June 30, 2016

クルマは現実で自転車は冗談

公道での自動運転車の実験が始まっています。


運転しなくても、全自動のクルマが目的地まで連れて行ってくれるという、まさに未来の乗り物、夢のような、無人運転のロボットカーです。近い将来、実現すると言われています。世界各国の企業が競って開発を進めており、AIをはじめとする各種技術の急速な進歩によって、その実用化も近いと言います。



すでにグーグルなどが公道での実験を重ねており、日本政府も、東京オリンピックが行われる2020年に、自動運転による無人タクシーの運用開始を目標とすると発表しています。一方、未来の移動手段については、自動運転車だけとは限らないと考えている人もいます。

それは、自動運転の『自転車』です。人が乗っていなくても自動運転で走る自転車が出来たら、いろいろと便利になるというのです。例えば、目的地に着いたら、自転車は最寄の駐輪場へ勝手に駐輪しに行くようになります。必要な時刻、必要な場所に、自転車に迎えに来させることも可能です。



実は、この動画、カナダの放送局、CBCのサイト、“This is That”に掲載されたものです。この動画は、時事問題を皮肉る番組で賞をとった作品です。つまり社会風刺、自動運転に対する風刺なのです。ここに出てくる会社や人物の肩書き、そして自転車は実在するものではありません。

さすがに、自動運転の自転車は無理があるでしょう(笑)。技術的なことを言えば、自動走行させるのは可能だと思います。日本の村田製作所も、自転車に乗るロボットを開発しています。しかし、一時停止をしたら倒れてしまいますし、倒れたら自動で起き上がらせるのは困難です。

あるいは、ジャイロ等を使って、一時停止させるのも可能かも知れません。しかし、自動走行は可能としても、周囲の交通状況をカメラやセンサーで把握し、障害物を避けたり、多くの人やクルマが行き交う公道を自動で走らせるのは無理があります。

そこまで行くと、たくさんのセンサーやカメラ、バッテリーを積む必要が出てきます。結局、自動運転のクルマと同じいうことになるでしょう。もし、ロボットのような自転車が出来たら、例えば、出先で飲酒したら自転車だけ帰らせたりなど、いろいろ便利そうではありますが、現実的ではありません。



こちらは、グーグルが過去に製作した、エイプリルフールの動画です。自転車先進国、オランダで自動運転の自転車が導入されるという、ウソの動画です。こちらも、自動運転の自転車をジョークに使っています。さすがのグーグルも、自転車の自動運転は考えていないようです(笑)。

それでは、自動運転のクルマと自動運転の自転車の違いは何でしょうか。究極的には4輪と2輪の違い、積載能力の違いあたりでしょうか。逆に言えば、3輪か4輪のカーゴバイクにして屋根をつけ、バッテリーやセンサー類が積めれば、自動運転のクルマと自転車の境は曖昧になりそうです。

自動運転のクルマが、人間の運転と違って事故を起こさない、衝突しないのであれば、今のクルマのように鉄の塊でなくてもいいはずです。それこそ、自転車並みの車体にすれば、大幅に軽量化出来るでしょう。そのほうが燃費も良くなり、道路の占有面積も減らせるなどメリットは大きいはずです。

そう考えると、自動運転のクルマは現実で、自動運転の自転車はジョークとなる、その差は微妙になってきます。自動運転のクルマは夢のクルマで現実になりつつあり、一方で自動運転の自転車はナンセンス、あっても誰も使わないと思っていますが、それは単なる思い込みかも知れません。

4輪にして屋根をつけた自動運転の自転車を実現したとしても、多くの機器を搭載し、重く大きくなるでしょう。価格も高くなるでしょうし、そこまでして実現しても、いろいろと使い勝手が悪かったり、問題も起きそうです。とても現実的でなく、普通の自転車でいいじゃないか、となりそうなのは容易に想像がつきます。

CBCCBC

では、自動運転のクルマだったら、はたして現実的なのかという疑問が浮かんできます。もう実現化が視野に入っているように報道されていますが、本当に現実のものとなるのでしょうか。そこに、疑問や不透明なところが、まだまだある気がするのは、私だけでしょうか。

よく言われるように、事故が起きた時に、誰の責任になるのかという問題があります。運転していないのに乗っていた人なのか、メーカーか、ソフトウェアの会社かも知れません。自動運転車の抱える根本的な倫理的ジレンマを指摘する声もあります。例えば、前方に大勢の横断者がいて、今のスピードでは止まれないとします。

