June 03, 2015

罰則の強化は誰の利益なのか

改正道路交通法が施行されました。


この件については、これまでも再三取り上げてきましたが、危険な運転を繰り返す自転車利用者に対し、安全講習を義務付ける規定を盛り込んだのが大きな特徴です。6月1日の施行前から、新聞やテレビなどのメディアでも大きく取り上げられてきました。

ルールに違反する自転車利用者は、他の自転車乗りにとって迷惑なだけでなく非常に危険です。中には、危険性を意識せずに違反している人もあり、更に周囲に対する危険性を高めています。社会全体で自転車に安全に乗れるように、ルール遵守の徹底は必要な措置だと思います。

その意味で、今回の改正には賛成ですし、これを機会に、ルールの順守と自転車の通行の秩序が確立することを望みます。施行から3日経ち、施行後の状況にも関心が集まっているようなので、各紙の論調なども含め、記録も兼ねて、いくつかピックアップしておきたいと思います。


悪質「自転車」に法の網「改正道交法」施行

飲酒運転や信号無視などの危険な行為を繰り返した自転車運転者に安全講習を義務づける改正道路交通法が1日、施行された。自転車の絡む事故は10年間で約8万件減少したが、自転車と歩行者の事故はほぼ横ばい。道交法違反容疑での運転者の摘発は5年間で約5倍に増えており、悪質運転の解消が期待されている。

悪質「自転車」に法の網改正道交法では、施行令で、信号無視▽遮断機が下りた後の踏切への立ち入り▽一時停止違反▽酒酔い運転−など14類型の違反を「危険行為」と規定した。

14類型はこのほかに、歩道での歩行者妨害やブレーキのない自転車運転、さらに携帯電話を使用しながらや傘を差しながら乗って事故を起こすなどして安全運転義務違反に問われるケースなども含まれる。

運転者が「加害者」になる深刻な事故を防ぐのが狙いだ。これら危険行為をしたとして摘発された場合、交通違反切符が交付されるが、今後は3年以内に2回以上繰り返すなどすると、公安委員会が自転車運転者講習(3時間、手数料5700円)を命令できる。対象の運転者は14歳以上。

講習は3カ月以内に受けなければならず、命令に従わないと、5万円以下の罰金が科される。警察庁のまとめによると、全国で自転車の絡む事故は、平成16年の18万件から26年には10万件に減少。だが、そのうち「自転車対歩行者」は両年とも約2500件で、横ばい。

また、信号無視や遮断機の下りた踏切への立ち入りなどでの摘発は21年の1616件から26年の8070件へと5倍に増えた。(2015.6.1 産経新聞)




社説:自転車事故対策 講習で危険運転を抑止したい

自転車で危険運転を繰り返す人に、安全講習を受けさせる改正道路交通法が施行された。運転マナーを向上させ、事故を防ぐ契機としたい。改正法では、信号無視や酒酔い運転など14項目を「危険行為」と規定した。3年間に2回以上、それらの危険運転をした14歳以上の人に3時間の講習を義務付けた。応じない場合には、5万円以下の罰金を科す。

自転車は手軽な乗り物だが、乱暴な運転は重大事故につながる。歩行者と自転車の衝突事故は、年2500件以上に上る。死亡事故も、過去10年間で50件近く発生している。危険運転が招く悲劇を伝える講習にすることが大切だ。危険行為を繰り返す運転者以外への安全教育も欠かせない。近年は、スマートフォンを操作しながら片手で運転する人が目立つ。

自転車店で購入者に交通ルールの順守を呼びかけるチラシを配っている地域は多い。警察で講習を受けるのを条件に、社員の自転車通勤を認める企業もある。こうした取り組みをさらに広げたい。学校での講習も増やすべきだ。兵庫県は3月、自転車利用者に損害賠償保険の加入を義務付ける全国初の条例を制定した。歩行者と自転車の衝突事故で、自転車側に高額賠償を命じる判決が相次いだことがきっかけだった。

年間数千円の保険料で、5000万円から1億円の補償を受けられる商品もある。保険の普及は、自転車の危険性を広く認識してもらう効果があるのではないか。自転車は、車道通行が原則だ。2007年の道交法改正で、13歳未満か70歳以上の運転者については、歩道走行が認められた。交通量が多く、車道を走るのが危険な場合には、運転者の年齢にかかわりなく、歩道通行が許される。

