August 27, 2013

自転車優先を広げた社会基盤

20世紀はクルマ、自動車の世紀と言われます。


それ以前からありましたが、世界初の量産車として有名なT型フォードが発売されたのが1908年ですから、まさに20世紀はクルマが発展普及してきた100年と言えるでしょう。いわゆるモータリゼーションによって、私たちの生活は便利になり、一方でクルマに依存するようになりました。

道路交通はクルマが主役となり、舗装道路はクルマ中心に考えて整備されました。クルマは人々の移動や物流に大きく貢献する一方で、事故で人命が失われ、大気汚染や騒音などの公害ももたらしました。もちろん、今世紀になっても、変わらずクルマは世界にあふれています。

Ford Model T, Photo by Rmhermen,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.ただ、人々のクルマに対する意識は、少しずつ変わりつつあるのではないでしょうか。若者のクルマ離れが言われるのは日本だけの現象ではありません。特に都市部では、渋滞や環境負荷、交通事故などの観点から、クルマの利用を抑制する政策をとる都市やクルマを敬遠する人も増えています。

今から100年後、21世紀が何の世紀と呼ばれるようになるのかはわかりません。もちろん、クルマが発展し、相変わらず交通の主役を担っていることは十分に考えられます。電気自動車や燃料電池自動車といったところが当たり前になっているかも知れません。

当然ながら、そう簡単にクルマはなくならないでしょう。ただ、相変わらずクルマは使われながらも、それが引き続き21世紀を象徴するものになるとは限りません。限りなくコモディティ化するかも知れませんし、自動運転になって、都市交通システムの一部になっているかも知れません。

最近、世界中で自転車の活用推進がトレンドとなっていることを受け、21世紀は「自転車の世紀」になるのではないかと考える人がいます。もちろん、自転車がクルマの代替になるということではなく、都市部での移動手段として、もっと利用が拡大する可能性です。

もしそうだとすれば、自転車の活用環境も変わってくるでしょう。新世紀の自転車インフラとして、都市と建物を継ぎ目なく融合した新しいタイプの都市を構想する人がいます。住宅やオフィス、店舗などを、より自転車フレンドリーな姿に変えていく提案、都市を自転車で移動する“BIKE-THRU SOCIETY”構想です。

BIKE-THRU SOCIETY

20世紀には、クルマに乗ったまま用事を済ますことが出来るドライブスルーが登場しました。ハンバーガーなどのファーストフードはよく見かけます。ほかにも銀行のATMやクリーニング店、酒屋、調剤薬局、旅行代理店にメガネ店などというものまであります。

BIKE-THRU SOCIETY

“BIKE-THRU SOCIETY”では、自転車で敷地や建物まで乗り入れられるようなスタイルを提唱します。ドライブスルーのようにバイクスルー、ライドスルー出来る場所が広がれば、もっと自転車フレンドリーになり、自転車での移動がより便利になるという考え方です。

BIKE-THRU SOCIETY

街中では、自転車に乗ったまま垂直方向にも移動が出来るよう、階段ではなくスロープが設置されることになります。自転車に乗ったまま上の階へと移動出来ます。ビルと街がシームレスになっており、ビルの中の各フロアへ直接自転車でアプローチできるようになっています。

BIKE-THRU SOCIETY

自転車に乗ったまま席につくカフェ、自転車に乗ったまま手続きが出来る銀行などが例示されています。自転車に乗ったまま買い物が出来るスーパーとか、お店なども考えられます。いちいち駐輪する必要がなく、自転車に乗ったままなら、店頭の迷惑駐輪、放置自転車は減ることになるでしょう。

BIKE-THRU SOCIETY

自転車スルーのオフィスでは、デスクの脇、向かいや隣のデスクとの間仕切りの間に自転車を保管することが出来ます。自転車通勤する人が、駐輪場所に悩んだり盗難の心配をすることなく、それこそデスクの前まで自転車で乗り入れられるようなオフィスです。

BIKE-THRU SOCIETYBIKE-THRU SOCIETY

バイクスルーの住居では、自転車で家の中に入れます。今でも屋内保管する人はいますが、集合住宅の各戸の玄関まで自転車に乗ったまま移動するというコンセプトです。エレベーターにも乗り入れられ、集合住宅の屋内の通路も自転車で移動するようになるかも知れません。

BIKE-THRU SOCIETYBIKE-THRU SOCIETY

バイクスルーのギャラリーでは、自転車にまたがったまま作品の鑑賞が出来ます。そこまで必要かという気はしますが(笑)、自転車で通り抜けられるギャラリーというのも案外面白いかもしれません。歩行者と混在すると危険が生じると思いますので、自転車専用ということになるのでしょうか。

ライドスルーのトレーニングジムもあります。自転車をこぐなら、ジムに入らなくても..、と思いますが、雨の日もありますし、ただこぐだけでなく、BMXのようなトリックの練習をしたい人もあるでしょう。自転車に乗ったままジムに入室してトレーニング、確かに新しいスタイルです(笑)。

BIKE-THRU SOCIETY

当然ながら、世の中自転車に乗る人ばかりではありません。あまりに自転車中心になってしまうと、それはそれで不便も出てくるでしょう。しかし、今のように、せいぜい道路に面した駐輪場までという固定観念を捨て、場合によっては、屋内まで自転車でアクセス出来るところがあってもいいのかも知れません。

BIKE-THRU SOCIETY

ドア・ツー・ドアに近づけば、それだけ便利になりますし、駐輪も分散しますから、放置自転車、迷惑駐輪は基本的に減ることになるでしょう。ニーズがあるならば、ビルの各階へのアクセスに自転車が使われてもいいでしょうし、屋内に自転車レーンがあっても、おかしくはありません。

BIKE-THRU SOCIETY

あまりに極端なスタイルだと、広く市民の理解は得られないと思いますが、前世紀的な発想の転換を促す意味で“BIKE-THRU SOCIETY”、なかなか面白い構想です。自転車環境の充実は道路インフラに限らず、建物や構築物を含めた都市のすみずみにまで広がる可能性もないとは言えません。

自転車に乗る人が増えれば、その人たちを呼び込み、その人たちへのサービスを考えた建物も増える可能性があります。21世紀が自転車の世紀と呼ばれるかどうかはわかりませんが、クルマ優先の思想が、もう少し自転車フレンドリーに変わってもいいのだろうとは思います。





イプシロン、打ち上がりませんでした。中止になりましたが、事故にならなかったことで良しとすべきでしょうね。

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