February 10, 2016

冬のスポーツの新しいカタチ

ウィンタースポーツの季節です。


一時期、雪不足が心配されましたが、その後は大雪が降ったこともあり、各地のゲレンデは賑わいを見せているようです。この時期、スキーやスノーボード、あるいはスケートなど、ウィンタースポーツを楽しんでいる人も多いことと思います。

一方で、北国や日本海側の地域では、道路も雪で覆われているので、サイクリストはシーズンオフ、スポーツとしての自転車はもちろん、生活の中でも自転車が使いにくい期間だろうと思います。ところが、中にはこの季節でも、元気に自転車で遊んでいる人がいます。


<マイナー五輪>「自転車」で雪上滑走

◎スノースクート

<競技人口2万人>
フランス発祥のウインタースポーツ「スノースクート」は今冬、日本上陸20年を迎えた。爆発的ブーム、とは言えないまでも競技人口は約2万人と増加を続けている。「そろそろゲレンデ第3の顔に」。愛好家の思いは一つだ。

自転車のフレームに大小2枚のスノーボードを取り付けて滑走する。いわば雪上自転車だ。進行方向やスピードはハンドル操作と重心の移動でコントロール。足が用具に固定されないので、緊急時には足を突き出して停止できる。

スノースクート歴20年の我満隆さん(38)=青森市=は「バイク乗りや自転車愛好家に冬場の乗り物として人気。スキーやスノーボードに物足りなさを感じて始める人も多い」と説明する。大きな弧を描いてターンするため、なだらかなコースの多い宮城県内のスキー場と相性は抜群。仙台市泉区のスプリングバレー泉高原スキー場でことし1月11日にあった最新モデルの試乗会には、家族連れなど約90人が挑戦した。

太白区の医療職遠山綾佳さん(23)は「ハンドルさばきは難しいが、スピード感は最高。頂上から一気に滑り降りてみたくなった」とすっかりはまった様子だった。

スノースクート

<装備自分好みに>

試乗会を主催した大手メーカー「ジック・ジャパン」(神奈川)の湯川恭弘さん(36)は「生産台数も年々増えている。フレーム部分とスノーボードは分離できるので、自分好みにカスタムできる」とPRする。「スキーやスノーボードより上半身が安定しやすく、2、3時間も練習すれば滑れるようになる」と我満さんは言う。スノースポーツもシーズン終盤。今季の滑り納めにいかが?

<メモ>宮城県内ではスキー場8カ所でスノースクートの滑走が許可されている。価格は1台平均10万円。仙台市青葉区一番町の自転車用品店「・・ing(イング)」がカタログ販売とメンテナンスを行っている。連絡先は022(266)8770。(2016年02月08日 河北新報)


スノースクートは、スノーボードと自転車を合わせたような機材を使い、ゲレンデを滑り降りるスポーツです。似たようなスポーツは、呼び方も含めていろいろあるようです。まだまだ競技人口は少ないですが、スキー、スノーボードに次ぐスノースポーツとしても期待されています。


家族でうきうき雪遊び さっぽろ羊ケ丘展望台に「スノーパーク」オープン

札幌市豊平区のさっぽろ羊ケ丘展望台に今冬も、さまざまな雪遊びを気軽に楽しめる「羊ケ丘スノーパーク」がオープンし、大勢の市民らが、雪の滑り台でのチューブそり滑りや歩くスキーなどを楽しんでいる。

スノーストライダー冬恒例で、今年は8日に始まった。高さ約3メートルの雪の斜面をゴムチューブに乗って滑る「チューブそり滑り台」や、札幌の街並みを一望しながら約1キロのコースを回る「歩くスキー」、足でこぐ雪上自転車の「スノーストライダー」のほか、「雪上ボウリング」「ミニ雪だるま作り」など多彩なメニューがそろう。

3連休中日の10日も、多くの家族連れらが雪遊びを満喫した。チューブそり滑り台には来場者たちが列をつくり、歓声を上げながら勢いよく滑っていた。

両親と訪れた苫小牧市の若杉虹陽(こひな)ちゃん(5)は「自転車とボウリングが楽しかった」と話した。妹の妃彗(ひすい)ちゃん(3)も「とても気持ちよかった」と声を弾ませていた。

展望台の入場料は大人520円、小中学生300円、未就学児は無料。午前10時〜午後3時で、3月6日まで。ゴムチューブやスキーなどの用具は無料で貸し出している。(北海道新聞)


まだ自転車に乗れない子供が、ペダルのついていないキックバイクで練習することがあります。ストライダーとも呼ばれますが、その雪上版もあるようです。雪国だけあって、夏の自転車よりも先に、まず雪上でスノーストライダーに乗れるようになる子供もいるのかも知れません。