警察庁の調査では、このルールを知らない人が4割を占める。知っていても、「守らないことがある」という人も少なくない。自転車用標識がなく、歩道走行が認められるのかどうか、はっきりしない道路が多いことも、ルールが徹底されない一因だろう。事故抑止策として有効なのが、自転車通行レーンの整備だ。国土交通省と警察庁は12年、その整備指針をまとめた。

だが、自治体の財政難や道路の幅員不足などで思うように進んでいない。幹線道路では、車道と自転車レーンの間に縁石を置いて区分することが求められている。路面の色分けだけでも認めるなど、柔軟な指針にする必要がある。(2015年06月02日 読売新聞)




社説・春秋:やめたい危険な自転車の運転

危険な運転を繰り返した自転車の利用者に、安全講習の受講を義務付ける制度が今月から始まった。受講を拒んだ場合には、5万円以下の罰金を科す。昨年1年間に自転車がかかわる事故は約10万9000件起きた。件数自体は減少傾向にあるが、交通事故全体の約2割を占めている。新しい制度の導入を機に無謀な運転を一掃し、自転車を安全・安心な乗り物にしていきたい。

講習制度は道路交通法の改正によって導入された。14歳以上が対象で、自転車を運転中、「危険行為」で3年以内に2回以上摘発されると受講を命じられる。危険行為には、信号無視や酒酔い運転、歩道での歩行者の妨害など14項目が定められている。

そもそも自転車は、法律上「軽車両」にあたる。車道の左端を走るのが原則で、走行が認められている歩道に上がる場合は徐行しなければならない。一時停止を無視したり、ブレーキ不良のまま走ったりすることも当然、一般の車両と同じように違反行為となる。

ところがこうした原則は、いまなお徹底されていないのが現状だ。昨年中に自転車に乗っていて交通事故に遭い、死傷した約10万6000人のうち、64%に何らかの違反があったという。歩行者との事故では相手を死傷させ、裁判で高額の賠償を命じられる事例もある。歩道を我が物顔で走る自転車に危ない思いをした人は多いのではないか。

自転車は運転免許が要らないため、免許更新時など定期的に安全教育を実施する仕組みがない。新しい制度の対象の「14歳以上」には、自転車で通学する中高生も含まれる。子どものころから学校や家庭で、安全な乗り方について繰り返し教えることが重要だ。

自転車が安全に走るためには、専用道の整備や違法駐車の追放などハード面の改善も欠かせない。利用者一人ひとりがルールの徹底を肝に銘じ、自転車が交通事故の被害者にも加害者にもならない安全な環境を作っていきたい。(2015/6/3 日本経済新聞)


各紙とも、この改正をおおむね妥当なものと評価しているようです。ルールを無視する自転車利用者の多いことが事故を招き、看過できない状況になっている現状認識や、この法改正をきっかけに、安全な環境を確立していくべきという見方は共通しているようです。

一方、これに伴い、改正施行当日から全国で取り締まりが行なわれています。


改正道交法:1日スタート 自転車のルールを街頭指導

危険な交通違反を繰り返した自転車利用者に講習受講を義務付ける改正道路交通法が1日施行され、警視庁世田谷署と国土交通省東京国道事務所は東京都世田谷区の国道246号交差点で、自転車利用者に交通ルールを守るよう呼びかけた。この付近ではバスレーンと自転車走行場所の共用も同日開始され、その周知も行われた。

自転車のルールを街頭指導改正法では、酒酔い運転や信号無視などで3年以内に2回以上、交通切符を切られた14歳以上の自転車利用者は、運転免許センターなどで講習を受けなければならない。この日は午前8時から、同署員や国道事務所職員が自転車で通勤・通学する人らに対し、制度の概要や自転車の交通ルールを書いたチラシを500部配った。警視庁はこのほか都内各地で街頭指導を行った。

一方、バスレーンと自転車走行場所の共用は今年2月に国道246号の上馬(かみうま)交差点?駒沢交差点間の約1キロでスタートしたが、1日、さらに渋谷方面へ三軒茶屋交差点まで約1キロ延ばした。他の車が入れないバスレーンに自転車を走らせ安全性を高める取り組みで、レーン左端に自転車の走行位置と方向を示す矢羽根をペイントしている。(毎日新聞 2015年06月01日)




