October 08, 2017

ふだんから自転車に乗る党首

衆議院が解散し、総選挙が行われます。


野党の準備が整わないと見ての突然の解散戦略だったようですが、野党第一党の民進党は新しく出来た希望の党に合流し、選挙の構図が大きく変わりました。公示はまだですが、民進党の一部の議員は分裂して立憲民主党を設立、大きく3極に陣営が分かれて政権を争う形になるようです。

自民党と希望の党、それぞれの公約に細かい違いはありますが、どちらも保守を標榜しており、どこが違うのか戸惑う人も多いのではないでしょうか。では、旧民進党の左派とされる立憲民主党ばどう違うかと言えば、やはり、わかりにくいと感じている人も多いと思います。

Jagmeet SinghJagmeet Singh

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さて、日本の政局は、大きく分けて3陣営による三つ巴の形相を呈していますが、以前から3大政党による政権争いが続いてきたのが、カナダです。中道右派・保守主義の進歩保守党、中道左派・リベラルの自由党、中道左派・社会民主主義の新民主党の3党です。

このうち、第3党の新民主党(NDP)の党首選が行われ、新しく、Jagmeet Singh (ジャグミート・シン)氏が今月1日に就任しました。同氏は、両親がインド出身のインド系カナダ人の38歳、オンタリオ州議会議員で、政界入りする前は弁護士でした。

Jagmeet SinghJagmeet Singh

カナダの3大政党の党首が、白人以外になるのは史上初めてのことだそうです。また、頭に巻くカラフルなターバンと長いヒゲが印象的なシン氏はシーク教徒です。その点も議論を呼んだようですが、党首選では幅広い支持を集め、いろいろな面で異色の国政政党の党首が誕生したことになります。

このシン氏、実は大の自転車好きなのだそうです。そして、カナダの都市や各地域に自転車インフラを整備し、安全性や交通の利便性を向上させる、全国的な自転車戦略が必要だと考えています。ふだんから自転車に乗る彼は、公共交通機関を充実させ、アクセシビリティを向上させるべきとの立場です。

Jagmeet SinghJagmeet Singh

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もちろん、国政政党としての新民主党の党首ですから、より優先順位の高い政策がいろいろあります。しかし、持続可能な社会を構築するための環境負荷の低減、温暖化ガス削減、省エネ、再生可能エネルギーの推進といった政策の中には、自転車の活用、自転車インフラの充実といった政策も含まれてくるでしょう。

彼は、フォールディングバイクとして有名なモールトンを愛用しており、カナダ各地を訪れるたびに、そのモールトンを携行し各地を走っているそうです。もちろん、趣味でサイクリングするわけですが、各地の自転車インフラをチェックするという意味合いもあります。

Jagmeet SinghJagmeet Singh

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そして、出かけた先では地元のサイクリストグループと交流し、自転車インフラについて意見を聞いたりすると言います。第三党とは言え、国政政党の党首になるような政治家ですが、各地の自転車乗りと一緒に走り、気さくに会話を交わし、気軽に写真撮影に応じる親しみやすい人物のようです。

日本でも、選挙の時だけ自転車に乗る候補がいます。選挙カーではなく自転車だと、支持を集めるために走り回って、汗をかいている姿がアピールすると考えるのでしょう。しかし、単なる選挙用の方策に過ぎず、ふだんから乗り慣れていないのは、見ればすぐわかります。

Jagmeet SinghJagmeet Singh

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そして、一旦選挙に通ってしまえば、黒塗りのクルマの後部座席に座ることになるでしょう。それが悪いと言うわけではありませんが、党首選に出るような政治家でありながら、ふだんから、各地のサイクリストと自転車に乗るシン氏とは、明らかに違うと感じざるを得ません。

環境負荷の低減などを主張する政治家は日本にもいます。セキュリティーの問題などもありますから、政治家に自転車に乗れなどと言うつもりはありません。燃費が格段に悪い大型のクルマに乗るのも仕方ないでしょう。ただ、シン氏の場合は、言行一致しているところが、広く好感を持たれているようです。

Jagmeet SinghJagmeet Singh

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「不都合な真実」で知られる、アメリカの元副大統領、アル・ゴア氏は、温暖化ガス削減を声高に唱えていました。ところが、自身の邸宅は年間3百万円もの電力を浪費する大豪邸、一族は石油会社のオーナーで、自身も産油国から巨額の利権を得たことが明らかになり、多くの人から非難されたのは記憶に新しいところです。

シン氏のツイッターなどを見ても、以前から各地で市民と自転車に乗っている様子がわかります。おそらく純粋に自転車好きということなのでしょう。自転車インフラの整備戦略は、必ずしも優先順位が高い政策とは言えませんし、選挙対策とか、ポーズではなさそうです。

Jagmeet SinghJagmeet Singh

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政治信条にもまして、その人柄が有権者にも伝わっているようです。非白人で初の3大政党党首、インド系で、頭にターバンを巻いたシーク教徒という、カナダ政界では異質な政治家でありながら広い支持を集め、大方の予想を覆して、一回で過半数を獲得して党首選に勝利した一因は、そのあたりにもあるのでしょう。

もちろん、自転車好きの政治家が信頼できるなどと言うつもりはありません。ただ、セキュリティーなどの問題もある中、市民に混じって気さくに自転車に乗るシン氏に親近感がわくのは確かです。そんな人物が、エコや省エネ、グリーン政策を語るのは、説得力があります。

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日本では、いわゆる無党派の人の割合も高く、選挙で誰に投票するか迷う人も多いと思います。重視する争点、政策に大きな違いがなく、決め手に欠ける場合もあるでしょう。そんな時はSNSなどで、候補者の普段の顔、生活スタイル、趣味といった部分に注目してみるのもいいかも知れません。




衆議院議員選挙は10日公示、22日投開票です。どこに投票するかはともかく、棄権だけは避けたいものです。

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