August 05, 2015

よりベターな形を求めていく

全国的に猛暑が続いています。


東京では6日連続の猛暑日となり、新記録を更新しました。熱中症で搬送される人も相次いでおり、自転車を含め、屋外で運動するのは厳重警戒から危険なレベルとなっています。真夏の猛暑厳しき折ですが、最近の自転車関連のニュースをチェックしておきたいと思います。


雨がっぱ:大売れ 道交法改正、自転車の傘差し「アウト」

夏真っ盛りなのに、雨がっぱの売れ行きが好調だ。6月1日に改正道路交通法が施行され、傘を差しながらの自転車運転で人身事故を起こせば、危険行為と見なされる可能性があり、思わぬ「特需」を生み出している。

7月10日夕、東急ハンズ心斎橋店(大阪市中央区)の雨具売り場。雨がっぱが並ぶ棚の前で、会社員の寺地徳明さん(49)は頭をかいた。雨の日に取引先を自転車で回っていた際、「傘差し運転」を警察官に注意されたという。「事故を起こしたら取り返しがつかない」と品定めした。

雨がっぱ同店では道交法の改正以降、雨がっぱの在庫の問い合わせが殺到し、6月の売り上げは前年の1.6倍。7月は2.2倍だった。

梅田ロフト(大阪市北区)は約200種類の商品をそろえる。7月の売り上げは前年の8.4倍を記録。4000円前後のポンチョ型が売れ筋だ。インターネット通販の「楽天市場」では、7月13日から1週間のレインウエア売り上げランキングで「自転車運転におすすめ」とうたう8商品が上位を占めた。

大阪府警によると、改正道交法は、14歳以上の自転車運転者が信号無視やブレーキ不良の「危険行為」で3年以内に2回以上摘発された場合、有料講習の受講を義務化した。傘差し運転で人身事故を起こしたケースも含まれる可能性がある。7月31日には、前輪にブレーキのない自転車を繰り返し運転したとして、大阪府公安委員会が20代の男性に全国初の受講命令を出した。

府警自転車対策室の吉川恭子室長は「ぬれない、ふらふらしない、違反にならない。雨がっぱは良いこと尽くし」と呼びかける。(毎日新聞 2015年08月04日)


他の地域と比べて、「さすべえ」などの傘を固定する器具の普及度の高い大阪で、雨がっぱが売れているようです。警察官が見ていても信号無視する人が多いと報道されている大阪ですが、傘さしの違反については改めようとしている人が多いのでしょうか。

おそらく、記事にもあるように、実際に使ってみれば便利ということもあるのでしょう。傘だと結局濡れることも多いですし、視界は悪く、風の抵抗もあって走りにくく、ふらふらすることもあります。さらに歩道を走行となれば、歩行者にとっても危険です。雨がっぱの普及はいい傾向だと思います。


ピスト自転車の男性に全国初の受講命令 前輪にブレーキなし、2度摘発 大阪府公安委

受講命令ブレーキがない「ピスト自転車」を公道で運転したとして、道交法違反容疑で2回摘発された大阪市大正区の男性(29)が、6月から始まった自転車の安全講習制度に基づいて、全国で初めて受講を命じられることが29日、大阪府警への取材で分かった。府公安委員会が31日に受講命令を出す見込み。

男性は7月9日と15日、大阪市西区の市道などでブレーキがないピスト自転車を運転したとして、2回にわたり交通切符(赤切符)の交付を受けた。自転車には後輪のみブレーキがついていたが、道路交通法施行規則では、前輪と後輪にブレーキを取り付けるよう定められている。

男性は、府警の調べに「後輪にブレーキがついていたので問題ないと思った」と話しているという。

悪質な自転車運転者に安全講習を科す改正道交法は6月に施行された。信号無視や酒酔い運転、ブレーキのない自転車の運転など14項目の危険行為を3年以内に2回以上繰り返した場合、都道府県の公安委員会が、自転車運転者講習を受けるよう命令できる。(2015.7.29 産経新聞)