「改正道交法」初日から取り締まり、自転車「甘く考えず」 大阪

危険運転を繰り返した自転車運転者に安全講習を義務づける改正道交法が施行された1日、自転車事故の発生件数が全国ワースト(4月末現在)の大阪で、府警などが広報啓発活動や取り締まりを実施した。

初日から取り締まり午前9時半から、大阪市北区扇町の北区民センター前で、大阪府警曽根崎署員ら15人が道交法の改正内容をまとめたチラシや自転車用ライトを通行人らに配布。同区内の交差点では、自転車運転者に対する指導や取り締まりを行った。

自転車に乗っていた北区長柄東のパート社員の女性(63)は「雨の日にはつい、傘を差したまま運転してしまったこともある。これからは雨具を準備するか、乗らないようにしたい」と話した。

朝から強い日差しが降り注ぎ、日傘を差して自転車に乗る人も目立ち、署員らが注意を呼びかけた。府警によると今年1〜4月、自転車が絡む事故は府内で4060件発生。このうち、死亡事故は23件に上り、いずれも全国ワーストになっている。

大阪府警自転車対策室の吉川恭子室長は「自転車が死亡事故を招くこともある。甘く考えず、交通ルールを守ってほしい」と話した。(2015.6.1 産経新聞)




改正道交法:福岡で1時間に警告の自転車90人

自転車で違反行為を繰り返した人に安全講習を義務付ける改正道路交通法が1日、施行された。福岡市南区の西鉄大橋駅周辺では、福岡県警の警察官が取り締まりにあたった。通勤通学などで自転車を利用する人への啓発活動も実施したが、法改正を知らない人も目立った。

改正道交法歩行者の妨害や酒酔い運転、一時不停止などの違反やスマートフォンを使用しながら起こした事故など14項目の「危険行為」を3年間に2回すると受講を命じられる。14歳以上が対象で、受講命令に違反した場合は5万円以下の罰金が課される可能性がある。

この日は、福岡市の南区役所前交差点などで福岡・南署員ら約70人が危険な運転を取り締まった。イヤホンを付けて音楽を聴きながらの運転や、自転車走行帯でなく歩道での走行、信号無視の運転者らに黄色の警告票を渡して注意。1時間で90人が警告を受け、うち69人がイヤホンを付けての運転だった。

一方、自転車利用者には戸惑いも見られた。南区のパート女性(52)は「今日の施行を知らなかった。ルール違反をしてから講習を受けるのではなく、普段からルールを学べるようにしてほしい」。男性会社員(44)も「自転車が走っていい場所や赤信号での停止場所がわかりにくい」と話していた。

昨年、福岡県内で起きた自転車の人身事故は6324件で前年より493件減った。しかし、自転車と歩行者の事故は7件多い115件に上り、今年1?4月も前年同期より10件多い41件の事故が発生した。自転車での通勤通学が多い10?20代の事故が目立つという。(毎日新聞 2015年06月01日)




自転車乗ったら違反で捕まった! ネットに報告続々、法改正で厳しい取り締まりに

2015年6月1日に改正道路交通法が施行され、自転車への取締が強化された。危険なルール違反を繰り返した運転者には「自転車運転者講習」の受講を義務付けるという条件も付けられた。

今まで処罰されなかった行為が摘発の対象となっているのか、効果は「上々」のよう。ネット上には早速「捕まった」報告が続々寄せられている。

「電車の時間確認したら警察捕まった」

今回の改正で大きなポイントは自転車をめぐる規定の整備だ。信号無視や酒酔い運転、遮断踏切立ち入りなどの危険運転で3年以内に2回摘発された運転者には、自転車運転者講習が義務化される。該当者は各都道府県の公安委員会から3ヶ月以内に講習を受講するよう命じられる。従わなかった場合、5万円以下の罰金が課される。

ネットに報告続々違反項目は14個。そのなかの1つ「安全運転義務違反」では、ハンドルやブレーキなどを確実に操作せず他人に危害をおよぼすような運転、夜間の無灯火走行、傘をさしたままの運転、イヤホンで音楽を聞きながらの運転、スマートフォンなどを操作しながらの運転など危険運転の事例が列挙されている。

