July 17, 2018

自転車で主張するアーチスト

自転車にはさまざまな使い方があります。


ほとんどの人は自転車を移動手段として使うでしょう。カーゴバイクなどで輸送手段として使う人もいます。運動やスポーツとして乗る人、レースをする人、ポタリングや旅行に使う人もあります。室内保管のついでに、部屋のインテリアのように飾っている人もいるかも知れません。

もちろん、商売道具として使う人もいますし、アドトラックの自転車版として宣伝広告に使う人もあります。変わったところでは、道路にメッセージを描くためのプリンターとして使ったり、Wi-Fiの移動基地局として使うといった特殊な用途に用いるケースもあります。

Victor Sonna

中には、自転車をアート作品の素材として使う人もいます。たくさんの自転車を使ってモニュメントを作ってみたり、部品を加工してアート作品にしたりと、これまでにもいろいろな自転車アーティストを取り上げてきました。今回登場するオランダ人アーティスト、Victor Sonna さんもその一人です。

Victor Sonna さんは自転車そのものをアートにします。使うのは主に金属の廃材です。それをたくさん組み合わせてフレームを作り、一台の自転車に作り上げます。特徴は、アート作品であると同時に、自転車として乗ることも可能というところでしょうか。

Victor Sonna

彼はこの自転車アートを“FUTURE NOSTALGIA”と名付けています。彼の自転車に対する考え方、人生の哲学が作品の底流に流れています。Sonna さんは、『自転車に乗ることで人間は楽観的になれるが、自分でその推進力を生み出さなければならない。』と話します。

『結局のところ、私たちの社会は、私たちが創り出すものだけではなく、破壊しようとするものによっても定義されます。自転車に乗って街の中に線を引く、走行軌跡が描く線は、直線でも直角でもありません。人々は、肉体的にも精神的にもそれぞれ個性的な形で移動するのです。』

Victor Sonna

『蛇行するその軌跡は、全くもって滑らかとは限りません。私たちは、その生活の中で、ダメージや失敗、障害を小さくしようとする傾向にますます傾いています。私はこうした欠点や失敗を、正式な形で、私の作品の中に構造的に残すつもりです。』

『ここで言及したようなことが、現代アートを生み出す源流となり、歪んだり蛇行したりして、華麗な作品を生み出しています。どこにも滑らかな乗り物はないのです。』と説明しています。少し哲学的でわかりにくいですが、彼の思いが作品に投影されているのでしょう。

Victor Sonna

Victor Sonna

Victor Sonna

Victor Sonna

それぞれの作品には、モチーフとなる、あるいはインスピレーションの元となった絵画があったりもするようです。Victor Sonna さんは、自転車先進国として名高いオランダのアーティストであるという点も、興味深いところと言えるのではないでしょうか。

彼は、カーゴバイクに乗って、廃材の集積所や自転車の捨て場に行き、古くて錆びた金属部品をアトリエに運んできます。そして金属を溶接して作品を生み出します。あえて錆びたパーツを使うのも、大量生産する一方で大量に廃棄する現代文明へのアンチテーゼなのかも知れません。





一般的にスポーツバイクのフレームはシンプルで、機能的であり、美しいと感じる人も多いと思います。しかし、Sonna さんに言わせれば、そんな人工的で無機質なフォルムは現実ではなく、人生と一緒で、もっと複雑に歪んでいて、無駄や間違いも多く、混沌としたものだと言いたいのでしょう。

考えてみれば、自転車のフレームはダイヤモンドフレームだったり、U字型だったり、決まったパターンがほとんどです。大枠は同じで、わずかな違いしかありません。ここまで混沌とした造形である必要はないにせよ、そこにもっと多様性があったり、主張があったりしてもいいのかも知れません。




この猛暑の中、被災された方々や災害からの復旧に携わる人たちのご苦労を思うと胸が痛み頭が下がります。

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