November 18, 2015

本当は恐ろしい耳からの情報

不幸は突然、思いがけない形でやってきます。


今年6月、千葉市稲毛区の19歳の男子大学生が自転車で歩行者に激突する事故を起こし、被害者は2時間後に死亡しました。この事故、被害者はもちろんのこと、加害者の男子大学生にとっても、突然起こった予想もしない事態だったに違いありません。


自転車にはねられ転倒 77歳死亡、運転者を聴取 千葉市稲毛区

千葉市稲毛区小仲台5の県道で10日午後7時10分ごろ、横断歩道を渡っていた東京都葛飾区の無職女性(77)が右から直進してきた自転車にはねられて転倒し、搬送先の病院で死亡が確認された。千葉西署は重過失致死の疑いで自転車を運転していた千葉市稲毛区、自称私立大学2年の男子大学生(19)から任意で事情を聞いている。同署は事故と死亡の因果関係について慎重に捜査している。

77歳死亡同署によると、現場は片側1車線の直線道路で、自転車は車道左端を走行。大学生は両耳にイヤホンを装着していたといい、「音楽を聴いて下を向いて走っていたら、信号を見落とした」と話しているという。

自転車はクロスバイクと呼ばれるスポーツタイプ。事故当時、かなりのスピードが出ていたとみられる。女性は親戚宅から駅に向かう途中だった。

現場は交通量が多く、近所に住む60代主婦は「猛スピードで走ってくる自転車が多い。家から周りを確認しないと自転車に引っかけられるから怖い」と話した。(2015年06月12日 千葉日報)


警察は、8月にこの事故を重過失致死罪で書類送検しています。


音楽聴きながら自転車運転、女性にぶつかり死なせる 千葉市の大学生を書類送検

千葉西署は6日、自転車で歩行者の女性にぶつかり死なせたとして、重過失致死の疑いで、千葉市稲毛区の男子大学生(19)を書類送検した。

千葉西署によると、大学生はイヤホンで音楽を聴きながら走行。自転車は変速機付きのスポーツタイプで、時速約25キロのスピードが出ていたとみている。調べに対し「下を向いて運転していた」と供述している。

音楽聴きながら

書類送検容疑は6月10日夜、稲毛区の県道を自転車で走行中、横断歩道を歩いて渡っていた東京都の女性=当時(77)=に衝突、転倒させ、くも膜下出血で約2時間後に死亡させたとしている。

大学生は信号を無視して横断歩道を通過しようとしたという。女性は千葉市内に住む娘に会った帰りだった。(産経新聞 2015.8.6)


事故の原因は、下を向いて走っていたため、信号を見落とし、横断歩道を渡っている女性に気がつかなかったため衝突したということのようです。この記事以上のことはわかりませんが、常識的に考えて、下を向く、すなわち前を見ないで走るような危険で無謀な行為を、わざわざするでしょうか。

自転車事故急増一瞬、下を見ることはあるでしょう。でも普通に走っていれば、信号を見落とし、横断歩道を渡る歩行者に気づかないほど長い間、何も理由なく下を向いたままというのは、考えにくいものがあります。やろうと思っても怖くて出来ません。これは、やはりイヤホンで音楽を聴いていたことに原因があるのは間違いないでしょう。

最近は、道交法の改正を受けて、イヤホンをして自転車に乗っていると取締られることがあります。スマホや携帯電話を使いながらもそうですが、イヤホンをして自転車に乗るのは危険な行為とされています。しかし、実際に街に出れば、イヤホンをして自転車に乗っている人はたくさんいます。

守るかどうかは別として、ケータイやスマホを使いながらの走行に危険があるということは、誰でも理解できるでしょう。しかし、イヤホンの場合、クラクションなどは聞こえるし、何か危険があれば見えるのだから、それほど危険だとは思っていない人も多いのではないでしょうか。

自転車事故音楽を聴いていると、耳から入るメロディや歌詞に気を取られたり、聴き入ったり、それに集中してしまうことがあります。誰にも経験があり、思い当たることと思います。音楽から連想して、何かを思い出したり、考え事をしたり、目をつむったりするかも知れません。

家で座って聴いているのなら、何の問題もありません。いくら音楽に浸っても構いません。しかし、こと自転車に乗っている場合、それによって周囲への注意が疎かになり、無意識のうちに前方不注意になってしまうのです。目に入っているのに、見えていないこともあります。音楽以外、落語でも英会話でもニュースでも同じです。

実は、これが危険な理由であり、普通だったらあり得ないような注意力散漫状態をひき起こし、前方不注意になって、事故に結びつくわけです。たら・ればを言っても仕方がありませんが、この大学生もイヤホンをして音楽など聴いていなければ、事故を起こさずに済んだ可能性は少なくないでしょう。