しぜん最前線 . 緑と水と人 長野 自転車でゲレンデ滑走、爽快感のとりこに /新潟

スキー場のゲレンデをスポーツ自転車で滑走する「スノーダウンヒル」が注目されている。冬でも思い切り自転車を楽しみたい。そんな北国のサイクリストの思いから始まったという。学生時代、自転車部に所属していた記者は長野県飯山市のイベントで初体験し、爽快感のとりこになった。

 1月31日夜。営業を終えた同市の戸狩温泉スキー場で「雪ちゃりナイター」が開かれた。ナイター照明がともると自転車を手にした人々が集まり始める。スキー場には似つかわしくない光景だ。自転車が趣味というさいたま市の佐々木千鶴子さん(51)は「冬に乗るなんて以前は考えられなかった」と感慨深げだ。

イベントを始めた一人、地元で看板店を営む松山周世さん(31)は幼いころからスポーツバイクに親しんできた。「自転車を通して地元を盛り上げたかった」と企画のきっかけを話す。

約10分リフトに乗り、出発地点に。極太タイヤの雪道用自転車「ファットバイク」を持って降り立つと、眼下に街明かりがきらめく。標高約650メートル。思わず足がすくんだが「ハンドルをまっすぐに。リラックス」という助言を思い出し、ぐっとペダルに力を入れる。

最大斜度19度。車体はぐんと加速した。昼間にスキーヤーがつくったシュプールを越えるたびハンドルがきしむ。さらにスピードが上がると、暴れ馬に乗っているような荒々しさが加わった。

ゲレンデを広々と駆け巡る爽快感に夢中になり、ふかふかの新雪にタイヤを取られる。気付くと体が雪原に放り出され、目尻にあざが。松山さんに「スピードに乗れば時速50キロほどになる。飛ばしすぎないように」と笑顔でたしなめられた。

この日の参加者は10?60代の55人。母国にはない雪を楽しみたいと参加したベトナム人留学生チャン・チュン・キエンさん(24)は「こんなにたくさんの雪の上を自転車で走れるなんて」と感激していた。さまざまな人が気軽に楽しむことができるのも魅力の一つだ。

現状、リフトに自転車を乗せるには運輸局の許可が必要で、専用コースを常設すればコストも掛かる。だが、この日会場を提供した戸狩温泉スキー場常務取締役、木原茂さん(48)は「『あっちのゲレンデはスキー、こっちは自転車』という光景を作りたい」と話す。スキーヤーの減少に悩む関係者の期待は大きい。

イベントは約2時間で終了。転ばずに滑りきることはできなかったが、いつもと全く違う乗車感覚に、子どものころ、初めて自転車に乗れた時の興奮を思い出した。「飯山をいつか冬の自転車の聖地にしたい」。松山さんの言葉に心が躍った。

 ■ことば

スノーダウンヒル

日本マウンテンバイク協会によると、北海道のスキー場で1990年代、タイヤにチェーンを付けた自転車でゲレンデを滑走する利用者がおり、これが原形になったという。2000年代に入り、米国の自転車メーカーが雪道を走るためにタイヤの幅を10?12センチの極太にした自転車「ファットバイク」を発売。寒冷地を中心に愛好者が増えている。 (毎日新聞2016年2月10日)


こちらは、極太タイヤの自転車、ファットバイクでゲレンデを駆け下りようというスノーダウンヒルです。これも比較的新しいスノースポーツですが、ファットバイクは世界的にもブレイクしています。ふだん雪道で乗るだけでなく、これでスキーのようにダウンヒルしてしまおうという人も増えているようです。


自転車 . ファットバイク大会 最上町で21日開催 /山形

ファットバイク大きなタイヤで雪の上を走行できる自転車「ファットバイク」の大会が21日午前10時、最上町の赤倉温泉スキー場で開催される。主催する自転車店「Dimension(ディメンション)」(仙台市)の樋口博一代表(40)によると、スキー場での開催は東北で初めてという。樋口代表は「雪の上を自転車で走る楽しさを多くの人に体験してほしい」と話している。

ファットバイクは米アラスカで移動手段として10年ほど前に生まれたという。タイヤの幅は約10センチと太いが、雪に埋まらないよう空気圧は一般的な自転車の10分の1に抑えているのが特徴。変速ギアが装備され、スキー場のゲレンデを滑らずに上ることができるうえ、雪山を駆け下りるスピードは時速50キロ以上になるという。

樋口代表によると、国内には1000人以上の愛好家がいるという。スキー客の安全面を考慮して多くのスキー場で開催を断られたが、町おこしやにぎわいの創出を模索していた赤倉温泉スキー場が受け入れた。

21日は、クロスカントリーコース(2・5キロ)を5?7周する予定。エントリー料は3000円。一般的な自転車で雪上を走るレースもあるほか、ファットバイクを無料で体験することもできる。問い合わせは同店(022・293・0771)まで。(毎日新聞2016年2月4日)


