July 18, 2019

デメリットを逆手に取る発想

ふだん、バックパックを使う人は多いと思います。


バックパックはアメリカ式の呼び方で、ドイツから入ってきた呼び方だとリュックサック、あるいはザック、イギリスではナップサックやリュックサックと呼ぶようです。それぞれのネーミングを分けて使っているブランドもあると思いますが、全て背中に背負うタイプの袋状のもの、背嚢袋です。

用途や構造的な違いによって、デイパック、サブサック、キスリングなどと呼ぶこともあります。ここでは、まとめてバックパックと呼ぶことにしますが、広い意味でバックパックを使っている人は多いでしょう。アウトドアだけでなく、街中でも、自転車に乗る時に背負う人も多いと思います。

自転車で身の回りの品、手荷物を運ぶ方法はいろいろあります。前カゴや荷台にバッグを載せるのが一般的でしょうか。自転車に取り付ける各種のバッグ、フロントバックやサドルバッグ、フレームバッグ、リアバッグ、サイドバッグ、パニアバッグなどを利用している人もあると思います。

一方、スポーツバイクに乗る人も含め、必要な時にバックパックやメッセンジャーバッグなどを担いで乗るほうを好む人も多いのではないでしょうか。いちいち着脱したり固定する手間もありませんし、背中に背負えば両手が使えて、自転車に乗るのにも邪魔になりません。

Photo by Anatomography,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.ただ、バックパックにも短所があります。季節によっては、背中と接する面が蒸れて、汗をかいて不快な場合があります。もう一つは、荷物の重さにもよりますが、乗車中も背負っているため、肩が凝ることです。これがイヤで、バックパックを使わないという人もいます。

現代人特有なのかも知れませんが、肩こりに悩む人は多いようです。仕事でパソコンのモニターをのぞき込んだり、デスクワークで姿勢が悪かったり、緊張して肩に力が入ったりするのも原因と見られます。目の疲れ、腰の痛み、そして肩こりは一種の職業病かも知れません。

ひどい肩こり持ちの人なら、バックパックやショルダーバッグを敬遠したくなるのでしょう。厚労省の調べでは、身体の慢性的な痛みの男性の2位、女性の1位は肩こりです(男性の1位、女性の2位は腰痛)。便利なので本当は使いたいけど、仕方なく諦めているという人もあるのかも知れません。

ところで、肩こりに悩むのは日本人だけという話も聞きます。外国には肩こりという言葉もないと言うのです。日本で言う肩こりは、“neck pain”“stiff neck”“tight shoulders”“shoulder discomfort”など、首の痛み、首のこわばり、肩の不快感、といった表現になるようです。

つまり、肩ではなく、欧米人はどちらかと言うと、首の痛みと認識するようです。肩こりは、主に僧帽筋 (上の図参照) という首から肩、背中に至る大きな筋肉で起こります。彼らにとって肩は、もっと腕に近い部位で、我々が肩が凝ると言って揉むような場所は、どちらかというと首の付け根という感じなのかも知れません。

言葉の問題だけで、外国人も肩こり、あるいは肩の痛みに悩まされないわけではありません。アメリカはイリノイ州シカゴに住む、Vaishali A Jain さんも例外ではありませんでした。そこで開発したのが“EUME”、なんと、電動マッサージ機内蔵のバックパックです。

EUME

EUMEEUME

EUME

背中にピッタリ密着するようなエルゴノミックデザインになっており、スイッチを入れるとマッサージャーが振動します。つまり、バックパックを担いでいる間は、肩こりを緩和するためのマッサージタイムになるわけです。Jain さん自身も、なんで今まで考えつかなかったのだろうと思ったそうです。

肩だけではなく、バックパックの下側、腰の部分にもマッサージャーが配置されており、腰痛にも対応します。上下別々でも、同時に動かしてもOKです。バックパックの種類はいくつか用意されており、日々の通勤から旅行まで、各種の用途に対応しています。

EUMEEUME

EUMEEUME

EUMEEUME

もちろん、バックパックを背負うこと自体が肩こりを呼ぶので、なるべくそれを回避するような設計になっています。背中に密着することで重量感を低減し、姿勢が改善するようなつくりになっています。もちろん、出来る範囲で軽量化もされています。

電動ですので、バッテリーが内蔵されていますが、そのバッテリーはUSBポート経由で、スマホなどの充電にも使えます。携行するアイテムを分けて収納できたり、防水性など、バックとしての基本的な部分も工夫され、ストラップは体格に合わせて調整できます。セキュリティや視認性などにも配慮されています。

EUMEEUME

EUMEEUME



なるほど、これはユニークです。背負ったわけではないので、マッサージャーの効果はわかりませんが、今まで、ありそうでなかったバックパックです。最近はマッサージチェアではなく、コンパクトなマッサージ機もありますが、バックパックと一体化させて外に持ち出そうというのは、斬新なアイディアと言えるでしょう。

この世界初のマッサージャー付きバックパック、特許も取得しており、おそらく多くの人が支持したのでしょう、KICKSTARTER と、Indiegogo で資金調達に成功し、昨年から世界各国で売り出されています。日本でも、すでにアマゾンから買えるようになっています。

EUME Barret Massager
EUME Genx Massager






本来は、肩こりの原因として見られかねないバックパックです。そのバックパックにマッサージ機を内蔵して、肩こりの治療、もしくは緩和をさせてしまおうという発想はユニークです。自転車用品にも、まだまだこうした逆転の発想の余地が埋もれているのかも知れません。




WHOがアフリカ・コンゴでエボラ出血熱の緊急事態を宣言しました。治安悪化の中、感染拡大が心配されます。

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