February 03, 2015

将来の展望を示し実現する力

国によって自治体の区割りの仕方が違います。


イギリスのロンドンは、イングランドの州の一つとされていますが、地方自治体としては、シティ・オブ・ロンドンとシティ・オブ・ウェストミンスター、そして31のロンドン特別区を含む地域が一つの行政区として、グレーター・ロンドン・オーソリティーになります。日本語では大ロンドンと呼ばれることもあります。

このイギリスの首都、グレーターロンドンを治めるのがメイヤー・オブ・ロンドン、日本語では大ロンドン市長ということになります。日本でいう市長と違って、大ロンドンの場合は、その面積、人口、都市としての規模や役割など、どれをとっても日本の東京都知事に相当すると考えていいでしょう。

この現在の大ロンドン市長が、ご存知、アレグザンダー・ボリス・ジョンソン市長です。ボサボサの髪型がトレードマークの親しみやすい人柄で知られ、ボリスというファーストネームだけで誰もが彼のことだとわかるくらいの名物政治家であり、イギリス政界の著名人です。

ロンドンのボリス・ジョンソン市長ロンドン自転車革命、レンタサイクル事業開始へ

このブログでも何回か取り上げましたが、ロンドン五輪を契機に自転車革命を成功させ、ロンドンを自転車先進都市へと変えた立役者です。自身も自転車好きで、大ロンドン市長でありながら、自転車で通勤しています。ちなみに、デーヴィッド・キャメロン現イギリス首相も野党党首時代は、普通に自転車で通勤していました。

さて、そのボリス・ジョンソン市長、日本でいうなら、都知事並みの権限を持っていたからこそ、自転車革命と呼ばれる、ロンドンの大胆な交通改革をリード出来たわけです。ロンドン・オリンピックでの渋滞対策にも役立ち、世界からも高く評価されました。

オリンピック期間中に、クルマや地下鉄の混雑回避のため自転車を使ったロンドン市民の中には、その後も元の交通手段に戻らず、自転車を利用するようになった人が多かったようです。このあたりの経緯については、過去に書いていますので、そちらをご覧下さい。

オリンピックを機会に改革を
自転車革命を阻む日本の呪縛
オリンピック後にも残るもの
オリンピックが都市を変える

自転車レーンの整備や、郊外と中心部を結ぶ自転車ハイウェイ、都市型自転車シェアリングである通称「ボリス・バイク」などの施策を次々と打ち出し、強力なリーダーシップの元に、自転車にフレンドリーな都市へと転換させてきました。そのボリス・ジョンソン市長ですが、これで自転車革命が終わったとは考えていません。

Embankment cycle superhighway

イギリスのBBCが伝えるたところによると、今回、都心のテムズ川沿いの高架道路の車線の一部を自転車専用にする計画を承認しました。都心部の大動脈である道路を、自転車用にしてしまうという大胆なプランです。さらなる自転車シティへの挑戦です。

テムズ川沿いに、ハイドパークからタワーヒルと言うと、バッキンガム宮殿やセントポール大聖堂、タワーブリッジなどがあるロンドンのまさに中心部です。ここを自転車専用にするとは、驚くような構想です。BBCが言うように、自転車ハイウェイのフラグシッップと言っていいでしょう。

東京で例えるのは、隅田川とテムズ川は違いますし、街の構造も違うので難しいのですが、上野から秋葉原や神田を通り、大手町や丸の内を通って有楽町から新橋くらいの感じでしょうか。川はないですが、中央通りの両側一車線ずつを自転車専用にするイメージでしょうか。立体交差の多い昭和通りかも知れません。

川沿いですし、少し違う気もしますが、距離的には同じくらいだと思います。そんな都心のど真ん中の高架道路を自転車専用に改良してしまおうというのです。いまや、ロンドンで自転車は大量輸送手段であり、そのくらいの道路が必要だという認識なのです。

Embankment cycle superhighway

確かに、東京でも例えば、銀座の街中を自転車で通る場合、クルマや歩行者も多いですし、右左折車があったり、タクシーが客を拾っていたり、なかなかスムーズに走行できなかったり、時間がかかったりします。この自転車ハイウェイによって、都心部の通過を速くてラクにすることで、大量にさばく狙いのようです。

