October 11, 2017

日本にもスタンダードが必要

デンマークは自転車先進国です。


例えば、その首都コペンハーゲンに住む人の36%が自転車で通勤または通学し、45%が日常的に自転車に乗ります。ほとんど全ての大通りには自転車専用レーンが整備され、その総延長は3千キロにも及びます。人口112万の都市に3千キロですから、相当な充実度です。

市民のほとんど誰もが自転車を所有しています。クルマに対する税金が高いので、多くの人が自転車を当たり前のように交通手段として使っています。大通りに整備された自転車レーンは、その面積の半分近くを占めます。道路の補修を行うたびに、自転車レーンや駐輪スペースの確保を優先させてきたのです。

国土は平坦で自転車に乗るには持って来いです。ただ、街中にも小型の風力発電機が設置されているくらいですから風は弱くありません。もちろん雨も降ります。それでもデンマークでは、1970年代からクルマを減らし、自転車の利用を促す政策をとってきました。

雨天でも、当然のように雨合羽を着て自転車に乗ります。北欧ですから雪が降る時もあります。雪が積っても、行政によって除雪された自転車レーンを通って自転車で通勤します。晴れた時、都合のいい時だけ乗るのではなく、交通手段であり、自転車は生活の一部です。

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さて、そんなデンマークで、その生活スタイルに適したカーゴバイクというコンセプトの自転車が提案されています。もちろん、今でもカーゴバイクを使っている人はいますが、デンマークでの生活に密着した運搬手段として、新たなカーゴバイクを提案しようというのです。

Sanitov”というデザインスタジオが提案する、“movE”というカーゴバイクです。7年の歳月をかけて開発されました。そのスタイルは、後ろ2輪のトライクで、拍子抜けするほどオーソドックスな形です。特に斬新ということはなく、きわめてありふれたデザインとなっています。

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電動アシスト機構が採用され、最高で時速25キロまでアシストされ、最大積載量は200kgとなっています。自転車先進国のデンマークで提案されるわりには、驚くほどシンプルで、オーソドックスです。しかし、生活に密着したスタンダードをと考えると、むしろ、こうなるのでしょう。

後方に荷台を配置したほうが、乗りやすいという考え方です。リヤカーのような、きわめてオーソドックスな荷台ですが、これこそ、汎用性を高めるために必要なスタイルということなのでしょう。普通に荷物を載せる以外に、オプションを取り付けることも出来ます。

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チャイルドシートを取り付けたり、場合によっては大人も乗せられます。フタ付きのボックスを取り付けたり、トラックのような幌にすることも可能です。必要であれば、屋台を取り付けて食品販売なども出来ます。いろいろと応用がきく荷台となっています。

今どきの機能としてGPSトラッカーを搭載することも可能です。盗難に遭った際に追跡できるだけでなく、日常の走行記録をとることが出来ます。走行ルートや速度などのデータをとることで、ビジネスの分析などに役立てることを想定しています。

現在、クラウドファンディングサイトでキャンペーンを展開しており、すでに目標の19万デンマーククローネを超えています。最小の構成で一台1万1千クローネ強、約1千8百米ドル程度とカーゴバイクとしてはリーズナブルな価格となっています。

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ところで、日本で標準的な自転車と言うと、ママチャリということになります。良し悪しは別として、文句なく圧倒的に普及している事実があります。しかし日本にも、そろそろカーゴバイクの標準型が登場してもいいのではないでしょうか。移動用のママチャリとは別に、運搬用のスタンダードがあってもいいはずです。

もちろん、デンマークとは法令も、自転車走行環境も、使い方も違います。日本用のカーゴバイクは、また違った形になってくるかも知れません。歩道通行を考慮するなら、法令上の普通自転車の範囲内に収めるなど制約がありますし、保管や駐輪など、普及させるためには、壁も多々あると思います。

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しかし、日本の今の標準的な子供乗せ自転車では、子供の落下事故が相次いでいます。カーゴバイクなら安定するので、ハンドルが回ってしまったり、目を離したすきに自転車が倒れるなどして、子供が落下することは防げます。走行も安定しますし、より安全性が高まるでしょう。

