July 25, 2017

自然豊かな国での自転車活用

日本は自然に恵まれた国です。


日本に生まれると当たり前で見慣れた風景ですが、世界的に見ても豊かな自然環境に恵まれています。海に囲まれているのに山がちな国土で、南北に長く変化に富み、海流などの影響もあって温暖で湿潤な気候なため、森林が7割を占め緑が豊かです。多くの固有種を含む動植物の豊かな生態系も魅力です。

都市部と山の距離が近いため、どこでも山歩きが楽しめ、温泉もたくさんあります。日本人に見慣れた自然も、訪日客には魅力的に映ります。漁港もあちこちにあって、豊かな海の恵を味わうことも出来ますし、寺社仏閣をはじめ、歴史的・文化的な見どころもたくさんあります。

よく言われることですが、先進国でサルが住んでいるのは日本だけです。雪の中で温泉に入っているニホンザルに日本人は違和感はありませんが、外国人には世界的にも類を見ないスノーモンキーとして人気です。奈良公園では野生のシカが、餌をねだってお辞儀をするように見えるのも、驚く光景なのでしょう。

挙げればキリがありませんが、日本は、観光立国として世界から訪日客を集める上で、大きなポテンシャルを秘めているのは間違いないでしょう。少し前に中国人観光客の爆買いが注目されましたが、家電製品や化粧品、ブランド物などのショッピングだけが日本の魅力ではありません。

近年、国も自治体も、東京から京都、大阪のいわゆるゴールデンルートだけでなく、ほかの地域へも訪日客を誘導しようとしています。日本人観光客も含め、少しでも多くの旅行客の関心をひくことが出来れば地域振興にも役立ちます。そして、最近は自転車に注目する地域が目立ってきています。

自然の味わい自然の中で

海の上を走れる世界的にも有名なサイクリングロード、しまなみ海道が注目されたこともあるのでしょう。そのほかにも、アジアなどからのサイクリング客を集めているところがあります。国内の観光客も含め、サイクリング人気の高まりに遅れまいとする自治体が増えています。

ただ、しまなみ海道のように、名前だけで自転車客が呼べるようなところは限られています。魅力的なサイクリングコースがないため、今一つアピール度が低く、自転車での集客に成功していないところも多いようです。しかし、有名な観光地がなくても、人が呼べるのがサイクリングではないでしょうか。

地域内の観光スポットを巡る移動手段にもなりますが、自転車は、乗ることそのものが魅力です。無名でも、豊かな自然に囲まれた魅力的な場所は日本中にあります。自転車で走りやすいなど環境整備は必要だと思いますが、サイクリングそのものを楽しむために出かける旅行の人気も高まっています。

レンタサイクルを整備して自転車を貸したり、ガイドが案内しながら、地域を周遊するツアーを催行しているところも一部にあるようです。有名な観光地でなくても、豊かな自然の中を、周囲の景色を楽しみながらサイクリングするだけでも思い出に残る体験になるでしょう。

そうは言っても、景色だけ、ガイドツアーがあるというだけでは、なかなかお客を呼べません。その点に悩んでいる地域の担当者も多いかも知れません。まず来てもらわなければ仕方がありませんが、他の地域との差別化するのも難しく、その地域に来てもらうためのアピールに苦慮しているところも多いでしょう。

Farm to Fork FondoFarm to Fork Fondo

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さて、アメリカはバーモント州のバーリントンというところに、Wrenegade Sports 社という新興企業があります。ここは、“FARM TO FORK FONDO”というイベントを主催しているのですが、このイベントが最近とても人気になっています。会社の本拠地はバーモント州ですが、イベントは全米各地で行われます。

それぞれのレベルに合った距離を選び、地域の豊かな景色を楽しみながらサイクリングし、目的地の農場で、採れたての産品による料理を楽しむというイベントです。サイクリングでお腹を空かせた後に楽しむ、地場産品のバーベキューやプロのシェフによる料理、ワインなど、美味しくないはずがありません。

Farm to Fork FondoFarm to Fork Fondo

Farm to Fork FondoFarm to Fork Fondo

レースではありません。ライドイベントなので和気あいあいとサイクリングを楽しみます。到着後のイベントでは、音楽の演奏があったり、賞品が当たる抽選会があったり、地元の産品の販売会などもあります。参加者だけでなく地元の人やスタッフと交流するなど、楽しく過ごせるように企画が組まれています。