自転車に関してはルール違反が後を絶たなかった。少し前となるが、警察庁交通局交通企画課が12年10月5日に実施した「自転車の交通ルールの徹底方策に関する懇談会」の資料によると、自転車対歩行者の交通事故件数は10年前と比較しておよそ1.5倍にもなるという。ここ数年間は自転車側のルール違反で死亡事故も発生している。

自転車には自動車のような反則金や減点制度が設定されていないため、今まではすぐに刑事罰を課す形となっていた。自転車の危険運転がマナーをめぐる問題に留まっていたのは、警察が軽度の違反を注意で済ませていたから。そう捉える向きもある。今回の法改正で制度が整備されたため、軽度の違反でも摘発されやすくなったのは間違いない。

実際、すでに摘発されたとみられる自転車運転者がツイッターで嘆きの声を寄せている。

“「自転車イヤホン聴いてたらまた捕まったし」
「両手放し運転で捕まった」
「自転車で信号待ってる時、電車の時間確認したら警察捕まった」

など多くは「安全運転義務違反」が原因のようだ。すでに2回以上摘発されたと報告するツイッターユーザーも確認できた。

ツイッターの検索窓に「自転車」と入力すると、「自転車 捕まった」とすぐに表示されるほど「捕まった」報告は数多く見られた。ただ、中には指導だけで済まされた人もいるようだ。

警察庁「必ずしも車道を走らなければならないわけではない」

もっとも、摘発の強化をめぐっては不満も聞こえてくる。その多くは、法改正は実情に即していない、まだインフラが整備されていない、というものだ。道路交通法上、「軽車両」に位置づけられる自転車は他の車両と同様、道路標識や標示に従い、原則車道を走らなければならない。

しかし、自転車が自動車と並走するのは交通事故の危険も伴う。とりわけ自動車が幅寄せしてきた場合や、路上駐車している場合などは、危険度も増す。中には自転車の走るスペースが舗装されていなかったり、狭かったりする場合もある。

警察庁はJ-CASTニュースの取材に対し、「必ずしも歩道を走ってはいけない、車道を走らなければいけないというわけではない」と答える。確かに、道路交通法第63条の4には「やむをえないとされる」時や、運転者が児童や幼児、高齢者であるとき、道路標識等で走行できると定められている時に限り、歩道を走行しても良いと記されている。道路の整備に関しては「国土交通省の所管なので、そちらに聞いて下さい」とのことだった。(2015/6/2 J-CASTニュース)




自転車を酒酔い運転、道交法違反容疑で書類送検

酒に酔って自転車に乗ったなどとして、京都府警中京署は1日、京都市中京区壬生森町、ホテル従業員の男(52)を道交法違反容疑で書類送検した。府警が統計を取り始めた2010年以降、自転車の酒酔い運転の摘発は初めてという。発表では、男は3月31日夜、同区壬生朱雀町の市道で、酒に酔った状態で自転車を走らせるなどした疑い。

男が同区内の女性(35)が乗る自転車と接触して発覚。女性にけがはなかった。付近の防犯カメラには男が蛇行運転する姿が映っており、調べに「自宅で飲酒後、飲食店で焼酎を飲んだ」と供述している。同署は起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。(2015年06月02日 読売新聞)


法改正の施行から、間髪いれずに一斉に取り締まりを始めたのは妥当な行動でしょう。世間の関心が高まっている折りでもあり、取り締まり自体も大きく報道されます。いくら取り締まり強化と言っても、自転車利用者の母数は多いですから、全ての違反者を取り締まることは出来ません。

今ならメディア等の注目を利用して、広く法律の順守を促すのに効果的です。この道交法改正の効果を最大限にするためにも、即座に取り締まりを強化する姿勢を見せたのは、戦術としても当然の考え方と言えるでしょう。ただ、その効果がいつまで続くわけではありません。

結局、一時的な注目が高まっただけで、また元の木阿弥で以前と同じような状況に戻るのか、危険行為の禁止が徐々に浸透し、その抑止に効果が上がるのかは、今後の展開を見ないとわかりません。ただ、せっかく注目されているのですから、少しでも広く浸透することを期待したいところです。


メディアも片棒…自転車「罰金制度」の裏に警察の“巨大利権”

