July 20, 2018

自転車が大きく変わる可能性

自転車に乗っていると厄介なことも起きます。


一般的にはパンクが多いと思いますが、チェーンまわりのトラブルというのも多いのではないでしょうか。チェーンが外れてしまい、油で手を真っ黒にしながら直した経験のある人は多いはずです。自転車のメカニカルな部分で、一番トラブルになりやすい箇所かも知れません。

日頃からきちんとメンテナンスをして、伸びなどもチェックしていれば防げるトラブルも多いわけですが、外れだり、切れたり、異音がしたり、上手く変速しなくなったり、衣服を巻き込んだりなど、いろいろなトラブルの元になります。厄介ですが、自転車に乗る以上、チェーンと付き合わざるを得ません。

そんなチェーンの煩わしさから、人々を解放しようという試みは、昔から行われてきました。メジャーなのはベルトドライブでしょうか。ベルトドライブは構造的な短所もありますが、チェーンと違って注油の必要がありません。少なくとも油で手を真っ黒にしなくて済み、メンテナンスはラクです。

Photo by Jeff dean,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.シャフトドライブ

もう一つは、シャフトドライブでしょう。日本製のママチャリの一部にもシャフトドライブを採用した製品があります。チェーンにまつわるトラブルがない一方で、いろいろと弱点もあるため、なかなか動力の伝達機構の主流となって、チェーンを駆逐するまでには至っていません。

さて、先ごろドイツで行われた自転車の展示会、“EUROBIKE”で、また新たなシャフトドライブ機構が発表されました。ceramicspeed 社が発表したコンセプトモデル、“Driven”です。まだプロトタイプではありますが、新しいシャフトドライブ機構を提案しています。

DrivenDriven

シャフトドライブは、ギヤを組み合わせて回転の方向を変えるわけですが、この“Driven”では、スプロケットのギヤと噛み合う、シャフトドライブのギヤの歯の部分に、ベアリングが使われているのが特徴です。これによって摩擦抵抗が49%低減され、パワーを効率的に伝えることが出来ると言います。

スプロケット側のギヤも特殊な形をしています。ギヤの歯が13周に並べられており、ベアリング型のギヤを前後方向に移動させることで変速します。ベアリングを使ったことで、ギヤの摩耗が減り、寿命も延びるそうです。この機構は、アメリカ・コロラド大学の機械工学部門と共同で開発されました。

DrivenDriven

これまでシャフトドライブは、チェーンと比べてトルクの伝達効率が劣るとされてきましたが、この“Driven”は、その点が改善されています。また、どうしても機構全体が重くなるのも欠点とされていました。こちらは、従来のシャフトドライブ機構に比べ、軽量化にも成功していると言います。

従来のように密閉型のギヤボックスではなく、特殊な歯ではあるものの、スプロケットと組み合わせて変速するため、多くの段数がとれることも利点でしょう。この新しいシステムは、エントリーした366作品の中から、見事今年の“EUROBIKE大賞”を受賞しています。

DrivenDriven

一般的にシャフトドライブは、チェーン機構と比べて、どうしてもコストが高くなるのも弱点です。まだプロトタイプであり、市販のスケジュールなども決まっていませんが、もし量産化されてリーズナブルな価格が実現できるのであれば、市販のモデルに搭載される可能性も出て来ると思います。

チェーン方式と比べて、ディレイラーやプーリー、チェーンなどの部品が不要になるぶん、トラブルになりにくく、静粛性が高い、注油や清掃などメンテナンスの手間が少ないなどの長所が期待出来ます。もし、これが一般的になれば、何かと厄介なチェーンとおさらば出来るかも知れません。

DrivenDriven

例えばクルマの場合、動力の伝達機構として、とっくにシャフトドライブが当たり前になっています。にもかかわらず、自転車では主流となっていません。一部の採用例を除いて、それほど広く普及していない背景には、いろいろな要因があるのは間違いないでしょう。

価格や重量、変速方式や効率といった点に加え、乗り心地やトラブルの頻度、自分でどの程度、応急処置が可能か、プロのレース用に採用されるかなど、さまざまな要素が関わってくるため、この“Driven”によって、果たしてシャフトドライブが主流となっていくかは見通せません。





自転車は、典型的な成熟した製品であり、なかなか新たな技術革新によって大きく生まれ変わるようなことはありません。基本的な部分は、ずっと変わっていません。ただ、世界中で日夜研究開発を進めている人がいます。もしかしたら、将来の大きな進化に向かって、一歩ずつ近づいているのかも知れません。




参院定数6増法案は自民党の都合そのもの、酷い話です。合区への配慮で比例を増やす必要はないでしょう。

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この記事へのコメント
これ、面白い発想ですね
個人的には自転車の変速機構はフロント側のBBシェルを大径化して内装変速を仕込むのがスペース効率や重量バランスの面で一番良いと思っています
Posted by 乗り物大好き at July 21, 2018 09:39
cycleroadさんおはようございます。
リヤで13速という変速は、少ないようにも感じます。
実質的にはもう少し必要なのでは?と思います。
ハブ内蔵の変速機を組み合わせて20速というのは考えられないでしょうか。
或いは既に投稿されているように、BB側で内装の変速システムにすると、
リアホイールの重量増を押える事が出来そうです。

チェーンが無くなる事を望んでいるの方は多いと思いますが、
システムの更新に伴って、フレーム、ホイール...全てを購入するのは、
安月給のサラリーマンには厳しいですね。
Posted by Fischer at July 23, 2018 09:29
乗り物大好きさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
もうありふれた技術のように思えるシャフトドライブですが、いろいろと工夫すれば出来るものだなという感じです。
まだ、工夫の余地はあるのでしょうね。
Posted by cycleroad at July 23, 2018 20:48
Fischerさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、今より少ないわけで、実用的には13速では少ないですね。ただ、これまでのシャフトドライブ機構の内装ギヤの変速数を考えれば、画期的な変化なのではないでしょうか。
素人考えですが、チェーンリングのほうも、同じ仕組みでギヤを何周か並べるは可能でしょうし、シャフトのほうのギヤをスライドさせて変速することも出来るのではないかと思います。
そうすれば、今と同じような変速数、ギヤ比は実現できると思います。
チェーンがなくなるので、チェーンリングとは呼ばないかも知れませんが(笑)。
仮にシャフトドライブが広く普及するようになるとしても、おそらくレースに採用されたり、市販のモデルに反映されるようになったり、いろいろな段階を経ることになるでしょうから、急に買い替えを迫られることはないのではないかと思います。
Posted by cycleroad at July 23, 2018 21:02
この発想はいいですね。
あとは、安全性の克服が必要ですね。
Posted by たか at August 24, 2018 16:42
たかさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
今後どのように展開されていくのか注目されますね。
Posted by cycleroad at August 24, 2018 20:02
 
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