その場合、大勢の横断者を轢いて殺すのか、それとも道路脇に突っ込んで、乗っている人だけを死なせることで、より多くの人の命を救ったほうがいいのか、といった問題です。もし、そうならば誰も乗らなくなるかも知れません。倫理的な矛盾、ジレンマを抱えるような事例は、いろいろと考えられるでしょう。

センサーやカメラによって、人を轢くことはなくなり、交通事故が減らせると言います。であれば、歩行者が道路を横断しても、必ずクルマのほうが止まるはずです。ならば、と無造作に横断する歩行者が増えないでしょうか。轢かれる可能性がないのなら、クルマが止まってくれるのを、横断歩道の手前でじっと待つでしょうか。

クルマのほうが必ず止まるのであれば、それこそ信号無視であっても、渡ってしまう人が出てくるでしょう。つまり、歩行者のモラルが低下し、道路上の秩序が乱れ、ある意味、歩行者天国のような状態にならないでしょうか。歩行者はいいとしても、クルマでの移動時間は大幅に遅くなるかも知れません。

Google car自動運転

渋滞もなくせるといいますが、実際には、いちいち止まることが多くて現実的ではなくなる可能性はないのでしょうか。遅くて使い物にならないから、結局普通のクルマのほうがいいとならないでしょうか。一部に自動運転カーが走り始めても、邪魔なだけということにならないでしょうか。

日差しや雨、泥ハネなどでカメラやセンサーが誤動作するような問題も指摘されています。センサーの情報を元に動く、自動運転のコンピュータの動作を逆手にとることも可能でしょう。例えば、意図的に減速させるような妨害、仕掛けをほどこすような人で出てくることも考えられます。

確かに、高速道路などでは便利そうです。人は飛び出して来ませんし、単調な運転を任せられます。渋滞している時など、イライラしながら運転しなくて済みます。トラックの運転手不足解消にも大いに貢献するでしょう。一方で、一般道では、なかなかそうもいかないような気がします。

危険も多いですし、寝ていられません。見ていても、かえって手持ち無沙汰ということになりそうにも思えます。安全に配慮されているのはわかるけれど、いちいち止まる、あまりに遅い、となれば、自分で運転したほうが手っ取り早い、実用的ではないと、結局自分で運転し始めることになりはしないでしょうか。

そのほかにも、疑問や不透明なところはたくさんあると思います。もちろん、ベースにある技術の進歩を疑うつもりはありません。文明の発達を否定するものでもありません。しかし、自動運転が、誰もが手放しで歓迎し、その実現を疑わない、実現への道筋が見えているかのような見方には、疑問も感じます。

自動運転CBC

テレビで見ましたが、大阪万博では、自動の身体洗い機が展示されていたそうです。将来は、風呂で自分で身体を洗う人はいなくなるだろうと考えられていたようです。当時の人は、なるほどと思ったのかも知れませんが、50年近く経っても、いまだに開発されているという話すら聞きません。

比較するのは変かも知れませんが、軍事技術とも似ています。技術が進化し、昔は考えられなかったような兵器が開発され、実現可能になっています。しかし、可能になったからと言って、実現するのがいいとは限らないわけです。技術的には可能でも、実現しないほうがいいものはたくさんあるでしょう。

なるほど、過疎地で、運転の出来ない高齢者の多い場所では、自動運転車が福音となるかも知れません。しかし、それだけが解決策なのでしょうか。なんでも機械や技術で解決する、資源を消費するというスタイルできた現代文明に対し、疑問を感じ始めている人も少なくありません。

もちろん、そうは言っても、これだけ世界的に開発が進められているのですから、世の中は自動運転に向かっていくのでしょう。新しいものに対する疑問、批判があるのは、いつの時代も同じです。私は別に、偏屈になって自動運転を頭ごなしに否定したいわけではありません。技術の進歩を疑うものでもありません。

本当に文句のない形で実現したら、素晴らしい進歩でしょう。ただ、世の中が自動運転にまっしぐら、もはや規定路線のように考えられていることには疑問や違和感を感じる人もいます。なんでもかんでも自動にしていく、ラクをするという風潮を風刺したり、皮肉を言いたくなる人がいるのも確かなようです。