1日から、道路交通法が改正され、自転車の交通ルールが大きく変わった。信号無視、酒酔い運転、スマホの“ながら運転”など14項目が「危険運転」に指定され、14歳以上の運転者が、3年間に2回以上、「危険運転」で摘発されると、3時間で5700円の講習の受講を命じられる。受講しないと、5万円以下の罰金となる。この日、警視庁や大阪府警は大規模な取り締まりを実施した。

警察の“巨大利権”しかし、この「罰金制度」は、警察が巨大利権を得るために導入したのは明らかだ。その片棒を担がされたのが、大手メディアだ。交通違反を32年にわたって取材しているジャーナリストの今井亮一氏がこう言う。

「今回の自転車ルールの厳罰化は、新聞とテレビによる“悪質な”自転車利用者への批判報道と無縁ではありません。たしかに、スピードを出して運転する人は一部にいますが、メディアの報道は過剰でした。『自転車をもっと規制すべき』という警察の世論喚起に利用されたのです」

それは統計の数字からも明らかだ。09年に73万7628件あった全国の自転車事故件数は、13年までに10万8600件以上減っている。ところが検挙件数だけが急増している。毎年210〜300件程度で推移していた検挙件数は、06年からグングン増え、2014年は8070件に増えた。警察庁の大号令で検挙件数だけが増え、巧妙な世論誘導によって“自転車違反金制度”が導入されたといっていい。

「今回の道交法改正は、今後、警察組織の巨大な徴収システムとなるのは間違いありません。まず手始めに、原付自転車の反則金のように、警察官の違反現認だけでサクッと徴収できる制度に変更されると思います。『反則金』は自治体に交付されるため、国庫に直行する『罰金』と違い、警察組織の利権になります。それが実現したら、駐車監視員ならぬ『自転車監視員』が創設されるはずです。今も自治体がやっていますが、もっと巨大組織ができて、民間委託される可能性が高い。そこが警察官僚の新たな天下り先になるという算段です」(今井亮一氏)

日本の官僚組織は、利権のためなら、ホント、知恵が働く。(2015年6月2日 日刊ゲンダイ)


なかには、穿った見方もあるようです。もちろん各地の警察の不祥事は絶えませんし、一般論として官僚組織に利権はつきものです。こうした見方も当然あると思いますし、警察の肩を持つつもりはありません。ただ、この記事には具体的な根拠が示されていませんし、首を傾げざるを得ない部分があります。

刑法によって裁かれる刑事罰としての罰金を『サクッと』行政処分としての反則金に変えられるとは思えません。自転車に対する反則金制度の導入には法律が必要ですし、警察の都合で簡単に導入できるようなものではないはずです。自転車監視員の導入はともかく、取締り権限を与えるには法律の制定が必要になるでしょう。

もちろん、今後記事にあるような方向に進まないとは言い切れません。その点については市民の監視が必要です。ただ、今のところ罰金は国庫に入るわけで、直接警察の懐を肥やす形にはなっていません。基本的には、青キップのない自転車が、クルマに比べて重い罰則になってしまう状況を打開する取締り強化策だと考えます。

講習が民間委託され、その手数料が警察のOBの天下り先、交通安全協会のような組織に流れるという事態は考えられます。しかし、免許更新の時の講習と違って、この講習が義務付けられるのは、ごく限られると思います。少なくとも私には、わざわざその程度の利権のために創設された制度のようには見えません。

40年以上にわたって、自転車を歩道に閉じ込めようとする間違った道路行政が行なわれてきた結果、自転車のルールは形骸化してしまいました。多くの人が、いわば歩行者感覚で自転車に乗るため、諸外国と違って歩道上で歩行者と混在し、ルールが守られない危険な状態になっています。

改正道交法施行こうした混沌とした状況を、抜本的に改善する必要があると考える人は多いはずです。警察庁や国土交通省も、従来の方針を撤回し、自転車を本来の原則車道に戻すという大転換を決断しました。その次の段階として、現状で無秩序な状態になっている自転車利用者のルール遵守を徹底させようということだと思います。

長年の習慣ということもあって、なかなかこの状況を変えるのは難しいものがあります。今回のような法改正などをきっかけに、市民に意識を変えてもらう必要があるでしょう。何か、このようなきっかけがないと、なかなか悪習を断ち切れませんし、いつまで経っても変わらない状況を打開できません。

