August 02, 2016

思いつきが常識を変えていく

アイディアは、突然降りてくることがあります。


そして、既存のものの組み合わせから、新しいアイディアが生まれることも往々にしてあります。フランスの工業デザイナー、Natacha Lesty さんが、“Lecomotion,Nested urban E-trike”と名付けた新しい自転車を思いついたのも、二つのものからのインスピレーションでした。

一つは、ショッピングカートです。少し大きなスーパーマーケットであれば、どこにでもあります。ショッピング中に買い物カゴを持っている必要がなく、場合によっては子供も一緒に乗せたり出来ます。特に買い物が多い時には便利で、多くの人が当たり前のように使っています。

Photo by Nino Barbieri,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.This image is in the public domain.

クルマでスーパーマーケットに買い物に行った場合には、駐車場まで運んで積み込むのにも使われるのが普通でしょう。使い終わったショッピングカートは、邪魔にならないように重ねられて、駐車場の隅などに置いておけるようになっています。店によって、多少形は違うとしても、機能は、ほぼ共通だと思います。

もう一つは、最近、街中に設置される都市が増えてきた、ライドシェアの自転車です。パリで始まったヴェリブが都市型の自転車シェアリングサービスの先駆けとして有名ですが、いまや世界中の都市で導入が進んでおり、お馴染みとなっている街も少なくありません。

Photo by 	Rcsmit,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.Photo by ZanMan,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.

街のあちこちに無人のステーションが設けられており、借りたり返したり出来るようになっています。公共の都市交通インフラの一つとなっている自転車シェアリングサービスの場合、どこでも借りたり乗り捨てられるようになっていないと不便ですから、街の各所にステーションが設置されているのは見慣れた光景です。

この二つが頭の中で組み合わさって、新しいアイディアとして結実したのが、新しいタイプのライドシェア用の自転車、“Lecomotion,Nested urban E-trike”です。見てわかる通り、トライクになっており、ショッピングカートのように重ねて置いておけるのが特徴です。

現状ではコンセプトデザインであり、詳細に設計されているわけではありません。でも、十分に可能なスタイルだと思います。バッテリーやインホイールモーターなどを搭載して、電動アシストにすることが想定されています。重ねて駐輪できる都市型Eトライクです。

LecomotionLecomotion

トライクには後部座席があり、子供を乗せたり、家族を乗せて一緒に行動することが出来ます。カーゴバイクのように使って、普通の自転車では運びにくいような大きな荷物、多くの荷物も運ぶことも可能です。これは、街中で何かと便利に使えるのではないでしょうか。

今まで、子供連れのためクルマを使わざるを得なかった人、たくさんの荷物を抱えてバスやタクシーを利用するしかなかった人、足の弱い高齢者と一緒に移動したい人など、これまで自転車シェアリングの自転車を使えなかった人でも使えるようになる可能性があります。

そして、ショッピングカートのように重ねて置いておけるため、街角でも場所をとらず、ステーションを設置することが出来ます。後ろの座席部分が跳ね上がる形で、省スペースで並べておけるのが優れています。言われてみれば何のことはありませんが、ライドシェアには今までになかったアイディアでしょう。

LecomotionLecomotion

もちろん、一人で移動する人、特に荷物が多くない人は通常の自転車のほうが便利です。しかし、このトライクと2種類が備わっていて選択できるようになっていれば、これまでライドシェアの対象にならなかった人にも範囲が広がります。荷物を運びたいといったニーズにも応えられます。

トライクですから、どこの都市でも導入可能とはいかないかも知れません。幅があるので走行スペースも必要ですし、省スペースとは言っても、ステーションの設置にそれなりの広さが必要になります。ただ、自転車シェアリングの可能性を広げるアイディアであることは間違いないでしょう。

すでにベロタクシーや、トライクのカーゴバイクなどが走っている街、道路のスペースに余裕のある街なら、問題なく導入できそうです。ライドシェアの自転車が浸透し、その便利さが市民に理解されているような街なら、こうしたトライクスタイルも、人々の支持を集める可能性は高いと思います。



最近は、世界的な傾向として、都市への自転車シェアリングの導入が進んでいます。同時に、例えばパリのように、クルマの排気ガスによる大気汚染が問題となり、慢性化する渋滞に悩まされている都市では、都市の中心部へのクルマの乗り入れを制限する方向に進んでいます。

ロンドンのように、都市部へのクルマの流入抑制のため、ロードプライシング(課金)制度を導入する都市もあります。公共交通の充実した都市中心部にまでクルマを自由に通行させる必要はないという考え方が広がっているのです。日本では聞きませんが、環境への意識の高いヨーロッパでは一般的になりつつあります。

渋滞や大気汚染だけではありません。交通事故によって失われる人命を、少しでも減らすためでもあります。都市部では、歩行者が安心して歩けるようにすべきであり、これまでのようなクルマ中心、クルマ優先の道路整備は考え直すべきだというコンセンサスが形成されつつあります。

Lecomotion

そのような方向に進んでいけば、クルマ用の車線を減らして自転車レーンを設置するところも増えていくはずです。道路全体の拡幅は困難でも、自転車、それもトライクがゆったり通行できる幅が確保されていく可能性があります。トライクが自転車シェアリングに使われるようになることも十分考えられます。

自転車に限らず、宿泊やクルマなどを共有しようという、いわゆるシェアリングエコノミーは、これからもどんどん広がっていくでしょう。公共交通としての自転車シェアリングの役割も増大していくに違いありません。複数乗車や荷物の運搬などは、当然要望されていくことになるはずです。

これまで、自転車シェアリングというと、無意識に通常の二輪車しか想定していませんでしたが、重ねて置ければ、トライクという選択肢も十分考えられます。工業デザイナーのジャストアイディアかも知れませんが、将来のライドシェアリングの幅を広げるポテンシャルを秘めている気がします。




小池百合子新都知事が誕生しました。課題は山積ですが、自転車行政にも目を向けてほしいものです。

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