March 27, 2017

標準にこだわらないデザイン

自転車のフレームにはいろいろな形があります。


日本で圧倒的に多いママチャリの場合は、トップチューブがダウンチューブと並行に近い角度になっているスタガード型や、トップチューブが無く、ダウンチューブが太くて湾曲しているUフレーム型と呼ばれるものが多くなっています。スカートでも乗りやすく、またぎやすいことが重視されているからです。

そのほか、フォールディングやミニベロ、BMXなど、自転車の種類によって、フレームの形状が違ってくる場合があります。ただ、スポーツバイクの多くは、オーソドックスなダイヤモンドフレームです。横から見ると三角形を二つつなげて菱形にしたような形をしています。

構造的に強い三角形を組み合わせることで強度を持たせることが出来、チューブを細く、軽くするのにも有利です。シンプルなので生産しやすいのも利点です。自転車が今のような形になり、フレームの形状が試行錯誤されてきた中で淘汰され、残ってきた形で、無駄のないリーズナブルな形と言えます。

MERIDAICAN

しかしながら近年は、素材技術が進歩し、一部の車種では、カーボンなどを使った樹脂系の素材も使われるようになり、一体成型されたモノコック構造のフレームなども増えてきました。パイプ型の金属材料をつなぎ合わせるのとは違って、自由なデザインにすることも可能です。

金属と比べて軽く、強度も高いため、必ずしもダイヤモンドフレームにする必要はありません。中空のチューブ型である必要もなく、直線的にする必要もありません。そう考えると、もっと独創的な形が出てきても良さそうなものです。それでも、相変わらずダイヤモンドフレームが多くなっています。

これは、国際自転車競技連合の規定で、ロードレースに出場する時の自転車はダイヤモンドフレームに限るとされていることがあるのでしょう。プロ選手がロードレースに出場する場合、ルールでダイヤモンド型のフレームに限ると決められているからです。

他のスポーツでもそうですが、プロ選手が使っているモデルが注目され、人気になるのは自然です。メーカーは市販車だからといって、あえてダイヤモンドフレーム以外にする必要はなく、奇をてらって独創的なデザインを採用する意味がないということなのでしょう。

結果としてスポーツバイクは圧倒的にダイヤモンドフレームが多くなっているわけですが、レースに出ない一般の人が、必ずしもダイヤモンドフレームを選ぶ必要はありません。何か別の理由があれば、もっと違った形、それぞれの理由に見合ったフレームを選んでもいいわけです。

VanhulsteijnVanhulsteijn



そこで、ダイヤモンドフレームでない自転車もデザインされています。こちらは、シートチューブがありません。強度面がクリアできれば、なくても問題ないということでしょう。これは個性的で目をひきますし、他の大勢と差別化できます。もしかしたら、短いシートポストは盗まれにくいかも知れません(笑)。

Trek Y Foil,Photo by AndrewDressel,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.Icarus

シートチューブのないフレームは、量産メーカーのモデルの中にもあります。特にダイヤモンドフレームでなくてもいいなら、シートチューブの有無にこだわる必要もないでしょう。デザイン性とか、希少性を優先させて選ぶ人もいるに違いありません。

CAMARDCAMARD

こちらは、ダウンチューブとシートステーがありません。なくても自転車のフレームとして成り立っています。これは個性的ということより、軽量化が目的です。フレームは2.7キロ、フロントフォークを合わせても、わずか3.4キロしかありません。

CAMARDCAMARD

特に上り坂では、フレームの軽量化は大きな意味があります。従来のダイヤモンドフレームで、素材の違いなどで軽量化する場合、わずかに軽くするだけで何万円も違うという世界ですから、ダウンチューブとシートステーをなくしたのは、大きなアドバンテージでしょう。



ただ、問題は強度です。軽くしても、フレームがしなってしまい、ペダルの力が伝わらない、パワーロスしてしまうようでは意味がありません。そこで、この形で強度を上げるために工夫がなされています。独特の構造をとりいれているのです。

それぞれのチューブを指に例えると、その指の付け根、連結部分に水かきのような部分を加えています。これによって、チューブとチューブの角度が変わらないよう補強しているわけです。どのくらいの効果があるのかは、乗ってみないとわかりませんが、理屈としては理解できます。

Velox Performance BicycleVelox Performance Bicycle

こちらも、ダウンチューブがなく、シートステーが特殊な形になっています。こちらは、軽量化ということよりも、空気抵抗を減らすためだと言います。どのくらい違うのかわかりませんが、これによって空気抵抗を減らし、そのぶんスピードが出るのだそうです。

Big Eye CruiserBig Eye Cruiser

こちらは、シートチューブとシートステーがありません。見慣れないので、なんだか間の抜けた形に見えなくもないですが、これにはこれで理由があります。ダウンチューブとトップチューブの角度が可変になっているのです。さらに、サドルはトップチューブ上を前後にスライドするようになっています。

Big Eye CruiserBig Eye Cruiser

このことにより、フレームのサイズを変えることが出来ます。一台で、違う体格の複数の人に合わせることが可能になります。あるいは、すぐ身長が伸びてしまう子供の時期などに、成長に合わせてライディングポジションを柔軟に調整できるというメリットがあるわけです。



こうして見てみると、ダイヤモンドフレームにこだわらず、チューブを1本か2本減らしてみることで、また違った特徴、メリットが生まれてくる可能性があることがわかります。チューブを省略することで、相応のメリットがあるならば、菱形にこだわる必要はないでしょう。

ダイヤモンドフレームを見慣れているぶん、そうでないと違和感があるのは否めません。ただ、金属のパイプを使ってフレームを作らなくて済むようになって久しいわけで、まだまだその恩恵、可能性を活かしきれていないとも言えそうです。これからは少しずつ、異形のフレームも増えてくるのかも知れません。




稀勢の里の逆転優勝には驚きました。怪我を押して出場しただけでなく執念で2番勝ったのには感動しましたね。

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