June 03, 2016

日本に一角獣は一匹もいない

ユニコーンと呼ばれる企業があります。


ユニコーンは一角獣とも呼ばれ、馬に似ていて一本の角がはえた伝説上の生き物です。それになぞらえて、ユニコーン企業は滅多にお目にかかれないような、希少な存在ということになります。具体的には、株式未上場にも関わらず、10億ドル以上の時価評価額を持つベンチャー企業のことを指します。

フェイスブックやツイッター社なども、かつてはユニコーンでした。今話題になっているユニコーンと言えば、ウーバーや、エアビーアンドビーなどが挙がるでしょう。すでに世界的に展開してサービスを提供しており、抜群の知名度があります。

This image is in the public domain.

ご存知のように、アメリカ企業・ウーバーは、いわゆる配車サービスを展開しています。タクシーやハイヤーの配車だけでなく、一般の人が自分のクルマと空き時間を使って、他人を運ぶ仕組みを構築しているのが特徴です。すでに全世界で70カ国300都市に展開し、着実に広がっています。

いわば、クルマでの移動を他人同士でマッチングして、シェアするサービスと言えるでしょう。自家用車のオーナーは、空いた時間や空いている座席を提供することで、小遣い稼ぎが出来ますし、利用する人はリーズナブルな料金で移動できるというメリットがあります。

ウーバーは、関連するサービスも含めて各都市で展開していますが、オランダのアムステルダムでは、サイクリスト向けのサービスを開始しました。言わずと知れた自転車先進都市で提供するのは、“UberBike”と呼ばれる、ウーバーの新しいオプション・サービスです。

UberBike

“UberBike”は、クルマに自転車を搭載できるラックを装備し、人と自転車を一緒に運ぶことが出来ます。サイクリストの、自転車と一緒に運んで欲しいというニーズに応えるものなのです。自転車の乗り方にもよりますが、これはなかなか便利なサービスと言えるでしょう。

例えば、出先で何かのトラフルがあった場合、パンクくらいならその場で修理出来ますが、工具や交換パーツがないなど、復旧が困難なこともあると思います。そんな時、近くのショップを探して、ウーバーでそこまで移動するようなことも可能になるわけです。もちろん、家に戻って、ゆっくり修理するという手もあります。

これまでも、何らかの理由で走行不能になった場合にタクシーを呼ぶことは出来ました。しかし、自転車を載せることが出来なければ、愛車は置いていかなければなりません。“UberBike”ならば、イザという時、自転車ごと運んでもらうことが出来るのがメリットです。

バイクキャリアUberBike

メカ的なトラブルだけではありません。体調が悪化したり、足腰などを痛めることもあります。出先で突然の雨に降られることもあるでしょう。これまでなら、雨の中を走行し続けるしかないようなケースでも、ツーリングを中止して、ウーバーで直接家に帰ってしまうことも出来るわけです。

家から自転車で遠出する人は多いと思いますが、日帰りだと行ける場所の範囲に限度があります。電車で輪行という手もありますが、クルマを使って遠くまで行き、そこから自転車で走り出せば、いつもと違う場所をツーリング出来ます。自分のクルマにキャリアをつけたり、分解して中に積んで出かける人もあるでしょう。

そんなドライブ・アンド・ライドのスタイルならば、駅以外にも広い範囲の場所を基点にツーリングを楽しめるわけです。ただ難点は、クルマを駐車して自転車を降ろした場所に、戻って来なければならないことです。どうしても、ツーリングのコースに制約が出来てしまいます。

UberBike

しかし、この“UberBike”を使えば、好きな場所へ運んでもらって降ろしてもらい、好きなコースを走ることが出来ます。同じ場所へ戻ってくる必要はありません。途中で気が変わって目的地を変更するのも自由です。そして、どこでも任意の場所へ“UberBike”を呼んで、自宅に戻るような使い方も出来るわけです。

アムステルダムでの料金は、通常のウーバーの料金に、自転車のぶん4ユーロを加えた金額だそうです。これはサイクリストにとって、なかなか有意義なサービスではないでしょうか。ドライブ・アンド・ライドをしない人でも、イザという時にクルマを呼べるのは、安心感につながるはずです。