当然ながら、沿線の地域の団体とか、渋滞が酷くなると懸念するタクシードライバーの組合など、反対する声も上がっています。しかし一方で、自転車を利用する多くの市民だけでなく、地域に立地する企業の中にも賛同する意見が広がっていると言います。

最初から、このプランが示されたら、到底成功の見込みはなかったでしょう。これまでの自転車インフラの拡充を含めた都市の交通計画が、無用なクルマの使用を控えさせ、その流入を抑制したぶん渋滞を減らし、排気ガスや騒音が減り、都市の居住環境の向上に貢献したことが、実感としてあるのだろうと思います。

だからこそ、当事者である多数のサイクリスト以外にも、企業などから支持する声が上がっているのでしょう。いまだに好意的でない人も多いはずですが、さまざまなメリット、いい効果を生んでいるのも確かであり、認めざるを得ない部分もあるに違いありません。

Cycle-friendly High-riseCycle-friendly High-rise

ただ、さすがに大胆な構想であり、すんなりと完成するかは予断を許しません。反対派によって法廷闘争などに持ち込まれる可能性もあります。しかし、自転車革命の理念自体は浸透してきており、人々の意識が確実に変わってきているのも確かなようです。

例えば、ロンドンで新しく計画されている、著名な建築家によるタワーマンションの設計にも、それは現れています。各戸に1つ以上の駐輪場が設けられる一方、駐車台数は少なくなっています。たんなる駐輪場ではなく、修理やメンテナンスサービスを行なうステーションなど、さまざまな機能が盛り込まれています。

マンション設計で自転車が重要なポイントになるのは、ロンドンの都心で生活する人の意識が、クルマから自転車へと変わってきていることを反映しています。渋滞して時間のかかるクルマより、自転車を利用したほうが、よっぽど便利で速い、おまけに健康的となれば、使わない手はないでしょう。

Cycle-friendly High-riseCycle-friendly High-rise

このロンドンも、最初から自転車にフレンドリーだったわけではありません。日本のようにインフラは乏しく、マナーにも問題かあって、とても自転車先進都市とは言えませんでした。市民も自転車の利便性を理解しておらず、懐疑的に見る人が大半でした。それが、ここまで変わったわけです。

国ごとの行政機構の違いなどがあって、単純に比べるわけにはいかない部分もあります。しかし、ボリス・ジョンソン市長のように、大きなビジョンを示し、リーダーシップを発揮し、市民からも親しまれ、支持される首長のいる自治体がうらやましく感じられるのは、私だけではないと思います。


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今日は節分、明日から暦では春ですが、また雪も降りそうですし、まだまだ寒い日が続きそうですね。

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この記事へのコメント
「自転車レーンの整備や、郊外と中心部を結ぶ自転車ハイウェイ、都市型自転車シェアリングである通称「ボリス・バイク」などの施策を次々と打ち出し」

あなたにとっては枝葉末節かもしれませんが、Cycle Superhighwaysを打ち出したのは2008年のリヴィングストン前市長です。ボリス市長ではありません。

http://en.wikipedia.org/wiki/Cycling_in_London

しかもあなたがwikipediaからの出典記載も無く使用したボリスバイクの写真のすぐ左に書いてあります。
Posted by 自転車好き at February 04, 2015 23:50
自転車好きさん、こんにちは。
たしかに、打ち出されたのはリヴィングストン前市長の時ですが、発表してすぐ退任しています。それを継承して、実際に整備を進めたのは、ボリス市長でしょう。
ニュースの記事などにも、その経緯を特に説明する場合でない限り、ボリス市長と書かれるのが普通だと思います。
やはり、枝葉末節といわざるを得ません。
正確を期すなら、前市長のことも書くべきでしょうが、そんなことをいちいち書いていたら、説明過剰で、読んでいる人は鬱陶しくて仕方がありません。
こんな部分をいちいち説明することすら時間の無駄であり、記事の本旨とは全く関係のない部分です。こういうことを、まさに揚げ足取りと言わずして、何だと言うのでしょうか。
本旨の部分への意見ならともかく、重箱の隅をつつくような指摘に、私もいちいち説明していられません。
ご自身の一連のコメントが、揚げ足取りにすぎないことは、自覚されたほうがいいと思います。
今後は迷惑コメントとして削除させていただきますので、あしからず。