今後、これが広く浸透し、実際に違反者が減るかどうかは予断を許しません。しかし、罰則の強化でルールの遵守を促すことは、実際に事故で死傷する人を減らす上でも、必要不可欠な措置だと思います。今回の制度導入に、もしかしたら官僚としての思惑があるのかも知れませんが、基本的には妥当な方法のように感じます。

本当は、自転車に乗る人のモラルや自主的なマナーによって、秩序が確立されるべきと言われれば、そうかも知れません。しかし、日本における長年の悪習や、利用者の意識の低さは明らかであり、到底それは期待できません。本来は、規制強化は好ましくないかも知れませんが、仕方がないでしょう。

いたずらに警察権力を強化すべきでないとか、官僚組織の利権の巣窟になるという意見もわかりますが、やはり取り締まりの強化、罰則の強化なくして、秩序の確立が期待できないのも確かでしょう。何より自転車利用者自身の安全のためにも、今回の措置によって、事態が好転することを期待したいと思います。




呪われた寺社を油で清めたという宗教団体の男が一連の事件の容疑者のようです。迷惑な話であると同時に、何を考えているんだか、やはりカルト宗教は不気味ですね。

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この記事へのコメント
この自転車の取り締まりの強化は良い事だと思うけど、クルマのスマホのながら運転やオーディオの大音量運転は即刻逮捕&免許取り消しにして欲しいわ
殺傷能力が格段に違う訳だしね
Posted by ナゴーヤ at June 05, 2015 00:39
青信号になったので走り始めたら、信号無視の歩行者が横断開始。横断歩道からはみ出して、自転車の走行妨害。
横断歩道でないところでの自転車の直前横断。
狭い道を三人が横に並んで歩く高校生。道幅いっぱいに犬と並んで歩く散歩人。。。。


運転免許が不要である自転車に違反金を科すことができるならば、悪質な歩行者にも違反金を科す制度にしていただきたいものです。
Posted by nangosanchan at June 05, 2015 06:09
はじめまして、人気ブログランキングからお邪魔しています

今回の法改正に限らずこのような問題が多いように感じます
日本人の道徳心が欠けてきたのかなと思うことがあり
法律で規律を保たなければ日常生活ができないことに
疑問を感じる事があります
Posted by コイ at June 05, 2015 16:39
安全運転しない人達が多すぎたから、法的に罰を与えないと今後の運転の仕方を改める人がいないから打倒では?
散々甘い規制だったのに、調子のって暴走した連中のせいで、規制されまくるのは車とバイクを見れば良い例

そもそも罰金等が嫌なら安全運転すれば良いだけのこと!
普通に乗ってるなら違反項目は厳しくも何ともないものばかり。。。

むしろ、無灯火や逆走に関してはまだ緩すぎるくらい。。。

軽車両なんだから定期的な講習を受けた人だけ乗れる免許制にするべきだ。
Posted by 車とバイク乗り at June 05, 2015 18:40
cycleroad さん こんばんは。

もっともっと取り締まって欲しい、実害の有る人達は多いと思います。

何十年経っても絶滅されない、珍走団
(全く浸透していない名前ですよね、暴○○の事です)。
歩行者、自転車を無視した、殺人未遂と思われるような、運転をするドライバー。

随分前の事ですが、軽自動車を運転していた方が、
尾灯か制動灯の整備不良で切符を切られていました。
そんなもんより切符を切るべき人達がいるでしょ。
違法改造している自動車、自動二輪、原付...
ケータイ、車内TV、新聞読みながら運転しているドライバー...etc。
幾らでもあるでしょ。

今、自転車の事故が際立っているように報道されていますが、
実は昔から無くなっていない、道路上の悪質な人々は多いと思います。
(統計を取ったりはしていませんよ。)

