広く応えられる販売のプロを育てる学校は全国初と いう。

新しいタイプの自転車学校設立の背景には近年、過熱する自転車ブームがある。

健康志向によるサイクリング愛好家や自転車通勤者の増加を受け、イオングループは昨 年9月、自転車専門の新会社イオンバイクを設立し、現在、スーパー内の売り場を含め全 国500店を展開。2015年度末の千店舗体制に向けて出店を加速させており、人材確 保が課題となっているという。

開校後はイオンバイクが講師を派遣するほか、店舗で学生研修を受け入れる。卒業時に 社員登用試験を実施して学生を採用する。

イオンと国際ビジネス学院は、ペット関連の学校で共同運営の実績があり、自転車産業 でも連携することになった。北陸新幹線の金沢開業で首都圏からのアクセスが短縮される ことや、全国から愛好者が集う「ツール・ド・のと」など自転車イベントが盛んなことも 石川での学校開設の追い風となった。

現在、県に認可申請中で、今月から学生募集を開始する。国際ビジネス学院の大聖寺谷 敏理事長は「全国に自転車競技の部活を持つ高校は60校以上あるが、好きな自転車を仕 事にすることは難しかった。自転車を愛する若者の受け皿になりたい」と話している。(7月1日 北国新聞)


自転車の専門学校の開校も報じられています。現在の日本の自転車市場は格安の自転車が乱売され、使い捨てを誘発して放置自転車を増やす傾向にあります。これに歯止めをかけ、良質な自転車を、きちんと整備しながら乗るようにしていくためには、自転車専門店と整備技術者が不可欠だと思います。


自転車左側通行指導法など警官学ぶ

警官学ぶ自転車利用者に左側通行を徹底する県条例の7月施行を控え、県警は29日、自転車の乗り方を指導する警察官が、条例の内容を学ぶ研修会を、松山市勝岡町の県運転免許センターで開いた。

特別仕様の自転車に乗って安全運転を呼びかける「県警バイシクルユニット」の隊員12人と、警察署の講習担当署員ら計約30人が参加し、実技と座学に臨んだ。

参加者は自転車に乗って右折時や停止時の手信号を練習。その後、街頭や安全教室で左側通行を求める場合の指導法などの講義を受けた。県警交通企画課で安全教育を担当する山口博丈警部は、「自転車の安全利用をこれまで以上に訴えたい」と話していた。(2013年6月30日 読売新聞)


自転車の乗り方の指導の教習ということのようですが、当の警察官が、法令に従って自転車に乗っていないシーンを目撃したという声を数多く耳にします。まず警察官が見本とならなければ、自転車走行の秩序の確立も望めません。警察官に、自転車関係の法令の徹底を図るべきだと思います。

いろいろなニュースをランダムに取り上げましたが、どれも自転車の今後に明るさをもたらす可能性を秘めたニュースと言えると思います。大会やイベントが増えることでスポーツとしての自転車が認知され、自転車の観光スポットが整備され、自転車のイメージが変わっていくことが期待されます。

自転車の専門学校が開設され、好きな自転車を仕事にする若者が増えたり、警察官がいい加減に歩道走行している状況が改まっていくことも、大きなスパンで考えれば、自転車の走行環境が向上していくことにつながるはずです。そんな自転車の今後に可能性を感じさせるニュースが多かったように思います。





しかし、シャレにならない暑さです。自転車は風で体温が下がるので有利ですが、そのぶん気づきにくく重症化する例が多いという話もあるので要注意です。

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