別に大阪のニュースばかり選んでいるわけではないのですが、今回の道交法改正関連の報道は、大阪からのものが目立つ傾向が続いています。2度も摘発されて「問題ないと思った」はないでしょう。確信犯だと思われます。全国で始めて講習の受講を命じられることになるのは、大阪の男性ということになりそうです。

ブレーキなしのピストに乗りたかったのでしょうが、これは危険です。普通の場所では問題ないように感じますが、下り坂だと、競輪選手の脚力でもブレーキ無しでは止まれないと言います。実際に事故にもなっており、違反でなくてもやめるべきでしょう。


貸ガレージから高級自転車53台押収 窃盗容疑で男を逮捕 「盗んでは転売していた」

窃盗海外製の高級自転車1台を盗んだとして、大阪府警西署は31日、窃盗容疑で、住居不定、無職の男(39)を逮捕したと発表した。容疑を認め、「今まで100台近く盗んでは転売した。生活に困っていた」と供述しているという。同署は、男が借りていた神戸市内の駐車場から、盗まれたとみられるロードバイクや電動自転車など計53台を押収しており、関連を調べる。

逮捕容疑は6月4日、大阪市西区西本町の駐輪場で、男性会社員(32)が所有する「オルベア」社(スペイン)製の自転車1台とヘルメット1個(時価計5万3千円相当)を盗んだとしている。同署によると、自転車の前輪にワイヤロックがつけられていたため、男は自転車から前輪を取り外して盗んだという。

自転車は3万5千円で自転車の買い取り業者に売却。その後、インターネットオークションに出品されていたのを捜査員が発見し、男の関与が浮上した。(2015.7.31 産経新聞)


窃盗転売目的で盗む窃盗犯の場合、チェーンやU字錠などは簡単に切断してしまうそうです。防ぐのは、かなり困難と言わざるを得ません。分解してパーツとして売り払ってしまえば、発覚もしにくいとされています。今回は、ネットオークションからアシがついたようですが、よく発見したものです。

自転車は、その用途の都合上、どこかに駐輪せざるを得ません。盗もうと思えば、家屋に侵入するなどの必要もなく、窃盗犯にとっては格好のターゲットなのでしょう。スポーツバイク等が高値で売れる限り、この種の犯罪はなくならないと思います。

リサイクルショップやネットオークションなどで、誰でも換金可能な状況を変えない限り、後を絶たないに違いありません。自転車やパーツの売買には所有の証明を必要とするなど、簡単に換金できないようにする方法はないものでしょうか。


小島よしお 落ち込む 愛車の40万円高級自転車消えた…被害届提出へ

盗難お笑いタレントの小島よしお(34)が31日、愛車の高級自転車が行方不明になったことを自身のブログで明らかにした。

スイスの高級自転車「スコット」の「スコット フォイル10」2014年モデルで、価格は約40万円。所属事務所によると、約1年半前に購入した。

小島は7月17日に自宅から都内の所属事務所まで愛車で移動。事務所近くの四谷三丁目交差点にある有料駐輪場で前輪をロックし後輪にも自前の鍵を掛けて止めた。その後、食事会や地方での仕事が続き、駐輪場に戻ってきたのは22日。この時、自転車がなくなっていることに初めて気付いた。

駐輪場は1週間がたたないと撤去されないことから、小島や事務所は盗難に遭った可能性が高いとみて、近日中に被害届を警視庁へ出す意向だ。

都内は基本的に自転車移動の小島は「とにかく戻ってきてほしい」と落ち込んでいるという。ブログで「車体番号はSTR10C25413030312Xです。何かお気づきのことがあればよろしくお願いします!」と広く情報提供を呼びかけ、ツイッターでは「車体の値段などを考えると車体そのものに鍵をかけないといけなかったと反省しています!でもそんなの関係ねえ!ことねえ!」とショックを隠さなかった。

警視庁によると、昨年の自転車盗難の発生件数は5万6085件で、前年から10%以上の大幅増。背景には健康志向の高まりからくる自転車ブームがあり、軽量でパーツごとに分解できるロードバイクなどを転売目的で狙う組織的な窃盗団も暗躍している。 (2015年8月1日 スポニチ)


