June 19, 2017

必要な時にはいつでも手軽に

自転車は移動するだけのものではありません。


人が移動するために使われるのが多いのは確かですが、モノを運ぶ、運搬という機能もあります。ただ、普通の自転車だと、積める荷物の量は限られます。そこで使われるのが、荷物運搬用のカーゴバイクや、自転車に連結して使うトレイラーです。これらを使えば、自転車でも意外に多くのモノ、大きいモノ、重いモノが運べます。

これまでにも、さまざまな荷物運搬用の自転車や、それを活用する人たちを取り上げてきました。実際に海外では広く認知され、普通に走っている都市もあります。近年は、環境への意識も相まって、渋滞する都市部ではトラックなどをやめ、自転車で輸送しようと考える人たちも増えてきています。

ただ、商売で使う人、日常的に荷物を積んで移動する人は別として、頻繁には使わない場合、所有はためらわれる人も多いに違いありません。そこで、最近世界で広がってきている、自転車シェアリングサービスの仕組みで、荷物運搬用のトレイラーが借りられたら便利だろうと考えた人がいます。

London City TrailerLondon City Trailer

ワルシャワを拠点とするプロダクトデザイナーで、ロンドンのロイヤルカレッジオブアートとワルシャワの美術アカデミーを卒業した、Jan Libera さんです。彼がデザインしたのは、“London City Trailer”と名付けられたシェアリング用のトレイラーです。

通称ボリスバイクと呼ばれているロンドンの自転車シェアリングサービス、“Barclays Cycle Hire”で貸し出すことを想定してデザインされています。課金システムも、貸出ステーションも共通で使えれば、新たな設備は必要ありませんし、利用者にとっても便利です。



必要な時にトレイラーが借りられたらと考える人は一定数いると思います。レンタルできる店もあると思いますが一般的ではありません。もし、街角のシェア自転車のステーションで気軽に借りられたら、はるかに便利になるでしょう。使いたい時に借りて、使い終わった場所の近くへ返却出来ます。

トレイラーを上下ひっくり返せば、自転車用の貸出ステーションの駐輪機にドッキングさせることが出来ます。これなら荷物を載せる面が雨に濡れないのも親切な設計と言えるでしょう。ステーションの中に、一台か二台でも置いてあれば便利に使えそうです。

London City TrailerLondon City Trailer

トレイラーだけ借りて、自分の自転車につなげて使うことも出来ますし、シェア自転車に連結して使うことも出来ます。シートポストに連結するシステムなので、ほとんどの自転車で使えるでしょう。その点でも実用的なトレイラーになっていると思います。

たくさんの荷物だけでなく、大きなもの、かなりの重量物でもトレイラーがあれば運べます。さらに最近は電動アシストなどもあるので、より用途は広がるでしょう。わざわざトラックを借りなくても、自転車で手軽に運べれば便利という場面はいろいろあるに違いありません。

London City TrailerLondon City Trailer

これは、ドバイ・デザイン・ウィークの、“Global Grad Show” というコンテストに応募された作品です。まだ実際に配備されたわけではありませんが、入賞したところを見ても、シンプルなデザインとともに、その実用性や有用性が高く評価されたことは間違いないでしょう。

都市型の自転車シェアリングサービスで、トレイラーを貸しだそうというアイディア自体は、過去にも見かけたことがあります。ただ、私も偶然見かけただけで、イメージスケッチ段階でしたし、ほとんど注目されなかったと思います。このように実際のサービスを想定して、実車も製作されると具体的なイメージもわきます。

London City TrailerLondon City Trailer

こうした荷物運搬用のトレイラー、残念ながら日本ではほとんど普及していません。日本では、自転車と言うとママチャリのことだと思っている人が多く、カーゴバイクやトレイラーなどの存在があまり知られていないということもあると思います。自転車で大きな、あるいは重い荷物を運べるとは思われていません。

自転車の歩道走行が多いのも背景にあるでしょう。カーゴバイクやトレイラーを牽引すると、歩道は走行出来ません。歩道走行が一般的な日本では使いにくいため、ニーズがなく売れないのでしょう。街の自転車屋さんで売られているのを見ることは、ほとんどありません。

よくある機械式の駐輪機にはとめられませんし、家で保管するにも場所をとります。荷物を運ぶ時には便利ですが、そうでない時のほうが多いため、普通の自転車をやめてカーゴバイクにするわけにもいきません。わざわざカーゴバイクと複数台の自転車を保有しようという人は少ないはずです。

London City TrailerLondon City Trailer

トレイラーだったら、不要な時に外せるので、あってもいいとは思いますが、少ない機会のために購入するのもためらわれるのが実際のところでしょう。でも、もし借りて使えるのであれば、使ってみたい人もあるはずです。日本でも、潜在的な需要はあると思われます。

日本では、本格的な都市型自転車シェアリング自体、広がっていませんが、もし、このようなトレイラーが使えるようになれば、認知度も上がるでしょう。街で見かけるようになれば、需要も増えてくるかも知れません。自転車でもモノを運べるという概念も、今より一般的になるに違いありません。

最近、高齢者のクルマの事故が問題になったり、免許返上などが話題になります。移動のアシは自転車で代用できるかも知れませんが、モノの運搬がネックになる場合もあるでしょう。誰でも手軽にトレイラーが使えるようになれば、クルマを使わずに生活していく上での助けとなる可能性があります。

いきなり日本での実現は難しいでしょうが、海外で成功すれば、日本にもトレンドが及んでくる可能性があります。そのためにも、まずロンドンをはじめとする、都市型自転車シェアリングサービスで、トレイラーもシェアしようという動きが出てくることを期待したいと思います。




そのロンドンでは、またクルマが歩行者に突っ込みました。まだテロかは不明ですが、頻発傾向が懸念されます。

このエントリーをはてなブックマークに追加

 デル株式会社


Amazonの自転車関連グッズ
Amazonで自転車関連のグッズを見たり注文することが出来ます。



 楽天トラベル






この記事へのトラックバックURL

 
※全角800字を越える場合は2回以上に分けて下さい。(書込ボタンを押す前に念のためコピーを)