信号を無視して交差点に突っ込んで行くのが危険なことは、誰でもわかります。しかし、イヤホンが危険だなんてピンときていない人も多いに違いありません。ふだん交通ルールを順守し、安全に配慮してマナー良く走行しているようなサイクリストでも、イヤホンだけは守っていなかったりします。

検問音が小さいからとか、周囲の物音が聞こえるから安全だとか、片耳だけイヤホンなら問題ないと思っている人もいるでしょう。しかし、それらは全く関係ないのです。耳が塞がっていないから大丈夫なのではなく、耳から入る音楽や情報などに注意が行ってしまい、前方不注意や注意力散漫になるから危ないのです。

この大学生は、重い過失があるとして、重過失致死罪になり、刑事罰が課せられるでしょう。それとは別に民事で多額の損害賠償が請求されるに違いありません。前科を背負い、人を一人、死に追いやったという事実から、いろいろと社会的な不利益も被る可能性も否定できません。

しかし、もしイヤホンをして自転車に乗りさえしなければ、このような重大な事態にはならなかった可能性があります。この事実を真摯に受け止め、反面教師とするならば、イヤホンで音楽を聴きながら自転車に乗るのは考えなおすべきではないでしょうか。今まで大丈夫だったからといって、これからも大丈夫とは限りません。

それに気づけば、自分だけではなく、家族や友人、会社の同僚や部下など、身近な人にもアドバイスしたくなっても不思議ではありません。自転車に乗っている間くらい、音楽を聴かなくても、たいしたことではないでしょう。それによって招きかねない不幸を考えたら、割に合わないと考えるべきではないでしょうか。

女性死亡被害者死亡にまで至る事故は、時々ニュースになります。しかし、自転車と歩行者の事故は近年急増しています。警察に報告されないような事故も含め、死亡にまで至らない事故、ニュースにならないような事故は、年間相当な件数、起きていると思われます。

相手が死亡しなかったとしても、後遺症が残ったり、介護が必要になったり、相手が若かったりすれば、莫大な損害賠償を請求される例もあります。クルマと違って、自転車による事故は安易に考えられており、保険に入らない人が圧倒的に多いのも間違いありません。

しかし、いったん人身事故を起こせば、クルマだろうが自転車だろうが、被害者にとっては同じことです。自転車であっても、クルマの事故と同等の高額な損害賠償を命じられる判決が出ています。決してあなどったり、甘く見るべきではないでしょう。

事故の怖さイヤホンをして自転車に乗ることの本当の危険性を理解していて、それでも使うというなら、何をか言わんやです。しかし、本当の危険、本当の怖さをわかっていない人も多いのではないでしょうか。そして、事故が起きてしまってから後悔しても遅いのは言うまでもありません。

イヤホンをして掴まろうが、事故を起こそうが、人を殺そうが、余計なお世話と言われればそれまでです。私は、これまで一度もイヤホンをして乗ったことはありませんし、今後も絶対にしないというだけです。こんなことを書いたからと言って、私に何の得があるわけでもありません。

道徳とか倫理とか偉そうなことを言うつもりはありません。その人の勝手です。しかし、イヤホンの危険性にピンときていない人も多く、理解していないがために事故を起こしてしまうのは、他人事ながら残念と言うほかありません。この文章が一人でも多くの人の目にとまり、考え直すきっかけになってくれたらと願うばかりです。




銃撃戦が起きたり、航空機が緊急着陸したりしています。なんとか、次のテロを阻止出来るといいのですが..。

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この記事へのコメント
いつも興味深いトピックをありがとうございます。

> イヤホンをして自転車に乗ることの本当の危険性を理解していて、それでも使うというなら、

 道路交通法で、イヤホンの装着は禁じられているのではありませんでしたっけ?私の誤解でしたらお許しを...。

 違法か合法かはともかく、スマホをカーナビとして使っているときにはイヤホン使いたいですね...いや、もちろん注意が散漫になるのでやりませんけど。
Posted by hyrax at November 19, 2015 18:59
hyraxさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
誤解を招く言い方だったかも知れませんね。
道交法改正が施行された際にも、ずいぶん話題になりましたが、安全運転義務違反となります。冒頭に書いてある通り、実際に取り締まられています。それは大前提です。

ただ、私は警察ではないですし、法律を守らないで走行するのは、その人の勝手です。実際に多くの人が守っていません。
それを私が倫理や道徳をふりかざして非難しても始まらないでしょう。

他人の行動をとやかく言うつもりはありませんが、その行為の危険性を知らないで違反しているならば、考えてみたほうがいいのでは?と呼びかけたということです。
Posted by cycleroad at November 19, 2015 23:11
 
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