タレントの自転車の窃盗被害が報じられています。駐輪機で前輪がロックするタイプの場合、それでカギをかけた気になってしまう人がいます。しかし、考えればすぐわかる通り、所有者以外でも料金を払えば解除されてしまいます。防犯上は役に立ちません。

後輪にロックをかけていたようですが、固定物にロックしていなければ、持ち上げて持っていくだけで、何の意味もないでしょう。犯人は乗り逃げするとは限らず、トラックなどで運ぶ場合も多いと言います。上の記事でもわかるように、タイヤを外して盗んでパーツとして売る方法もあります。

被害はお気の毒ですが、軽率だったと言わざるを得ないでしょう。もちろん、何かの固定物とつなげてロックしていたとしても、切断されて盗まれる可能性は十分にあるわけで、6日間も駐輪場にとめたままにしていたのも、盗難のリスクを高めたと言えるかも知れません。


タンデム自転車、一般道に…障害者の行動拡大も

タンデム自転車群馬県道路交通法施行細則の一部改正で、1日から県内の一般道でも2人乗りの「タンデム自転車」での走行が可能となった。前橋市内では同日、交通安全イベントが行われ、障害者と健常者が一緒にタンデム自転車に乗り、風を感じていた。

タンデム自転車はサドルとペダルが2人分装着された自転車で、大きさは様々だが普通自転車よりも長い。軽車両に分類され、車両用信号に従うが、歩道を通行できないなど交通規制が自転車とは異なる。以前は榛名湖周辺の道路や一部のサイクリングロードでのみ走行が可能だった。全国では10県目で、関東では初施行。

1日は視覚障害者や親子連れなど約50人がタンデム自転車など30台に乗り込んだ。「『せーの』で発進しますよ」などと声を掛け合いながら県総合交通センターから県庁までの約2・5キロを駆け抜けた。

参加した県視覚障害者福祉協会の阿部央美副会長(57)は「障害者の行動範囲を広げるので様々な場所で活用していきたい」と笑顔で語った。

県警の高橋千明交通部長は「車両が長いので安全運転に気をつけながら、健常者も障害者も楽しんでほしい」と話していた。(2015年08月04日 読売新聞)


普通の自転車の二人乗りは違法ですし、安定しないので危険です。しかし、タンデムは二人乗り用に出来ているわけで、諸外国のように普通に乗れるのが当たり前だと思います。確かに、多少長さがありますが、わざわざ購入するなり、借りて乗ろうとする人なら、そのことは考慮して乗るでしょう。

場所によって、危険な場所はあるかも知れませんが、普通に乗れる県があるのに、全く乗れない県があるのも、おかしな話です。関東では初のタンデム解禁ですが、そもそも禁止することに正当性があるのか、各都道府県の公安委員会は考えてほしいと思います。


徳川慶喜:静岡で愛用していた自転車の復刻を

◇プロジェクトが始動

徳川慶喜大政奉還後に静岡市で隠居生活をしていた徳川慶喜が愛用していたとされる自転車を復刻するプロジェクトが始動した。市は31日、市民4人に「復刻令状」を交付し、情報収集を命じた。

慶喜は1877(明治10)年ごろ、静岡県内で初めて自転車に乗ったという伝承がある。静岡市は、温暖で坂が少ないことから「世界水準の自転車の街」を目指しており、自転車の復刻もその一環。

写真好きの慶喜だが、自転車の写真は確認されておらず、形状も不明。令状を受け取った県内初の自転車店長の子孫、関川清明さん(60)は「転ばないように前に進み続けて必ず写真を見つけます」。(毎日新聞 2015年07月31日)


徳川の将軍と自転車とは意外な取り合わせです。しかし、慶喜公は明治になって、普通に暮らしていたのでしょうから、自転車に乗っていても不思議ではありません。写真好きだった慶喜公が自転車に乗った写真が見つかる可能性があるのなら、なかなか興味深いものがあります。

ただ、さすがに教科書に載っているような、江戸末期の将軍の格好をして乗っているわけではないでしょう。もし発見されても、たんに年配の男性が自転車に乗っている明治期の写真というだけで、あまりインパクトは無さそうな気もします(笑)。


