April 29, 2017

働き方を改革し医療費も削減

働き方改革が進められています。


昨年の9月には内閣の諮問機関も設置され、政府は働き方改革が、一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジであるとしています。長時間労働やサービス残業などの悪しき慣習が、生産性の上がらない原因となっており、経済成長の足を引っ張っていることへの対策でもあります。

人口が減少していく日本社会において、引き続き経済成長を実現していくためには、生産性の向上が不可欠です。そのためにも長時間労働を是正する必要があります。よく言われるように、上司より先に帰れないからとか、残業代を稼ぐため仕事をしているフリをしているのでは、確かに生産性は上がりません。

全体としてみれば、無駄な残業が多いのは明らかです。例えば、OECD諸国の年間平均労働時間を見てみると、日本の1729時間に対し、ドイツは1371時間とはるかに短くなっています。日本より大幅に短い労働時間でも成果があがっており、ドイツ経済は好調を維持しています。

働き方改革働き方改革

ドイツでは1日10時間を超える労働が禁止され、労働条件は厳しく監視されています。時間が限られれば、その中で効率よく仕事をこなさざるを得なくなり、労働生産性は向上することになります。日本でも、同じように労働時間を短くすることが出来るはずです。

もちろん、長年の日本社会の慣習もあるでしょう。お客さんが待っているのに、さっさと帰るわけにもいきません。そう簡単には変えられない部分も当然あると思います。しかし、日本社会の抱える課題を考えても、働き方改革は重要な意味を持ちます。

長時間労働がなくなれば、男性が育児に参加する時間ができ、女性も子育ての時間に余裕ができるため、第2子を望む人が増えます。これらの効果によって、出生率が上がることは、統計的にも確かめられています。つまり、日本の課題である少子化対策としても大きな意味があるわけです。

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労働時間に上限が設けられ、その範囲で効率よく仕事をこなし、生産性が向上すれば、企業の収益が上がります。それが労働分配率、すなわち労働者の所得を上げ、消費を増やし、経済を成長させていくという好循環をつくろうという考え方です。この考え方には多くの企業も賛同しています。

短期的には残業代が減ると心配する人もあるでしょう。しかし、長期的には所得を向上させるのも目的です。長時間労働、すなわち低い生産性が日本経済の低成長を招き、所得が増えず、消費も低迷、デフレから脱却できないという悪循環でした。この負のスパイラルを断ち切ることが期待されます。

当然ながら短い労働時間は、労働者にとって多くの恩恵をもたらします。身体にかかる負担が軽減し、過労自殺なども含めた健康面のリスクが減ることになります。ワークライフバランスという点でも、自由になる時間が増え、生活の質が向上し、より人生が豊かになるでしょう。

時差ビズ東京都は昨日、「時差ビズ」を打ち出しました。これも働き方改革の一貫として、朝の通勤ラッシュの緩和など快適な通勤環境の実現に向けた取り組みだと東京都は説明しています。

小池都知事も「東京では毎朝、満員電車が当たり前となっているが、意識と制度を改革し、生産性を向上させることが重要だ。」と述べています。

満員電車は、通勤者にとって大きなストレスとなっています。時差通勤をしたり、テレワークによる在宅勤務を増やすなど、これまでの働き方のスタイルを見直すことも、働き方改革の一面です。働く人々にとって、通勤も大きな要素であり、その改善が望ましいのは間違いないでしょう。

さて、通勤と言えば近年、自転車通勤の認知度が上がっています。少し前までは、職場まで直接自転車で通勤するなんて、自転車オタクか変人のやることと思われていました。それが、かなり広く知られるようになり、実際に自転車通勤する人も増えています。

自転車通勤を始めると、満員電車での通勤には戻れないと言う人も少なくありません。朝、適度な運動をしてから仕事を始めるので、頭が冴えて仕事がはかどると感じる人も多いようです。自転車通勤が可能な人にとっては、働き方を変える有効な手段にもなっています。

自転車通勤を始めたことで、定期的に有酸素運動をすることとなり、体重が減って、いわゆるメタボが是正されたり、生活習慣病が改善したという話も聞きます。距離にもよりますが、運動不足解消になるのは間違いありません。これにより健康増進につながる人がいるのも当然の結果と言えるでしょう。

