July 03, 2019

使われていないが需要はある

南米にも自転車にフレンドリーな国があります。


Bogota, Photo by Luis Andres Alvarez,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.コロンビアです。ヨーロッパのオランダやデンマークのような自転車先進国とは少し違いますが、首都のボゴタを中心に、自転車に乗る人が増えています。その背景には、なんと言ってもシクロビア、“Ciclovia”があります。いまや、世界各国に広がりつつあるシクロビアの発祥の地がコロンビアです。

“Ciclovia(シクロビア)”を直訳すると「自転車道」です。文字通りの自転車道を指す時もありますが、有名なのは、毎日曜日に行われるシクロビアです。都市部の大通りを車線規制したり、通行止めにしたりしてクルマを締め出し、自転車や歩行者に開放する催しです。日本の歩行者天国に近い感じでしょうか。

歩行者天国と言っても、日本のようにごく一部の繁華街だけではありません。首都ボゴタでは、総延長120キロ以上の道路が開放されます。ボゴタ市民の約30%、200万人以上の人々が楽しむという巨大な歩行者天国です。沿道に露店などが並び、毎週ちょっとしたお祭りが開かれているかのような賑わいです。

歩いたり、ランニングしたり、エアロビクスなどをする人もいます。スポーツに親しむ場ですが、多くの市民が自転車を楽しみます。道路からクルマを締め出し、自転車に開放する催しです。名称がシクロビア、「自転車道」なので、歩行者天国と言うより、「自転車天国」と言うべきかも知れません。

Ciclovia, www.streetfilms.orgCiclovia, www.streetfilms.org

コロンビアは長年、麻薬組織や汚職、左翼ゲリラによる内戦に苦しんできました。コーヒーやエメラルドで有名ですが、コカインの産地でもあります。1990年代には殺人事件の発生率が世界最悪となり、世界の誘拐事件の3分の2がコロンピアで起きたと言われるほど、治安の悪い国でした。

しかし、今世紀に入って治安は改善しつつあり、凶悪事件の発生率も減少しています。最近は治安維持に力が注がれ、経済も安定しています。首都のボゴタは、人口700万人を擁する南米第4の大都市です。人口密度は東京23区の1.5倍もあります。

そのボゴタ市内の交通は、鉄道がないためクルマが中心です。公共交通も専用道を走るものも含めたバスが中心となっています。当然、渋滞は激しく、ナンバープレートの番号による厳しい走行規制も行われています。この渋滞する道路を日曜日に限って解放してきたわけです。



この「自転車天国」シクロビアが、世界各地の都市に広がりつつある一方、コロンビアでは自転車の利用が広がりつつあります。文字通りのシクロビア、自転車道も整備され始めており、日曜日に楽しむだけでなく、ふだんの生活でも自転車を活用する人が増えています。

都市部ではクルマが激しく渋滞するため、自転車のほうが便利ということもあります。また、大気汚染が深刻ということもあり、クルマの利用を減らすべきと考える人も増えています。環境負荷の低減をめざすべきだと考える市民も増えているのです。

ただ、走っているのは普通の自転車がほとんどです。オランダやデンマークでよく見かけるような、カーゴバイクなどはあまり走っていません。しかし、コロンビアでも、カーゴバイクがあったら、普段の生活での移動が、もっと便利になるのではないかと考えた人たちがいます。

Bogbi Cargo BikeBogbi Cargo Bike

Bogbi Cargo BikeBogbi Cargo Bike

Bogbi Cargo Bike

Havard Ostby さんらをはじめとするチームです。ノルウェーのデザイナーとコロンビアの技術者が組んで開発したのは、“Bogbi Cargo Bike”というカーゴバイクです。コロンビアの工房で製造しています。コロンビアでもカーゴバイクは普及すると考えています。

ヨーロッパなどで使われているカーゴバイクそのままではなく、コロンビア人の生活の中でのニーズを考え、ゼロから設計したと言います。見た目は、さほど変わっているわけではありませんが、細かい部分の設計から見直し、個人やファミリー向けに使いやすいカーゴバイクを目指しました。

Bogbi Cargo BikeBogbi Cargo Bike

Bogbi Cargo BikeBogbi Cargo Bike

Bogbi Cargo BikeBogbi Cargo Bike

20インチのタイヤを使い、フレームもコンパクトにすることで、取り回しのしやすさ向上を目指しました。カーゴ部分を守るような形のフレームにすることで、子供を乗せる時の安心にも配慮しています。ハンドル操作で前輪が大きく切れるため、小回りもききます。普通の自転車に近い乗りやすさを実現しています。

電動アシスト機構も用意されています。最大25kphのアシスト力を発生する250Wのモーターで、最大80kmの航続距離があります。カーゴ部分には、荷物を積むケースや、子供を乗せるシート、子供を雨に濡らさないキャノピーなど、さまざまなパーツが用意されています。

Bogbi Cargo BikeBogbi Cargo Bike

Bogbi Cargo BikeBogbi Cargo Bike

Bogbi Cargo Bike

子供を乗せたまま買い物をする場合に備えたカーゴスペースや、大人を乗せられるシートもあります。要介護者を運んだり、ペットを乗せたり、さまざまな利用シーンが想定されています。人や荷物を載せても安定して運べるように、重心やバランスが調整されています。

もちろん、ハンドルやサドルの高さも調整できますし、体格に応じてアジャストできるようになっています。そのほか、ブレーキなどのパーツをはじめ、細かい部分の設計から見直すことで、これまでカーゴバイクに乗ったことの無い人でも使いやすく、便利になるよう工夫されています。

Bogbi Cargo BikeBogbi Cargo Bike

Bogbi Cargo Bike

クラウドファンディングサイトで資金調達も行われていますが、すでに目標を大きく上回る応募が寄せられています。ヨーロッパや北米にも配達可能ですが、ボゴタでは手渡しされます。多くの支持が寄せられているところを見ると、コロンビアでも、一定のカーゴバイクの需要が見込めそうです。

開発したチームは、このゼロから設計された“Bogbi Cargo Bike”が、コンパクトで現代人のニーズを満たすと考えています。また、環境に優しい都市の発展に寄与すると共に、コロンビアで危険にさらされている若者や、失業に苦しむ人たちに自立の手段を与え、良い影響を及ぼせるとも考えています。





日本でも、カーゴバイクが走っているのを見ることは、まずありません。馴染みが薄いのは確かですが、そのニーズが無いとは限りません。日本人の使い方、日本の環境に合ったカーゴバイクが設計され、提案されれば、案外使われるようになるかも知れません。日本でも挑戦者が出てくることを期待したいものです。




九州を中心に災害レベルの大雨となっているようです。危なくなる前、今すぐに避難しておくべきだと思います。

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