December 16, 2017

革新するもの淘汰されるもの

技術革新で、私たちの暮らしは変わっていきます。


今どきなら、AIやロボット、IoT、フィンテック、自動運転といった言葉を聞かない日はないくらいです。世界的な研究開発競争が行われていますが、こうした新しい技術を使った製品やサービスが登場し、私たちの生活をより快適に、より安全に、より豊かにしてくれることになるでしょう。

Mirage ARASクルマは将来、自動運転になると言われています。半導体技術やセンサー、通信技術、AIなどが飛躍的に進歩することによって、さらに開発競争に拍車がかかっています。スマホなどが爆発的に普及し、半導体チップやセンサーなどが量産され、安くなったことも背景にあります。

こうした個々の技術はクルマの自動運転だけでなく、いろいろな製品にも使われていくでしょう。最近はAIスピーカーが次々と発売されていますが、各種のロボットとか、次世代のモバイル端末、新しい家電など、これまでになかったものも続々登場して来るに違いありません。

既存の製品も、これまでにない進化を遂げるかも知れません。そして、そこには自転車も含まれる可能性があります。新しい技術によって、従来の自転車の概念を一変させるような製品が登場する可能性は否定できません。実際に、それを目指す動きが出てきています。

フランスを拠点とする VeliSo 社は、世界で一番安全な自転車、“V-1 e-Assist Bike”を開発しています。そのプロトタイプには各種センサーや部品の制御装置、そしてそれらを制御するCCU、中央制御ユニットが搭載されており、それぞれ接続されています。

Mirage ARAS

これらを合わせて、ARAS(Advanced Rider Assistance System)と呼んでいます。ライダーの不注意や反応遅れ、ミスなどによる事故を防ぐため、サポートしてくれるシステムです。このシステムは、走行中の自転車のスピードや挙動からタイヤの空気圧までモニターしています。

さらに、カメラシステム、赤外線センサー、レーダーユニット、超音波ユニットなどが搭載され、自転車の周囲を360度監視します。衝突の危険を検知すると、ハンドルとサドルを振動させて注意を喚起し、ライダーが自発的に減速しないと、自動的にブレーキがかかるというシステムです。

Mirage ARASMirage ARAS

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最近のクルマに搭載される自動ブレーキに近い感じでしょうか。さらに、クラウド上の人工知能・AIとデータをやり取りし、機械学習によって、より賢くなっていきます。データが蓄積すればするほど、システムの性能が上がり、より効果的に危険を回避出来るようになると言います。

ただ、回避のために時間があるとは限りません。よそ見をしていて、何か振動したなと思った途端、有無を言わさずブレーキがかかるかも知れません。ブレーキはアンチロックになっており、後輪が先、前輪が後からブレーキがかかります。前につんのめって前転してしまう、いわゆるジャックナイフを防ぐよう配慮されています。

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たしかに自転車で走っていて、衝突の危険が迫ることもあるでしょう。それに気づかなかった場合でも安心というシステムです。クルマには搭載されつつある技術ですので、それほど驚くようなアイディアではありませんが、自転車にもそこまで搭載するか、という感想を持つ方も多いのではないでしょうか。

VeliSo 社は、将来的に全ての自転車に搭載されることをめざしています。実際に試乗してみないとわかりませんが、果たしてどうなのでしょう。自転車の事故を防ぐ、安全にするというコンセプトはいいと思いますが、自動ブレーキの有効性という点についてし若干の疑問、懸念を感じるのは私だけでしょうか。

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いくらジャックナイフを防止し、アンチロックだとは言え、予期しないところで突然ブレーキがかかれば、身体に相応の力がかかる場合もあるでしょう。クルマと違ってシートベルトはないですから、姿勢を保てず落車したり、自転車ごとスリップして転倒したり、ムチ打ちになったりしそうな気がしないでもありません。

それでも、今後、考えられる進化の方向と言えば、そうなのかも知れません。しかし、誰が見ても、なるほどこれは便利だ、これは安全になってありがたい、と諸手を挙げて賛成できる進化かと問われれば、首をかしげざるを得ません。個人的には少し違うような気がします。

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たしかに、これが想定通り作動するのであれば、事故を防いでくれるでしょう。でも、ブレーキをかけないと事故になるのに、かけない場面というのが起きない限り、宝の持ち腐れです。もちろん、イザという時のためですが、滅多に作動しないのに、相応の重さやコストを容認するかという判断は分かれるでしょう。

昔の自転車は、全く人力だけの純粋な機械でしたが、最近は電動アシストだったり、電動コンポだったり、サイコンが進化したり、ナビが出来たり、ライト類が進歩したり、電動化、電子化する部分が増えています。電子部品によるメリットは確かにありますし、部分的な電子化を必ずしも否定するものではありません。

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ただ、やっぱり自転車は道具、工学的な器具であり、あまりに電子的な機構には違和感を感じる人も多いのではないでしょうか。たしかに人間のミスにより事故になることもありますが、あまりに過保護なシステムは余計な贅肉を増やすようで、シンプルな自転車とは相容れない感じもします。

ラクをしたければ、オートバイなり、モペットなり、電動アシストなりに乗る人もいるでしょう。うっかりミスをしても安全ならと、この“ARAS”を支持する人もあると思います。ただ、いろいろな二輪が開発される一方で、シンプルな人力オンリーの自転車は残るでしょうし、それを選ぶ人も少なくないと思います。



ハイテクで安全性を高めるのは当然考えられる進化でしょう。頑固に昔ながらの自転車の概念に囚われるものでもありません。しかし、このような進化は、一つの枝分かれとしてはありえても、将来的に、全ての自転車に自動ブレーキが搭載されるようにはならない気がします。

現在、VeliSo 社はクラウドファンディングサイトで開発のための資金調達を行っています。期限まで24日を残した段階で賛同者は2人、50万ドルの目標に対し、676ドルにとどまっています。今のところ、サイクリストに、あまり支持は広がっていないようです。

技術革新により、さまざまな開発や試行錯誤が行われ、新しいコンセプトが提起されるのは悪いことではありません。ただ、なんでも自動化、電子化すればいいとは限りません。新しい製品やサービスが続々と誕生していく一方で、世の中に受け入れられず、消えていくものもまた多いような気がします。




東名高速での逆走による正面衝突事故、ブレーキ痕がなく、故意の可能性が疑われていますが怖い話です。

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