悪質なのは、自転車、自動車に限らずあるはずですよね。
取り締まり易いところから取り締まる -> 不公平感
何とかならないものでしょうか。

すいません、愚痴になってしまいました。
Posted by Fischer at June 06, 2015 00:30
ナゴーヤさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
たしかに、ドライバーの脇見が原因という事故も起きているわけで、クルマの同様の違反の対策も当然強化されるべきだと思います。
外からあまり見えないためか、そのような声があまり聞かれないのが災いしているのかも知れませんね。
Posted by cycleroad at June 06, 2015 23:38
nangosanchanさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
あまり知られていないことですが、歩行者も道路交通法の適用を受けるわけで、当然ながら、悪質な歩行者を摘発してもいいことになります。
ただ、相対的に弱者ということもあって、事故の原因にでもならない限り、歩行者が摘発される例は聞かないのが実際でしょう。
物理的に歩行者にまで広げるのは難しいことがあるのかも知れませんね。

Posted by cycleroad at June 06, 2015 23:43
コイさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに、最近は公共の場所でのモラルやマナーの低下が言われることもあります。
ただ一方で、諸外国と比べて、一般的に日本のモラルは高いと言われることも多く、必ずしも法律による統制の強化が必要ということではないと思います。
少なくとも、この問題に関しては、過去の自転車行政の失敗が招いた特別な事情があると思います。
Posted by cycleroad at June 06, 2015 23:48
車とバイク乗りさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに、摘発や罰則を強化しない限り、どうしようもない混沌とした無秩序状態にあることを考えれば、本文にも書いたように、私も妥当な措置だと思います。
ただ、自転車を免許制にしている国など聞いたことがありません。膨大な人数になりますし、実際問題として実務面を考えても無理でしょう。
膨大な無駄な行政コストと巨大な利権の温床になるのは目に見えています。諸外国の笑いものになるのも間違いないと思います。


Posted by cycleroad at June 06, 2015 23:52
Fischerさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
取り締まりやすいところから取り締まっているように見えるのは、よく指摘されることですし、不公平感があるのもその通りだと思います。
相対的に、危険度の高いところから取り締まるべきだというのも正論でしょうし、異論はありません。
ただ、警察を含め、行政なんて非効率の塊みたいな面もあるわけで、そのような全体的な議論やあるべき姿を論じていても、なかなか実務が進まないのも確かでしょう。
自転車だけと感じる人も多いと思いますが、少なくとも危険で迷惑になっているのは事実であり、不公平感はあるにせよ、方策としては妥当なのではないかと思います。
とりあえず、出来るところから手を付けていくという方法論もあるわけで、必ずしもその部分を問題にするのが生産的かということもあるのではないでしょうか。
Posted by cycleroad at June 06, 2015 23:58
cycleroadさん,こんにちは.

この程産経デジタルのオピニオンサイト“iRONNNA”で,白岩賢太編集長が「あくまで個人的見解」と断りを入れつつ,自転車免許制導入も必要であろうとアンケートでその賛否を尋ねています.

http://ironna.jp//theme/263

それによると6月7日午前9時半の時点で

賛成:822票,反対:261票,留保:36票となっています.

多くの自転車乗りの走り方が余りにデタラメなので,おそらく腹立ちまぎれに「賛成」に入れている人が多いように思われるのですが,実際に,いつ,どこを会場に,誰が,誰を対象に実施するのかとなると難題だらけです.

それ以前に,狭い車道では左へ避けて後続の自動車に譲る等,車道左側通行を順守して安全に走行するための知識や知恵や実技の教育を徹底すべきです.

もう1つ,同じサイトでモータージャーナリストの森口将之氏が「自転車専用レーンは車道左側に拘らず片側対面通行でも柔軟に」という趣旨の記事を書いています.

http://ironnna.jp/theme/263

自転車レーンはただ何でも敷けば良いというものではありません.専用レーンだから右側通行も良いとなれば自転車同士の正面衝突多発は確実ですし,左側通行の基本ルールも崩壊します.
やはり自転車とサイクリングの専門的知識や経験を欠く自動車評論家のコメントなんてこんなものかと思ってしまいます.
自転車で右側通行はなぜ危険か,彼にも分からない筈はないのですが.
Posted by マイロネフ at June 07, 2015 10:14
いままでほっとらかしておいて
自転車も利権になるとわかったので取り締まりの強化ですか
Posted by あるふぁ at June 07, 2015 12:09
自動車のシートベルト着用と飲酒運転防止がようやく、成果が出そうになったので、次は自転車の番になったのかな?
その次は、車道上の自転車に対する自動車の行為の取り締まりか?

