January 10, 2015

どこへ行っても生活ができる

朝の冷え込みの厳しい季節が続いています。


なかなか朝、ベッドから出られないという人も多いのではないでしょうか。この寒い中でも、自転車に乗ってしまえば、朝の冷たい空気が心地よかったりすることもあるわけですが、起きて乗るまでがたいへんで、朝の自転車通勤が億劫に感じられる季節かも知れません。

ところで、寝ることと自転車、あるいはベッドと自転車とは、ふつう何の関係もありません。でも、なかには自転車で寝ること、もしくはベッドになる自転車にこだわる人がいます。“Woonfiets”という自転車、コンセプトを提案している、Rizqy Hidayat さんもその一人です。

WoonfietsWoonfiets

こちらは、ちょっとした自転車ハウスとでも言うべきトライク、3輪車です。単なるカーゴバイクのように見えますが、これは「生活できる自転車」であり、言い方を変えれば「モバイル・ベッド」です。生活の場と交通手段の融合、ひらたく言えばベッド付き自転車です。

ハンドルの前の荷台部分が、駐輪時には約2倍に拡張することが出来、ベッドとして使えるようになっています。大人が足を伸ばして寝られるくらいの長さがあって、延長部には脚部をつけることで安定するようになっています。寝るときはフタを閉められるようになっており、内側から施錠できます。

WoonfietsWoonfiets

狭くて、まるで棺桶に入った気分だと思いますが、これは寝ている間のセキュリティーの確保のためであり、風雨を避けるため、保温のためでもあります。このベッドになる部分、走行時には荷物入れになります。調理器具や食料、服や寝具などを入れて携行することが出来ます。

ベッドになる箱の下部にはバッテリーをセットすることが出来るので、ラジオや携帯電話の充電、パソコンを使ったりすることも可能です。多くの荷物を携行するのは無理ですが、生活に必要な最低限の荷物を積んで移動することが可能です。

WoonfietsWoonfiets

これ一台あれば、どこでも寝場所を確保できる、キャンピング自転車と言ってもいいでしょう。旅行や長距離の移動のための自転車です。ただ、キャンピング自転車というより、ホームレスにしか見えないという率直な感想を持つ人もあるに違いありません(笑)。

もちろん、ホームレスの人用の自転車にもなりますし、そのことを否定していません。ホームレス状態になった場合には、空き缶の回収など、お金を稼ぐ手段としても使えますし、側面に広告を入れることで、移動看板として使うことも出来ると主張しています。



個人で制作した自転車のため、見た目がパッとせず、下手をするとホームレス用に見られてしまいがちですが、コンセプトとしては生活できる自転車であり、モバイルベッドです。ホームレスの人が使うことも出来ますが、そのためだけの自転車ではありません。

例えば、災害時にも役に立ちます。日本では考えにくいですが、戦争や内乱などで難民として移動せざるを得ない時にも使えるでしょう。現代のノマド、遊牧民のように生活したい人にも役立ちます。一時的にせよ、地価の高い都心に滞在したい人にも重宝するかも知れません。

WoonfietsWoonfiets

都心部に駐輪して寝起きし、起きたらすぐ出勤できる職住接近生活の手段となるかも知れません。普通に出張にも使えると主張します。冒険旅行に使う人もあるでしょうし、聖地への巡礼の旅にも使うことが出来ます。もちろんレジャーやキャンプにも使えます。

クルマをベースにしたキャンピングカーと比べて、安価なのが利点です。初期費用だけでなく、維持費も圧倒的に安いのは明らかです。基本的にガソリン代も、駐車料金も、保険料も税金もかかりません。メンテナンスや修理費用も安く、宿泊費も交通費もかからない旅行、移動が可能になります。



ノマドのように生活したり、職場の近くで寝ることの需要が高いとは言いませんが、いろいろな用途に使える、仕事やレジャーや緊急時にも役立つユーティリティー自転車というコンセプトには、一定の理解が得られるのではないでしょうか。

いまは、プロトタイプとしてアイディアを検証し、更なる使い方を探ったり、使い勝手を試したりする段階ですが、今後さらに改良し、開発を継続していくとしています。素材を軽くて防水性の高いものにしたり、見た目も含めた完成度を高め、メンテナンスフリーにすることも考えています。

WoonfietsWoonfiets

ポリエステルなどを使い、軽量化を図った試作モデルもあります。さらに、みすぼらしさを増しているとの指摘もありそうですが(笑)、こうした素材を個人で成型するのが難しいことを考えれば、なかなか意欲的と言えるのではないでしょうか。

この方、オランダ人のようです。国境を越えてヨーロッパ大陸を移動しながら生活し、農場などで季節労働をして、寒くなると暖かい地域へ移動する人とか、不法移民などで定住が難しい人、高い失業率でホームレス生活に陥る人があるなど、ヨーロッパの事情も背景にありそうです。

WoonfietsWoonfiets

もう少し洗練されたものもあります。こちらはデンマーク人、Mads Johansen さんが設計した、トレイラータイプのキャンピング自転車、“Wide Path Camper”です。トレイラータイプのため、常に牽引している必要はなく、駐輪後に外して出かけることも出来ます。

やはり、キャビン部分が伸縮式になっており、牽引時は小さく、駐輪したときには前後に伸ばすことが出来ます。まさに小型のキャンピングカーのように使えて、寝室モードにした場合、大人二人と子供が寝られるくらいの空間が確保できると言います。

Wide Path CamperWide Path Camper

Wide Path CamperWide Path Camper

先ほどの“Woonfiets”は、寝る空間だけのミニマムでしたが、こちら“Wide Path Camper”は、小さいながらもテーブルをセットして居間のように使うことも出来て、走行時は半分程度の大きさになるという構造がウリです。そのぶん重くはなりますが、より多くの荷物を積載することが可能です。

こちらは純粋にレジャー用を想定していますが、やはり同じように、いろいろな用途に使えるとアピールしています。車体の面積が広いぶん、スポンサーを見つけることが出来れば、それなりの広告料を稼げるかも知れません。最近、ヨーロッパでは自転車での旅行の人気が高まっていますので、それなりのニーズが見込めそうです。

Wide Path CamperWide Path Camper

どちらも、長い距離を、安く宿泊しながら移動できる交通手段には間違いありません。“Woonfiets”のほうは、学生の貧乏旅行などにも持ってこいでしょう。テントを携行してもいいわけですが、1分以内でベッドに変身する手軽さと、荷物を積むスペースにもなるというアドバンテージがあります。

こんな自転車で、あてもなく放浪し、眠くなったら寝る、そんな旅がしたくなる人もあるのではないでしょうか。足の向くまま、気の向くまま、予約もせず、行く先を決めない旅もいいでしょう。寝床付きで移動する自転車、どこでも生活できる自転車というのも、面白いかも知れません。





また卑劣なテロが起きました。殉教覚悟で説得の余地無しなのでしょうが、間をおかず突入というのも驚きます。

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