April 19, 2019

社会保障改革のお得な選択肢

2019年度予算の一般会計総額が初めて100兆円を突破しました。


増税対策などの臨時的な要因もありますが、歳出の3分の1を占める社会保障費は34兆円と過去最高です。今後も高齢化が進み、ますます医療や年金、介護などの社会保障費が増えていくのは避けられないでしょう。それを支える現役世代は減少していきます。

その支払いは赤字国債に頼っている状態です。財政再建に取り組まなければ、国債の利払い費が膨らみ、社会保障制度の持続は困難になります。年金給付の抑制や、増え続ける医療費の歯止めなど、社会保障費の増大を抑えるための、さまざまな改革が急務となっています。

Older cyclistsそんな中、最近は政府も予防医療に取り組み始めたことが報じられています。予防医療、すなわち病気になる人を減らせれば、医療や介護の費用が減ります。定年後も健康に働ける人が増えれば、年金の受給の改善効果も見込めます。予防医療への注目は世界的な流れであり、当然の動きと言えるでしょう。

高齢者の健康増進については、世界中で研究が進められていますが、食習慣などと共に、運動の重要性は誰もが認めるところでしょう。そして、自転車による運動が役立つことも多くの専門家が指摘しています。このブログでも自転車による高齢者の健康増進効果については、いろいろ取り上げてきました。

自転車は優れた有酸素運動です。自転車に乗ることで、血糖値やコレステロール、中性脂肪、血圧などの面で改善が見込めます。習慣的な運動によって、心肺機能を高め、血液の循環を促進するといった効果も認められています。このことにも、疑問はないでしょう。

Older cyclistsジョギングなどと比べて、ヒザなどへの負担が少ないのも利点です。ジョギングだと、一歩一歩の着地に、体重の何倍もの力が加わります。ジョギングで長い時間、有酸素運動を続けるのは高齢者にとって簡単ではありません。自転車ならば、相対的に長い時間続けるのが容易なのも優れています。

加齢に伴って、足腰が衰え、要介護になるリスクが高まることをロコモティブ症候群と呼んでいます。この、いわゆるロコモを予防するにも、自転車のペダルをこぐ運動が有効とされています。歩行が難しい人でも、ペダルをこぐことで筋力の維持や増強する効果が期待できます。

また、高齢になるにつれ、わずか数ミリの段差でもつまづき、転倒するなどして、骨折するリスクが高くなります。大たい骨などを折ると、なかなか治りにくく、それで寝たきりになる人の割合が高いことがわかっています。65歳以上で救急搬送される要因の8割は転倒だと言います。

Older cyclists自転車で脚力を維持し、筋力の低下を緩和し、運動機能の衰えを防ぐことは、転倒防止に欠かせない要素です。自転車は脚の筋肉だけでなく、腸腰筋などの身体の奥にある筋肉、いわゆるインナーマッスルを使うことになり、このことが転倒防止、ひいては寝たきり予防に効果があるとの研究結果もあります。

さて、高齢者の健康増進面において、自転車の効果が高いことは、これまで世界中から多くの研究報告があるわけですが、さらに最近、注目すべき研究結果が公表されています。自転車によって、高齢者の認知機能の改善、認知症予防の効果も見込めるという報告です。

イギリスの、University of Reading と、Oxford Brookes University による共同研究です。50歳から83歳の被験者に自転車に乗ってもらう実験で、高齢者の認知機能の改善につながることが明らかになりました。さらに精神的な健康、幸福度の向上にもつながっているとの結果が出ました。

Older cyclistsこの研究の結果で特筆すべきは、電動バイクでも、普通のペダルをこぐ自転車と変わらない効果が見られたことです。従来考えられていたのは、有酸素運動をすることで、心血管系の血流改善となり、脳の認知機能の改善になるのだろうというものでした。

しかし、ペダルをこがない電動バイクを利用した人でも、同じような効果が見られたのです。自転車のグループと、電動バイクのグループに30分間を週に3回、8週間乗ってもらいました。そして2ヶ月間全く乗らなかった人のグループと比較した結果として、乗った両方のグループに大幅な機能改善が見られました。

つまり、脳の認知機能に関しては、必ずしも有酸素運動にならなくても、自転車で外出するだけで改善する可能性があるわけです。ペダルはこがなくても、バランスをとったりすることも良い影響を与えるのでしょう。これは、ペダルをこぐのが困難な高齢者にも大きな福音となる可能性があります。

Older cyclists詳しい内容はリンク先を見ていただくとして、興味深い結果です。私は、以前にも、関連する研究結果を読んだことがあります。徒歩も含めて外出して、人とコミュニケーションをとること、日に当たってセロトニンの分泌を促すことがストレスの解消となり、うつ病の予防にも役立つと考えられるというものでした。

閉じこもりがちな高齢者の外出の助けとなること、そのきっかけになるだけでも意味があるのでしょう。実験では有意の結果が出ましたが、実験を行った大学教授たちにとっても、予想を裏切る結果だったようです。高齢者は、どんな自転車でもいいから、定期的に外出すべきということになります。

そうなると、求められるのは、高齢者が安心して自転車に乗れる環境ということになりそうです。安全で快適に自転車で移動できる自転車インフラの整備が求められます。このインフラは、高齢者のクルマの事故の多発や、免許を返上した際の、いわゆる買物難民化という問題の解決にも寄与するでしょう。

Older cyclists個人的には、まったくペダルをこがない電動の自転車でも、最高出力を制限した上で、自転車と見なす法改正があってもいいと思います。自転車と同じ程度の速度であれば、ペダルの有無にかかわらず、特に危険なことは無いと思います。実際に、中国などでは混在して走っていますが、問題となっていません。

自転車インフラの整備や法改正などの環境整備は、予防医療にも貢献することになります。安全な自転車レーンがあって、安心して走れれば、高齢者の自転車での外出を促すはずです。そして、それは健康増進効果だけでなく、認知症予防や改善の効果によって、医療や介護費用の低減に結びつくに違いありません。

交通事故死者の削減や都市部の道路の渋滞対策、温暖化ガス削減や大気汚染の改善、ヒートアイランド現象の低減、市民の健康増進から認知症予防や改善まで、トータルで考えると、こんなにオトクなインフラ投資はないと思います。社会保障費を削減して財政を再建するためにも、自転車インフラではないでしょうか。




スズキが200万台リコール、検査不正は安全に関わる部分にまで及び、しかも隠ぺいするなど酷い会社ですね。

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