
「お台場・臨海地区に自転車特区を」谷垣自民党幹事長が構想
谷垣禎一自民党幹事長が、2020年東京五輪の中心エリアとなるお台場・臨海地区に「自転車特区を作って、都市交通の実験をしたい」との構想を披露した。
政界屈指の自転車愛好家で日本サイクリング協会会長、自転車活用推進議員連盟会長なども務める谷垣幹事長は、9月20日、自ら実行委員長を務める「東京サイクリングサミット2014」の席上、「2020年五輪開催に向けて都市インフラや都市交通の再構築を進める中で、自転車利用の日本モデル、文化を作っていく必要があると思う。オリンピックに向けて整備が必要なお台場周辺で自転車特区を作って、自転車レーンやシェアサイクルを運用し、テストできないか提案したいと思っている」と話した。
ニューヨークやパリなど海外都市の自転車利用の実績を踏まえ、「都市交通には渋滞や排気ガスなど大きな問題があり、自転車を利用しやすいように変えて、都市交通の一種のインフラに持っていく必要がある。頭の中ではまだ具体的ではないが、自転車レーンをどうしていくか、交通法規をどうしていくか、特区を作って実験していく必要がある」
「オリンピックに向けて整備が進むお台場・臨海地域では、いろんな実験が行えると思っている」とまだ構想段階ながらも、自転車を活用した将来の都市交通のあり方をテストする場の必要性を訴えていた。(サイクルスタイル 2014年9月21日)
2020年の自転車交通をNYから学ぶ…東京サイクリングサミット2014で谷垣禎一会長「新たな普及ステージを作る」
「東京サイクリングサミット2014」が、9月20日に都内のホールで開催された。2020年東京五輪に向けて自転車交通に注目が集まる中、自転車先進都市として成功を収めているニューヨークから有識者を招き、講演やパネルディスカッションを通じてその先例を学んだ。
サミットにはニューヨーク市交通局・前政策責任者のジョナサン・オルコット氏、バイクニューヨーク会長のケニス・ポジバ氏、ニューヨークの自転車情報を発信するウェブサイト「ヴェロジョイ・ドットコム」創始者のスザンヌ・ウインチ氏の3人のゲストを招き、近年のニューヨークの自転車環境の変化について語ってもらった。
ニューヨークでは2007〜2013年の7年間で自転車専用道を400マイル(600km以上)整備したことで、自転車登録台数が148%増加。通勤通学に自転車を利用する人が増える一方で、自転車事故による負傷者数はほぼ横ばいと大きな成果を見せている。
また、ニューヨークを通行止めして行う世界最大のチャリティー・サイクリングイベント「バイクニューヨーク(ファイブボロー・バイクツアー)」は世界65カ国から3万2000人を集めて、盛大に開催。バイクニューヨークでは自転車教室も実施するなど、ソフト面も充実させている。
さらに「シティバイク」と呼ばれるシェア自転車も6000台設置され、貸し借りするためのステーションも300箇所あり、ニューヨーカーのライフスタイルを変える存在となりつつある。
日本では、軽快車や電動アシスト自転車など買い物用自転車が全体の8割を占める独特の現状を踏まえながらも、2020年東京五輪に向けて自転車の通行区間を整備していく方針などが報告された。
サミット実行委員長の谷垣禎一日本サイクリング協会会長(自民党幹事長)は「自転車は公益性、公共性があり、環境負荷が少ない。持続可能な社会を作るためには、都市交通の改革が必要で、自転車がその主役になりうると思う。世界の先進都市に負けない新たな普及ステージを作っていきたい」と、国内の自転車インフラ整備の重要性を唱えていた。(サイクルスタイル 2014年9月21日)
趣味の自転車で特区提案 自民幹事長
自民党の谷垣禎一幹事長が20日、都内で開かれた自転車による都市交通改革を考える集会に参加した。「自転車特区をつくり、専用レーンや(あちこちで借りて返却できる)シェアサイクルのテストを提案したい」と挨拶し、2020年の東京五輪に向けて再開発が進む都心の臨海部を候補地にあげた。
谷垣氏はサイクリングが趣味で「低炭素社会をつくらなければいけない。特区の効果を検証し、他都市に導入することも可能だ」と力説。幹事長として政策実現への強力な応援団となれるか。(2014/9/20 日本経済新聞)
東京五輪へ広がる自転車シェアリング 普及に広域連携カギ
■来月から千代田、港区で本格運用
東京五輪・パラリンピックへ向け、自転車を共同利用する新しい公共交通「自転車シェアリング」の実証実験が、江東、港、千代田の各区で広がっている。無人のポートから自転車を自由に借り、別のポートに返却できる手軽さだが、課題は区をまたいでの利用。広域連携へ、都の手腕が期待されている。
◆需要は十分
千代田区と港区は10月1日から、自転車シェアリングを本格スタートする。都内では江東、港両区が平成24年度に実証実験を実施。江東区は現在も台場、有明など臨海部で期間を延長しながら、都内最大規模の30カ所、300台で運用している。
港区の実証実験では、自分の自転車を品川駅の駐輪場(月1800円)に預けるより、ポートが近くにあればシェアリング(月1千円で何回でも利用可、1回30分まで無料)の方が安いとあって、5カ月間に550人が5498回利用。通勤通学や顧客回りなどに活用された。
武井雅昭区長は「区内のホテル客室数は、23区最多の約1万8千室。東京五輪までに、観光客の利用も増やしたい」と意気込む。千代田区は、区内全域で展開するのが特徴。石川雅己区長は「公共施設だけでなく、民有地もポートを備えてほしい。仕事や観光で1日300万人が区内を往来し、普及を確信している」と力を込めた。
◆ポート場所ない
普及が進む自転車シェアリングだが、課題は「さまざまな行政機関の壁」と各区担当者は口をそろえる。現在は区単位の運営のため、他区で返却できない。
台数増加も容易でない。道路へのポート設置は、国道、都道、区道により管轄が異なる。高層ビル近くのオープンスペースへの設置は、都の規制緩和が必要となる場合がある。導入を検討中の中央区は「ポートの設置場所がない」(区環境政策課)と頭を悩ませる。
このほか、自転車専用道路の整備、自転車への広告登載、逆送者の取り締まりなど、権限の調整が必要な分野は多岐にわたる。千代田区の石川区長は「一つ一つ壁を破れば隣接区と進むという思いでボタンをかけた」と語る。
先行導入した江東区の山崎孝明区長は「利用者にはとても好評だ。舛添要一知事も専用道路を東京五輪までに倍にしたいとのことなので、環境に優しく、健康に良いシステムを広めたい」と話している。
【用語解説】自転車シェアリング
コミュニティサイクルとも呼ばれ、ポートにある自転車を借り、移動先のポートに返却する。ロンドン(550カ所、3千台)では、2012年の五輪開催時の移動手段の一つとして整備され、期間中1日4万回の利用があった。パリ(1800カ所、2万台)では、地図や住宅情報誌などにもポートの位置が記載され、市民の足として活用されている。(2014.9.24 産経新聞)