ユニクロが国内でイスラム教の女性用のムスリムの衣服の販売を始めたそうです。そういう時代なのでしょうか。

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この記事へのコメント
こんにちは
まさにというか、自動運転中の自動車による初の死亡事故、7月1日のニュースでやってましたね、まだまだクルマ任せには出来ないようです。
風刺動画にある自転車の自動運転は便利かも・・・と一瞬思ってしまいましたが、やはり無理が有りますね(笑)
二輪車の自動運転といえば、昔見ていた仮面ライダー(ブラックRX)ではバイク(モーターサイクル)が自分で走ったりしてましたね、うろ覚えですが、倒れても自分で起き上がってたような・・・(^^;
Posted by ta_iso at July 02, 2016 14:47
ta_isoさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
自動運転としては、まだ最初のレベルのようですから、これからも紆余曲折があると思われますね。
確かに実現したら便利そうに感じますが、普通の自転車と同じような外観で自動運転というのは難しいものがあるでしょう。
おそらく特殊撮影でしょうけど、ジャイロを使えば、2輪で、ある程度傾いても起き上がるようには出来ると思います。ただ、周囲の状況を把握するなど、自動運転は難しそうです。
Posted by cycleroad at July 02, 2016 23:54
テスラを運転した人によると
車を見張っている神経がものすごく疲れて
自分で運転する方が全然楽だそうです
Posted by あるふぁ at July 07, 2016 03:13
あるふぁさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうなんですか。まだ技術的には初期の段階だと言いますし、たしかに想像してみると、いつ変な反応をするか、ドキドキして安心してられなさそうですね。
Posted by cycleroad at July 07, 2016 23:39
鉄道では、立体交差が自動運転の絶対条件であるように、道路では、自転車と自動車の分離が条件かな?
Posted by なななな at July 09, 2016 22:19
ななななさん、こんにちは。
全ての道路での分離は現実的でないですし、それに対応することを目指しているのでしょう。

Posted by cycleroad at July 10, 2016 23:06
自動運転や自動ブレーキの普及は確実に重大事故を大幅に減少させられますから、早急に普及してほしいと切に願います。
Posted by GreenTopTube at July 20, 2016 05:34
GreenTopTubeさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
『自動運転や自動ブレーキの普及は確実に重大事故を大幅に減少させられる』とおっしゃいますが、果たしてそう上手くいくかどうか、少なくともそこに至るまでに紆余曲折がありそうな気がします。
Posted by cycleroad at July 21, 2016 23:25
これはおそらくですが、自動運転自動車が普及するにつれて、交通の円滑を向上させるためにも、自動運転自動車の通行を悪質かつ不正に阻害するような者(歩行者、自動車を含めたすべての存在)は、自動運転自動車に搭載された撮影機器によって中継・録画され、なんらかの指導なりがされると思います。
私としては、たとえ、そういう社会になったとしても、良いと思っています。

なぜなら、現状の、人間の運転する自動車が速度超過やスレスレ追い抜き、煽り運転、警音器使用制限違反、幅寄せ等の威圧的かつ危険な運転を繰り返している惨状を根本から崩すことができる、現実的な解決策が、自動運転自動車の普及としてあるからです。
それは上記の自動車運転手らの意図的な交通犯罪を撲滅さえするポテンシャルを、自動運転自動車の普及は有しています。

グーグルカーについての報道を調べれば調べるほど私は思います「あれこそが、弱者保護弱者優先を徹底している、本来の安全な自動車運転の姿ではないか!」と。

あの安全運転の姿を、心無い粗野な自動車運転手らは「トロトロ運転するな!」などと安全運転精神の欠落した恥ずかしい暴言を放ちます。
突然の飛び出しにも対応するための理想的な安全速度を、AIはきちんと計算して走っているだけなのに。

私は、安全運転を徹底する自動運転自動車にケチをつけるような未熟で人命軽視な者に自動車のハンドルを握らせない、自動車の運転を管理させない、という根本的な解決策のためにも、自動運転自動車の普及は見事な成果を出してくれるものであると確信しています。

