July 05, 2014

歩くように乗る自転車の意味

日本では、人口減と高齢化が同時に進んでいます。


高齢者が急増する一方、支える世代は減少していきます。財政的にも厳しくなる一方であり、先月には医療介護改革法が成立しました。このままでは介護保険制度がもたなくなる可能性があるため、負担を増やし、給付は縮小するという厳しい内容にならざるを得ません。

少しでも介護が必要となる人を減らす、あるいは必要となる時期を遅らせる必要がありますが、高齢者が健康を維持する上で、自転車による運動は有効とされています。ヒザへの負担が少なく、無理なく効果的な有酸素運動が出来るため、健康の維持に貢献します。

また、ペダルをこぐ運動により大腰筋、腸腰筋などの、いわゆるインナーマッスルが鍛えられるため、つまずいて転倒するのを予防する効果が高いとされています。大腰筋などの衰えによって転倒しやすくなると、骨折の可能性が高くなります。そして骨折がきっかけで寝たきりになる高齢者は多いと言われています。

自転車に乗ってペダルをこぐ運動は、有酸素運動の効果とともに脳が刺激され、認知症を予防する、あるいは発症を遅らせる効果も高いとされています。高齢になっても自転車に乗ることは、その健康効果によって、要介護者を減らす方向に働くのは間違いないでしょう。

もう一つ、自転車はクルマの運転をやめた高齢者も含め、貴重な交通手段となりえます。近年は首都圏などであっても、人口減でバス路線などが廃止され、いわゆる買い物難民が発生しています。徒歩圏のスーパーが撤退すれば、日々の食材の買い物にも困る状況に陥りかねません。自転車は貴重な移動手段でもあります。

しかし、その自転車も、いつまでも乗れるわけではありません。時期は人によりますが、歩行もおぼつかなくなる時がくるでしょう。自由に移動することもままならなくなります。移動の自由が失われると、買い物や通院なども困難になり、何らかの手助けが必要となってきます。

自分で外出できなくなれば、世間とのつながりが乏しくなり、メンタル面の問題も出てくる可能性があります。足腰を使わないと、さらに足腰が衰えることになり、急速に介護が必要な状態に陥る例も少なくないと言います。自由に移動出来るということは、重要なポイントなのがわかります。

さて、足腰が衰えてきた自分の母親に、なるべく自分で移動出来るようにしてあげようと考えたのが、オランダの、Barbara Alink さんです。彼女の母親は、心臓と腰に問題を抱えていました。そして、近く車椅子か歩行器など、何らかの手段が必要となりそうな状態でした。

バーバラさんは、従来の歩行器などの問題点を洗い出し、全く新しい道具を開発することにしました。ベースに標準的な自転車のテクノロジーとパーツを採用して出来上がったのが、車輪に乗って歩くスタイルの全く新しい移動手段、“The Alinker R-volution”です。

Alinker™ R-volutionAlinker™ R-volution

Alinker™ R-volutionAlinker™ R-volution

タイヤは3輪、普通の自転車のように、スピードを出さなくても倒れてしまうことはありません。ペダルやチェーンはなく、サドルにまたがり「歩く」乗り物です。当然スピードは出ませんが、周囲の歩行者に混ざって、店内、屋内にも乗り入れる使い方が想定されるので、スピードが出たら危険、むしろ不要です。

Alinker™ R-volutionAlinker™ R-volution

Alinker™ R-volutionAlinker™ R-volution

ただ、脚力によっては、ある程度のスピードを出すことが出来ます。そして、何より車輪に乗って移動する「楽しさ」があると言います。これを自転車と呼ぶかどうかは別として、見た感じは、まさに歩く自転車とでも言うべき乗り物です。体重をサドルが支えるので、足の筋肉が弱った人でも実用的な速度で移動出来ます。





ハンドル部分につかまることが出来、ブレーキもついています。従来型の歩行器と違い、サドルが体重を支えるぶん、手が使えるのも利点でしょう。車椅子とは違って目線も従来の高さに近く、自分の足を使って移動することから、足の筋肉が弱ってしまうことも防げます。

Alinker™ R-volutionAlinker™ R-volution

Alinker™ R-volutionAlinker™ R-volution

高齢者だけでなく、事故などで片足を失った人とか、身体に障害のある人にも役立つ可能性があります。人によって、クルマ椅子がいい人、従来型の歩行器が向いている人、いろいろだと思いますが、また一つ選択肢が増えたということになるでしょう。

Alinker™ R-volutionAlinker™ R-volution

Alinker™ R-volutionAlinker™ R-volution

最近は、歩行を補助するパワースーツとかロボットなどが開発されています。そうした先端技術も、もちろん素晴らしいですが、こちらの長所は、なんと言っても動力が不要な点です。技術的には従来の自転車向けのもので十分であり、パーツも流用できます。ロボットより価格的に安く製造できるのも利点でしょう。

技術はありふれたものですが、市販の自転車用のアクセサリー、メンテナンス用品などを使うことが可能なのもリーズナブルです。使うのに、たいした練習もいらないでしょう。気軽に使える道具にもかかわらず、人が自立を取り戻し、自分の足で、一人で出かけられるようになります。







開発にはカナダの工房やオランダの自転車メーカー、工業デザインやエンジニアリング会社などが協力しており、2014年9月から予約受付を開始する予定です。利益の一部は女子の教育や紛争国の地雷犠牲者の援助に充てられます。また、今後は子供用も開発する計画になっています。

なかなか興味深い製品だと思います。一般的に足腰が弱くなれば、致命的となる転倒を避けるため、どうしても車椅子などに頼りがちだと思います。しかし、それは一方で、足腰だけでなく心肺や脳も含めた身体の機能を衰えさせ、活動範囲を狭め、要介護度を高めてしまう可能性があります。

Alinker™ R-volutionAlinker™ R-volution

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自転車の技術や車輪の助けを借りてであっても、自ら歩くということは、重要な意味を持ちます。こうした工夫、開発が広がって、人々の自由に動ける期間が伸びれば、社会的にも介護費用の低減に大きな効果が見込めるに違いありません。移動の補助具は、まだまだ考える余地がありそうです。

介護保険を持続させるため、給付を削減することも必要でしょう。でも、単なる削減では介護の現場にしわ寄せがいくだけです。社会全体で介護が必要な人を減らし、必要な期間を減らす必要があります。日本でも、もっと自立した移動の可能性を追求していくべきではないでしょうか。




そのプレーは世界中を魅了していただけに、ネイマール選手の離脱は残念です。試合を残して去ることになった本人も悔しいでしょうね。

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この記事へのコメント
高齢化

彼の地とはずいぶん雲泥の差があるように
思えます

「野々村」サンも高齢者問題に取組んでいたと
号泣しながら叫んでいるように見えましたが
一体何をしたのでしょうか

切手収集?
Posted by ロードバイク初心者 at July 12, 2014 11:16
ロードバイク初心者さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
福祉政策や介護保険などの公的な制度も大切ですが、それ以外に出来ることはたくさんあると思います。
特に、健康や身体の機能を維持する部分については、具体的な行動、取り組みによって、予防的に出来ることがたくさんあるでしょうね。
Posted by cycleroad at July 13, 2014 23:14
 
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