June 03, 2019

東京五輪の渋滞対策は万全か

東京五輪に向けた渋滞対策が進められています。


首都高速の上乗せ料金を徴収したり、期間中、競技会場周辺の民間の駐車場への事前予約システムの導入などが検討されているようです。駐車場は当然満車になるでしょうから、その空きを待ったり、空いている駐車場を探すクルマで渋滞するのを防ぐのが、駐車場予約の目的です。

前々回、ロンドンオリンピックの時には、渋滞対策として自転車の活用が大々的に進められました。渋滞だけでなく、老朽化して輸送能力の低い地下鉄の混雑を避けるためです。その前にロンドンで起きた、地下鉄やバスを狙った同時爆破テロの影響もありますが、多くの市民が自転車に乗りました。

この対策は大きな効果を上げ、当時は日本のマスコミなどでも取り上げられました。ロンドン五輪をきっかけに、自転車の速さや便利さが理解され、多くのロンドン市民が、終了後も自転車に乗るようになりました。前回のリオデジャネイロでも自転車専用道を整備するなどの対策がとられました。

ただ、今のところ東京では、自転車の活用という渋滞対策は聞こえてきません。せっかく過去のお手本があるのに残念なことです。おそらく、関係者は東京の場合、自転車の活用が渋滞対策に適切、あるいは効果的と考えていないのでしょう。

東京2020東京2020

実は、五輪の前のロンドンの自転車環境は、東京に負けないくらい遅れていました。自転車レーンなどのインフラも乏しく、走行マナーなどの面でも問題が多く、大陸ヨーロッパの自転車先進国とは大きな差がありました。それを思えば、東京でも有効な対策に十分なり得るのに残念なことです。

やはり、関係者も含め、日本では自転車が有効な都市交通の手段として見ていない人が多いのでしょう。その理由はいろいろ考えられますが、日本独特の『自転車の歩道走行』があることは間違いないと思います。再三書いていますが、日本の長年にわたる自転車に対する道路行政の致命な失敗のせいです。

歩道で歩行者と混在して通行する状況では、実際問題としてスピードが出せません。遠くまで行くのには時間もかかります。このため、大多数の日本人は、せいぜい最寄り駅までのアシとしてしか見ていません。都内を自転車で移動するという発想にならない人が多い要因です。

歩道では、歩行者と混在なので、すぐに止まれる必要があります。いわゆる足つき性の良さが求められます。そこで、どっしりと跨るような姿勢で乗るママチャリが便利です。しかし、座るような姿勢ではペダルに力が入りにくく、長く座っているとお尻が痛くなります。車体も非常に重く、坂道を上るのは容易ではありません。

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タイヤが太いため、低速でも安定しますが、スピードは出ません。ママチャリは、外見だけ見ると、ヨーロッパの自転車と変わらない気がしますが、日本で独特の進化を遂げた、歩道走行向きの自転車なのです。日本人は、自転車と言うと、このママチャリだと思っている人が大多数なのも、都市交通と思えない要因でしょう。

おまけに、近年は中国で生産される、格安で粗悪なママチャリが市場を席捲しています。EUは、安全上の懸念などから、中国産の自転車に高関税をかけているのとは好対照です。この格安粗悪なママチャリが、いわゆる悪貨が良貨を駆逐する状態になっていることも、自転車のポテンシャルへの理解を妨げていると言えるでしょう。

ロンドンでは、五輪期間中の渋滞や地下鉄の混雑を避けるために自転車で通勤・通学する人が増えました。開催期間だけなら、十分選択肢となる人もあるでしょう。この経験で、結果としてその後も自転車通勤する人が増えたわけですが、日本でも、せめて呼びかけてみてもいいと思います。

五輪の観戦のために、遠方から自転車で来いというのは酷ですが、渋滞対策としては、パークアンドライドが考えられるでしょう。都心はクルマの流入規制をし、決められた範囲の外の大規模な駐車場だとか、河川敷などを利用して、郊外からのクルマに駐車してもらいます。

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そこからは、自転車や公共交通で都心の施設に向かってもらうわけです。送迎バスでもいいですが、自転車のほうが、それぞれの会場に向け、好きな時に出発できて便利でしょう。渋滞も関係ありません。大会期間中だけでも、こうしたパークアンドライドを実施すべきではないでしょうか。

必要な自転車は、現在都心で運用されているシェア自転車などを一時的に流用することも考えられます。足りなければ、現在少しずつ増え始めている都内のシェア自転車の、五輪後の拡大計画を前倒しして、まとめて購入してもいいと思います。広告を入れるスポンサー企業を募集するなど、やり方はいろいろあるはずです。

大会期間中に自転車をレンタルしても、シェア自転車と違って、基本的に、駐車場と大会会場の往復です。自転車の再配置などの手間や人手はかからないと思います。そして、場合によっては、経路となる道路の一部の車線を臨時に自転車専用のレーンとすることも考えられます。

そのほうが、郊外から流入するクルマに車線を使われるより、よっぽど多くの観客を移動させられるはずです。決して奇抜な方法ではありません。過去の大会を見ても有効な渋滞対策であることや、五輪期間に限った規制と説明すれば、車線規制も十分に理解が得られると思います。

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首都高速を値上げしても、せっかくチケットがとれたのだし、五輪だから特別と考える人も多いでしょう。結果的に、料金だけではクルマの流入を十分に抑止できない可能性があります。やるならば、もっと確実に流入を抑制することを考えるべきだと思います。

駐車場の予約制にしても、予約がとれない場合でも、とりあえず行ってみようという人が必ず出て来るはずです。駐車場がとれないからと、せっかくの五輪のチケットを無駄にするでしょうか。誰かに頼んで駐車場待ちの渋滞に並んでもらい、観戦しようとするケースだって出てくるに違いありません。

もちろん、鉄道やバスなどの公共交通を使ってもらうことが第一です。しかし、それでも電車は不便だし、混んでて不快などの理由で、渋滞覚悟でクルマを使う人は必ず出てきます。それは他のイベントやレジャーを見ても明らかです。観客の良識や自粛に頼るのでは、渋滞は防げない可能性が高いでしょう。

よく、五輪の成功は渋滞や混雑対策にかかっていると言われます。もし大渋滞が起き、大会の催行に影響しようものなら大問題です。料金や予約制の、いわばソフトな規制で大丈夫なのでしょうか。今からでも間に合います。パークアンドライド方式などと組み合わせ、もっと自転車の活用を考えてもいいのではないでしょうか。




私も事前にID登録をして、五輪チケットの抽選に応募しました。人気競技の倍率は高く、当選は望み薄ですけど。

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この記事へのコメント
ニューヨークやオランダでは車道の自転車自動車混在交通は交通安全面で深刻な問題があるとして自転車専用道ネットワーク整備が進んでいるようですね。
この辺りをこのブログでももっと取り上げてくださればと思うのですが。
Posted by 佐藤 at June 12, 2019 20:46
佐藤さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね。そのような動きがあるのは私も耳にします。
ただ、その事実だけだと記事にしにくい面があります。しても中身が興味深くないと読んでも面白くないでしょう。
何かの機会があれば記事にしたいと思っています。
Posted by cycleroad at June 13, 2019 22:04
 
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