買い物帰りに、前カゴと荷台に荷物を満載し、ふらつきながら走行している人も見ます。ママチャリは汎用性が高いとは言え、やはり多くの荷物を運ぶのには向いていません。カーゴバイクなら、お米や飲料など重い荷物から、ホームセンターで買うような、かさばる荷物も運べて便利なはずです。

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駅前商店街が衰退し、郊外型のスーパーが中心になりましたが、そのスーパーも通販などに押され、撤退が増えています。大都市の近郊などでも、いわゆる買い物難民が増えています。カーゴバイクがあれば、多少遠くても、そして多くの、大きな荷物も運べるため、買い物に困っている人にも救いとなるでしょう。

昨今は、高齢者によるクルマの事故が増えています。しかし、免許を返上したら、生活のアシがなくなってしまうという人も少なくありません。そんな場合にも、カーゴバイクで代用できる可能性があります。運動にもなるので、健康増進にも貢献するかも知れません。

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最近は、物流業界の人手不足が深刻化しています。カーゴバイクが一般的になれば、料金によっては、集配拠点まで荷物を取りに行く人も出て来るでしょう。いわゆるラストワンマイルを埋める形となり、宅配便のドライバー不足の緩和に役立つ可能性もあります。

日本でも、一部でウーバーイーツなどのサービスが始まっています。一般の人が配達を代行するものですが、今後、日本でもこれが広がっていくならば、カーゴバイクは、その手段として大いに活躍するに違いありません。今使われている、「つづら」のようなリュックを背負うよりラクかも知れません。

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普通の自転車に2人乗りするのは違反です。しかし、サドルやイスなどの乗車装置が人数分備わったものであれば、その人数だけ乗れます。介護、足が悪い人の送迎、怪我の通院といった目的で、大人を乗せて運ぶ手段が出来れば便利になるという人もあるに違いありません。

商売や営業などで自転車を使っている人も多いはずです。これまでは、普通の自転車に箱などを取り付けていた人が、カーゴバイクを利用出来れば便利になるケースもあると思います。近所への配達や、ちょっとした荷物の運搬など、その使用範囲は小さくないでしょう。

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ペットも高齢化していますから、足腰の弱くなった犬を乗せて、散歩に行きたいという人も増えているようです。そんな用途も、カーゴバイクなら便利です。そのほか、挙げればキリがありません。今まで無かったので気がつきませんが、カーゴバイクがあれば、いろいろなシーンで活躍するに違いありません。

日本では、格安のママチャリが市場を席捲しているため、自転車メーカーとしては魅力が薄いのではと考える人もあるでしょう。しかし、日本の自転車市場は大きく、しかも電動アシスト自転車の市場は年々拡大の一途です。外資系のメーカーや部品製造会社などは、非常に有望な市場と見ています。



今、これだけ普及していないのですから、カーゴバイクの普及が簡単でないであろうことは認めます。いろいろ障壁があるでしょう。しかし、それは魅力的で実用的、運搬という新しい自転車の用途を提案する、日本向けのカーゴバイクのスタンダードが無いからではないでしょうか。

なんと言っても、これだけ多くの人が自転車を日常的に使っているのです。そのうちの何割かでも、カーゴバイクに乗り換えたら、無視できない規模の市場になるはずです。自転車メーカーや、その関係者の方がどう考えるかはわかりませんが、私には、眠っているニーズがあるように思えてなりません。




また悪質なデータ改ざんと隠ぺいが発覚しました。販売先は多く、安全面などの影響は広範囲に広がりそうです。日本企業の信用も失墜させます。組織ぐるみで長年不正を続けてきた、神戸製鋼は断罪されるべきでしょう。

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この記事へのコメント
国内ではカーゴバイクの認知はほぼ自転車フリークの範囲に留まっているのではと感じました。
普及には例えば手信号の様に走行していて時折光景を目にする様な形で、
その存在を少しずつ認知していくといった方向性が手頃ではと考えます。

ただ、後付けの電動アシストユニットの様に、自転車の車両法の壁は依然として厚さが残っている背景を見ていくと、
自転車として認められている、長さ190cm幅60cm以内のサイズのカーゴバイクならば、おそらくはそのまま走行できそうなのではないでしょうか。
具体的にはベースとしては3輪自転車から少し設計を見なおした形でまずは街に走行している風景を実現させた上でから、
本来の機能を発揮できるサイズのカーゴバイクとその利用方法を題として挙げ、

