December 01, 2017

三次元での自転車という選択

私たちは、いろいろな方法で移動が出来ます。


自分の足で歩いていく方法もあれば、クルマなどの交通手段を使う方法もあります。内燃機関等のエネルギーを使えばラクに移動できます。そして、その中間にあるのが自転車です。自分の力を使う点では徒歩と変わりませんが、タイヤやギヤなどの仕組みを使うことで、効率よく移動できます。

実際に自転車を使った場合、移動のエネルギー効率はとても高くなります。単位重量を動かすエネルギー量で物理的に比較すると、クルマなどの交通手段を上回るばかりか、自然界のほとんどの動物よりも高効率です。自転車は、人間の筋力を効率よく移動に使える手段なのです。

もちろん、人々はエネルギー効率だけで決めるわけではなく、徒歩、自転車、クルマなどの交通機関を使い分けています。それぞれの利点がありますし、距離や荷物の量などによって選択するでしょう。その日の気分で、今日は自転車で行こうといった選択をするかも知れません。

Vycle

ところで、私たちの移動は水平方向だけではありません。例えば建物の中などでは、日常的に上下にも移動しています。上下方向の移動についても、歩いて階段を上り下りする方法もあれば、エレベーターやエスカレーターなど、動力を使った移動手段を使う方法もあります。

しかし、考えてみると、水平方向の移動には、徒歩と動力の中間に自転車という方法があるのに対し、垂直方向の移動手段には、自転車のような選択肢がありません。このことに気づいて、そこを埋めるもの、垂直方向の自転車的な移動手段があってもいいのではないかと考えた人がいます。

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イギリスはロンドンにある、Royal College of Art(RCA)という国立の美術大学の卒業生で、今は建築家をしている、Elena Larriba さんです。そこで、この階段とエレベーターの中間に位置すべき乗り物、垂直移動システムとして、“Vycle”をデザインしました。

エレベーターやエスカレーターは便利ですし、ラクです。ふだん当たり前のように使っています。しかし相応の電力を必要とします。一方、階段は移動に外部のエネルギーは必要としませんが、階が多くなると疲れてたいへんですし、建物の設計的観点からすると、必要なスペースが大きいという欠点もあります。

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Vycle”は、その中間、まさに水平方向における自転車と同じような位置付けになります。エレベーターと違って電力は必要ありません。一方、自転車のフレーム分くらいの広さのシャフトがあれば設置できるので、建物内の省スペースになります。徒歩で上がるよりも体力の消耗は小さくて済みます。

この“Vycle”は、エレベーターや階段を置き換えようというものではありません。水平方向の自転車と一緒で、一つの選択肢として、あってもいいのではないかというスタンスです。現状はプロトタイプに過ぎず、実用段階に向けては、まだ課題も残されています。



自転車は水平方向に移動する時、車輪という優れた発明のおかげで、慣性の法則で効率よく移動できます。垂直方向に上る場合、この利点が働かない分は不利でしょう。しかし、“Vycle”本体の重さを持ち上げる力は、滑車やオモリを使うことで相殺することが出来ます。

エレベーターはモーターで動きますが、この滑車とオモリの仕組みを使うことで、エレベーターの箱の重さを相殺し、エネルギー、使用電力を節約しています。同じような仕組みを“Vycle”に取り付ければ、脚力だけでもラクに上れるように出来るわけです。ギヤを使えばスピードも調整出来ます。

Vycle

Vycle

ほぼ自転車一台分くらいのスペースが垂直方向に連続するシャフトがあれば、設置可能です。実際問題として、ふだんあまり利用されることのない階段もありますが、その占める空間を節約できる可能性もあります。そのぶん、フロアのスペースを増やすことが出来るわけです。

スペースだけで言えば、「はしご」も省スペースですが、上りにくい上に、足を踏み外したりする危険もあります。“Vycle”は、階段を降りる際、体重がかかることによるヒザ痛なども防げます。高齢者などにも、より使いやすいでしょう。

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他の手段と併設されれば、運動不足の解消や健康増進のため、建物の上方方向の移動に、あえて“Vycle”を利用する人も出て来るでしょう。水平方向の自転車と同じです。場合によっては、建設時、建物の外側の足場に取り付け、作業員の移動に使うようなことも考えられるかも知れません。

垂直方向に移動するための自転車とは、なかなかユニークな発想です。言われてみれば、たしかにスッポリ抜けていた部分と言えるかも知れません。Elena Larriba さんも、すぐに今後の建物に採用されるとは思っていませんが、特許を取得し、将来的なアイディアの一つとして捉えているようです。



間違ってもギヤが脱落して落下しないなど、安全面をはじめ、まだまだ研究や改良が必要なことは、Larriba さんも認めています。実用性や安全性が確保されれば、例えば建物の外壁に沿って昇降させることも考えられます。眺望などと相まって、人気が出るかも知れません。

ビルの災害対策になる可能性もあるでしょう。大地震などで電気の供給が途絶えた場合、当面はバッテリーや非常用電源があるとは言え、長引くとエレベーターは使えないことが想定されます。実際に震災で、高層マンションの上層階に住む人は、徒歩での昇降には限界があり、食料調達が困難となったケースもあったようです。

Vycle



電動アシストを使うことも考えられます。“Vycle”の効率が上がれば、案外、実用的な昇降装置になるかも知れません。荷物を載せても昇降出来るでしょうし、災害時の非常昇降手段として採用されないとも限りません。フィットネスの一つとして人気が出る可能性もありそうです。

将来、都市に高層ビルが林立すれば、そのビル間を上空で結ぶ移動手段として、ビルの間をモノレールのような軌道に沿って移動する自転車が出てきても不思議ではありません。そのような構想を掲げている人もいます。未来の生活では、自転車でも三次元的に移動するようになるのかも知れません。




北朝鮮がまたミサイルを発射しました。新型と目され、危機レベルが一段上がったであろうことが懸念されます。

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