この会社の創業者の、Tyler Wren さんは、元プロの選手で、イベントには多くの自転車メーカー、自転車用品、アパレル、アウトドア用品メーカーなどのスポンサーもついています。この会社は非営利企業ではありませんが、社会的な意義、地域への貢献を意識しています。

Farm to Fork FondoFarm to Fork Fondo

Farm to Fork FondoFarm to Fork Fondo

このイベントは、サイクリング客と農家をつなぎます。美しい風景を楽しむと共に、田園の景観の保全や、農場への支援に対する理解を広げる活動でもあります。生産者と消費者を結び付けることによる地域の振興に加え、売り上げから、地元のコミュニティ組織への寄付なども行っています。

美しい景色の一部である農園、農地もさまざまな問題に直面しています。この田園風景を保全したいと考えているのです。地域の産品を味わってもらうだけでなく、農家のことを知ってもらうことによって、サイクリング客に、農地や美しい景観を支えるサポーターになってもらうことも考えています。





地域に来た旅行客のガイドツアーではなく、場所と日時が決まったイベントです。全米各地や外国からも、多くのサイクリング客が参加します。サイクリングと景色とグルメを楽しむイベントであり、参加者同士、地元のファーマー、ボランティアスタッフとも交流して楽しむイベントなのです。

何の変哲もないと言ったら失礼ですが、単なる農村の風景と農園があるだけでも大勢の人が集まっています。都市部の人にとっては、農村体験や新鮮な産物による料理は、イベントに参加する上で十分魅力的です。自転車でなければ楽しめない風景と、自転車で行くからこそ美味しい料理が最高の観光資源なのです。

Farm to Fork FondoFarm to Fork Fondo

Farm to Fork FondoFarm to Fork Fondo

Farm to Fork FondoFarm to Fork Fondo

これは日本で、何も有名な観光スポットがない、人を呼ぶ観光資源がないと嘆いている自治体の担当者に、大きなヒントとなる事例ではないでしょうか。もちろん、いろいろノウハウもあるでしょうし、イベントと言っても一朝一夕に集客できるようになるものでもないでしょう。

しかし、その地域の人にとっては、珍しくもなんともない景色や産品、料理が、都市部の人にとっては珍しく、貴重な体験であり、大きな目玉になりうることを示しています。観光バスで通り過ぎるツアーでは体感できない、地域の景色や空気感も大きな要素に出来るのがサイクリングの長所でもあります。

Farm to Fork FondoFarm to Fork Fondo

Farm to Fork FondoFarm to Fork Fondo

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日本にも、都市部にはない自然、日本の原風景、農村や漁村、美味しい産品など、多くの人を引きつける可能性を秘めた地域はたくさんあると思います。日本の自然は、多くの外国人も引き付けるに違いありません。最近はSNSなどもありますから、満足度の高いイベントが作れれば、口コミで広がっていくことも期待出来ます。

あまり知られていない観光スポットをマップにしたり、レンタサイクルを整備したり、ガイドツアーを用意するのもいいですが、それでは自転車客を待つだけです。この“FARM TO FORK FONDO”のような工夫をすることで、サイクリング客を呼ぶことを考えてみるのも手だと思います。

Farm to Fork FondoFarm to Fork Fondo

Farm to Fork FondoFarm to Fork Fondo

Farm to Fork FondoFarm to Fork Fondo

その場所に住んでいる人にとって、昔から変わらない、当たり前の退屈な風景や、毎度おなじみの料理かも知れません。しかし、逆にそういうものこそが、大きな魅力を秘めています。ましてや外国人に日本の自然は、大いに魅力的に映ることは多くの人が指摘するところです。

田舎の風景しかないと嘆く声はよく聞きますが、その景色、自然こそが一番の魅力になりうる、そんなことを気づかせてくれるイベントだと思います。そして、その自然を感じるのに絶好の手段がサイクリングです。日本の豊かな自然を観光資源とするために、もっと自転車をうまく使いたいものです。




各地で豪雨被害が続いています。集中し過ぎるとどこでも浸水などが起こるとのことで他人事ではありませんね。

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