September 20, 2017

こんな時こそ自転車があれば

ハリケーンが米国を襲いました。


ハービー、イルマ(アーマ)と大型のハリケーンがアメリカ南部を直撃、特にハービーは上陸後に停滞し、長くとどまるという前代未聞のハリケーンとして甚大な被害をもたらしました。全米4位の人口を持つ大都市ヒューストンでも市街の一部が冠水し、死傷者や数万人規模の避難民も出ました。

Photo by Henry Han,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.ハービー

今回のハービーは、短期間に年間降雨量に匹敵するような豪雨をもたらしたため、洪水による被害が甚大になりました。テキサス州は、石油やガスの集積地でもあり、今回の洪水による生産や供給の途絶で、アメリカ経済への影響も広がると見られています。

洪水で住宅を失ったり、勤務先が損壊するなど、雇用を喪失した人も多数います。被災した市民の一部には、連邦政府の緊急支援による助成や低利融資なども行われる見通しですが、一般的に民間の損害保険では、洪水が補償の対象外のため、多くの人が被害の回復のための資金に困ることになりそうです。

ハービーハービー

ハービーハービー

住宅の場合、水が引いたあと泥をかき出したり、修理が必要になるとは思いますが、あるいは復旧もできるでしょう。しかし、クルマが水没してエンジンなどにまで浸水した場合、その後、乾いたとしても再び使える状態にはならないと言います。

この未曾有の洪水によって冠水したクルマは、50万台とも100万台とも言われています。まだ正確なところは不明ですが、相当な数のクルマが水没によって使い物にならなくなったと見られます。そのほとんどは廃車するしかなく、マイカーを失う人が相当数に上るのも間違いないでしょう。

ハービーハービー

ハービーハービー

インフラや地域経済に甚大な被害を被り、住宅を失い、雇用を喪失する人が続出する中で、マイカーのことなど、二の次のように思えます。しかし、これから復旧や求職、自宅の再建をはじめ、さまざまな活動をしていく必要がある中で、その移動の足を奪われたという事実は、重いものがあります。

ヒューストンには一部、ライトレールや路線バスなどの公共交通もありますが、その広い都市圏の中には、公共交通がカバーしていない地域も多く、主な移動手段は、個人所有のクルマとなっています。生活再建の前に、まず食料品を買いに行くにも、クルマがないと困るような状況になるわけです。

ハービーハービー

ハービーハービー

クルマが廃車になっても、多くの人にはローンが残っています。すぐには買い替えられない人も相当な割合に上ると見られます。当初は避難所などでの避難生活を余儀なくされたと思われますが、いざ水がひいて、家に戻れたとしても、まず食料品を買いに行く移動手段がなく、すぐに生活するのに困る人も出てくるはずです。

さて、そこで立ち上がったのが、ヒューストンで自転車シェアリング事業を行っていたNPOの“Houston Bike Share”をはじめとする自転車関連の団体です。“BikeHouston”や、“Freewheels Houston”、“Rice Bikes”などの団体が、“Keep Houston Rolling”という活動を始めました。

Keep Houston Rolling

Keep Houston Rolling

ヒューストンで、ハリケーンによってクルマを失った人など必要とする人に、無償で自転車を配布しています。トレックや、ジャイアントUSAなどのメーカーから寄贈された分に加え、一般の人からの中古自転車の寄付も受け付けています。それをスタッフが整備して、必要としている人たちに提供しようという活動です。

もちろん、マイカーと比べれば不便になる人も多いでしょうが、クルマを失った今、歩くよりは数段機動力があります。公共交通と組み合わせるなどすれば、今まで使っていたクルマの代替手段となるでしょう。学生たちには、通学手段を提供することになります。

Keep Houston RollingKeep Houston Rolling

Keep Houston RollingKeep Houston Rolling

もちろん、ヒューストン・バイクシェアも大きな被害を受けましたが、まず目前の生活のために移動手段を必要としている人たちに、自転車を使ってもらうことを優先しています。洪水によって壊れた個人の自転車に対しては、修理のサービスも提供しています。クルマと違い、自転車なら復旧できます。

ふだん、ヒューストン市民のアシとなっているバイクシェアですが、今まで自転車を使ってこなかった人たちにも、当面の代替手段として自転車を使ってもらおうと考えています。非常時にも、自転車が大いに役立つことに気づいていない人は少なくありません。

Keep Houston RollingKeep Houston Rolling

Keep Houston RollingKeep Houston Rolling

それを狙っているわけではありませんが、なかには自転車の便利さや良さに気づき、平時に戻っても、乗り続ける人も出てくるかも知れません。当面は、正常化へ向けた生活を支えるため、今必要とされる、食料品店や職場、学校に行くためのものですが、これが自転車文化を広げることになる可能性も意識しています。

連邦政府や州政府も、この未曾有な被害を受けて、復旧・復興に向けて手を尽くしています。その対応すべき懸案は広範囲にわたりますが、なかなかマイカーを失った人へのフォローまでは手が回らない部分も多いに違いありません。当然、自転車の活用までは思いが至らないと思いますが、きわめて現実的で貴重な支援です。

Keep Houston RollingKeep Houston Rolling

こういう時に、自転車を使った支援に取り組めるのは、自転車関連のNPOならではと言えるでしょう。ハイテク化の進んだ現代のクルマは、水没したら、ひとたまりもありません。文明の利器は、災害には案外弱いということは少なくありません。そんな時でもローテクな自転車は役に立ちます。

災害の多さに関しては、日本もひけをとりません。洪水や水没も決して他人事ではありません。災害の復旧・復興局面における、移動手段としての自転車の有用性を再認識させる事例と言えるでしょう。現代文明の脆さや、クルマへの過度の依存についても、あらためて考えてみるべきなのかも知れません。




トランプ大統領が国連の演説で述べた完全破壊に至らないよう北朝鮮が態度を変えることを望みたいものです。

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