May 09, 2018

夢や贅沢ではなく新しい交通

未来の都市の景色はどのように変わるのでしょうか。


建築の分野でも技術は大きく進歩しています。きっと、今まで見たことのないような建物が建設されて、今とは違った風景が出現するのでしょう。江戸時代の江戸と今の東京とは比べるべくもなく、戦後からでも大きく変わりました。今後、さらに急速に変化していっても不思議ではありません。

最先端の未来の建築を専門とする国際的な建築家、Richard Moreta さんのサイトを見ると、いかにも未来的なデザインの建物や構造物が並んでいます。都市全体が一体的にデザインされたものや、海上の巨大な人口構造物による都市など、私たちの常識を超えるような景色が出現するのかも知れません。

Richard MoretaRichard Moreta

太陽光パネルを広げた人工衛星が地球を周回し、地上に向けて電力を無線で供給するようになるという予測もあります。海底に都市が建設されるなんて、今はナンセンスな気がしますが、未来の人にとっては当たり前の景色になっていてもおかしくないでしょう。

あくまでパース図なので、独創的で奇抜なデザインが強調されている面はありそうです。ただ、デザインや発想は奇抜に見えますが、空想の世界ではありません。そのベースには現実的な建築技術があります。さらに、サイトには持続可能、サスティナブルな開発ということが書かれています。

Richard MoretaRichard Moreta

例えば、工法や素材技術が進化し、断熱効果が高い建物になっていくでしょう。空調で温度を保つのに必要なエネルギーは小さくなります。さらに、外壁や屋上を使って太陽光発電をし、ビル全体でゼロエミッションとなり、必要な電力を自給する、エコでサスティナブルな建物が普通になっていくものと思われます。

それでは、都市の交通はどのようになっていくのでしょうか。ドローンが飛び回ったり、自動運転のクルマが走るようになるのかも知れません。鉄道も進化していくでしょう。ここで興味深いのは、同サイトで、“MINILOOP”という構造物が提案されていることです。

Richard Moreta

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これは高架を走るチューブ状の構造物で、その中を自転車が走ります。言ってみれば、未来の自転車道です。自転車専用なので、クルマや歩行者はいません。高架なので交差点もなく、信号もありません。高速で快適に走行できる夢の自転車専用道路です。

チューブ状ですから雨にも濡れず、横風の影響もありません。そればかりか、チューブ内に送風し、追い風の中を走行できるようにする構想もあります。自前の自転車で走行する人用だけでなく、電動アシスト自転車をレンタルすることも考えられます。

Richard Moreta

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技術的には、現在でも十分に建設可能でしょう。ただ、わざわざ自転車のための高架専用道路が建設される可能性という意味では、夢の自転車道ということになりそうです。今でも、ごく一部には自転車専用の高架橋もありますが、チューブ状で高規格な自転車の高速道路のようなものは実現していません。

自転車レーンの整備に力を入れる都市は世界的にも増えていますが、当然ながら既存の地上の道路に設置されています。道路幅に余裕がある場所では、物理的にセパレートされた安全性の高いものも設置され始めていますし、一部では、クルマ用のレーンを減らして自転車用にするところもあります。

Richard Moreta

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しかし、既存の地上の道路を区分けするのと、高架でチューブ状の専用道路を設置するのでは、建設費用が違いすぎます。チューブ状の高架専用道路なんて夢のまた夢、ナンセンスだと笑う人も多いに違いありません。そう考えるのは自然だと思いますが、果たして本当にそうでしょうか。

未来の鉄道として、日本ではリニアモーターカーの建設に入っています。アメリカではハイパーループなどの構想も発表されています。建設コストが高すぎ、実用性に疑問が呈されているものの、チューブ状の専用軌道を建設して、その中をカプセル状の車両を高速で移動させるものです。

Photo by Saruno Hirobano,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.Photo by 	Camilo Sanchez,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.

