November 14, 2018

MTBにチャンスを見いだす

世界には困難な状況に陥っている国があります。


アフガニスタンが、その一つであるのは間違いないでしょう。1978年に軍事クーデターが起き、いわゆるアフガニスタン紛争が勃発しました。翌年には当時のソビエト連邦が侵攻し、戦争は1989年にソビエト軍が撤退するまで11年間も続きました。

ソ連撤退後の国内支配を巡って、さらに11年、内乱が続きます。それが終結しないうちに、アメリカの同時多発テロを受け、アルカイダをかばうタリバンタリバン政権と米軍の戦争となります。国内の紛争はまだ終結しておらず、大規模な戦闘の終了後も、駐留米軍はまだ完全に撤退はしておらず、昨年は増派されています。

今も南部を中心に実効支配を続けるタリバンと断続的な戦闘や、武装組織によるテロ攻撃が発生しています。つまり40年以上、戦争や内乱、テロが続いているわけです。さらに今年は深刻な干ばつで、アフガニスタン政府と反政府勢力タリバンとの戦闘による避難民を超える難民が発生し、人道的な危機となっています。

MTB AfghanistanMTB Afghanistan

同国の経済は依然として壊滅状態です。1人当たりのGDPは世界平均の1割にも満たず、大半の国民に充分な食料、衣料、住居、医療が提供できない状態が続いています。後発開発途上国でアジアの中では最貧国、失業率は40%を超え、衛生状態も劣悪で、幼児の死亡率も25%を超えています。そこへ干ばつです。

国として困難な状況にあり、国民は大きな苦難を強いられています。ただ、戦闘やテロが激しくない地域もあります。5割以上の人には仕事もあります。決してラクな状況ではないにせよ、全てが難民になっているわけではなく、日々を逞しく生きる人々もいます。

アフガニスタンの人々の暮らしについては、日本ではあまり伝えられていませんが、当然ながら一様に困難というわけではありません。比較的安全な生活を送れている人もいます。スポーツをする余裕のある人もいて、そこに将来への希望を託し、アフガニスタンの復興と発展への望みをつないでいる人たちがいます。

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今年9月、Dara-e Azhdahar という場所で行われたのは、なんとマウンテンバイクのクロスカントリーの大会です。アフガニスタンの歴史上、初の大会ですが、男性30人と女性20人が参加しました。イスラム教の国で、女性が参加するというのは、かなり画期的なことでもあります。

HINDUKUSH MTB CHALLENGE”と名付けられたこの大会は、アフガニスタン国立自転車連盟の認可を受けた正式な大会です。この大会は、アフガニスタンにクロスカントリー競技を定着させ、オリンピックに参戦する一歩とすることが目的だと言います。

アフガニスタンでは、スポーツが盛んとは言えません。タリバン政権下では、厳格なイスラム教の解釈のもと、ほとんどのスポーツが禁止されていました。例外的に解除されたのは、同国で伝統的に人気のあるクリケットくらいです。サッカーも人気がありますが、W杯にはずっと不参加、直近4大会は出場するも予選敗退です。

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ほかに、一部のアフガニスタンの伝統的スポーツを除けば、盛んと言えるものはなく、オリンピック競技では到底世界と勝負できるようなレベルではありません。例外的に、ロフラ・ニクパイというテコンドーの選手が北京五輪とロンドン五輪に出場し、2個の銅メダルを獲得しましたが、それがメダル獲得の全てです。

言うまでもなく、マウンテンバイクの選手層も薄いですが、個人競技でもあり、もしかしたら活躍する選手が出てこないとも限りません。もちろん、オリンピックも予選を勝ち上がる必要がありますが、2020年の東京大会か2024年のパリ大会での出場を本気で目指しているのです。

MTB競技ならば、アフガニスタン国内に、適したコースをとることが出来る山岳地帯がたくさんあります。アフガニスタン・MTB協会は、マウンテンバイクならば、オリンピックで世界と競うのに、それほどハンデは大きくないと考え、力を入れているのです。そこに情熱を傾ける人が集まっています。

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彼らは、かたや戦争や干ばつで苦しみ、難民となっている国民がいて、貧困と飢餓と不衛生に苦しむ市民が大勢いる中で、単にスポーツにうつつを抜かしているわけではありません。相対的に恵まれた状況にあるとしても、決して遊びで参加しているわけではありません。

今回の大会に出場した若者たちは、戦争に次ぐ戦争という歴史から、自分たちの国を解放したいと考えています。そして将来オリンピックに出場し、世界の人々に向けて、アフガニスタンが戦争と砂漠だけの国でないことを知らせたいという、強い願望を持っているのです。

もちろん同国で、ごく限られた参加可能なスポーツの一つに挑戦できることは喜びでしょう。一方で、40年も戦争が続き、産業と言っても麻薬を除けば、農業と牧畜と鉱業くらいしかない国で、若者が希望を託せる数少ない分野というのも現実なのでしょう。


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国家予算の7割を海外からの援助に頼る国です。インフラも荒廃し、産業によって国の経済を立て直すと言っても、その前提となる和平への道筋は全く見えません。テロ集団や麻薬組織に加わらざるを得ない人も少なくない中、将来への希望が見出せるというのは、とても貴重なことなのは間違いないでしょう。

生れてからこのかた戦争状態しか知らない若者たちですが、世界に目を向けています。アフガニスタンには、砂漠と荒廃した土地しかないと思っている世界の人々に、そうではないことを知らせたいと思っています。そして、国土の復興への足掛かりを得たいと考えています。

アフガニスタンでは、地雷が埋まっているなど、近づくことすら出来ない場所がたくさんあります。厳しい現実ですが、これによって野外活動をする意欲も持たない人がたくさんいます。このような現状を変え、自分たちの美しい国土への愛を確立していくのも目標の一つだと言います。

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国民の多くが困難な状況にあり、依然として平和への展望が見えない中だからこそ、楽しむことに希望があると信じています。たとえ少しの時間であっても屋外へ出て、戦争を忘れることの出来る山の中で、自分たちの力を思い出してほしいと願っています。

アフガニスタンでマウンテンバイクに情熱を傾けている人たちは、それが単なるスポーツ振興ではなく、彼らの将来を変える旅だと考えています。地域の人々をコミュニティとしてつなげ、国土の復興へ向け、国民に希望を持たせるツールになると信じている、と語っています。

平和な日本に住む私たちには、なかなかイメージしづらい概念です。でも、アフガニスタンのマウンテンバイクの選手たちにとって自転車競技は、日本人が考えもしない意味、価値があるのは間違いないでしょう。近い将来、クロスカントリー競技で、アフガンの選手が活躍することを期待したいと思います。




外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正案、聞けば聞くほど問題が多く粗雑、急ぐべきでないですね。

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