BMJBMJ

最近、さらに興味深い論文が発表されました。BMJに掲載された研究です。BMJは、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルというイギリスの医学誌で、国際的に権威のある専門誌です。日本でも医師であれば、必ず読んでおくべき医学誌と言われており、世界五大医学誌の一つでもあります。

グラスゴー大学のジェイソン・ギル博士らによって、5年間にわたって25万人以上のイギリスの通勤者を追跡した大規模な調査・研究です。いろいろな方法で通勤している人の健康について比べています。特定の要因による疾病率を、一定期間追跡・比較する大規模なコホート研究と呼ばれる手法です。

その結論を要約すると、『自転車通勤は、心臓病や心筋梗塞などの心血管疾患、ガン、および全ての疾病死亡のリスクを低下させる』というのです。クルマや公共交通、徒歩、それらの混合による通勤と比較して、明らかに低い結果は、全ての死亡につながるような病気のリスクが低下する明確な証拠であると結論づけています。

自転車通勤で痩せたり、ダイエットに成功したという話はよく聞きます。生活習慣病に対しては有効であろうと想像がつきます。しかし、この研究によれば、心血管疾患、ガン、および全ての死亡につながるような病気に対して、明らかにリスクが下がるというのです。ガンにまでいいとは驚く結果ではないでしょうか。


BMJ

クルマや公共交通などによる、非活動的な通勤手段と比べたハザードレシオ、リスクの低下率が示されています。それによれば、心臓病や心筋梗塞などの心血管疾患による死亡は、クルマによる通勤を1とすると、自転車通勤は0・48という数値です。発症についても0・54です。

ガンによる死亡は、0・60、ガンの発生についても0・55と明らかに低くなります。全ての病気による死亡原因についても、0・59という低さです。徒歩や、それらを組み合わせた方法よりも明らかに低くなっており、自転車通勤している人は、これらのリスクが有意に低く、明らかな相関関係が認められると結論付けています。

この研究のリーダー、グラスゴー大学のジェイソン・ギル博士は、自転車通勤の有効性は明らかであり、政府や自治体は、自転車通勤を、よりしやすくするためのインフラ整備を進めるべきだと強調しています。職場にシャワーを設置するといった企業の努力も求めています。

生活習慣病だけではなく、心血管疾患やガンまで含めたすべての疾病とは意外です。でも、言われてみれば、心血管疾患は、心肺機能の向上が寄与するのかも知れません。ガンのリスクが低下する仕組みはよくわかりませんが、ガンもその原因に生活習慣病的な部分があると言いますので、有効なのでしょう。

自転車通勤は、運動を日常的、継続して行う活動と言えます。身体活動の減少、すなわち運動不足は世界的な傾向であり、より多くの身体活動を日常生活に取り入れる方法として、自転車通勤は理想的、かつ現実的であると指摘しています。この研究報告は、2017年の3月16日付けで承認されています。

BMJUniversity of Glasgow

自転車通勤は、満員電車のストレス回避や、仕事への意欲向上に加え、渋滞の軽減、環境負荷の低下など社会的なメリットもあります。広く市民の健康の増進に役立ちます。さらに、死亡に至るような病気を予防し、そのリスクを下げるとなれば、日本人の健康寿命を延ばす意味でも、もっと注目していいのではないでしょうか。

生活習慣病に加え、すべての死亡に至るような病気のリスクの軽減になるということは、全体としてみれば、病気の予防効果を通じて、医療費や介護費用などの低減にもなるはずです。国や自治体の社会保障費を低減し、財政の改善にも貢献するに違いありません。

もちろん、すべての人が自転車通勤可能ではないでしょう。しかし、自転車インフラの整備が進んで、日常的に自転車で移動がしやすくなれば、相対的に市民全体の身体活動の増加が見込めます。自転車インフラの整備は、単に交通安全の問題にとどまらないことに注目すべきでしょう。

東京都の進める「時差ビズ」が働き方改革の一貫ならば、自転車インフラの整備も働き方改革ということになります。さらに働き方改革だけでなく、心疾患やガンも含めた健康面での恩恵、日本の医療費抑制にも寄与する改革として、もっと積極的に、自転車インフラの整備を進めていくべきではないでしょうか。




米国空母が近づく中、また北朝鮮がミサイルを発射、強気の姿勢ですが、どこまで緊張を高めるつもりでしょう。

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