例えば、近年ネット通販の拡大で輸送運賃の値上げと輸送の負荷の軽減と効率化の背景から、
コンビニや最寄りの営業所などで専用のロッカーで受け取りという流れもあることから、
カーゴバイクでその場所まで向かって受け取るなど、といった形で

議論のテーブルに乗せるきっかけを作るといった流れが比較的スムーズなのではないでしょうか。
Posted by 走りすがりのママチャリ乗り at October 12, 2017 12:43
こんにちは。
いつも楽しく拝見しております。
先日、ふとした事からとある通販のサイトで恐らく国内製造と思われる電動3輪タイプのカーゴバイクを見つけました。
ご存知かもしれませんがその名は「三輪駆動静香」と言いまして筑水キャニコムという福岡県のメーカーが作っています。通販サイトでの販売価格は税別358,800円もしますのでなかなか一般の人が手を出せるものでは無いです。(元々が産業用の運搬車を手掛けているみたいなので・・・)
それに比べてこちらで紹介されている物は
>約1千8百米ドル程度
10/13日現在1ドル112.17円で換算すると約202,000円なので日本国内での大人が乗る電動アシスト付き3輪自転車の価格に相応するのでこちらで有れば手が出しやすい様に思います。

とは言え、それだけ需要が見込めるから生産規模も大きく出来るのでしょうからまだまだ国内でカーゴバイクの有用性が一般的にならないと価格面でのメリットは出にくい環境に思えます。

「3輪駆動静香」
それにしても命名の仕方が余りにも名付け親?の年代を感じさせ実に愉快です。(余談ですがその他「草刈り機MASAO」とか「代表取締役社長 芝耕作」とか思わず吹いてしまいそうなユニークな名機がラインナップされています)
Posted by 群馬のつよぽん at October 13, 2017 11:46
走りすがりのママチャリ乗りさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
たしかに、認知度が低いことが普及の妨げになっている面はあると思います。
法令面の制約もありますが、やはり、自転車の歩道走行の慣習、そして車道上に自転車走行空間が乏しいことが一番の問題となっているのではないでしょうか。
もっと、カーゴバイクの認知度と、それを使った自転車による運搬という面に関心が高まり、社会的な議論が喚起されるようになっていくといいですね。
Posted by cycleroad at October 13, 2017 23:09
群馬のつよぽんさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
このようなカーゴバイクをつくっているメーカーもあるのですね。これは知りませんでした。
おそらく、デフやサスペンションなど、独自の機構を取り入れているぶん、価格が高くなっているのでしょう。
一般的な自転車のパーツを流用すれば、もっと価格は安く出来ると思います。そのへんは、ターゲットや商品のコンセプトの違いから来るのでしょう。
普及価格になることも必要ですが、やはりカーゴバイクが使いにくい道路環境がネックと言えるでしょう。
なるほど、ネーミングもユニークですね。面白い情報をありがとうございました。
Posted by cycleroad at October 13, 2017 23:19
こんにちは
三輪のアシスト付きカーゴバイク、私が気になっているのはヤマハのパスギアカーゴです。(合体すると五輪ですが)
業務用で50万円くらいするようですが、大手メーカー製で宅配大手に導入済
全長・全幅ともの普通自転車の規格を超えていますが国内で運用されていますし、アシスト力の規制緩和も行われるようです。
この車両に関しては従来普通自転車以外の自転車に見て見ぬふりを決め込んでいた行政が存在を認めて動いているところに期待しています。
個人が所有するには厳しいサイズ・価格かもしれませんが、全国的に運用が広がれば個人向けのカーゴバイクの普及にもつながるのではないかと。
Posted by ta_iso at October 15, 2017 07:06
ta_isoさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、宅配向けの業務用のカーゴバイクが、一般に普及するきっかけになる可能性は十分あると思います。
ただ、パスギアカーゴがこのままで、一般へ普及していくのを期待するのは、無理がありそうです。
ヤマハか、どこか他のメーカーでもいいですから、一般向けに、もう少しコンパクトで、多少積載量が小さくても、小回りがきき、扱いやすいモデルを開発してほしいですね。
Posted by cycleroad at October 16, 2017 22:36
 
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