September 21, 2018

楽して健康という虫のいい話

運動不足や体重の増加が気になる人は多いでしょう。


ダイエットのためや運動不足解消のためなど、健康のことを考えて自転車を使っているという方も多いに違いありません。ただ、健康にいいとは言っても、普段の足として使う程度の運動ならば、それほど健康効果は期待出来ないと思っている人も少なくないと思います。

自転車に乗るのは優れた有酸素運動ではありますが、体重を減らすためには、相応の負荷をかけたり、一定の運動量をこなし、カロリーを消費しなければなりません。消費した以上に食べてしまえば体重は減りません。最寄り駅への往復くらいでは、あまり運動したという実感もわかないでしょう。

ましてや、普通の自転車ではなく電動アシスト自転車ならば、ラクになるぶん、たいした健康増進効果は見込めないというのが、ごく常識的な感覚ではないでしょうか。ラクな電動アシスト自転車を使っているのに、運動してるなんて言うのはおこがましい、といったところかも知れません。

Photo by Herbert Glarner,under the GNU Free License.しかし、必ずしもそうとは限りません。スイスのチューリッヒ、ジュネーブに次ぐ第3の都市・バーゼルに、バーゼル大学という大学があります。心理学者・精神科医として有名なカール・グスタフ・ユングを輩出したスイス最古の大学です。そのバーゼル大学の研究者グループが、興味深い研究結果を発表しています。

電動アシスト自転車に、日常利用のレベルで乗った場合の健康増進効果を調べたところ、なんと普通の自転車と同等か、それ以上の効果が得られると言うのです。特に、太り過ぎの人、ふだん運動していない人には、電動アシスト自転車であっても、健康面の恩恵が大きいことがわかりました。

バーゼル大学の運動・健康学科の研究グループによれば、電動アシスト自転車のダイエットや、トレーニングとしての効果はそれほどではないものの、健康面、とくに心肺機能では、酸素摂取量が向上し、循環器系の診断数値の改善が見られたと言います。

実験の内容を見ると、少なくとも6キロの距離を週に3日以上とありますから、たいした運動量ではありません。減量やトレーニングとしての効果が見込めないのも仕方ありません。しかし、そんな日常レベルの運動量でも健康増進効果が見られ、しかも普通の自転車と同等か、それ以上の健康上の利益があると言うのです。

University of BaselUniversity of Basel

ふだん運動をしておらず、BMIが高めの男性を無作為に選んで、電動アシスト自転車と普通の自転車を使ってもらいました。実験期間は4週間です。この限られた期間で上記のような運動量でありながら、数値には有意な変化が現れ、しかも電動でも普通の自転車と遜色がなかったのです。

6キロ以上の通勤などに週3日使うというだけで、細かい条件は指定されていません。運動習慣のない太めの男性が自由に走行した結果なので、それほど高い運動強度ではありません。ただ、電動アシスト自転車を利用した人のほうがラクな分、平均速度は速い傾向があったようです。

BRIDGESTONEYAMAHA

これは、私たちの一般的なイメージを覆す結果と言えるでしょう。普通の自転車だと坂などがキツイし、電動では、あまり意味がないと敬遠していた人もいるはずです。電動アシスト自転車でも健康効果が見込めるなら、乗ってもいいかなと考える人は少なくないのではないでしょうか。

同大学のスポーツ医学教授、Arno Schmidt-Trucksass 氏は、心肺機能が向上し、心血管系の疾病、脳梗塞や心筋梗塞などによる死亡リスクは臨床的に明らかな程度まで低下すると述べています。さらに、血圧や脂肪代謝など生活習慣病の予防から精神的な健康に至るまで、さまざまな健康効果が得られるとしています。

University of Basel健康のため、深刻な疾病のリスクを下げる効果は、電動アシスト自転車を使っても普通の自転車と同等以上というのは、太り過ぎの人や高齢者でもラクに始められる点で、大いに福音となるはずです。もちろん、次第に心肺機能が向上してくれば、より運動量も上げられるでしょう。

実は、過去にも同様の研究結果が、アメリカ・コロラド大学の研究者グループからも報告されています。通勤など日常的な利用において、なるべくラクをするために電動アシスト自転車を使い、なるべくラクな道を選び、ラクに出せるスピードで移動したとしても、疾病リスク軽減などの明らかな健康効果があると結論づけています。

健康に気にしながらも、普通の自転車ではキツイと考えている人、太り気味や高齢で普通の自転車はムリと考えていた人には朗報と言えるでしょう。ラクな電動アシスト自転車に乗るだけで健康になり、心血管系の病気での死亡や後遺症、人工透析などを免れるならば、本人はもちろん、家族にとっても大きなメリットです。

さらに言えば、国や自治体にとっても、市民の健康増進が進めば、医療・介護・福祉などの予算の低減につながります。通勤などの日常的な利用で、電動アシスト自転車でラクをしたとしても、自転車に乗るのは健康に大きなメリットがあるという事実、多くの人に知ってほしいものです。




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