Posted by cycleroad at February 05, 2015 23:15
「自転車の車道走行安全論を徹底的に批判する記事」を執拗に書かれている方がおられることは承知しました、でいいんじゃないでしょうか。
Posted by SHARETHEROAD at February 06, 2015 05:44
ロンドンが最初から自転車の街だったわけではないんですね。
一つ一つ段階を踏んで自転車の町になったということから、日本でも同じようにできるかもと期待することができました。
Posted by ぶらいんどけーぶ at February 06, 2015 10:37
>SHARETHEROAD様
はい、各種のブログやネット情報を参考に、各種資料を引かせてもらったものです。
本コメントはそれらの方の宣伝等が目的ではないため、引用は控えます。

>才倉様

枝葉の指摘を繰り返し失礼しました。ですので最後に「根幹」の指摘をさせて頂きます。
http://en.wikipedia.org/wiki/Cycling_in_London
及び各種のニュース記事から。

従来の「サイクルスーパーハイウェイ」はオリンピック開催を前に、路肩のカラー化による「自転車レーン」を中心に突貫整備されたものです。
しかし十分な自動車交通削減や走路の構造的分離を行わなかったため、路上駐停車による走路封鎖や自動車によるレーン巻き込み、バスとの接触等が頻発しました。

そして2013年11月、従来年間14人程度の死者数だったロンドンにおいて、2週間で6人もの自転車死亡事故が発生する。しかしこれを受けたボリス市長は「法を守らないサイクリストの安全は保障できない」という”失言”を行ってしまった。

これによりロンドンでは、1000人以上が参加し市長の姿勢に反発する、大規模な自転車デモが発生。この事件等もあり、「自転車レーン」を中心とする全12本のスーパーハイウェイ計画は4本の整備で一旦止まり、構造的分離による新型のスーパーハイウェイの前倒し整備に方針転換した。

貴方の紹介されたプランも、この流れによるものです。(続きます)
Posted by 自転車好き at February 06, 2015 12:25
(続きです)
本記事掲載の過去4記事を見てみましたが、この事件について貴方は一度も言及していない。これはロンドンの自転車利用環境整備を語るうえで外せないものです。

もっとも、市長がリーダーシップを取り、自転車利用推進に向けた各種事業を進めていることを伝える本記事の要点から見れば、ロンドンのターニングポイントさえも貴方にとって末節の一つなのでしょう。

しかし貴方の記事の受け止め方は、実態とはまったく別物になります。
「東京はロンドンを見習い、オリンピック前に自転車レーンを集中整備し、その後に専用空間を整備していけばいい」のか。
「東京はロンドンを見習い、オリンピック迄に拙速にレーンを集中整備するのでなく、最初から自転車の安全と快適性を追求した環境整備を行った方がいい」のか。

そもそも自転車交通分担率が依然数%に過ぎず、今回記事のような専用空間もすべて未だ構想段階。現在進行形で市長を中心に環境整備に取組んでいることは同意しますが、ロンドンは「自転車先進都市」ではなく「自転車発展途上都市」です。

多少の厳密さよりも読みやすさを重視する貴方のブログが読者に想定する、一から世界の自転車事情を知ろうとする方々に与える影響を考えた上での記事なのでしょうか。


自転車の通行位置と合わせ、これでコメントを終わらせていただきます。

知ったかが他者をあげつらって批判している、そう思っていただいても構いません。
ただし貴方に世界の自転車事情の紹介の役目を担っているという自負があるなら、記事の執筆と同時に、いや優先して、時間をかけて行うべきことがたくさんあると思います。

