January 13, 2015

まだまだ眠っているサービス

旅行者用の宿泊施設には、いろいろなものがあります。


欧米の宿泊施設の場合、一般的なホテル以外に、例えばB&Bと呼ばれるところがあります。これは、ベッド・アンド・ブレックファスト(bed and breakfast)の略で、文字通り宿泊と朝食が料金に含まれる、比較的安く泊まれる施設です。イギリスや北米などの英語圏で、こう呼ばれるケースが多いようです。

同じB&Bでも、ベッド・アンド・バイクと呼ばれる施設もあります。こちらは、自転車で旅行するお客向けの施設です。国によって“Bed&Bike”や“Bett&Bike”と表記されます。主にサイクリング客向けにつくられ、自転車での旅行に便利とされている施設です。

国境を越えてサイクリングロードが整備されているヨーロッパでは、近年、自転車での旅行が人気であり、こうした宿泊施設も増えているようです。列車などにも自転車をそのまま乗せることが出来る場合が多いことも、自転車での旅行に便利になっています。

前回は、ベッド付きの自転車を取り上げました。ベッドと自転車、突飛な組み合わせですが、自転車による旅行が盛んなヨーロッパにおいて、自転車と宿泊という意味では、ベッドと自転車という言い方も、特に違和感がある組み合わせではないわけです。

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ところが、そんなヨーロッパの人も驚くようなサービスが登場しています。こちらは“BettBike”、ベッド自転車を使ったビジネスです。言ってみれば、ベロタクシーの客席がベッドになっており、ベッドに入って横になったまま、観光が出来るという意表を突くサービスです。

その名も“Berlin Horizontal”という名前で、Richard Eckes さんが提供しています。自転車の速度で、ドイツ・ベルリンをのんびり巡ることが出来ます。まさにベルリンを横向きに眺める、水平になった状態で楽しめるという自転車観光ツアーなのです。

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これで観光するのはラクかも知れませんが、街中で目立つこと請け合いです。よくこんなことを考えついたものだと思いますが、宣伝効果は抜群でしょう。ドイツ人でも想定してないベッドと自転車の組み合わせです。ちなみに、1時間で38ユーロ、日本円で5千4百円ほどです。

観光で訪れたヨーロッパ人がドイツで普通にベロタクシーに乗るのは、珍しくも何ともないでしょうけど、これなら他との差別化には十分です。面白がって乗る人も多いようです。日本では、浅草などで人力車によるツアーが外国人に人気のようですが、それと少し似ているかも知れません。少なくとも記念にはなります。

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観光客を案内する、観光ベロタクシーは、あちこちの都市にありますが、この発想はありませんでした。実はこれ、市内の広告代理店の人が考えついたと言います。もともとは、ホテルチェーンの全国プロモーションに使うためのものだったようです。道理で目立つスタイルなわけです。



あちこちのメディアにも取り上げられています。サイトやフェイスブックを見ると、大勢の人が利用しているようです。この手のものに対し、注目をあぴて恥ずかしいというのは、周りからの見られ方を気にする、きわめて日本人的な感覚であり、欧米人にとっては、さほど気にならないのでしょう。

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ちなみに、このベッド自転車、今のところ一台しかありません。乗りたい方は予約が必要です。長旅の場合など、その疲れをとりながら観光が出来るわけで、人の目が気にならなければ、案外便利かも知れません。足の悪い人や、療養中の人でも出かけられる可能性があります。

Tricycle Hearse

一方、デンマークにも変わった寝台自転車が登場しました。寝台と言っても、こちらは永遠の眠りについた人を運ぶ、いわば霊柩自転車です。クルマの霊柩車の代わりに、こちらを選ぶことが出来ます。コペンハーゲンの葬儀社が、新しくこのサービスを始めました。

日本だったら、霊柩車を自転車で、などと言えば、不謹慎とか縁起でもないと怒られそうです。しかし、さすが自転車先進国デンマーク、歓迎する市民も多いと言います。もちろん人によって嫌う人もあるでしょうが、デンマーク国民には、おおむね好意的に受けとめられているようです。

コペンハーゲンなどでは日常での移動に自転車を使う人の割合が高く、通勤から何から全て自転車で移動する人も少なくありません。自転車が都市交通の重要な役割を果たしており、雪が降っても自転車で通います。逆に雪で自転車に乗れないと公共交通がパンクするので、市は真っ先に自転車レーンの除雪をするくらいです。

Tricycle Hearse

そんなデンマークで、ふだんから自転車を使っているサイクリストでクルマを使わない人、それを自分のポリシーとしている人が、最後だけクルマに載せられるというのも不本意でしょう。最後も自転車に載せられて見送られたいと考えても不思議ではありません。

生前に予約しておけば、永遠の眠りについた時にも自転車で旅立てるわけです。自転車好きだった人にしてみれば、自分らしい選択肢が出来たという意味で歓迎なのでしょう。もちろん、厳かでないなど、批判的に見る人もありますが、個人の選択の問題ということだと思います。

ベッドにしても、棺桶にしても、普通に考えたら自転車とは結びつきません。しかも、それをサービスにするとは、なかなか出来ない発想でしょう。普通には考えもしないようなこと、結び付けられないような発想が出来れば、まだまだ新しい商売のタネが眠っているということなのかも知れません。




もうニュースにもならなくなりましたが、相変わらず各地で異物混入が続いているようですし、経営陣は、やる気あるんでしょうかね。

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