日本でも、キャリアのついたタクシーで同様のサービスを行なう会社がありますが、ごくごく一部に限られています。日本では規制があるため、自家用車によるウーバーは、過疎地で実験的に一部行なわれているだけです。“UberBike”のサービス展開は期待出来そうにありません。

日本では、ママチャリで最寄り駅までくらいしか行かない人が圧倒的に多いので、それほどニーズはないかも知れません。あるとしても、お酒を飲んでしまった時や、急に雨に降られた時などに、最寄り駅から自宅くらいがせいぜいでしょう。

UberBike

ただ、日本でもスポーツバイクに乗るような人は増えています。もし“UberBike”が上陸したら、案外使われるかも知れません。パンク修理が苦手な人もあるでしょうし、雨に降られた時や、疲れてもう走りたくない時など、結構便利に使う人が出てくる可能性があります。

日本では法律上、白タクになってしまうことや、タクシー業界の強い反発もあって、ウーバーのようなライドシェアは、他の国と違って普及していません。個人でクルマを持たなくなる人がますます増えて、クルマ産業に深刻な影響が及ぶと危惧する人もいます。

しかし、一方で、つい先日、トヨタがウーバーに出資するというニュースも報じられています。いずれ、日本も含めて、シェアリングエコノミーの広がりが無視できなくなる可能性があるとの判断なのでしょう。もちろん、将来の自動運転に向けた布石という面もあると思います。

ウーバーのライドシェアや、エアビーアンドビーの民泊などは世界中に広がっています。それがイノベーションを起こし、新たなビジネスを生んでいる今、従来の規制を盾に市場を閉ざしていては、日本が世界から取り残されることになるのは間違いありません。

そもそも、日本ではアメリカのようにユニコーンが現れないことが問題であり、イノベーションが起きないことが問題です。潜在成長率は先進国でも群を抜く低さであり、そのことが人口減少ともあいまって、大胆な金融緩和にもかかわらずインフレ目標に届かず、財政再建の見通しも立ない状況を生んでいます。

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ライドシェアについては、安全面などいろいろ議論はあると思いますが、過剰に保護された業界がダメになるのは世の常です。既得権を振りかざして競争を忌避していては、サービスも向上しません。高い料金を敬遠して、消費者離れは広がるばかりです。

素人がクルマで人を運ぶなんて大丈夫だろうかという心配は当然あります。でも、既に普及している国では、むしろタクシーよりも接客などサービスの質が良いという話もあります。料金も安いし、簡単に呼べるなど利便性も高く、好評だとも聞きます。

料金は高い、必要な時につかまらない、運転手はぶっきらぼう、などの批判にタクシー会社は応えているでしょうか。流しのタクシーは便利なように見えて非効率です。時間帯によっては道路に駐車しているしかないタクシーより、ライドシェアのほうが車体を有効に使えてコストが下がるのは明らかです。

安全性の確保を理由に、運転手の勤務環境を保護する必要がある、そのために料金は一律で、安くするタクシー会社は認めないという、役所の論理だけでいいのでしょうか。日本ではイノベーションが起きず、生産性の悪い企業が淘汰されません。少子化なのに労働力が流動せずに人手不足、低成長にあえいでいます。

いろいろ論点はあると思いますが、既得権を打破し、もっと競争原理が働く業界にしなければ、いずれジリ貧なのは目に見えています。競争が起きて業界が活性化すれば、消費者にもメリットがありますし、“UberBike”のようなサービスだって、日本でも黙っていても登場するに違いありません。

シェアリングエコノミーの波は日本にも押し寄せています。グローバル経済の中で、日本だけの論理のままでは、将来はありません。希少なはずのユニコーン企業が、世界では百数十社も生まれています。日本はゼロです。日本でもユニコーンが生まれてくるような、思い切った規制改革、構造改革が必要なのは間違いないでしょう。




北海道の男児行方不明、速報でテロップが出たり、発見がトップで報じられるほど世界各国で注目されていたとは知りませんでした。でも、無事に見つかって、本当に何よりでしたね。


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