魅力ある自転車道認定へ 国交省、28年度に数カ所

国土交通省は27日、周辺の景色や名所を楽しみながら、安全、快適に自転車で走れる魅力的なサイクルルートを認定する新制度を検討していることを明らかにした。平成28年度に全国で数カ所を選び、地元自治体に道路整備や案内板設置費用などを助成する考え。自転車観光を振興し、地域活性化や健康増進につなげる狙い。

「ナショナルサイクルルート」と名付ける予定で、長さ20キロ以上を想定。認定条件として(1)迷いにくく、交通事故が極めて少ない(2)自転車のレンタルやトイレ、宿泊施設が充実(3)雑誌に掲載され、今後の人気が見込める−などを検討している。

制度づくりでは、政府や民間団体が積極的にルートを認定している欧州の例を参考とする。

国交省によると、自転車道は縁石で車道や歩道と区分されているところもあるが、歩行者のそばを走るケースもあり、新制度の導入には安全対策が不可欠だ。(2015.7.27 産経新聞)


「ナショナルサイクルルート」というネーミングのセンスが、果たして評価できるかは別として、国交省が自転車道に目を向けていることは、歓迎すべきとだと思います。現状では、広域自転車道とか、大規模自動車道などと言いながら、普通の歩道と同じ、自歩道扱いの道路も少なくありません。

環境整備車道と歩道の区別にも注目して、分離して安全性を高める方向に進むなら、喜ばしいことです。ただ、自転車道は、世界遺産のように、認定されたから大喜びという性質のものではありません。長さ20キロ以上でも、細切れに点在しているのでは、その本来の役割が十分発揮できているとは言えません。

イギリスやドイツをはじめ、ヨーロッパには立派な自転車道が張り巡らされています。自転車道をネットワークとして捉え、自転車道を相互に接続し、網の目を広げることが大事だという、道路として当たり前のことが前提となっているのです。国境を越えて、自転車道を使って欧州を旅行できるようなネットワークになっています。

欧州の例を参考にするのなら、認定する前に、ネットワークとして整備していることにも着目すべきです。認定して助成などで自治体に整備を促すのもいいですが、欧州では、その前に道路としての大前提、すなわちネットワークにしなければ意味がないと考えている点も見逃すべきではないでしょう。

普通の道路と同じです。自転車道はつながってこそ道路としての意味があります。地域の振興や観光にも資するでしょう。各地に点在する自転車道は、それ単体で観光資源になる面もあります。しかし、やはり、つながれば、そのポテンシャルは、単に足し算する以上のものになるわけで、その部分を欧州に見習うべきです。

◇ ◇ ◇

まだまだ猛暑は続きそうです。高齢者とは違って体力があるし、熱中症なんて自分のこととは思っていない人が、突然熱中症になったすると聞きます。自転車だと、風を受けて体温が下がる面がある一方、そのために水分が不足していることに気づきにくいことがあります。くれぐれも注意したいものです。




この時期、窓の開かない混雑した電車で冷房が止まれば蒸し風呂は必至、乗ってた人は大変だったでしょうね。

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この記事へのコメント
慶喜公の自転車が保存されてるみたい。
http://4travel.jp/travelogue/10941810
Posted by sharetheroad at August 06, 2015 16:15
sharetheroadさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですか。情報ありがとうございます。
Posted by cycleroad at August 07, 2015 23:45
小島よしおさん、とんだ災難でしたね。

車体価格を考えると厳重に鍵を掛けたいところですが、かといって数百kgほどある鍵をいつも複数持ち歩き続けるのは骨が折れますし、自転車をガッチリロックできる駐輪場が増えてくれればと思います。
Posted by 銀河眼 at August 08, 2015 10:56
「kg」じゃなくて「g」でしたwww
もし現実にあったら鍵の概念を超越してますね
Posted by 銀河眼 at August 08, 2015 10:58
銀河眼さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
おそらくロックしようと思えば出来たのではないでしょうか。タイヤにしか通さなかったのは油断だったのだと思われます。
盗難の心配なく安心して駐輪できる駐輪場が出来るといいですが、まだまだそこまでは期待できませんね。
Posted by cycleroad at August 09, 2015 23:24
 
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