保険会社の見込みとしても、自動運転自動車の普及は重大事故を激減させる、というものだそうです。私も、その専門家らの意見と同じ考えです。
自動運転車は、保険ビジネスを急減させる | ロイター | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
http://toyokeizai.net/articles/-/116015
Posted by GreenTopTube at August 03, 2016 04:23
また、自動運転自動車の普及は、すなわち交通犯罪運転自動車の撲滅にも一役買うことでしょう。
ナンバープレートやドライバーの顔、交通犯罪の様子を、自動運転自動車は360度撮影のカメラで証拠映像を残すことも、即刻通報することもできるのですから。
自動運転自動車は、その自動車と警察との連携も容易にします。GPS、映像音声データを残す機器によって、すべての問題を公平かつスムーズに解決することができる。それが自動運転自動車なのですから。

最近、自動車へのバックカメラ義務化の動きが強まっているようです。
私は、今後も、ドライブレコーダー搭載義務化、自動ブレーキ搭載義務化、と、そういうふうに自動運転自動車の装備に近づけるような○○義務化の動きが強まると見ています。
人命は何よりも重いですから。自動車のワガママよりも遥かに。バックカメラ義務化さえもう少し早ければ、視覚障碍者と盲導犬が犠牲になることもなかったのですから。
これは、自動運転自動車普及前に起きたすべての自動車加害による事故に言えることでもあります。
Posted by GreenTopTube at August 03, 2016 04:30
もちろん、自動運転自動車も万能ではないでしょう。
都市のスペースは貴重なので、スマートな占有面積である自転車と公共交通が主役を担うことになり、幅を考えると占有面積による損失が大きな自家用自動車=マイカーは邪魔であるとして規制が強化されると思います。自家用自動車を禁止したノルウェー・オスロのように。ロンドンでも市街地への自動車乗り入れに通行課税をかけて、自動車を削減してでも自転車の為のインフラを整備していますね。
オランダも自動車への取り締まりや罰則の強化で集めたお金で自転車インフラを整備して、重大事故減少に成功しています。
いくら自動運転自動車といえども、マイカーである以上は占有面積的に邪魔なので、その通行にまつわる規制は強化されると思います。これは自動運転とはいえ、自動車の宿命でしょうね。

また、運送に関してはトラックの代替としてドローンによる輸送、運送の活用にまつわる研究開発が進んでいるようですし、ますます自動車を減らすことができるでしょう。
基本的に、自動車は減らしたほうがよいものです。統計を見ても、自動車が増えれば増えるほど重大事故も増えていきましたし、公害についても同様です。だからこそオスロでは自家用自動車の通行を禁止、といった素晴らしい決断を下しました。日本でもそういった機運が高めていきたいものですね。人々の利益、公益の為に、地域の環境の為にも。
Posted by GreenTopTube at August 03, 2016 04:39
先ほど見つけた記事ですが、補足として。

ウォール・ストリート・ジャーナル日本版さんのツイート: "自動運転車、保険会社の収入破壊の恐れ https://t.co/wKsrykzoLs
米保険会社各社は自動車会社と提携し始めている。自動運転車が将来的に普及するに従って保険料を引き下げるべきか否かという難題と格闘している
https://t.co/t7grVXrYOb" https://twitter.com/WSJJapan/status/758659543723339777

おおよその保険会社の見通しでも、自動運転自動車の普及は重大事故を激減させる、な論しか、私の調べる限りは見つけられませんでした。つまり、ほとんど確実に、自動運転自動車は重大事故を激減させる、ということになります。

横断歩道や歩道の歩行者でさえ、その交通死における加害車両のほぼ100%は自動車という惨状。自動運転自動車普及のメリットをもっとも受けることができるのは、死亡者数第一位の歩行者であるのかもしれませんね。
Posted by GreenTopTube at August 03, 2016 05:08
GreenTopTubeさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
自動運転が人間のミスや故意、悪質な違反などを排除し、事故を減らすという理屈はわかります。
しかし、ことはそう簡単な話ではありません。さまざまな形態の道路やインフラがあり、歩行者や自転車なども混在する中で、自動運転を上手く運用するのは簡単なことではないでしょう。各種の問題があることも指摘されています。
事故を減らそうという理念に反対するつもりはありませんが、技術的な問題も少なくありませんし、簡単な道のりではないととの指摘も少なくありません。
個人的には手放しで期待できるような単純な話ではないような気がします。
少なくともそこへ至る道には、紆余曲折がありそうだと感じるだけです。

Posted by cycleroad at August 04, 2016 23:24
 
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