こうやって、少しずつ事故を減らすしか無いのか?
Posted by なななな at June 07, 2015 18:33




マイロネフさん こんにちは横から失礼します。

そのサイトのアンケートは自転車関係の人達から失笑を買っています。
アンケートは本来中立の立場から行わなければ何の意味も有りませんが
このサイトのひどいところは散々自転車免許制導入賛成の意見を述べたて
反対派の意見や導入の欠点などはまったく載せられていない所です。
要するに自分の意見を強化したいがための「見せかけの不公平なアンケート」です。

私は自転車免許制導入反対です。
ベースは自転車免許制を取り入れている国はないこと。
もちろん殆どの国は自転車は車道ですしすべての国に自転車道が完備されいてるわけでは有りません。
そこで日本だけが免許制導入すれば海外はどう見るか。
自転車ごときまで法で縛られ無ければ運用できないほど日本人は民度が低いのか。
これにつきます。

まずは学校教育でしっかり道交法を教育します、本来当たり前のことです。
自転車の小学生を見ても自発的に左側を走っている子供は少ないように思えます。
現在の学校での交通教育が不十分な証拠です。
Posted by れき at June 08, 2015 16:45
れきさん,ご意見有難うございます.まさに仰る通りです.自転車嫌いの軽薄な着想で免許制などできる筈がありません.

ただ,自転車好きといってもYouTubeでこういう“暴走族ごっこ”をして得意になっているいる困り者の少年たちの動画もありますので皆様も是非ご一覧下さい.今般の罰則強化の行為そのものです.

https://youtu.be/lzLtg2Gjvws

勿論この子達の学校や地域における自転車指導の在り方にも大いに問題が有った筈ですが,何故その走り方が危険で迷惑か,彼等にきちんと反省させた上で,正統派の本格スポーツ系自転車のコーチをしてやりたいと思うのは私だけでしょうか.

交通安全教育,特に自転車教育の抜本改革は免許制云々以前の問題です.子どもの自転車の安全のためにそれこそ“体を張って”正しいルールで安全な自転車の走り方のできる大人(保護者)がどれ程いることでしょうか.

新潟県加茂市の「自転車に極力乗らない,乗らせない」通達等,愚の骨頂です.
Posted by マイロネフ at June 09, 2015 06:00
マイロネフさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
よく調べもせずに、思いつきなのでしょうけれど、メディアとしては恣意的で無責任な部分があるでしょうね。
実際問題として、とても現実的ではありませんし、実際に自転車に免許制を取り入れている国など聞いたことがありません。

モータージャーナリストだから仕方がないのかも知れませんが、自分の無知と浅はかさをさらけ出していますね。
パリで自転車を借りて少し乗ったくらいで、ふだんは乗ることもないのでしょう。
本質的な部分を理解しているとは思えません。
自転車レーンの対面通行がまずいのは、その区間が終わった先で、逆走を招くのが一番の問題だと思います。
ほかにも理由はありますが、なるべく左側通行になるように設置すべきでしょう。
Posted by cycleroad at June 09, 2015 23:08
あるふぁさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
本文にも書いたとおり、罰金が警察の収入になるわけではありません。多少穿った見方ではないかと思います。
Posted by cycleroad at June 09, 2015 23:14
ななななさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
あまり話題になりませんが、クルマでもスマホを見ながらの運転が横行して、脇見による事故の原因になっているという指摘もあります。
いたちごっこの部分があるのは、そうかも知れません。
Posted by cycleroad at June 09, 2015 23:17
れきさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
私もおっしゃる通りだと思います。加えて対象者が多く、事務作業が膨大で、とても現実的とは思えません。
実際に導入の検討をするまでもなく、税金の無駄遣いで、利権の温床となるのは明らかで、さすがに政治家も官僚も提案しないでしょうね。
ナンセンスだと思います。
Posted by cycleroad at June 09, 2015 23:24
マイロネフさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
低俗ですが、こういうのに影響される少年もいるのは確かでしょう。
こういう少年たちが勘違いと傍若無人なまま、オートバイ、クルマへと乗り換えていき、飲酒して猛スピードで暴走して事故を起こし、罪もない他人を死なせる犯罪者になる確率が高いであろう事は、容易に想像がつきますね。
Posted by cycleroad at June 09, 2015 23:32
 
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