そうした遠距離を結ぶ次世代の高速輸送システムとは別に、近距離や近郊と都市を結ぶような都市交通も進化して行くことになるでしょう。現在もあるようなモノレールや新都市交通システムが発展していく形でしょうか。もちろん、それもあると思います。

建物がエネルギーを自給自足するようなサスティナブルなものに進化するとしたら、都市交通はどのようなものが考えられるでしょうか。いろいろな技術が考えられるのでしょうが、私は個人的には、Moreta さんの示すような“MINILOOP”も一つの候補ではないかと思うのです。

Richard Moreta

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つまり、線路あるいは軌道に、電車ではなく自転車を走らせるという考え方です。電車ではなく自転車用ならば高架の線路よりコンパクト、低コストで建設できます。自転車を走らせるのであれば、電力はほとんど不要です。エネルギーを自給自足するサスティナブルな都市交通となります。

チューブの上側に太陽光パネルをかぶせて発電・蓄電すれば、夜間の照明や送風に使っても充分足りるでしょう。もちろん、走行するのに自転車に乗る人それぞれの体力を使うことになるわけですが、化石燃料や外部電力は使わなくて済みます。エコでサスティナブルな都市交通です。

Richard Moreta

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客が自走する鉄道のようなものです。運転士も車掌も駅員もいないので人件費もほとんど不要です。時刻表もなければ、待ち時間もありません。終電もなく、いつでも使えます。路面の補修などは必要ですが、電車の車両などの初期投資も必要ありません。ランニングコストは限りなく小さくなるはずです。

あまり長距離の移動は無理だとしても、都市の中や、近郊との間であれば、充分走行可能です。地上を自転車通勤することを考えれば、信号もなく非常に快適なものになるはずです。そう考えると、決して夢やナンセンスではなく、次世代の交通システムとして充分考えられるのではないでしょうか。

Richard Moreta



自転車レーンの豪華版と考えれば贅沢ということになるでしょう。しかし、自転車を都市交通として使い、速くて安全かつ快適に走行させるためのインフラと考えれば、充分に現実的でしょう。“MINILOOP”のような高架道路を新交通システムととらえれば、見方が変わってくるはずです。

これは、決して私の妄想ではありません。少し前に取り上げましたが、ドイツ車メーカーのBMWがクルマメーカーにもかかわらず、自転車用の高架道路網の構想を発表しています。“BMW Vision E3 Way”というもので、これはクルマの開発ではなく、インフラとしての道路システムのコンセプトです。

Richard Moreta

自転車専用高架道路という構想は、決して珍しいものではありません。他の同様の構想についても、これまでいくつか取り上げています。実は、この、Moreta さんの“MINILOOP”のパース図の一部は、以前にも取り上げたことがあります。その時は、“BICI-METRO”という名前でした。

それが、“MINILOOP”に変わって、パース図もグレードアップしています。Moreta さんは相変わらず、このような構想を支持しているわけです。未来なのに自転車と言うと、なにか時代を逆行するかのようなイメージがありますが、むしろ未来のサスティナブルな都市交通の形は、自転車の活用にあると考えているのでしょう。

Richard Moreta

未来の乗り物なのに、自分でペダルをこぐのかと疑問を呈する人もあるでしょう。でも、通勤で疲れたくないと考える人でも、トレーニングジムでエアロバイクを漕いだりしています。それを考えれば、通勤で自転車をこげば一石二鳥、ジムに行く時間を節約できることになります。

朝から汗をかきたくないと言うかも知れません。しかし、満員電車で押されて汗をかくより、よっぽど健康的です。ラクをしたければ、電動アシスト自転車や電動自転車もあります。追い風に押されて自転車をこぐのは、むしろ気持ちいいでしょうし、何より運動不足を解消して健康増進になるのは間違いありません。

Richard Moreta

もちろん、全て自転車にしろなどと言うつもりはありません。クルマや既存の電車、バスなどを選ぶ人もあるでしょう。でも、今は自転車でなんか通勤したくないと思っていても、専用高架道路で信号もなく、安全快適、雨も横風も関係ないとなれば、自転車でもいいかなと考えるようになる人は多いような気がします。

今ある自転車レーンの豪華版と考えるとナンセンスですが、高架専用道路を使った新しい都市交通システムと考えれば、充分に可能性があるのではないでしょうか。ぜひ未来に、出来れば近い将来、“MINILOOP”のような構造物が都市の中を行きかう景色を見たいものです。




金正恩委員長が中国を再訪、ポンペオ米国務長官の再訪朝など活発化する駆け引きの行方が気になります。

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