以上、感情的になり嘘つき呼ばわりから始めた上、辛辣なコメントとなり失礼いたしました。
Posted by 自転車好き at February 06, 2015 12:29
SHARETHEROADさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
違う考え方、立場をとる人たちがいることは、私も承知しています。
いろいろ意見はありますが、その専門的な論争に加わるつもりはないということですね。
Posted by cycleroad at February 07, 2015 11:58
ぶらいんどけーぶさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
道が必ずしも広くないことや、オリンピックを控えているのも共通していますし、参考に成る部分は多いでしょうね。
Posted by cycleroad at February 07, 2015 12:00
自転車好きさん、こんにちは。
事故が多発したことも、大規模デモが発生したことも知っています。それについてもブログで取り上げています。関連記事全てにリンクはしていませんが、いろいろな問題点についても別途、複数回にわたって取り上げています。検証、検証といわれてるわりに、調べもせずに「一度も言及してない」と言い切るとは、どういうことでしょうか。まず、主張の論拠が問われるのではないでしょうか。
ロンドンの自転車利用環境整備、それ自体を一回で記事にすることは長くなりすぎるので出来ません。何事にも正負両面があります。一度に両方書くと、論旨がわかりにくくなるので分けています。また、その中のどういう面にスポットをあてて記事、主張を展開するかは、私の自由です。

私の記事が実態と全く違うとは思っていませんが、そのようにとられるのは貴殿の勝手です。人それぞれ考え方が違いますし、私の記事を読んで、どのように感じるかも人それぞれです。たまたまですが、次の記事に、違う考え方も提示しています。そもそもロンドンの事例を見て、ひるがえって東京のことを考えるとき、いろいろな考え方、見方が出来るのは、当然のことです。貴殿の見方と違うからと言って、他人のブログを否定するほどの見識が、貴殿にあるのでしょうか。

ロンドンが、ある意味自転車発展途上都市であるとの指摘はそのとおりでしょう。私もよくわかっています。ただ、一般に自転車先進都市と言われていますし、新聞でも他のメディアでも書かれていることです。それを受けて書いているだけです。

私は、一から世界の自転車事情を知ろうとする方々を読者に想定しているわけではありません。マスメディアならともかく、ここは単なる個人の一プログに過ぎません。そんな大上段に構えて、発信しているわけではありません。一貫して個人の考えを述べているに過ぎません。
(続く)


Posted by cycleroad at February 07, 2015 12:15
(続き)
世界の自転車事情の紹介の役目を担っているという自負なんてありません。そんな大それた偉そうな、おこがましいことは考えていません。
たまたま知った事柄について、自分の意見を述べているだけです。そして、人によって意見が違うのは当然で、私のブログを見てどう思うかは、人それぞれです。

個人のブログですから当然のことで、それ以上ではありません。したがって、記事の執筆と同時に、いや優先して、時間をかけて行うべきことがあるとは思っていません。もちろん、記事を書く上で、いろいろ調べて書いていますが、教科書をつくっているわけではありません。それでは面白くありませんし、尖ったことを書いたり、批判もします。自分の意見と違うと感じる人も、当然あるでしょうが、だからと言って、記事を書く前にやることがあるだろうなんて指摘は、的外れでしょう。そんなことを言う貴殿に何の資格があるのでしょうか。

言いたいことがあるのなら、ご自身でブログでも何でも発信されればいいことでしょう。人の執筆姿勢とか責任とかにまで言及してくる執拗で理解不能のコメントが来るかも知れませんが..。
辛辣なコメントと言うより、的外れです。あまりに論理の飛躍や、独りよがり、身勝手な論理展開があり、むしろ失笑せざるを得ません。そして、たしかに失礼です。再三言っているように、迷惑コメント以外の何物でもなく、即刻削除してもいいくらいです。今後はそうします。

貴殿の主張を見ると、どこのサイトの影響を受けているかは、だいたい想像がつきます。どう考ようと貴殿の勝手ですが、だからと言って、その受け売りを人に押し付けるのは、まして独りよがりの論理を作り上げて強要するのは迷惑でしかありません。いかにご自身の言っていることがおかしいか、自分勝手か、よく考えてみることをお薦めします。
Posted by cycleroad at February 07, 2015 12:16
 
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