ファットバイクで、スノーダウンヒルを楽しむ人が増えれば、当然レースをやろうという人も出てくるでしょう。まだ報道されることは少ないですが、各地でイベントや大会が開かれているようです。認知度が高まり、スキー場などでも受け入れられていけば、さらに競技人口も拡大していくでしょう。

冬は自転車に乗れないと諦めるのではなく、冬は冬のスタイルで自転車を楽しもうという人が、日本でも増えてきているようです。まだまだメディアで取り上げられることは少ないですが、ここに取り上げたように、徐々に注目を集め、参加する人が増えてきているようです。

雪道用自転車スノー自転車

日本だけではありません。スノースクートや、ファットバイクなど、自転車を使ったスノースポーツ、あるいは自転車に似た機材を使うスポーツは、世界中で楽しむ人を増やしつつあります。以前取り上げた、“Ktrak”のような新しい自転車を開発する動きもあります。

ファットバイクではなく、それよりも細いタイヤのMTBでダウンヒルを楽しんでいる人たちもいます。カーブでは滑ってしまいそうに思えますが、かなりのスピードで疾走しています。スリルを楽しむという側面もあるのでしょう。MTBの選手が冬のトレーニングにすることもあると言います。



雪上だけではありません。スケートリンクを自転車で走って競争をしている人たちもいます。ファットバイクならとも思いますが、そうではなく、もっと細いタイヤのマウンテンバイクなどを使っています。よく滑って転ばないものだと思ってしまいますが、慣れれば走れるようになるのでしょう。





こうしてみると、冬が自転車のオフシーズンだと考えるのは、もはや過去のものに思えてきます。さまざまな形で冬の自転車を楽しむ人が増えています。楽しむだけでなく、さらに発展してスポーツとして競う人が出てきていることも注目されます。

まだまだ発展途上で、滑るものやタイヤで走るものまでいろいろです。タイヤの太さもさまざまです。スポーツとして確立され、絞られてきているとは言えません。ただ、着実に冬のスポーツとしての自転車人口が広がってきているようで、認知度も上がり、スキー場など、そのフィールドも広がっています。





今は、まだ雑多な感じがありますが、新しいウィンタースポーツとして、やがて収束し、競技として形作られていくのではないでしょうか。世界各国でも冬の自転車を楽しむ人が増えていますから、世界的な競技として広がっていく可能性は十分あるでしょう。

もしそうなれば、夏と比べて大幅に競技数が少なく、増やしたがっている国際オリンピック委員会が、正式競技として採択する可能性は小さくないはずです。近い将来、冬季オリンピックの正式種目として、冬の自転車競技が登場してもおかしくないでしょう。今後の動向が楽しみです。




覚醒剤取締法違反の清原容疑者、いろいろ報じられていますが、現役時代からの常用だとしたら驚きですね。

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この記事へのコメント
実は私も最近、クッション性や空気圧管理のラクさ、荒れ地での強さから25cから32Cのやや太めのタイヤに替えたので、ファットバイクには関心があります。
太いタイヤに替えて思い知ったのは、やはりというところですが、漕ぎはどうしても、重くなるってことですね。
特に、漕ぎ出しからの加速で如実にあらわれています。以前はクイクイ加速できてたのが、グゥィーグゥイー、というような。
ですが、私の今の趣向(これからも変わると思います)としては、マイナス面よりプラス面のありがたさを強く実感できているので、しばらくはこれで行こうと思います。

話は変わりますが、ロンドンの自転車政策がどんどん実を結んでいる朗報がありましたね。

自転車の街へ変貌するロンドン。15年間でクルマは半減、サイクリストは3倍に
http://www.gizmodo.jp/2016/02/bikeinlondon.html

国内はもちろんとして、世界が自転車の魅力、ポテンシャルに気づいて、自転車活用推進を掲げる政策を実行することは、人としての良心にもとづく行いであり本当に喜ばしく、我々にとっても勇気づけられるものでもあります。
人々の利益、公共の利益を最大化させるに自転車が担える部分は大きいでしょうから、どんどん自転車活用推進は進めていきたいところですね。
Posted by GreenTopTube at February 11, 2016 21:40
GreenTopTubeさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ファットバイクは世界中で関心が高まっているようですね。まだ発売されて、あまり期間は経っていませんが、寒冷地やビーチでの使用を中心に、市民権を得ているようです。
たしかに、ころがり摩擦がふえるわけで、ペダルは重くなりますが、滑りにくいという大きなメリットとの相殺ということでしょう。

その記事は私も詠みました。なかなか世界のトレンドが日本に波及してこないのが残念なところですね。
Posted by cycleroad at February 12, 2016 23:47
 
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