May 10, 2019

実用性や効率性以外の価値観

風が気持ちいい季節となってきました。


This image is in the public domain.気温も上がってきましたし、そよぐ風が爽やかに感じられます。陽気に誘われて、外へ出かけたくなる人も多いでしょう。ただ、自転車にとっては、風は厄介な相手です。そよ風くらいならいいですが、強い風は吹いてほしくないというのが、自転車に乗る人の正直な気持ちでしょう。

追い風なら快適ですが、常に追い風ということはありません。向かい風はイヤなものですし、横風も強いと厄介なものとなります。海岸沿いとか、大きな川沿いなど開けた場所では、風の影響をまともに受けることになります。風を遮るものの無い場所では、どうしようもありません。

ただでさえ、空気抵抗は自転車にとって最大の敵なのに、強風は自転車にとって厄介で、なるべく避けたいところです。ただ、自然に逆らうことは出来ませんし、向かい風に出会ったら運が悪かったと諦めて、耐えてペダルをこぐしかありません。

ところで、自転車にとっては厄介な風ですが、その風を味方にする乗り物もあります。ヨットや帆船です。味方どころか、風の力を利用して航行します。しかも、ほぼ向かい風であっても、風上に向かって進むことが出来るという点がスゴイところです。

Points of SailPhoto under the GNU Free License.

正面からの風に向かって、真っ直ぐ進むことは出来ませんが、斜め40度前後くらいならば、風上に進むことが出来るそうです。図のように、風の力と、船の抵抗力のベクトルの合成が推進力となる原理です。つまり、斜め前から風を受けるようにしながら、ジグザグに進めば、風上の方向にも進むことが可能になるわけです。

そこで、ヨットのように自転車に帆を取り付けたら、風を利用できるのではないかと考える人が、少ないながら存在します。過去にも何度か取り上げたことがありますが、アメリカはフロリダ州に住む、Jorge さんと、Derek さんと、Nathan Rose さんらによる、“CycleWing”もその一つです。

CycleWingCycleWing

CycleWingCycleWing

自転車に帆を取り付け、ヨットなどと同じように、風に対する角度を操ることで、正面以外の広い角度からの風を推進力に変えようというのです。追い風だけではありません。ヨットと同じように斜め前からの向かい風であっても、理屈から言うと利用できるはずです。

これが、アメリカのデスバレーのような、広大で縦横無尽に走れる場所ならいいでしょう。しかし、道路を走行する場合は、さすがに、大海原を行くヨットのように、風を受けてジグザグに進むわけにはいきません。ただ、帆の角度を調整することで、かなりの角度まで推進力に変えられるようです。

CycleWingCycleWing

CycleWingCycleWing

帆、セイルは自転車の荷台部分に立てます。そして手元のコントロールユニットで、風向きによって角度を変えられるようになっています。セイルは、ほぼどんな自転車でも取り付けられます。使わない時は、コンパクトにたたむことが可能になっています。

これまでにも、趣味で帆船ならぬ帆自転車を制作し、実験してきた人がいて、風の力が使えることは証明されていると言います。まだ改善の余地はありますし、簡単かつ、いつでも快適に走行できるとは言えませんが、製品化できる段階にまで漕ぎつけたとしています。

CycleWingCycleWing

CycleWingCycleWing

果たして実用的かと言うと、疑問もあります。歩行者や他の自転車が多い場所での利用は避けるよう忠告しています。街中であれば、クルマにだって迷惑がかかりそうです。実際問題として、郊外のあまり人がいないような場所でしか乗れなさそうです。

クラウドファンディングサイトで、資金調達を目指していましたが失敗しています。目標の、わずか4%ほどしか集まりませんでした。自転車で、追い風でなく、横風や斜めからの向かい風が利用出来たら画期的ですし、かなりラクになりそうですが、さすがに実用的とは言えないようです。

CycleWingCycleWing



風の力でアシストさせるくらいなら、一般的な電動アシストのほうが、よほど合理的で実用的なのは明らかです。しかし、なかなか夢のある挑戦だと思います。実用性のある風力アシストの仕組みをつくろうというよりも、陸上を疾走するヨットのような新しい乗り物をつくりたいのでしょう。

船舶には、動力のついたモーターボートもあれば、人力による手漕ぎボートや足漕ぎボートもあります。そして、ヨットのような帆船もあるわけです。自転車にも、電動自転車や普通の自転車以外に、帆自転車があってもいいはずです。もちろん、賛同する人は、かなり限られるでしょうから、製品化は難しそうですが..。

CycleWing

自転車の難敵である強い風を、逆に利用しようということよりも、ヨットのような自転車を作ってみたいという気持ちは、わからないでもありません。モーターボートや動力船のほうが速くて便利、実用的ですが、趣味でヨットに乗る人がいるのと同じでしょう。

もし製品化されたとして、購入して乗るかと言われれば微妙ですが(笑)、機会があれば、一度乗ってみたい気はします。のんびりと風まかせ、ペダルを漕がなくても、遅いながらも進むなら、それも面白そうです。陸上のヨットのような乗り物に乗ってみるのも、たまにはいいかも知れません。




米中貿易協議は合意に至らず、25%の関税が発効することになりそうです。世界経済への影響が懸念されます。

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この記事へのコメント
cycleroadさんこんにちは。

名前は分かりませんが、ビーチでセーリングできる、バギーのような物は見たことがあります。
動力は風力のみの4輪だったと思います。
それに比べると不安定で危険ではないかと思ってしまいますね。
ただ、安全を確保できる場所で、この風力アシスト自転車に乗ってみたいですね。
Posted by Fischer at May 13, 2019 11:52
Fischerさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そんな乗り物もあるんですか。広い砂浜なら、セーリングできるバギーに乗れそうですね。
自転車の場合、道路を走るなら風向きの問題もありますし、突風などハードルは高そうです。
結局、場所を選ぶということかも知れません。
Posted by cycleroad at May 14, 2019 21:22
 
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